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パナソニック、働き方改革に最適化した照明ソリューションを新提案
2019年3月13日 06:15
パナソニックは、照明という切り口での、オフィスにおける働き方改革に最適化した新たなソリューション提案を開始した。照明だけでなく、映像、音、空気などを連動。これらの商材を持つパナソニックならではの提案として、差別化を図る考えだ。
新たに提案する照明ソリューションは、3月5日~8日に東京ビッグサイトで開催された「第14回国際照明 総合展 LIGHTING FAIR(ライティング・フェア) 2019」のパナソニックブースにて展示。同社がオフィス向けに新たに提案したのは、「集中作業スペース」と「オープンコミュニケーションルーム」の2つだ。
照明、映像、音、空気を組み合わせて生産性を向上「集中作業スペース」
集中作業スペースでは、色温度や明暗コントラスト、光の広がりといった要素を、いずれも高く設定することで、業務に集中できる照明を実現。さらに、映像、音、空気を組み合わせることで、執務室における生産性向上につなげるという。
パナソニック エコソリューションズ社 ライティング事業部 エンジニアリング綜合センター東京商業照明EC・筒井 亨所長は、「視認性を高める照明と、集中できる環境を実現することで、作業性を向上させることができる」と説明。
具体的には、部屋全体を暗くして手元を明るくし、コントラストが強い空間にすることで、没入感を持ったデスク環境を実現。意識が散漫にならず、集中した作業が可能になる環境を生み出すという。
このスペースでは、デスクを照らす明かりを工夫。文字の視認性を高めるため、色温度を6,200Kに設定するという新たな考え方を導入したとする。
パナソニック エコソリューションズ社 宣伝・広報部 展示企画課の倉嶋 秀浩主務は、「調査を行ったところ、一般的なオフィスで用いられている昼白色の5,000Kの照明と比べて、昼光色の6,200Kの照明の方が、視認性が向上するという人が多いことがわかった」という。
10~60代の男女32人を対象にした調査では、約7割にあたる23人が6,200Kの方が、文字が読みやすいと回答した。
さらに、集中するためには適度なリラックス状態も必要であるため、リラックスしやすい自然の環境を再現。木漏れ日の映像や、植栽を配置するほか、新緑の香りや環境音を流すことで、さらに集中力を高めることができるという。
木漏れ日の映像には、パナソニックのスポットライト型プロジェクター「スペースプレーヤー」を使用。さらに、音については、家庭向けに発売したBluetoothスピーカー内蔵ダウンライトを採用。最大3台の子機を接続できることから、2~4台を使用したステレオでの音楽再生なども可能になるという。
春は桜の映像と香り、五感に訴えかける「オープンコミュニケーションルーム」
もうひとつの「オープンコミュニケーションルーム」では、照度や色温度、光の数、光の広がり、光の高さをいずれも低く設定することで、リラックスした空間を作っているのが特徴だ。
快適性を備えつつ、コミュニケーションを活性化し、多様なコラボレーションを生みだすエリアに適した環境を実現できるとしており、照明、映像、音、空気、風によって、人の五感に訴え、時間や季節に合わせた空間演出を行なう。「オフィス内のリラックスエリアや、人が集まるラウンジなどを想定した環境づくりに適している」(パナソニック エコソリューションズ社・倉嶋主務)という。
たとえば、春は白色の照明とともに、桜の映像を液晶に表示。スポットライト型プロジェクター「スペースプレーヤー」が、桜が散るような映像を壁全体に投影し、アロマを使って桜の香りをルーム内に広げる。
同様に、新緑の季節や紅葉の季節、雪景色の季節といった、それぞれの季節の様子を、明るさや色温度、風や香りなどで演出。Bluetoothスピーカー内蔵ダウンライトから、小鳥のさえずりや木の葉が触れ合う音など、自然の音によって、快適性を高める。
さらに、コミュニケーションを活性化させたり、情報を共有したりといった使い方にも配慮。「スペースプレーヤー」では、チョークアートによる絵や文字のほか、タブレットにメモした内容などをを壁に表示できるため、イメージを共有したり、会議に必要な情報を表示したりといったことが可能だ。これらの空間の演出は、タブレットで操作やカスタマイズ、自動設定が行なえる。
また、パナソニックでは、これらの機能や空間価値の提案を、ソフトウェアのアップデートによって、進化させる考えも示す。
「オフィスでの利用状況をもとに、施主や利用者などからのフィードバックを得て、より効率的な作業空間や、快適なオープンコミュニケーションエリアの実現につなげていきたい。照明だけに留まらず、映像、音、空気までをコントロールすることで、様々なシーンの演出が可能になる。また、アロマによる香りの演出など、パナソニックが製品を持たない領域では、パートナー企業との連携が重要になる。パートナーとの連携強化によるアップデートにも取り組みたい」(パナソニック エコソリューションズ社の筒井所長)とした。
照明単体ではなく、「人」起点での空間価値の提案に注力
パナソニックのライティング事業は、「BASIC」、「ADVANCED」、「CROSS-VALUE」という3つのキーワードから、同社の強みを発揮できるとしている。
BASICでは、「美しく均一に照らす」、「省エネ」、「長寿命」、「耐久性」、「デザイン性」といった5つの要素から、普遍的に求められる明かりの基本性能を追求。
ADVANCEDでは、心地よい眠りを追求したあかりや、食物の鮮度を保ち、育成するといった付加価値を持った新たなあかりを提案。
そして、CROSS-VALUEでは、従来の明かりに映像や、音、空気などの異分野の快適を融合させ、豊かな空間価値を創造することができるという。
従来のオフィス向け提案は、器具や光源といった照明単体の切り口からの販売が中心となり、訴求ポイントも、省エネや耐久性などが中心となっていた。
「パナソニックが持つ商材は幅広い。それが、他社との差別化になる。今後は、『人』起点での空間価値の提案に力を注ぎ、働き方改革においても、新たな価値を提供したい」(パナソニック エコソリューションズ社の筒井所長)としている。
一方、パナソニック エコソリューションズ社 常務 ライティング事業部の丸山 英治事業部長は、「2019年4月からエコソリューションズ社は、ライフソリューションズ社に社名を変更する。その背景には、すでにエコ(省エネ)は当たり前となっており、今後は、どんな価値を盛り込むかが重要になる点がある。『人』を起点に、家、街、社会に貢献し、人に寄り添った商品やサービスを展開したい」としたほか、「グローバルでは、中国、インド、ASEANにも事業を拡大していくことになるが、国によって感性も違うので、その国に合った価値を提供することが大切である。空間価値の提案は、まずは日本から進めていきたい」と語った。
現在、ライティング事業における海外売上比率は約2割だが、2030年には、4割の以上に拡大させる計画だという。