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右肩上がりで増え続けるLED需要に対応、アイリスオーヤマ「つくば工場」が竣工

 アイリスオーヤマは、茨城県稲敷郡で建設を進めていた国内9番目となる工場「つくば工場」が竣工し、2018年4月24日から本格稼働を開始したことを発表した。同工場の新設により、主にBtoB用途であるLED照明の生産・供給体制を強化し、売上の50%を占めている関東圏へのスピーディな供給を目指す。

アイリスオーヤマ「つくば工場」が竣工

 つくば工場の土地面積は63,213m2、延床面積は108,506m2。総投資額は約100億円で、6階建てとなっている。現状は1階が出荷スペース、2階がピッキングスペース、3回がLED製造工場、4~6階が物流用として使われる。現在、約50名が同工場に就業している。

 同日、関係者が招かれ、つくば工場の竣工式が行なわれた。

竣工式が行なわれた

右肩上がりのLED照明の需要に対応

 同社の売上高は順調に伸びており、2017年が4,200億円で、2018年は5,000億円を見込んでいる。東京オリンピックが開催される2020年までの市場は、首都圏を中心に大型施設の建設需要や商業施設の再開発など、さらなる拡大が見込まれている。そのため、2022年に売上1兆円の事業目標に向けてさまざまな準備と仕掛けを行ない、物流量や取扱商品点数の増加に対応するという。その一つが「つくば工場」だ。

 同工場を茨城県の稲敷郡に新設した理由は、首都圏中央自動車道(圏央道)の阿見東インターチェンジより約2㎞(車で約3分)と至近であり、常磐自動車道、東関東自動車道へのアクセスが容易で、関東エリアの物流拠点として役割を果たすことができる、地理的なメリットが大きいからだという。

 同工場では、国内9工場のうち、単独では最も収容能力が高い51,876パレットの自動倉庫を併設している。完全無人の倉庫で、物流をスムースに行なえるという。

自動倉庫で物流の効率化を目指す
どこに何が入っているのか、コンピューターで管理されている

 またロボットを活用した生産性の高い自動化ラインで、基盤実装の工程から製品の梱包までを一貫して行なうことで、高品質のLED証明を安定的に供給し、増加する需要に対応できる生産体制を確立するという。生産ラインでは、エイジング(実負荷試験)、性能検査などを行ない、AGV(無人搬送車)を活用することで効率的に生産し、品質の保持と自動化を両立するという。自動化ノウハウを極め、無人で生産できる最新鋭の工場にしていくとのことだ。

 ロボットで無人化ができるのは、同工場で生産する製品を汎用性の高い規格化されたLED照明に限っているからだ。現状、同工場で生産するLED照明は「ECOhiLUX ラインルクスシリーズ」と「LEDシーリングライト」の2種類。それぞれのラインで最大7,000台/週、合計14,000台/週を生産できる体制にある。初年度は200億円だが、将来的には400億円の販売を目指している。

 同社のLED照明について、拠点別の生産割合は、中国の大連工場が8割、佐賀県の鳥栖第二工場が2割を占めるが、つくば工場が稼働することで国内の生産比率を約3割に拡大する計画だ。手間がかかる多種多様のLED照明については、引き続き大連工場で生産するという。

ECOhiLUX ラインルクスシリーズ
LEDシーリングライト

生産工場もロボットにより自動化が行われている

 実際に生産ラインの見学もできた。まだできたばかりなので工場内はガランとしており、製品も少ない。生産ラインも一部のみだったが、ロボットによってLED照明 ECOHiLUX「メタルサーキットシリーズ」のLED基盤が実装されていた。人はいない状態で、ロボットが基板実装、検査、組み立てラインへの移送まですべて行なっている。

 LEDシーリングライトの組み立てラインでは、基板の組付け、シェード組付け、照度の検査、エイジングなどが行なわれ、最後の箱入れまでロボットが作業している様子を見ることができた。

工場内はまだ製品がほぼない状態だが、今後は埋まる予定とのこと
ECOHiLUX「メタルサーキットシリーズ」LED基盤の実装
錫メッキ鋼板を樹脂で補強することによりLEDチップを実装した後に曲げ加工が可能になり、指向性のあるLEDチップの光が360度に広がる。樹脂メーカーならではの強みを生かしている
LEDシーリングライトは家庭内と同じ条件でテストが行なわれているという

LED照明に付随する建装分野も見据える、大山社長が退任についてコメント

 つくば工場オープン当日、茨城県公営企業管理者局長や、阿見町長などを始め、多くの関係者が招かれ、竣工式と祝賀パーティが盛大に行なわれた。パーティの挨拶で、代表取締役社長の大山健太郎氏は次のように語った。

 「物流センター内に製造部門をもち、工場を一体化することで、中間物流の簡素化を行なっています。交通の便がよいつくば工場は、主力工場に育つと思います。今後は、LED照明や家電製品のほか、建装にも力を入れたい。壁、消火栓、手すり、階段、OAフロア、タイルなど、異業種ですが一歩ずつ進めていければと考えています」

工場内で竣工式が行なわれた
代表取締役社長の大山健太郎氏

 また、大山健太郎氏が6月30日付で退任し、後任には7月1日付で、長男で取締役の晃弘氏が昇格し、大山氏は代表権のある会長に就くことについて、「アイリスオーヤマは創業60周年で、人間でいえば還暦です。私も社長を53年勤めましたので、ちょうどいい機会だと思い、バトンタッチすることにしました」と語った。