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シャープ、冷蔵庫・フリーザーでインドネシアのハラル認証取得

 シャープは、インドネシアにおいて、冷蔵庫およびフリーザーが、ハラル認証を取得したことを発表した。冷蔵庫などで、イスラム教の戒律に則ったハラル認証を取得するのは同国では初めてだという。

インドネシアでハラル認証を受けたシャープの冷蔵庫

ハラル認証取得で、ASEAN拡大に弾み

 シャープは、2019年度を最終年度とする中期経営計画において、海外事業を成長の軸に据えており、ASEANでの事業拡大を最重点課題に位置付けている。インドネシアでは、冷蔵庫でトップシェアを持つシャープが、同国におけるハラル認証を取得したことで、冷蔵庫の販売拡大にさらに弾みをつける考えだ。

 ハラル認証は、世界各国の各種団体が、独自の基準をもとに認証を行なっているもので世界的な統一的な基準はないが、インドネシアでは、2019年に国内で流通する製品にはハラル認証が義務化されることになっている。

 今回、シャープが取得したのは、「インドネシア・ウラマー評議会食料・薬品・化粧品研究所(Lembaga Pengkajian Pangan, Obat-obatan, dan Kosmetika Majelis Ulama Indonesia=LPPOM-MUI)」によるもので、1989年から認証を開始し、食品や飲料、化粧品、薬のほか、これらに使用される材料、製造工場、製品なども対象になっている。

徹底した研修と管理で、禁止物質が混入しない仕組み

 シャープでは、「冷蔵庫およびフリーザーに使用する部品や、製造工程で使用する材料に、ハラルで禁止されている、豚肉に由来するものやアルコール類などの物質が含まれていないことを、すべての材料成分表により証明したほか、製造工程においては、作業者から禁止物質などが混入することを防ぐために、ハラル規定に沿った研修を行なうとともに、管理を徹底。それらが実際に守られているかという点について、ハラル認証協会の監査を受けて認められた」としている。

 今回のハラル認証によって、「インドネシアにおいて、顧客ニーズを満たし、安らぎと安全を与えることができる。また、シャープならではの差別化にもなり、顧客満足度向上だけでなく、売上げ拡大や新たな需要を創出できる」という。

 シャープは、インドネシアのカラワンにおいては、1974年から冷蔵庫の生産を開始。同工場で生産した冷蔵庫の約9割を同国内向けに出荷している。今回は、インドネシア市場向けの冷蔵庫全製品が認証の対象となっている。

ピー・ティー・シャープ・エレクトロニクス・インドネシア(SEID)

 インドネシアは、同社が取り組むローカルフィットモデルで先行している市場でもあり、現地デザイナーを採用した独自デザインの製品を投入したり、母乳保管用冷凍室ケースを搭載したりといった製品のほか、不安定な電力事情を考慮して、130Vの低電圧でも始動できるモデルや、畜冷材料を使用し、電力が停止しても10時間に渡り保冷ができる製品などを投入。最上位モデルでは、J-TECHブランドによるインバータ制御を実現。ガラス扉を採用したモデルも用意している。また、1ドア冷蔵庫では年間80万台の生産規模を持つという。

 今回のハラル認証は、冷蔵庫およびフリーザーが対象となっているが、同社では、「とくに、食品が直接触れるような家電製品においては、ハラル認証を取得することで、イスラムの人たちに対して、安心感や信頼感が提供できる。また、商品の優位性や価値が増すことができることから、今後、他の家電製品においても、ハラル認証について検討をしていく可能性がある」と語っている。

シャープの現地法人、大山貞氏が社長就任

 一方、シャープの現地法人であるピー・ティー・シャープ・エレクトロニクス・インドネシア(SEID)には、2018年4月1日付で、大山貞氏が社長に就任。「インドネシア市場向けに、8Kテレビをはじめとする様々な最新製品を紹介するとともに、インドネシアのお客様にとって、より優れた品質とローカルフィット製品を開発する。また、他国への製品輸出ビジネスにも取り組んでいく。

 8Kプロダクトは日本の技術だが、それを、インドネシアの政府や企業に販売していくためには、ローカルスキルやローカルフィットが重視される。また、ローカライズによって、輸出を増やしていくという点でも、同様にローカルスキルが求められ、ローカルメンバーが主体になってやることが大切になる。これまで以上に、インドネシアの人たちに愛される会社になりたい」と語った。

インドネシアで行なわれた会見の様子。(左から)SEIDの寺岡真司副社長、同野間繁雄副社長、ICU (Indonesian Council of Ulama), Head of QA and Standard Div., Muslich氏、SEIDの大山貞社長、シャープの橋本仁宏常務執行役員、シャープ 健康環境システム事業本部メジャーアプライアンス事業部の菅原靖文事業部長、SEID営業部のAndry AU部長