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シャープの冷蔵庫が世界累計生産6,000万台を達成。AIoT化をさらに加速

 シャープは、冷蔵庫第1号を発売してから60年となる2017年に、冷蔵庫世界累計生産台数が6,000万台を達成したことを発表した。

歴代冷蔵庫。第1号(左)は1957年に生産

 同社は、1957年に白物家電事業をスタートし、冷蔵庫・洗濯機・掃除機の生産を開始。当時は高度経済成長期(1955~1973年)の初期にあたり、年平均10%前後の経済成長を遂げ、「冷蔵庫・洗濯機・白黒テレビ」が3種の神器と呼ばれて家電の需要が高まっていたという。

 冷蔵庫第1号機となる「HR-320」は、大阪市平野工場で生産。家庭用として最適の91Lという小スペースを実現した。1日の電気代は10円で、従来の「氷冷蔵庫」で必要だった日々の氷代と比較すると経済的だったという。

第1号機「HR-320」
家庭用として最適の91Lという小スペースを実現したという
2017年12月に、世界累計生産台数が6,000万台を達成

 さらに2年後の1959年には、当時の皇太子殿下ご成婚の消費ブームを受けて、家事の負担を軽減させる便利な電化製品の量産体制を確立するため、大阪府八尾市にオートメーションの工場を竣工。

 以降は、チルド室の先駆けとなるフレッシュルーム搭載モデルや、左右どちらからも開ける「どっちもドア」、クラウド連携の「AIoT冷蔵庫」など、生活スタイルの変化に対応したさまざまな製品を作り続けてきた。

大阪府八尾市にオートメーションの工場を竣工し、量産体制を確立
シャープ 健康・環境システム事業本部 メジャーアプライアンス事業部長 菅原 靖文氏

 シャープ 健康・環境システム事業本部 メジャーアプライアンス事業部長 菅原 靖文氏は、冷蔵庫生産60周年を迎えたことについて次のように語った。

 「私たちが、60年前から一貫して行なっているのは、お客様の生活の変化にいち早く応える商品開発をするということです。当初の冷蔵庫は、食生活や住居の進化から、食材を冷やして守ることを優先していました。現在は、有職主婦の増加など生活スタイルが多様化したことから、AIoTや鮮度保持技術を通して、食生活を支えることに注力しています。これからも60年前と変わらぬ信念で、ユーザーの生活を支えていきたいと思います」

インドネシアでは40年以上にわたって製品開発。地域特性に根付いたモノづくり

 グローバルでの商品開発にも取り組んでおり、生産拠点は、日本・インドネシア・タイ・中国の4カ所に構えている。2016年にはインドネシア工場で累計生産1,500万台、2017年にタイ工場で1,500万台を達成。大阪府・八尾工場は、容量350L以上の日本市場向けモデルを生産している。

 中でもインドネシアでは、40年以上にわたって地元のニーズに応える製品開発や生産を続けているという。停電が起きやすく、低電圧といった地域の特性に合わせ、125V起動の低電圧モデルを展開。停電時の対策としては、独自技術を用いた蓄冷剤を付属する。蓄冷剤は3~5℃で凍る仕様で、冷蔵庫に入れておくことで停電後も10時間保冷を続け、食材の鮮度を維持するという。また、独自のデザインも好評で、インドネシアでは花柄デザインモデルも展開している。

 同社によると、東南アジアは冷蔵庫の普及率が低く、50%に達していないエリアもあるという。今後も、アジアを重点市場とし、生産を続けていくとしている。

インドネシアで好評の花柄デザインモデル
停電が起きやすいという地域特性に合わせ、蓄冷剤が付属する

20型液晶ディスプレイを備えたモデルを開発

 また、日本では2017年10月に、軽く触れるだけで左右どちらからも扉を開ける「電動どっちもドア」採用のプラズマクラスター冷蔵庫を発売。

 クラウド連携も特徴としており、タッチパネル式の液晶ディスプレイを、ドアの外側に備える。レシピ提案やタイマー機能を搭載しており、ユーザーの生活に寄り添ってサポートするという。

「電動どっちもドア」採用プラズマクラスター冷蔵庫
タッチパネル式の液晶ディスプレイを搭載
左右どちらからでも、軽く触れるだけで扉が自動で開く

 開発中の製品として、20型液晶ディスプレイを備えたモデルを紹介。搭載する機能などは未定だが、スーパーのチラシを表示してそこから注文ができたり、カメラを設置して庫内を確認できたりする機能などを想定している。

 「冷蔵庫生誕60年、生産台数6,000万台をマイルストーンに、世界のお客様の暮らしを見つめて開発を続けていきたいと思います。その中で、私たちはやはりAIoTを加速していきたいと考えています。キッチンの王様ともいえる冷蔵庫に何ができるかを考えたとき、そのまま食材を注文できたり、扉を開けずに庫内を確認できたりと、これからの冷蔵庫は間違いなくこの方向になると思います」(菅原氏)

参考出品された、20型液晶ディスプレイ搭載モデル
機能は未定としているが、レシピ表示や食材の注文などを想定