長期レビュー

東芝「ZABOON(ザブーン) TW-Z9100」その2

~今回は汚れ落ち・運転音を縦型洗濯機と比較
by 藤山 哲人

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



東芝のドラム式洗濯機「ザブーン」。今回は洗濯機能と運転音をチェックしよう

 某メーカーの古い縦型洗濯乾燥機から、東芝のドラム式洗濯乾燥機「ZABOON(ザブーン) TW-Z9100L」に買い換えた我が家。第1回では、全体的な機能や運転のようすを確認し、そしてヒートポンプ式乾燥機の機能についてを取り上げた。ザブーンでは、使用する水がとにかく少なく、そして乾燥の電気代も抑えられることが分かった。

 今回から3回に渡っては、洗濯や乾燥など、各運転のディテールをより細かく調べていくことにしよう。できるだけ感覚ではなく数値やグラフで表わしたので、実際に使ってみないと分からない部分を、この記事で確認していただきたい。

 2回目となる今回は、「洗濯」について詳しく見てみよう。また、後半では実際の「運転音」についてもチェックする。


ドラム式と縦型で汚れ落とし対決! カレーと泥の汚れに大きな差が

 さて、洗濯機の性能比較とくれば、もちろん汚れがどれだけ落ちるか? に尽きる。とはいえ衣服の生地には綿や木綿、化学繊維など色々あり、また汚れも泥や油とさまざまだ。そこで実験のために、よく見かける生地4種類に「ガンコ」と呼ばれている汚れをいくつかつけた、写真のような“洗浄力テスター”を用意した。

こちらが洗濯能力を試すために用意した“洗浄力テスター”。写真はポリエステル100%。服の裏地などでよく使われている光沢のある生地だこちらは綿35%、ポリエステル65%の混紡。おもにYシャツなどで使われる、ちょっと光沢が入った生地
ちょっとゴワつくけど丈夫な綿58%、麻42%。テーブルクロスをはじめ、上着などに使われている生地だこちらは綿100%。Tシャツや下着などの生地に相当する

 これら4種類の生地に付けたのは、次のような汚れだ。


汚れの種類一言メモ
カレーレトルトカレーのソースをべっとり付けた
しょうゆYシャツなんかにつけると落ちにくい
ソースしょうゆ同様にこれも落ちにくい
ケチャップ子供の服には必ずあるケチャップのシミ
自動車の機械油を付けたもの。
作業着のズボンにつくとぜんぜん落ちない汚れの1つ
ジャガイモについている細かい粒子の泥をかき集め、
水で溶いたものを付けてみた
コーヒーこれも落ちづらいと評判だ
ワイン赤ワインを利用。一張羅につくとダメージも大きい
口紅“電車の中で誤って付けられる”という伝説の口紅
絵の具子供の体操着に必ずついている水性絵の具の汚れ
ペンキ油性ペンキの汚れ。ついたらまず落ちない

 これらの汚れは、12時間乾燥させたあとに洗濯することにした。普通汚れがついても、スグに洗濯機で洗うヒトはいないからだ。また、布だけを洗うというのも現実的ではないので、ほかの洗濯物と一緒に洗うことにしよう。

 さらに、ザブーンの結果だけを見ても汚れの落ち具合が分からないので、比較対象として9年前(2003年製)に日立の縦型洗濯乾燥機「白い約束 NW-D8CX」も使ってみよう。ザブーンは頑固な汚れを落とす「ザブザブ」コースで、縦型はこちらも汚れをよく落とすための「念入りモード」を選択。洗剤も両者同じものを使った。

 結果は以下の写真の通りだ。

・ポリエステル100%

【縦型】
機械油と口紅、ペンキ以外はシミも一切なくキレイになっている
【ザブーン】
結果は縦型とほぼ同じだが、布の傷みが少ない

 注目して欲しいのは、生地の傷み具合だ。叩き、揉み、押し洗いをするザブーンの方は比較的傷みが少ないが、水流で他の生地と擦り合わせて洗う縦型洗濯機は、生地の傷みが激しく出ている。

・ポリエステル65%・綿35%の混紡生地

【縦型】
機械油に口紅、ペンキに加え、泥汚れがシミになっている。また僅かに絵の具もうっすらと残っている
【ザブーン】
泥汚れは完全に落ちたが、絵の具は縦型洗濯機と同様程度に残っている。また、カレーのシミも残ってしまっている

 ここで注目したいのは、カレーのシミだ。日立の縦型洗濯機では完全に落ちていたが、ザブーンは僅かにシミが残っている。断言はできないが、カレー汚れは叩き・揉み・押し洗いでは落ちにくいのかもしれない。

・綿58%・麻42%の生地

【縦型】
ポリエステル65%・綿35%の混紡生地では落ちていたコーヒーやワイン、カレーのシミが残っている。またザブーンに比べると、泥汚れの落ちが悪い
【ザブーン】
縦型と同様、同様のシミの残りが見られる。若干カレーのシミが縦型洗濯機に比べると残っている感じだ。逆に泥汚れは、ザブーンが真っ白になっているのが分かる

・綿100%の生地

【縦型】
カレーやしょうゆ、ソースにケチャップは真っ白だが、その他の下半分はシミが目立つ
【ザブーン】
泥汚れたしょうゆ、ケチャップにソースは真っ白になっているが、カレーのシミと下部のシミが目立つ結果に

 2つの洗濯機に大きな違いが見られたのは、「カレー」と「泥汚れ」だ。どうやらカレーのシミは、ザブーンが苦手な汚れらしい。逆に泥汚れは、ザブーンがもっとも得意とする汚れのようで、どんな生地でも真っ白に仕上がる結果となった。

 衣服の汚れはほとんどが泥という幼稚園~小学生の子供がいる世帯や、スポーツを楽しむ家族が多い場合は、泥汚れに強いザブーンがお勧めであると言えそう。逆に未就園児がいて、食卓にカレーが並ぶことが多い家庭は、縦型洗濯機の方が良いだろうだが、小さい子供は泥汚れも多いので、機種選定に悩むところだ。

 詳細な汚れの落ち具合は、以下の一覧表にまとめたので、目を通していただきたい。(◎:完全に落ちた ○:シミが残るが極薄い △:シミが残るが普段着なら問題ない ×:ほとんど落ちない)


汚れの種類洗濯機ポリエステル100%ポリエステル65%
綿35%
綿58%
麻42%
綿100%
カレーサブーン
日立縦型
しょうゆサブーン
日立縦型
ソースサブーン
日立縦型
ケチャップサブーン
日立縦型
機械油サブーン××
日立縦型××
泥汚れサブーン
日立縦型
コーヒーサブーン
日立縦型
ワインサブーン
日立縦型
口紅サブーン×××
日立縦型×××
絵の具サブーン
日立縦型
油性ペンキサブーン×××
日立縦型×××


こんなにある洗濯コース! どんなときに使う?

 先ほどの実験では、汚れをしっかりと落とす「ザブザブ」コースを選択したが、最新式の洗濯乾燥機だけあって、このほかにも洗濯のメニューは豊富だ。ここからは全部で10ある洗濯メニューを見ていくことにしよう。


コース名どんなときに使う?最大
容量
洗い
時間
すすぎ
回数
脱水
時間
所要
時間
標準普段の洗濯に利用9.0kg14分2回4分35~40分
軽い
汚れ
あまり汚れていない衣類のとき6.0kg4~7分2回4分20~35分
ザブ
ザブ
ガンコな汚れの場合に利用2.0kg30分3回4分65~70分
おや
すみ
夜間静かに洗うときに9.0kg14分2回4分45~55分
やわ
らか
タオルなどをふんわり仕上げる4.5kg14分2回15分50~60分
念入りガンコな汚れの衣類が多い場合、
冬物の厚手生地でできた衣類など
9.0kg20~27分3~4回7~8分55~90分
ドライドライや手洗いマークのついた衣類用1.5kg6分3回4分40~45分
毛布毛布をまるまる1枚洗う4.7kg35分3回5分100~120分
メモ
リー
運転を自分でカスタマイズする9.0kg5~30分1回~4回
注水
1~9分---
個別
運転
洗い・すすぎ・脱水を個別に運転する9.0kgなし,
5~30分
なし,
1回~4回
注水
なし,
1回~4回
注水
---

※表中の所要時間はおおよその目安。マイコンとセンサーを搭載しているため、時間に幅がある。

 

右側が洗濯コースの一覧。メニューによっては「ECO」マークが表示されるが、これは水や電気を節約して運転できるメニューということを示している。「ピコイオン」については第4回で説明しよう。なお「槽クリーン」はメンテナンス用のメニュー

 どういった時にどのコースを使えば良いかは、ほとんどはコース名を見れば一目瞭然。しかし、中には若干分かりにくいものもある。とくに「サブサブ」と「念入り」の違いは、名前を見ただけではハッキリしない。

 両者の違いを簡単に指摘すると、「ザブザブ」はガンコな汚れでも比較的薄手のものや化学繊維を使った衣類向けといったところだろう。通常は9kgまで洗濯できるが「ザブザブ」コースは2kgまでと、洗える衣類は少ない。しかし、その分しっかり叩き洗いをするようだ。

 一方の「念入り」は、脱水時間が通常よりも長く、ガンコな汚れのついた衣類がたくさんあるときや、厚手のパーカーやジーンズ、また分厚い生地でできた作業着などに向いている。またザブサブは2kgまでしか洗えないが「念入り」は、容量いっぱいの9kgまで洗えるという違いがある。

 せっかくなので、そのほかのコースも紹介しよう。「やわらか」は肌着やバスタオルなど、肌に触れたときにふんわりとした仕上がりが欲しいもの向けのコース。「標準」の叩き洗いではタオル生地のループがつぶれてしまうが、脱水時に洗濯物をほぐし、送風運転をすることで、ループを再び立たせるというコースだ。したがって通常は9kgまで洗濯できるが、「やわらか」コースでは洗濯物をよくほぐせるよう、4.5kgまでという制限がある。

 「毛布」は、冬用の厚手の毛布でもしっかり洗えるコース。実際、乾燥運転まで合わせてやってみたが、フワフワで最高の寝心地だったことを明記しておこう。

右側から「メモリー」を選ぶと、自分好みの洗濯メニューを乾燥運転と合わせて作れる。左下の数値は、左から洗いの時間、すすぎの回数、脱水時間だ

 「メモリー」は、洗いすすぎ、脱水を自分好みに指定して、本体のメモリー(1つのみ)に記録しておくことができる。メモリー運転の後に他のコースで洗濯をしても、再び「メモリー」を選ぶと設定値が呼び出せるほか、電源を入れると以前のモードが既定値として選ばれているので、操作も簡単だ。

 最後の「個別運転」はメモリーとほぼ同じだが、本体に記録されないのでスポットで利用するためのもの。メモリーと違うのは、それぞれの工程で「なし」を選べるところにあり、脱水だけをしたい場合などに利用する。

メニューの選択や時間の設定は、ダイヤルを使ってすばやく指定できるのが超便利!

 いろいろ洗濯モードを選んでいて気付いたのだが、ザブーンの操作性は非常に簡単だ。一般的な洗濯機では、運転時間などを切り替える場合、何回も何回もボタンを押さなくてはならないが、ザブーンには大型のダイヤルがついているので、洗いの時間を変更したければ「洗い」ボタンを1回だけ押し、ダイヤルを回せば、時間の指定もあっという間にできてしまう。ダイヤルを逆回しにすれば時間が減るため、ボタンを押しすぎて設定時間を越えてしまっても、もう一回最初からやり直しなんてこともない。これは超便利だ。


運転音は縦型よりもうるさい結果に。静音モードや予約機能をうまく使おう

ザブーンの運転音(カタログページより抜粋)。ただし、運転していない状態でも、部屋の環境音で50dB程度ある。これは試験環境での数値だ

 ところで、洗濯乾燥機に求められる性能の第一は「洗濯・乾燥性能の高さ」だろうが、それと同等に気になるのは運転音だ。洗濯機は家電の中でも運転音が大きいので、夫婦共働きといった家庭や独身世帯は、どうしても夜に運転せざるを得ない。というわけで、ここからはザブーンの静音性について調べていこう。

 一般的な消費者は、洗濯機の運転音の比較は、カタログに頼るほかない。各社ともパンフレットなどに、「日本電機工業会自主基準洗濯乾燥機性能評価に基づく」運転音が、dB(デシベル)という数値で表示されている。ザブーンも、洗い時で約31dB、脱水時で約38dB、乾燥時で約42dBというスペック値が公表されている。

 しかしこの数値、筆者にはどうにも納得がいかない。カタログには運転音が記載されているいるものの、洗濯機置き場で洗濯機を運転していない状態でも、測定器で測ると50dB程度の雑音がある。そのため、実際の使用環境ではなく、無音状態における数値ということがわかる。また音の大きさは、洗濯機から離れれば自然に静かになるし、洗濯物が少なければ静かになるが、この値がいったい何kgの洗濯物を入れて、どれだけ離れたところで測定した運転音なのかも分からないのだ。

 ということで日本電機工業会で洗濯乾燥機性能評価の試験内容を調べようと思ったら……、ええぇっ!評価基準の書類って会員向けの売り物なのかよっ!こういうモノは、一般に公表しないとさっぱり意味を成さないと思うのだが…。

 いろいろ調べてみると、やはりこの運転音の数値は、無音室内で測定していることがわかった。しかし、実際の家庭は、前述のように無音であることはほぼない。そこで、今回は実際の生活環境における洗濯機の運転音を測ってみることにした。

今回はマルチメーターと呼ばれる、電圧や電流、明るさや騒音まで測れる測定器を使った。これをパソコンに接続して1秒ごとのdBを測定し、そのごExcelのマクロを使って5秒おきの平均値を算出した(写真はイメージで、実際の測定位置とは異なります)

 テストは洗濯機から1m離れた場所で、機器を使ってdBを測定した。洗濯物はおよそ6kgとした。

 洗濯中は注水したりモーターを回したり、排水したりと色々な操作を行なうので、瞬間的な運転音を測定してもあまり意味を持たない。そこで、dBは1秒単位で測定し、それを5秒ごとに平均値にまとめている。したがって注水や排水時に「バン!」や「コン!」と鳴る電磁式の注水/排水バルブの音は、5秒平均に丸められていることに注意して欲しい(実際には瞬間的に大きな音が出ている)。

 さて、ザブーンの運転音だが、標準コースで運転した場合の結果は、以下の表のようになった。


サブーンの標準コースで洗濯したときの運転音。乾燥は同じ音量が何時間か続くので途中で省略している

 洗いのときの運転音はそれほど気にならない(60dB:静かな乗用車の車内程度)が、ドラムを高速で回転するすすぎと脱水運転の音は、90dB前後という数値が出た。これはかなりの爆音だ。感覚的に言えば、地下鉄の車内~電車のガード下とでも言うべきか。ザブーンのモーターであるACTIVE S-DDモーターは、洗い時と、すすぎ・脱水時の高速回転を1機のモーターでまかない、高い洗浄力と省電力を実現する優れものであるが、反面、運転音が大きいという傾向が、グラフに出ている。

 なお、乾燥運転時には、低回転数で回るモーターの駆動音はほとんど聞こえない。送風音とコンプレッサの運転音が中心だ。

 さてザブーンの運転音が分かったところで、比較のために他の洗濯乾燥機の運転音も見てみよう。取ったデータは、2005年にパナソニックから発売された「NA-VR1000」というヒートポンプ式斜めドラム洗濯乾燥機、そして、これまでにもさんざん使った、2003年製の日立のヒーター式縦型洗濯乾燥機「NW-D8CX」だ。いずれの測定現場も、未使用時で50dB前後なので、条件はほぼ同じと考えて良いだろう。

ご近所の知り合いに頼んでデータを取らせてもらったパナソニックのドラム式洗濯乾燥機「NA-VR1000」(2005年製)。乾燥方式はヒートポンプ式。家屋はコンクリート製の賃貸マンションだこれまでにもさんざん登場した、日立の縦型洗濯乾燥機「NW-D8CX」(2003年製)。乾燥方式はヒーター式。設置場所はザブーンと同じ一戸建てで、軽量鉄骨で発泡コンクリート(ALC)を使った住宅

 パナソニックのドラム式は、すすぎや脱水でも80dB(地上を走る電車の中の音程度)を越えることはなかった。しかし乾燥運転時の音は、ザブーンよりも大きい。このあたりはメーカー間の差というよりも、製造年の差が現れた結果と言ってもいいだろう。

パナソニックのドラム式「NA-VR1000」の運転音グラフ

 一番静かなのは、縦型洗濯乾燥機だ。洗いの音はドラム式とほぼ変わらないが、水をためてすすぐ縦型は、洗い時の音と変わらず60dB以下(ほぼ静かなオフィス程度の音)をキープしている。ザブーンをはじめとしたドラム式のすすぎ運転では、何回か音のピークが出ているが、これはドラムを高速回転させ、脱水と同じような動きをするためだ。

日立の縦型「NW-D8CX」。昼にデータを取ったので、洗濯機置き場は50dBを少し越えているが、十分比較対象のグラフになるだろう。

 縦型は脱水時の音も、斜めドラム式に比べるとかなり静か。ザブーンと比べると-20dB、パナソニックのドラムと比べてもピーク時で-10dBほどに収まっている。ただしこの脱水時の運転音は、あくまで正常運転の場合。容量を超えた洗濯物を入れた場合は、脱水時に洗濯機が歩き出し(笑)、周囲の壁にブチあたって、異常に大きな音が出る……なんて場面に出くわした人も多いだろう。

 乾燥時の運転は、聞こえるのは送風音のみで基本的には静かだ。

 これらのグラフだけを見ると、ザブーンは高性能だが運転音はかなり気になる、という結果になる。しかしザブーンには、夜間静かに洗濯できる「おやすみ」コースがある。このコースで、運転するとどれだけ静かになるかを示したのが次のグラフだ。

ザブーンの「標準」と「おやすみ」コースの運転音を比較したグラフ

 それぞれの工程を見ると、まず洗い時は、標準にくらべわずかながら静かになっていることが分かる。モーターを弱く回したり、音が出やすい叩き洗いを少なくしているのだろう。それもあって、洗い時間が5分ほど延長されているのもグラフに現れている。

 すすぎ運転中は、標準コース(グラフ中赤線)だとドラムを5回高速回転させてすすぎを行なっているが、おやすみコース(青線)だと、洗い直後に短く1回、中間に長く1回、最後に短く1回と、計3回にまとめていることが分かる。これは筆者の予測だが、2回目のすすぎでは30分を過ぎたあたりから、段階的にモーターの回転数を上げて、振動もしくは音量センサーで回転数を調整しているように見える(グラフでは、目標値として「80dB」を目指しているように見える)。結果としてすすぎ運転は、10分ほど長く時間がかかるものの、標準コースより-10dB静音化している。

 運転音の中でも一番けたたましい脱水では、ドラムの回転を抑えて運転音を静かにしているようだ。ただ脱水時間は、標準、おやすみにかかわらず15分ほどなので、理論的に言えばおやすみコースは、やや脱水不足のはず。しかし、触ってみた感じでは標準コースと大差なかった。もしかすると、標準コースの脱水は、一般的な洗濯機よりもしっかりと脱水しているのかもしれない。

 最後の乾燥運転は、送風を弱めているのか標準コースにくらべ静か。驚くのはその音量が、ヒーター式の縦型洗濯乾燥機の運転音とほとんど変わらないという点だ。日立の縦型のグラフを見て分かるとおり、コンプレッサという稼動部があるにもかかわらず、ヒーター式にも劣らない静かな乾燥運転をしているのが分かるだろう。

 運転音の計測は以上だが、これらのことを踏まえたうえで、ザブーンを使うに当たって運転音に関する5点のアドバイスを贈りたい。


(1)昼間の洗濯なら機能をフルに活用できる「標準」コースを使う

(2)夜間の洗濯は「おやすみ」コースで。数時間かかる乾燥運転も、音がほとんど気にならない

(3)「おやすみ」コースなら、たとえ廊下を隔てたドアで仕切った正面の部屋でも、運転音はほとんど聞こえない。逆に「標準」コースだと、脱水時などのモーター音がたまに聞こえてくる

(4)防音性の高いコンクリート製のマンションなどでは、夜間に「おやすみ」コースにすれば、近所への音漏れもほとんどないはず

(5)防音性の低い木造の集合住宅の場合は、夜間に「おやすみ」で運転するより、仕上がり時間を指定できるタイマーを使い、「標準」コースで昼間に運転させた方が迷惑にならない


 今回の実験結果では、運転音について大き目の数値が出てしまったが、使い方しだいで近所迷惑にならない運転ができるのが、ザブーンの特長だ。


洗濯エラーの心配なし。共働きなど忙しい家庭にお勧め

「予約」ボタンを押すと、仕上がりの時刻を指定できる。このように指定しておけば、会社から18:30に帰ったと同時に洗濯物をたためるというわけ。わざわざ夜に運転する必要もないので便利

 今回の実験では、ザブーンの洗浄力は泥汚れに対して非常に強いということが分かった。生地が綿100%であっても完全に汚れを落とし真っ白になるので、幼稚園~小学生の子供がいる家庭や、スポーツを趣味とする家族にはぜひおすすめしたい。反面カレー汚れが不得手という点も分かったが、全体的には縦型洗濯機よりも洗浄力は一段上のようだ。

 運転音の面では、縦型洗濯乾燥機や他のドラム式洗濯乾燥機より音が大きいという弱点を見つけてしまったが、これは一戸建てであれば運転音を気にする必要はまったくないと断言しよう。また集合住宅の場合でも、夜間に運転する場合は家屋の構造によって静かに洗濯する「おやすみ」コースを使ったり、仕上がり時間を指定するタイマーを使って勤めに出ている昼間に「標準」コースを使えば近所の迷惑になることもない。

 このタイマー運転では、“洗濯の途中でエラーになってしまったらどうしよう”という懸念もあるが、すでに1カ月利用しているものの、エラーで停止したことは1回もないという実績も併せて紹介しておこう。奥さん曰く「エラーが出ると、洗濯物の偏りを直したり、ときには2回に分けて脱水しなければならず、1回で1時間のタイムロスになる」というが、「洗濯機をザブーンに変えてから、座っていられる時間が増えた」と喜んでいる。

 総合的には、子供がいる共働きの世帯や、奥さんがPTA活動で忙しいという家庭にぜひおすすめしたい洗濯機、それがサブーン――ということが言えるだろう。

次回予告

 次回に紹介するのは、床の振動のデータだ。連載の第1回では、第2回に紹介すると予告していたが、今回は情報量が多くて掲載できませんでした……。ごめんなさい!

 加えて、エラーがほとんど起こらずに運転できる世界初の「アクティブサスペンション」(高級車かっ!)にもスポットを当てて、ノンストップ運転の秘密を探っていく。さらに、乾燥機能におけるシワのできかたなどもチェックしよう。



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2011年1月19日 00:00