【特集】LED電球、どれを買う? 2010

シャープ「ELM(エルム) スタンダードタイプ 610/485/380lm」

~ダントツの明るさ、しかも軽くてスリム
by 藤原 大蔵

新しいシャープのLEDは、一言で表せば「明るくて軽い」

シャープのLED電球「ELM(エルム)一般電球タイプ スタンダードモデル 610lm DL-LA62L」。直下照度は白熱電球60W相当

 LED電球の低価格化の推進したメーカーといえばシャープだ。2009年6月、これまでの高価な価格を大きく見直したLED電球を発売し、LED電球市場に参入。以来、LED電球の市場が一気に活発になったのは周知の事実。

 他社もシャープに対抗すべく、低価格で実用的なLED電球が次々に発売された。しかし、シャープも黙ってはいない。今年の夏には、「ELM(エルム)」というシリーズ名で、新しいLED電球を投入した。というわけで今回は、新しくなったシャープのLED電球において、白熱電球や電球形蛍光灯からの取替えに適した、調色や調光機能のないスタンダードタイプを紹介しよう。

 結論を先に言うと、前年モデルの「600シリーズ」と比べても、とにかく明るい点が特徴。明るさに応じて3機種が用意されているのだが、どれをとってもトップクラスの明るさを誇る。しかも、電球のデザイン性も大きく変えずに、重さは約半分になり、照明器具への負担もずいぶん軽くなった。

 明るさのバリエーションは、前述の通り3種類。全光束610lmの「DL-LA62L」、485lmの「DL-LA42L」、380lmの「DL-LA32L」の3つだ。DL-LA32Lについては、器具全体の明るさが30W相当、ランプ直下の明るさは白熱電球40W相当と謳われているが、610lmと485lmについては、いずれも器具全体が40W形相当、ランプ直下が60W相当となっている。なぜいずれも、明るさの表記が同じとなっているのかについても見ていこう。なお本稿では、製品の表記を610lm、485lm、380lmと、パッケージに記されていた全光束の数値で表わす。

直下照度は、こちらも白熱電球60W相当という「ELM(エルム)一般電球タイプ スタンダードモデル 485lm DL-LA42L」直下照度は白熱電球40W相当というい「ELM(エルム)一般電球タイプ スタンダードモデル 380lm DL-LA32L」


シリーズ名ELM (エルム) スタンダードモデル
全光束610lm485lm380lm
品番DL-LA62LDL-LA42LDL-LA32L
口金タイプE26
購入価格
(amazon.co.jp 2010/11/2 時点)
3,444円2,604円2,513円
本体サイズ
最大直径×高さ
60×109mm
重量(カタログ値)90g85g
白熱電球と比較した明るさ(全光束)40W相当40W相当30W相当
白熱電球と比較した明るさ(直下照度)60W相当60W相当40W相当
消費電力(記載値)9.2W7.8W7.5W
平均演色評価数(Ra)Ra77
定格寿命40,000時間
調光器対応---
密閉形器具--
調色---

※白熱電球は三菱電機オスラムの 「LW100V57W2PZ」(2個パック143円で購入)を使用
※※電球形蛍光灯は、2008 年の特集で 総合的に性能の高かったパナソニックの
「パルックボール プレミアQ(クイック)」(1,390円で購入)を使用


【基本スペック編】

サイズ比較

本体サイズは、従来モデル(左と右)とよりもコンパクト。放熱部は小さくなった一方、逆にLEDのカバー は大きくなった

 大きさは3種類とも同じで109 x 60mm(高さ×最大直径)だ。デザインの印象は前年モデルと大きく変わらないが、従来よりも背が5mmも低くなった。直径はほんの1mmほど広がっただけだが、LEDを覆うカバーが一回り大きくなった印象を受ける。

 今回のモデルで特筆すべき点は、ソケット付近の太さが27mmと非常に細くなったところだ。前年モデルは33mmだから、6mmもスリム 。白熱電球の根元の太さ(32mm)よりも細く、電球らしいくびれはそのままなので、「ソケット付近が引っかかって器具に装着できない」といったトラブルはずいぶん避けられるだろう。LED電球全体の中でも、コンパクトな部類に入る。

 もう一つの特徴は、重量が大幅に軽くなった事だ。前年モデルは164gだったが、今回は100gを大きく下回り、いずれも実測で約80gになったのだ。おそらく、LEDチップを覆うカバーが、ガラスから半透明なプラスチック製に変わり、放熱部も薄いアルミになった事がその理由だろう。LED電 球全体の中でも特に軽く、器具への負担がより少なく生まれ変わったのだ。

 細かな話をすると、放熱部の背は前年よりも低くなっている。その一方で、光源部のカバーが大きくなった。器具に取り付けた際に、放熱部がより目立ちにくいものになったと言えるだろう。なお、電球部を真上から見ても、LEDチップはほとんど見えない。ヒートシンク部の溝の深さが以前のものよりも浅く滑らかになり、やさしい印象を受ける。

610lmの高さは109mmと、白熱電球(左)よりも10mm高い。電球らしいシルエットはそのままだが、電球の根元はキュッと細くなり、さまざまな器具に取り付けやすくなった。重さは実測で80gと、前年の600シリーズの半分 直径は60mm(中央)。60Wタイプの白熱電球(左)と電球形蛍光灯(右)の直径は55mmなので、やや大きめだ。光源部は乳白色の樹脂製。LEDチップはほとんど見えない
485lm、380lmの大きさは、610lmと全く同じ。実測重量は80gと、LED電球の中では特に軽量。なお、カバーのフチはどちらも白色だが、610lmでは、チタンカラーになっている直径や特徴も、610lmと全く同じ


器具に取り付けた様子

 白熱電球よりも大きいが、大きめの電球を取り付けたという印象で、器具とのバランスはとても良い。器具をかなり覗きこまないと放熱部は見えてこないので、電球形蛍光灯よりも見え方はとても自然だ。

【白熱電球:60W】
電球の端が少し覗いている程度の角度から撮影した
【電球形蛍光灯】
電球の直径は白熱電球と同じだが、高さがあるため、内側のらせん状の蛍光管が透けてみえる
【エルム:610lm】
背は白熱電球よりも高いものの、覗き込まない限り放熱部は見えない。少し大きめの電球を取り付けた印象で、見え方はとても自然だ
【エルム:485lm、380lm】
見え方は610lmと全く同じだ


光の広がりかた

 光源部を中心にほぼ球形に拡散している。光は白熱電球よりも遠くまで届いており、かなりワイドに広がっている印象を受ける。LED特有の直線的な光の強さに、広がり感もプラスされているようだ。放熱部分の背が低くなったが、ソケット付近への光の広がりは白熱電球には及ばないのは仕方がない。

【白熱電球:60W】
ソケットぎりぎりまで明るい。電球を中心に床面に近いところから光が広がっている
【電球形蛍光灯】
白熱電球と同じようにソケット付近も光が届く。しかし遠くまでは光が届かない印象だ
【エルム:610lm】
ほぼ球形に光が拡散している。ソケット付近と側面への光の回り込みは弱いが、光が遠くまで届き、しかもワイドに拡散している
【エルム:485lm】
610lmと同じような光の広がり方が得られる
【白熱電球:40W】
光の広がり方は60Wのものと同じ
【エルム:380lm】
610lm、485lmと同じような光の広がり方だ


明るさ(55cm直下の照度)

 とにかく、3つともとっても明るい!

 610lmは実測でなんと810lx! 60W形タイプの白熱電球の明るさを越えてしまったのである。現時点での一般電球タイプ・電球色のLED電球の中では、ダントツの明るさである。

 485lmも、600lxを軽く超えた。こちらも堂々とトップクラスの明るさだ。3つの中では一番暗いはずの380lmでさえも、40Wタイプの白熱電球よりも大幅に明るく、520lx という結果になった。現在の実売3,500円以下のLED電球の中では、500lx前後というのはかなり明るい方である。

【白熱電球:60W 800lx】
光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した
【電球形蛍光灯 475lx】
【エルム:610lm 840lx】
なんと、白熱電球よりも明るい結果が得られた
【エルム:485lm 640Lx】
一般的な60Wタイプの明るいLED電球でも500Lx前後。それよりもはるかに明るい
【白熱電球:40W 437lx】【エルム:380lm 523lx】
40W形の白熱電球よりもずっと明るい。一般的な60WタイプのLED電球と比較しても、トップクラスの明るさが得られる

 今回の3機種は、どれをとっても確実に明るく「LED電球は白熱電球よりも暗い」というイメージを払拭してしまうほどの明るさがあると言えるだろう。ただし光色については、後に詳しく触れが、どれも黄色っぽい印象が強いのが気になった。


なんで610lmも485lmも同じ「電球40W相当」なの?

 ところで、610lmの方が485lmよりも確実に明るいというのに、パッケージやホームページの製品情報が、610lmも485lmも「ランプ全体の明るさ:白熱電球40W相当」「ランプ直下の明るさ:白熱電球60W相当」と、まったく同じなのはどういうことなのだろう。面倒な話で恐縮だが、この点について説明しておきたい。

 実はこの夏より、LED電球における「白熱電球○○W形相当の明るさ」という明るさの表示について、日本電球工業会の性能表示のガイドラインに基づき、統一して表示されるようになった。基本的には、全光束(電球自体が発する光の強さ)を基準に、表示できる明るさの値が決められる。

 例を挙げれば、全光束が485lm以上、810lm未満のLED電球の場合は、パッケージには「ランプ全体の明るさ:電球40W形相当」と記載される。したがって、全光束610lmのDL-LA62Lは、全光束のスペック値が485lmから810lmまでの範囲に入るため、パッケージの明るさの表示は、485lmと同じ「40W相当」になるのである。

 これが「白熱電球30W形」の明るさだと、全光束の範囲は325lm以上、485lm未満となる。380lmモデルのDL-LA32Lの明るさが、“白熱電球30W”となっているのはそのためだ。なお、ランプ直下の明るさについては、口金を上向きに点灯した場合の下方向への明るさを表わす「下半球光束」が、明るさの基準となる。

 610lmのDL-LA62Lも、485lmのDL-LA42Lも、ランプ全体の明るさは「白熱電球40W相当」だが、実際の光は610lmの方が明るいのは、上の写真を見ていただいた通り。購入する際には、この明るさの表記に気をつけていただきたい。


 ここまでの結果をまとめると、新しいシャープのLED電球は、3種類ともダントツの明るさを誇り、光の拡散性も良好であると言える。また、見逃せない点は電球自体の軽さ。それらの点は確実に、しかも業界の中でも大きく進歩している。



【実使用編】

 ここから、実際の生活シーンに取り付けて、よりリアルな使用感から実力を探って行きたい。なお、380lmは密閉器具に対応しているので、浴室と密閉型のインテリアライトにも使用した。

玄関


 610lm、485lmとも明るく、玄関にふさわしいといえる。60W形の白熱電球と並べて比較しても、「暗くなった」とは全く感じない。485lmも白熱電球と比較して、初めてその差がわかる程明るい。380lmだとやや暗めではあるが、40W形の白熱電球よりも明るい印象が得られるので、もし現在、玄関に40W形の白熱電球をお使いなら、十分に満足行く明るさが得られるだろう。

 また、写真に撮ると光色の黄色っぽさがより目立ってしまうが、その黄色っぽさは、明るい朝日の色合いに近い。好みはあるだろうが、個人的には明るい玄関にふさわしいと感じた。

【白熱電球:60W】
床面まで光が届き、十分な明るさがある
【電球形蛍光灯】
白熱電球と比べると、色が不自然に感じる。また、点灯して明るさが安定するまで時間がかかる
【エルム:610lm】
60W形白熱電球と比べても、同等以上の明るさが得られた。光色がどうしても黄色っぽくなるが、色はくすまず重い雰囲気にはならない
【エルム:485lm】
60W形白熱電球と並べて比較すれば暗くなるが、肉眼では遜色ないぐらい明るく感じられた。
【白熱電球:40W】
玄関としては、もうすこし明るさが欲しいか
【エルム:380lm】
40W形白熱電球よりも明るくなるので、満足のいく明るさが得られる

浴室

 380lmは、密閉器具への取り付けが可能。40W形の白熱電球で十分ならば、これは浴室でも十分に活用できる明るさがある。これまでは、LED電球を密閉型器具に使うと、器具のカバーを通すと暗くなってしまうことが多かったが、これは実質的に40W形白熱電球よりも明るく、光の拡散性も良いの で、思ったより暗くならなかった。したがって、浴室での利用にも適しているだろう。

【白熱電球:40W】
浴室全体に光は行き渡るものの、少し物足りない明るさだ
【エルム:380lm】
明るさは白熱電球にひけをとらない。光の拡散性も十分なので、もし浴室で40W形白熱電球をお使いなら十分だろう


トイレ

 トイレでの使用だと、610lmはやや明るすぎる印象を受ける。380lmでも、狭いトイレ空間なら、十分な明るさが感じられる。ただし、黄色に偏る光色は、好みが分かれるところだろう。少し白っぽい光のほうが、清潔感の印象が上がるからだ。

 なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。

【白熱電球:60W】
明るく気持ちよく過ごせる
【エルム:610lm】
トイレにはもったいないぐらい明るすぎる
【エルム:485lm】
十分すぎる明るさが得られるが、狭い空間には少し暑苦しい印象になるかもしれない
【白熱電球:40W】
少し暗いが狭い空間なので、まだまだ十分に明るく感じる
【エルム:380lm】
肉眼では十分な明るさが感じられる。しかし、清潔感が求められる場所として、光色の好みが分かれるところだろう
 

リビングルーム

 透過タイプの器具に取り付けた場合、テーブル面、棚にもしっかりと光が届き、白熱電球に負けない明るさが得られる。さすがに天井面や壁面の明るさは落ちてしまうものの、部屋全体の明るさのバランスは良好である。より明るいリビングルームが好みなら610lmだが、485lmでも快適な明るさが 感じられるだろう。シェード全体はくまなく光っており、器具の持つ印象はほとんど変わらないのも良い。

【白熱電球:60W×2 透過タイプのシェード】
光が部屋全体に行き渡り十分な明るさが得られている
【電球形蛍光灯×2 透過タイプのシェード】
白熱電球のように上部、側面へも光が広がる。しかし、照らされた面はLED電球よりも暗い印象で、また色被り(余計な色が加わること)によりテーブルなどがくすんで見える
【エルム:610lm×2 透過タイプのシェード】
部屋全体の明るさのバランスが良く、机上面も棚も十分に明るい。光色は黄色っぽくなるが、蛍光灯のようなくすみ感は無く、肉眼ではそれほど不自然ではない。天井や壁面の明るさは白熱電球には及ばないが、ある程度の反射光も得られるのも良い
【エルム:485lm×2 透過タイプのシェード】
610lmよりわずかに暗くなったという程度。部屋全体の明るさのバランスが良く、白熱電球と比べてもさほどひけをとらない

 非透過タイプも印象は良好であった。天井や壁面からの反射光は白熱電球や蛍光灯には及ばないが、部屋全体のコントラスト、明るさのバランスは良い 印象だった。485lmは少し明るさが抑えられる分、落ち着きがある。他の補助照明ともあわせ、雰囲気のあるリビングルームが演出できるだろう。

 黄色が強い光色で、少々人口的な印象はあるのだが、蛍光灯のように色がくすまないので、思ったほど違和感はなかった。リビングルームにも十分適していると言えるだろう。

【白熱電球:60W×2 非透過タイプのシェード】
十分な明るさが得られ、コントラストのある空間になっている
【電球形蛍光灯×2 非透過タイプのシェード】
白熱電球のように上部へも光が広がるが、透過タイプと同様、色がいまひとつ
【エルム:610lm×2 非透過タイプのシェード】
透過タイプと同様に、器具を通した室内全体の光のバランス、コントラストが自然。天井面や壁面からの反射光も期待できるほど明るい
【エルム:485lm×2 非透過タイプのシェード】
610lmより若干暗くなるが、快適な明るさが得られる。照らされた物の明るさは、蛍光灯はもちろん、白熱電球にもひけをとらないほどだ



リビングルーム(インテリア照明)

 380lmは密閉器具への取り付けが可能なので、リビングの密閉型インテリア照明に取り付けた。光が器具の上部に少し偏る傾向はあるが、ほとんど気にならないレベル。ただし、とても明るいので、アクセント照明というよりは全体照明にプラスする補助照明という使い方が良いだろう。

【白熱電球:40W】
アクセント照明として使用するには明るすぎるか
【エルム:380lm】
器具を通した光は壁面、天井にもしっかり広がる。アクセント照明というより、明るさが期待できる補助照明として利用するのが良いだろう

食事の風景

 色味が重要な食卓のシーンでは、その黄色っぽい光色が気になるかもしれない。お皿など、白いものに電球の色がどうしても乗ってしまい、食べ物も朝日を浴びているような色合いになってしまう。特に食事のシーンは光色に好みが出るところなので、食卓だけを照らす光源というよりも、その明るさを活かしてダイニングキッチンの全体照明にむいていると言えるだろう。ただ、平均演色評価数はRa77と低くなく、肉眼での印象はそれほど悪くなかった。

 細かい話だが、食事の風景の撮影時、610lmからジーッという雑音が発生するのを確認した。電球から1mも離れれば全く聞こえなくなるが、顔のそばにある器具に取り付けた時は気になるかもしれない。

【白熱電球:60W】
全体的においしそうに見える
【電球形蛍光灯】
左右の写真と比較すると、色味のバランスが崩れ、食卓全体がくすんだ印象に見える
【エルム:610lm】
全体的に黄色っぽい印象になってしまうので、好みが大きく分かれるところだろう。また、食卓と器具の距離が近い場合、明るすぎるかもしれない(写真は色の再現性を見るために、他と明るさが均等に見えるように撮影している)
【エルム:485lm】
色の印象は610lmと全く同じだが、器具とテーブルの距離が60cm程度しか離れていないので、食事にはまだまだ明るすぎるぐらい。食卓で書き物をしたり、本を読むのには、十分な明るさが得られる
【エルム:380lm】
色の印象は左の2つと全く同じだった。40W形白熱電球よりも明るいので、光色が好みであれば、食卓の灯りとしても快適な明るさが得られるだろう


610lmの場合、元が取れるのは【1年1カ月後】

 60W形の白熱電球と610lmを交換した場合、1年1カ月(13カ月)後には元が取れる試算となった(1日8時間使用と仮定)。この結果はLED電球の中でも決して悪くない。60W形の白熱電球と同レベルの明るさを持つLED電球は、中には5,000円を超える高めの製品が多いが、610lmの実売価格は3,444円とかなり抑えめ。そのうえ、実測消費電力は7Wと、一般的といえるレベルに収まっているため、とても明るいうえに元が早くとれる。

 485lmと交換した場合は、1年を軽く切って9カ月後には元が取れる試算となった。消費電力は6Wと、こちらも平均的ではありながら、同じ価格帯の中では一番明るい。したがって、コストパフォーマンスが非常に良いLED電球と言えるのではないだろうか。

 一方、380lmを40W形の白熱電球と交換した場合、1年2カ月(14カ月後)と、元を取るのに3機種の中では一番時間がかかってし まった。最大の理由は、消費電力が6Wと、他社の40W形とされるものの倍の電気を消費するからだろう。ただ、そのぶん他社よりも大幅に明るいのは魅力的である。

 電球形蛍光灯と交換した場合、2機種とも4年6カ月(54カ月)かかる計算になった。ちょうど電球形蛍光灯を2個目に取替えたところで逆転することになる。現在問題なく蛍光灯を使用しているのであれば、急いで取替える必要はないが、点灯した瞬間から蛍光灯よりも大幅に明るく、点滅に強い点は、蛍光灯には無い大きな利点である。なお、380lmと買い換えた場合も計算したが、4年2カ月で元が取れることになる。

  ちなみに、放熱部は他社のLED電球同様に熱くなるが、ほかのLED電球とはあまり変わらない程度だ。

【シャープ エルム:610lm/485lm】
従来の光源と比較した“いつになったら元が取れるか”試算
使用製品消費電力
(実測)
1カ月3カ月半年
(6カ月)
9カ月1年1年1カ月2年4年4年6カ月
エルム:610lm7W3,481円3,556円3,669円3,781円3,893円3,930円4,342円5,240円5,464円
エルム:485lm6W2,636円2,701円2,798円2,894円2,991円3,023円3,378円4,152円4,345円
白熱電球56W370円966円1,932円2,897円3,792円4,161円7,583円15,166円17,098円
電球形蛍光灯:60W10W1,445円1,554円1,719円1,883円2,047円2,704円2,704円4,018円5,736円

 ※表中の金額は、電球代と電気代をプラスした「維持費」  ※1日の使用時間は8時間と仮定
※白熱電球は4カ月ごと、電球形蛍光灯は4年6カ月ごとに電球代を加算する (切れた電球代の購入費として)
※電気代は1kWh=22円で計算

【シャープ エルム:380lm】
従来の光源と比較した“いつになったら元が取れるか”試算
使用製品消費電力
(実測)
1カ月3カ月半年
(6カ月)
9カ月1年1年2カ月2年4年4年2カ月
エルム:380lm6W2,545円2,610円2,707円2,803円2,890円2,964円3,286円4,061円4,125円
白熱電球37W269円665円1,329円1,994円2,587円3,054円5,174円10,348円10,815円
電球形蛍光灯:60W10W1,445円1,554円1,719円1,883円2,047円2,157円2,704円4,018円4,128円
※表中の金額は、電球代と電気代をプラスした「維持費」  ※1日の使用時間は8時間と仮定
※白熱電球には、4カ月ごとに電球代を加算する (切れた電球代の購入費として) ※電気代は1kWh=22円で計算

 

【白熱電球:60W 56W】【電球形蛍光灯 10W(安定時)】

【エルム:610lm 7W】
電球色のLED電球全体の中では、ダントツの明るさを誇るが、消費電力はほかより少し高い程度。とてもエネルギー効率の良いLED電球と言えるだろう
【エルム:485lm 6W】
5~6Wという消費電力は、LED電球の中では平均的。ただし、断然明るい
【白熱電球:40W 37W】【エルム:380lm 6W】
消費電力は同じクラスのLED電球の2倍。ただし、そのぶん明るいので、この値は納得できる

いずれもダントツの明るさ。全体照明にお勧め

 シャープのスタンダードシリーズで特筆すべきは、やはりその明るさだろう。610lmは60W形白熱電球の明るさをゆうに超えている。また、一番暗いはずの380lmも、他社の同等のLED電球よりも明るい。色を気にするシーンでは、光色の好みが分かれるところだが、光の拡散性も良いので、明るさが求められる全般照明としてなら、間違いなく活躍できるだろう。電球形蛍光灯と比較しても、明るさ、ランニングコスト、点滅に強いなどの性能面で優れている。

 細かい事を言うと、消費電力が若干高めな点はマイナスではあるのだが、それに見合う以上の明るさが得られるのは大きなアドバンテージがあるだろう。また、軽くてコンパクトな点もメリットのひとつだ。電球の根元が白熱電球よりもほっそりしており、多くの器具に対応できるだろう。

 使い分けとしては、610lmは価格が高めなので、特に明るさが必要な場所へ。380lmは密閉器具に対応しているため、インテリアライトや浴室に。485lmは室内のあらゆる場所にお勧めだ。



シャープ「エルム 610lm/485lm/380lm」はこんなLED電球

・60/40W交換用では3機種ともダントツの明るさ。生活全般のメイン照明として

・軽くて、電球の根元がスリム。多くの器具に取り付けられる

・380lmは密閉型器具に対応。明るく浴室の照明にお勧め

・光色にクセがあるので、食卓など色の再現性を重視する場所では好みが分かれる

・白熱電球と交換した場合、9カ月~1年2カ月で元が取れる(1日8時間使用)






2010年11月18日 00:00