家電レビュー

カフェみたいな本格エスプレッソ デロンギなら手軽に楽しめた

デロンギのコーヒーマシンのなかでは手頃な価格の「デロンギ マグニフィカ スタート 全自動コーヒーマシン(ECAM22062B/ECAM22062W)」をレビュー

在宅ワークで1日に何杯もコーヒーを飲んでいますが、エスプレッソも同じコーヒーメーカーで飲めたら、気分によってメニューを変えて楽しめるのに、と考えていました。

2024年11月に発売された「デロンギ マグニフィカ スタート 全自動コーヒーマシン(ECAM22062B/ECAM22062W)」は、豆挽きから抽出、内部洗浄までをすべて自動で行ない、エスプレッソやカプチーノ、ハンドドリップ風の「カフェ・ジャポーネ」などのコーヒーを楽しめます。上位機種と比べて自動メニューは少なめですが、そのぶん手頃な価格が魅力的。直販価格は128,000円です。

この機種を借りてみたところ、カフェで味わうような本格的なエスプレッソやカプチーノなどが自宅で楽しめて、好みに合わせた細かな調整や、手入れの簡単さなど、使い続けられそうなポイントがいろいろありました。どんな風によかったのかをお伝えします。

スタイリッシュなフォルム、作れるメニューは4種類

本体サイズは、240×440×350mm(幅×奥行き×高さ)、重量は9.5kg。電源コード長は2m。最大使用水量は1.8L。ポンプ圧は15気圧(抽出時9気圧)。消費電力は1,450W

操作部はタッチパネル式で、直感的に使いやすいシンプルな設計。デザインは、やや丸みを帯びたスタイリッシュなフォルムが特徴です。

本体は大きめで、卓上に置くとやや圧迫感を覚える印象があります。また9.5kgと重量があり両手で抱えても運ぶのに苦労するため、頻繁に移動して使用する用途ではなく、1カ所に据え置いて使用するのが適しているでしょう。

サイズは奥行きが広いです
カラーはブラックとホワイトの2色展開(画像:デロンギ公式サイト)

抽出できるメニューは以下の4種類です。

抽出メニュー

エスプレッソ:濃厚な味わいのコーヒー
カフェ・ジャポーネ:蒸らして抽出する日本人が好むハンドドリップ風のコーヒー
カプチーノ:ふわふわの泡を楽しめる
給湯:お茶を淹れるのに最適

メニューは左から、「カプチーノ」「エスプレッソ」「カフェ・ジャポーネ」「給湯」

本機種の最大の特徴は、ミルク泡立て技術「ラテクレマホット」によるワンタッチのカプチーノ作りです。豆乳、アーモンドミルク、オーツミルクにも対応し、ミルクの甘みがもっとも引き立つ60〜65℃で抽出されます。

従来モデル(ECAM22020B/ECAM22020W)ではカプチーノを作る際、ミルクフロッサーで手動でミルクを泡立て、エスプレッソに注ぐ必要がありました。ミルクの泡立ちや厚さを好みに調整できる点はメリットでしたが、手間がかかることがデメリットでした。そのため、手軽に毎日カプチーノを楽しみたい方には、新モデルが向いているでしょう。

従来モデルの場合はミルクフロッサーで手動でミルクを泡立てる(画像:デロンギ公式サイト)

デロンギのエスプレッソマシンは、上位機種になるほどメニューの種類が増えていく傾向があります。本機種のミルクメニューは1種類ですが、上位機種では最大17種類のミルクメニューに対応しているものもあります。本機種はメニューが絞られている分、手頃な価格を実現しており、ミルクメニューはカプチーノがあれば十分という人にはぴったりです。

コーヒーの濃さ(豆量)は、操作パネルより3段階の調整が可能。カフェイン量を少なめで抽出したい時にも便利です。また、抽出温度は3段階、豆の挽き具合はダイヤルで7段階に設定でき、好みの味に近づけやすいです。

コーヒーの挽き目を調節するダイヤル
コーヒー粉にも対応。本体天面にパウダー投入口がある。

自動電源オフ機能と省エネモードも搭載。また、コーヒーやミルクの抽出量、自動で電源が切れるまでの時間(15分〜3時間)の変更など機能のカスタマイズ性が高いです。各コマンドはワンタッチの直感的な操作ができず、ズボラな性格の筆者は日常使いするに至りませんでしたが、長期的に使ってこだわりが出てきた時には便利に活用できそうです。

抽出温度は「×2」を長押して、プログラムモードを起動し、カプチーノアイコンを押して調整とやや複雑

水と豆を入れてスイッチを押すだけ

使い方は簡単で、豆と水を入れて、ボタンを押したら出来上がりです。詳しい手順は以下の通り。

1.水タンクのMAX目盛りまで水を入れて、取り付ける

水の量はMAXが推奨。1杯しか飲まない時も1.8L注ぐ必要があるのは気になるポイント

2.電源を入れる。内部洗浄が完了するまで待つ

洗浄に使用した水が出てくるのでカップを置いておく

3.豆ホッパーのフタを取り外し、コーヒー豆を入れて、フタを閉じる

目安量は、エスプレッソ:8~12g(1杯)、12~14g(2杯)、カフェ・ジャポーネ:5~9g(抽出量120ml以下)、10~18g(抽出量120mlを超える場合)。

4.好みの豆量を設定する

コーヒー豆のボタンを押すと「マイルド」「スタンダード」「ストロング」に切り替わる。右に行くほど豆量が多くなり、濃く抽出される。一番右のスプーンのマークは粉から抽出する時に選択する。

5.好みのメニューアイコンを押し、あとは抽出完了を待つだけ

エスプレッソを2杯抽出する時は、×2を押してからメニューアイコンを押す。抽出中に選択したメニューアイコンを押すことで好みの量で止めることも可能

フィルターをセットする手間がないため、使うのが非常にラク。起動から抽出までの時間はわずか3分程度のため、朝の忙しい時間にも気軽に使えます。

抽出している様子。豆を粉砕する時は数秒ですが、80dB(地下鉄の車内レベルの音)ほどの大きな動作音がします

とくに便利に感じたのは、抽出口の高さを手動で調整できる点。コーヒーメーカーによっては、トレイを取り外してカップに合わせた高さに調整する手間がありますが、本機は片手でラクに調整できます。

抽出口の高さは簡単に調整できます

なお、カプチーノを作る際は少々準備が必要です。まず、ミルクコンテナに必要な分量のミルクを入れます。

次にミルクコンテナを本体のスチーム管に差し込み、最後にミルクノズルをカップに向けます。あとはほかのコーヒーと作り方は同じです。とくに複雑な工程もないので、それほど手間には感じません。

ミルクコンテナ。1目盛りは20ml
カプチーノが作られている様子
使用後は「CLEAN」ボタンを押してノズルを洗浄する必要があります。

また、給湯機能を使う際は、メニューアイコンの給湯ボタンを押せばお湯が出てきます。いちいちポットなどを利用する必要がなく、ボタンひとつでグラスを温める使い方ができて便利でした。

給湯ボタンを押すとお湯が出る。再度ボタンを押すとお湯は止まる

カフェと遜色ない、本格的な味わい

本機はエスプレッソ用のやや深煎りのコーヒー豆が推奨されている。使用したのは「ムセッティ ロッサ コーヒー豆」

本機は、摩擦熱が発生しにくい「コーン式グラインダー」を採用しています。安価なプロペラ式のミルと比較すると、粒の大きさが均一で安定しやすく、コーヒーのポテンシャルを引き出しやすい構造です。さらに、エスプレッソの最適な圧力とされる抽出時9気圧(ポンプ圧15気圧)を実現し、きめの細かいクレマと芳醇なアロマを楽しめる仕様となっています。

エスプレッソは2杯同時に抽出できます

エスプレッソを作ってみると、表面には黄金色のクレマができて、見た目はかなり本格派です。飲んだところ、エスプレッソ特有のアロマを感じられる濃厚な深いコクのある味わい。水っぽさや香りの弱さは感じられず、カフェで飲むのと遜色ない味わいに感じました。

味の調整機能を試したところ、豆の量「3」はガツンとした濃い味わい。豆の量「1」はスッキリとしていて、砂糖を入れなくても飲みやすい仕上がりでした。味の違いが明確に出るため、気分に合わせて調整がしやすいです。

カプチーノを抽出してみると、泡の層が分厚く、スカスカした印象もありません。口当たりが繊細でやわらかく、クリーミーです。ミルクのやさしい甘さが広がりつつも、エスプレッソの苦味も感じられる仕上がりに。ハイレベルなカプチーノを自宅で味わえることに、純粋にテンションがあがりました。

クリーミーなカプチーノが作れる
牛乳は成分無調整・乳脂肪分3%以上のものが推奨されています

レギュラーコーヒーメニュー「カフェ・ジャポーネ」は、口当たりが軽く、スッキリと飲みやすいです。アロマの香りも感じられて、薄いという印象はありません。毎日飲んでも飽きにくい味わいでした。ただし、一般的なドリップコーヒーとは味のテイストが異なるため、レギュラーコーヒーをメインで飲みたい人には不向きな印象です。

「カフェ・ジャポーネ」は口当たりが軽く、スッキリと飲みやすい

豆カスの処理が非常にラク

お手入れの手間が少ないのも魅力に感じました。本機は電源を入れるタイミングと切るタイミングで自動で内部洗浄を行なうため、使用後のミルの清掃が不要です。

さらに、コーヒーを淹れる時にもっとも厄介な豆カスの処理も、本機の場合は豆カスが固形化した状態でカス受けに溜まるため、捨てるのもラク。

豆カスが固まって溜まるため、ラクに捨てられます

ただし、きっちりお手入れをしようとすると、「給湯ノズル」「スチーム管」「カス受け」「カップ受け」「インナートレイ」「トレイ」「水滴受け」「水タンク」のお手入れをする必要があります。加えて、ミルクメニューを作る際に使う「ミルクコンテナ」の分解洗浄も必要です。清掃箇所が非常に多いため、お手入れが面倒に感じる可能性もあるでしょう。

ミルクコンテナのパーツは、食器用洗剤を溶かしたぬるま湯につけて洗浄する必要があります

また、定期的なメンテナンスの面でいえば、給水タンク内の「軟水化フィルター」は、マシン内部の石灰分の付着を軽減するためのもので、約2カ月ごとに交換する必要があります。抽出ユニットの清掃も行なう必要があるため、その点はやや億劫に感じるポイントでした。

本体側面にある「抽出ユニット」。1カ月に1回ほど取り外して洗浄することが推奨されている

とはいえ「デロンギ マグニフィカ スタート 全自動コーヒーマシン」は、本格的なエスプレッソやカプチーノを楽しめる上に、使用後の後処理も簡単で手軽に使いやすく好印象でした。自宅に1台あるとQOLが向上するため、スペースや予算に問題がなければおすすめできるアイテムです。

福永 太郎

フリーランスの編集者・ライター。ライフスタイル系メディアの家電記事の担当を経て独立。現在は複数のWebメディアに寄稿。