家電レビュー

2万円しないパナのコーヒーメーカー 豆から挽けて格段においしい

パナソニックの全自動コーヒーメーカー「NC-A58」

パナソニックから全自動コーヒーメーカー「NC-A58」が4月上旬に発売されます。直販価格は19,800円で、公式通販サイトでは予約の受付がスタートしています。

2018年発売の従来モデル「NC-A57」は、現在も通販サイトで上位にランクインし続ける人気製品。豆挽きから抽出まで全自動で行なうため、手軽に挽きたてのコーヒーを楽しめます。必要な機能を十分に備えながら、ミルの自動洗浄機能による簡単なお手入れも特徴で、多くのユーザーから支持を獲得しています。

新モデルは従来モデルの特徴を引き継ぎながら、よりコンパクトになった上、「ストロング」コースが加わり、味の選択肢が6種類まで広がりました。

今回は実機をお借りできましたので、使用感をレビューします。在宅ワークでコーヒーを毎日数杯飲んでいる筆者の視点から、使い勝手についても詳しくご紹介します。

接地面積がスッキリコンパクト

実機を見て、想像以上にスッキリとしたデザインに驚きました。従来モデルと比べて接地面積が約20%コンパクトになり、横幅は2Lペットボトル程度。キッチンの設置スペースが限られている場合でも扱いやすく、洗練されたモダンなデザインのため、卓上でも圧迫感を感じさせません。

本体サイズは152×272×349mm(幅×奥行き×高さ)、重量は3.2kg。容量は545ml(4カップ)。消費電力は770W。計量スプーンが付属

気に入ったのは、タッチパネルの操作のしやすさです。操作パネルには4つのボタンが配置され、すべて日本語表示で瞬時に使い方が理解できます。記号表示でどういった意味かわからず、説明書を確認するといった手間はありません。また、すべてのボタンが天面に配置されているため、見やすく使いやすい設計です。

天面のボタンで操作は完結します

付属品として本体に貼れる豆量ガイドが同梱されており、適切な豆の投入量がひと目で分かります。全体的に直感的に操作ができる親切設計にこだわられている印象で、好感がもてます。

付属品は左からメッシュフィルター(粗挽き)、ペーパーフィルター(3枚)、豆量ガイド(本体に貼って使う)、計量スプーン(すりきり1杯約7~8g)

選べる6種類の味わい。一度に1~4杯抽出できる

選べる味わいは「ストロング/リッチ/マイルド」の3つ。各コースは温度と時間を調整することで味わいを変化させています。豆からだけでなく、コーヒー粉からもドリップ可能です。

3つの味わいから選べる

ストロング:苦味が際立ち、深いコクのある味わい
リッチ:酸味と苦味のバランスのよい味わい
マイルド:苦みや渋味を抑えたまろやかな味わい

また、メッシュフィルターを交換することで、粗挽きと中細挽きの選択ができ、計6種類の味を選べます。無段階での挽き目調節や抽出温度の調整はできませんが、筆者としては手軽に挽きたてが飲めれば十分。全自動コーヒーメーカーはとにかくラクに使いたいので、濃い・普通・軽いを選べれば満足です。

メッシュフィルター。左から中細挽き(標準搭載)、粗挽き(付属品)。粗挽きはすっきりとした味を好む人向き

このほか、カフェインレス豆抽出専用の「デカフェ豆」コースも備えています。デカフェ豆コースでは、通常の豆と比べてコクや香りが物足りなくなりがちなカフェインレス豆を、コクのあるコーヒーに抽出するのが特徴。在宅ワークでコーヒーを何杯も飲み、カフェイン過多になりがちな筆者にはうれしい機能です。

なお、1杯(ホット約120ml)から最大4杯まで抽出可能です。一人暮らしの方はもちろん、家族での使用にも向いているでしょう。

音は大きいが使いやすい

操作方法は簡単で、基本的にはフィルターをセットして、水と豆を入れてスイッチを押すだけです。詳しい手順は以下の通り。

  • ペーパーフィルターをセット
  • 豆(もしくは粉)を入れる
  • ガラス容器をセット
  • 水容器に水を注ぎ、セットする
  • 電源プラグを挿し「コース」「豆/粉」を選択して「スタート」で抽出
  • 4〜10分程度待てば完成。抽出完了時には「ピーピーピー」という終了音でお知らせ
バスケットに沿うようにペーパーを入れて、フタを被せる
豆量の目安(ホットコーヒー)は1カップ:10g、2カップ18g、3カップ26g、4カップ34g
専用のガラス容器に抽出。カップに直接注ぐ機能は搭載されていません
1カップはホット約120ml、マグカップ約180ml。抽出したい杯数に該当する水位線まで注水。水位線の4を超えるとコーヒーが溢れる原因に。親切設計でどのくらい注水すればよいかひと目でわかる
ボタンは押すごとに切り替わる。抽出時間の目安はストロング:8~12分、リッチ:6~11分、マイルド:4~10分、デカフェ豆:6~11分。続けて抽出する場合は5分待つ

使い方は簡単で、とくに迷う点はありませんでした。ただし、豆を挽く際の稼働音がかなり大きく、お住まいの環境によっては深夜の使用は難しいかもしれません。

しかも、スタートボタンを押した直後くらいに地下鉄の車内レベルの音が響くため、大きな音が苦手な筆者は毎回ちょっと身構えてしまいます。大きい音は数秒間だけなので、気にならない方には問題にならないかもしれません。

また、蒸気口から出る蒸気の量も多く、やけどの原因になるため触れないように注意が必要です。

抽出工程のなかで、蒸気が出ている様子

バランスのよい味わいでおいしい

実際にテイスティングしてみました。いつも通りに粉から淹れたものと比較すると、格段においしい印象です。豆本来の個性や香りもよく引き出されており、バランスの取れた仕上がりになっていると感じました。ハンドドリップでコーヒーを淹れることもある筆者としても、十分満足できる味わいで、日常的に使いたくなる印象です。

ただし、やはりハンドドリップと比べると香りやコクは控えめで、多少さっぱりとした味わいになるため、本格派のコーヒー愛好家には物足りないかもしれません。

今回の検証に使用した「カルディ スペシャルブレンド」。しっかりとした飲みごたえがあり、バランスのとれた味わいが特徴
ストロングで1杯分を抽出

ストロングとマイルドを飲み比べてみましたが、しっかり味の違いを感じました。マイルドはさっぱりとした仕上がりで、ストロングのほうが味が濃いぶん、豆本来の風味もより感じ取りやすい印象。

ガツンとした苦味が好きな筆者は、毎回ストロングを選ぶような使い方をしています。ただ、はっきりと味の差を感じられるので、気分に合わせて選びやすいのはよい点だと思いました。

デカフェ豆コースも試してみたところ、デカフェコーヒー特有の違和感がなく、普通のコーヒーと同じようにおいしく飲めました。これまでカフェインレスコーヒーはおいしくないという印象があり、長らく避けていましたが、最近は豆自体の品質も向上しているのかもしれません。

デカフェ豆コースで使用した「無印良品 オーガニックコーヒー カフェインレス豆」
デカフェ豆でも普通のコーヒーと同じようにおいしく飲めました

保温力は高く、1時間後も温度をキープ

抽出後は自動で2時間まで保温します。煮詰まりを防止するために、保温開始から30分後に設定温度を下げる仕様です。

抽出後は自動で保温になります

抽出から1時間後に温度を測定したところ、70℃程度を維持していました。在宅ワーク中は一度に飲み切れずに冷めてしまうことも多いので、保温機能を活かしながら少しずつ飲めるのは便利ですね。

抽出直後は77.2℃
抽出から1時間後に測定したところ73.5℃と、温かさがキープされていました

ミルの自動洗浄機能搭載で、お手入れ簡単

一般的に全自動コーヒーメーカーは、飲むまでの工程は簡単だったとしても、使用後のお手入れが面倒で使わなくなることが多いもの。とくに豆カスの処理は厄介で、ミルに付着した豆カスをブラシで掃除する作業は手間がかかります。

しかし「NC-A58」は、蒸らし工程の前にミルを自動洗浄する機能を搭載しているため、日々のミルのお手入れが不要で非常にラク。さらに、ペーパーフィルターを使用して抽出するため、メッシュフィルターのように豆カスを掻き出す手間もありません。

ペーパーに豆カスがたまるのでお手入れがラク

使う度にお手入れが必要なパーツは「水容器」「バスケット」「メッシュフィルター」「ガラス容器」の4つです。

左から時計回りに、バスケット、ガラス容器、水容器、メッシュフィルター

お手入れ自体は全体を水洗いするだけで簡単です。ただし、一部のパーツの取り付けには慣れが必要で、不器用な筆者にとってはやや難しく感じました。まず、フィルターは本体中央の凹部に正確に取り付ける必要があり、角度や位置がずれると装着できません。

取り外す時はツメ部を押すだけ。フィルターを外すのは簡単でも、取り付け時に左右の突起を凹部に入れるのが慣れるまで難しい

バスケットは軽く斜めのほうから持ち上げるようにして、軸の部分を本体に差し込む必要があります。無理に差し込もうとすると、軸が壊れそうな印象もあり、最初は神経を使いました。

どのパーツも使用回数を重ねるとスムーズに装着できるようになり、次第に気にならなくなります。ただ時々、「あれ? またうまくはまらない……」と苦戦することもありました。すごく難しいわけではないので、継続して使っていくうちに気にならなくはなりそうです。

外すときはバスケットを回転させて、持ち上げてから斜め下に引くと取り外せる

コストパフォーマンスの高い1台

「NC-A58」は使い勝手がよく、バランスの取れた挽きたてのコーヒーを楽しめる上に、2万円を下回る価格で、非常にコストパフォーマンスが高いと感じました。

より本格的な味わいを求める方は高価格モデルを検討するのもよいですが、全自動コーヒーメーカーを初めて使う方にもおすすめできる製品です。

福永 太郎

フリーランスの編集者・ライター。ライフスタイル系メディアの家電記事の担当を経て独立。現在は複数のWebメディアに寄稿。