e-bike試乗レビュー
安全にサイクリング楽しむための技術と知識とは? 基本の「キ」【自転車を楽しもう!】
2025年4月1日 10:05
ご無沙汰しております。#13cRRの平塚です。間もなく自転車には最適なシーズンを迎えます。今回は自転車の乗り方の基礎技術についてお伝えしていきます。ユーザーの考えはもちろん、法律や道路の作りにおいても同様で、スポーツバイクに適用しにくいケースが多々あります。そして、スポーツバイクはハードルが高いと感じる方も多くいますが、それは操作性などではなく、意外と別のところにあるとも感じています。
これからサイクリングには絶好のシーズンを迎えます。また、春からの新生活で通勤や通学に自転車を活用する人も多いと思いますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
自転車の走行位置はご存じですか?
まず、道路交通法では自転車は軽車両に位置付けられています。「軽」がついていますが、車両=クルマやバイク扱いということです。そうなると話は簡単です。道路で自転車に与えられた空間は車道なのです。
車道の左側端が大原則になっており、左折専用レーン(専用信号のケースも)がある場合も一番左車線を走行することが求められます。直進したい交差点で左折専用信号がある場合を想像してみてください。道路の左端で待っている時の怖さが想像できるかと思います。それを防ぐためには、“その道を通らない”ことが一番の解決方法になります。
コース選びは慎重に行ないたいところですが、実際には左折専用レーンを排除することは困難です。そんな場合はどうすればよいのか? 大切なことは瞬時に動ける技術、そして咄嗟の判断能力です。これは道路を使用するための義務に近いものだと考えます。
必要な技術と判断とは?
では、実際にはどのような技術が必要なのでしょうか? みなさんが当たり前に思っている基本的なことが難しいのです。左折専用レーン含めて、まとめていきます。
①真っ直ぐ走ること
当たり前じゃん? と思うかもしれませんが、"真っ直ぐ”走ることは自転車の基本です。そして、車道では自分より速い自転車はもちろん、クルマやバイクなども走っています。そこでフラフラしていたら……非常に危険なことは容易に想像できるはずです。そのために可能な限り真っ直ぐ走れるように意識しましょう。
・よそ見せずに行きたい場所を見ること
・正しいセッティングの自転車に乗ること
自転車に限った話ではないですが、よそ見はしないこと。そして、正しいセッティングの自転車に乗ることがすごく大切です。初心者のうちは不慣れ対策でサドルを低くしがちですが、慣れてきたら適切な高さに設定すると、とてもスムーズに乗れるようになります。スポーツバイクの場合はシティサイクルとは違う乗り物だということは理解していただけますと。
②しっかり止まること
安定して走れるようになったとしても、しっかり止まることができなければ元も子もありません。とくに日本の道路環境は走行中に止まることが多い(信号など)道路事情です。スポーツバイクはスピードも出やすいため、しっかりと止まる練習も心がけましょう!
③正しいブレーキング
止まることに必要な技術ではないの? と感じるかもしれません。ブレーキは止まるための機能と考えがちですが、止まるためにスピードをコントロールすることが重要です。とくに以下の4つの場面でスピードコントロールを意識してもらえればと思います。
・前方の車両がスピードを落とした
・曲がる必要がある(コーナー含む)
・住宅街など見通しが悪い場所
・歩行者が多い
他にも書き出せないほどさまざまなシーンで必要なブレーキですが、実はうまく使えていない方が多くいます。これはロードバイクなどでレースに参加している本気のサイクリストでも多い現状があります。
クルマに例えると非常にわかりやすいですが、アクセルやブレーキもゆっくり力を込めていきます。ブレーキをかけない(0)orブレーキをかける(100)の使い方をする人はいないでしょう。しかし、自転車のブレーキになると0or100になる方が多くいます。適切にスピードコントロールができる方は0(ブレーキしてない状態)~1、2、3、10,20……と続いて100(フルブレーキ)までの動作があります。
④適切な走り出し
真っ直ぐ走る、しっかりスピードコントロールをするなどとても大切ですが、そもそも走り出しが上手にいかないとフラついてしまいます。誰もいない場所であれば問題ないかもしれませんが、車道ではそうはいきません。前後にクルマもいますし、場合によっては信号待ちで無理やり並んでくるクルマがいるのも事実です。
もちろん自分の身を守るためにしっかりと身につけたい技術です。スタートを上手くするためには、漕ぎ出しのポイントや目線、そして適切なギアの使い方が大切です。e-bikeだとアシストに頼ってしまいギア変則を疎かにしがちです。自転車に慣れてきたらアシストなしで乗ってみると技術アップにつながるかと思います。
ちなみに、真っ直ぐ乗れないから歩道に行こう! は違います。歩行者に怪我を負わせる危険があり、狭い道であるため、本来ならば車道よりも技術が必要な場所になります。技術的不安から逃げるために歩道に上がるのは大変危険ですのでしっかり判断しましょう。
ものを避ける
とはいえ、どうしても道路状況により歩道走行をする場合があります。歩道は歩行者のための場所です。狭い場所や危険を感じる場合にはしっかりと減速し、時には下車して歩くことも必要です。そのためには技術が必要になります。上述した「止まる」「減速する」「走り出す」。すべてはそこに詰まっています。安全のためにできるだけマスターしましょう!
さらに、もうひとつ大切なことがあります。走行中に落下物があったらどうしますか? もちろん避けますよね。そのために「避ける」練習も必要です。そこで活きるのがスラロームなどの基礎技術。リズムよくバランスを崩さずに、的確に避ける練習ができます。なかなか実践する機会がないかと思いますが、全国的に有料イベントなどでも開催されています。ぜひ、勇気を振り絞って参加してみてください。誰でも最初はできないものです。キッズのほうが覚えも早く大人になるとなかなか難しい現実もありますが、絶対に必要な技術です。
「避ける」行為には周囲の状況確認も必要です。前方に停車車両がある=避けるではなく、停車車両発見→後方などの道路状況確認→(安全が確認でき次第)避ける。という順番になります。自転車に乗っていて後方の確認ができますか? 相当難しいと思います。ハンドルにミラーを装着する方法もありますが、小さいミラーでは見える範囲に限界があります。実際に目視できるようになることが理想です。もちろん、それで転んでしまっては元も子もありません。確実に安全に後ろを確認できるようになるまでは時間がかかりますが、その努力は惜しまないでほしいと思います。
あくまでも基本の「キ」
今回のテーマは基本的なことになります。自転車は上級者になればなるほど安全になります。上級者とは単に技術レベルが高いだけではなく、思考的にも成熟する必要があります。私自身も極めることはできておらず、また極めることはできないとも考えています。
どこか妥協点を設ける必要もありますが、その妥協点はできるだけ高い位置に設けたいと、精進の日々を過ごしています。自転車生活を楽しむためにも、安全運転の技術という精進も意識していただきたいです。クルマと自転車の運転技術は比例しています。標識を確認するタイミング、ほかの車両のコミュニケーションなど、共通事項が多いのです。どこに意識を置くか。一度考える機会を設けてもらえたら嬉しいです!