家電レビュー
エアコン苦手なのでシャープ「蝶の羽根」扇風機が心地良かった!
2023年7月13日 10:24
暑い季節に欠かせない、昔から親しまれている生活家電といえば扇風機です。エアコンのように室温は下げられないものの、風を体にあてるだけで涼しさを感じられます。
手足が冷えやすく、エアコンが苦手な筆者は扇風機をよく利用していますが、風に長時間あたっていると、涼しさを通り越して寒さを感じることもしばしば。そこで扇風機を止めるのですが、しばらくすると暑くなるのでスイッチを入れる、また消す、といった動作を繰り返すのがお決まりです。
しかし、シャープのプラズマクラスター扇風機「ハイポジション・リビングファン PJ-R3DS」を使ってみたら、寒さを感じやすい筆者でも、つけっぱなしで使用できました。
自然の風のような、やさしい風が気持ちいい!
「ハイポジション・リビングファン」の最大の特徴は、“くびれ”と“うねり”のあるユニークな羽根。メーカー独自のネイチャーウイングを採用している点です。
この独特の形状は、アサギマダラ蝶の翅(はね)にならったもの。アサギマダラは、薄水色に近い、透き通るようなまだら模様の翅が印象的な、マダラチョウの仲間です。アゲハチョウと同じくらいの大きさで、春と秋に海を越え、2,000km以上の長距離を移動する“渡り蝶”として知られます。
細かく羽ばたかず、自身の翅で作り出した風にふわっと乗るように効率良く飛翔する、この小さな蝶の翅の“くびれ”、羽ばたくときの“うねり”を応用したのが、「ハイポジション・リビングファン」の7枚羽根です。自然界に存在する昆虫がお手本だったとは! と妙に感心してしまいました。
“くびれ”がほどこされた羽根が回ると2重の軌跡を描くため、実際は7枚のところ、前後あわせて14枚に相当する羽根で送風できる仕組み。
一般に、羽根の数が少なければパワフルな風が発生しやすく、多いほど風がやさしくなります。それまで5枚羽根の扇風機を使っていた筆者は、本機の14枚相当の羽根が生み出す風の、なめらかさにびっくりしました。自然の風のように、とても心地が良いのです。
自然の風に近い、つまり送風にムラがないので、不快な感じがないのはもちろん、風があたっても手足が冷えすぎないことを体感しました。「ハイポジション・リビングファン」を使えば、スイッチをつけたり、消したりしなくて済みそうです。
DCモーターだから、心地よい風量に調整できる
「ハイポジション・リビングファン」には直流電源で動作するDCモーターが採用されています。
DCモーターは回転数を広い範囲で制御できるため、風力を細かく調整できます。「ハイポジション・リビングファン」では1~32段階の、好みの風量レベルを選べます。
長らくACモーター(交流電源で動作)製の扇風機に慣れ親しみ、風量レベルは“弱・中・強”がスタンダードだと思っていた筆者は、32にも及ぶ設定可能な風量の幅に驚きました。細かくレベルを調整できるので、ACモーター製扇風機でいうところの「“弱”と“中”の間くらいの“やや弱”寄り」などという微妙な風量も、ボタン1つで簡単に設定可能です。「あぁ〜、このくらいの風が欲しかった!」という風量に、簡単に調整できるのは、とてもうれしいです。
本体で風量を調整する場合は、タッチセンサー部分に触れることで、4から32段階まで、4の倍数の風量レベルを設定できます。数字が小さいほど風量が小さく、数字が大きくなるほど風量も大きくなります。
なお、付属のリモコンでも同じ操作が可能です。リモコンで風量を調整する場合は、“風量”と書かれた箇所の「+」「-」ボタンを使ってレベルを切り替えます。
さらに細かく風量レベルを調整する場合は、リモコンの“微調整”ボタンを使用します。“微調整”と書かれている箇所の「+」を押すたびにレベルが1ずつ増え、「-」を押すとレベルが1ずつ減るので、好みの風量に設定できたところで止めます。
DCモーター製の扇風機は、静かなのもうれしいポイントです。
試しに、レベル「1」、つまり最弱の風量に設定したところ、耳を近づけて、ようやく羽根の回る音が少し聞こえるほど静かでした。それもそのはず、風量最小運転時は、木の葉のふれあう音(20dB)より小さい、16dBなのです。風量最大運転時でも42dBという静音設計なので、つけっぱなしでも音が気にならず、ぐっすり眠れました。
プラズマクラスターの消臭効果がスゴイ!!
「ハイポジション・リビングファン」には、シャープの代名詞ともいえる“プラズマクラスター”が搭載されています。“プラズマクラスター”は、除菌、消臭、静電気抑制などに効果を発揮する、シャープが独自に開発した空気清浄技術です。
プラズマクラスターは運転中に本体の“おやすみ”ボタンを長押しすることでオン・オフを切り替えられますが、やはり随時オンにして使うのがベストでしょう。部屋を涼しくしながら、空気もきれいにできるのは魅力的です。
プラズマクラスターが特に活躍するのは、“衣類消臭”モードでの運転時。風を送りながらプラズマクラスターをあてることで、部屋干しした洗濯物の生乾き臭、ソファやクッションに付着した料理臭、衣類やファブリック製品に染み付いた汗・タバコの臭いなどに消臭効果を発揮すると言います。本当なのか? と思いながら、試してみることにしました。
使い方は、本体またはリモコンの“衣類消臭”ボタンを押すだけで、操作は簡単。風量レベル「32」、首振り角度「50」度で運転が始まり、2時間後に自動で停止します。
洗濯物を部屋干しした際に、「ハイポジション・リビングファン」の電源を入れ、“衣類消臭”モードに設定。それまで室内に漂っていた柔軟剤の香りがスーッと消えたので、スゴイと思いました。これもプラズマクラスターの働きによるものだろうと、その消臭効果を実感できた出来事でした。洗濯物から生乾き臭がしなかったのはいうまでもありません。
ちなみに、“衣類消臭”モードの設定内容は、手動で1項目ずつ設定することも可能ですが、専用ボタンを一押しすれば手間がかかりません。
リモコンが迷子にならない! 便利なホルダー付き
「ハイポジション・リビングファン」に付属するリモコン(単四形乾電池2本使用)は、専用のホルダーに収納して、本体のスタンドポールに取り付けられます。このおかげで、リモコンを使った後、きちんとホルダーに戻しておけば迷子になる心配がありません。
また、このリモコンホルダーには、「ユニット清掃ブラシ」も一緒に収納されており、リモコンと一緒に保管しておけます。
「ユニット清掃ブラシ」は、扇風機の背部、モーターの上部についているプラズマクラスターイオン発生ユニットの清掃に使用する専用のブラシです。ユニットには小さな電極部が2カ所配置されており、ブラシを使って丁寧に汚れを取り除きます。
専用ブラシは小さく、細長い形状をしていて、うっかりすると失くしてしまいそうですが、リモコンホルダーに元通り収納することで紛失を防げますよ。
まだまだほかにも! あるとうれしい便利な機能
「ハイポジション・リビングファン」は、手動での風向きの変更(上下方向、左右方向)、高さ調整(84.5~111cm)が可能です。風向きの変更は、モーター部を持って、向けたい方向にヘッドを動かすだけ。高さ調整するときは、高さ調整ボタンを押しながらスライドパイプを上に引き上げると高くなります。一方、低くするときは取っ手を持って押し下げるだけなので、ボタンを押す必要はありません。
そのほか、左右首振り角度の調整(50度・70度・90度)、リズム風(強弱のリズムをつけて風量が変化)、切タイマー、入タイマー、おやすみモード(ランプの明るさを軽減、徐々に風量を弱めて自動停止)といった機能を本体・リモコンの両方で設定できます。
タイマーはそれぞれ1~9時間の範囲で、1時間単位での設定が可能。なお、切タイマーと入タイマーを組み合わせて使えるので、用途やライフスタイルにあわせて設定できるのも便利です。
また、「ハイポジション・リビングファン」にはチャイルドロック機能がついており、子供のイタズラや誤操作防止に役立ちます。チャイルドロックを設定するには、本体の“リズム風”ボタンを3秒以上長押しするだけ。解除も同様に長押しです。
さらに、本体の表示ランプが明るすぎると感じる場合は、ランプの明暗を切り替えることも可能。表示ランプの明るさを抑えたいときは、スイッチをオフにして運転を停止し、本体の“衣類消臭”ボタンを3秒以上長押しします。同様にボタンを長押しするか、電源プラグを抜くと元の明るさに戻りますよ。
決して安価ではないけれど、買う価値は十分にあります
1つ気になったのは重さです。重量は約6kgとなっていますが、実際に持ってみると、もっと重いのではないかと感じるくらいずっしり重たいので、頻繁に場所を移動して使うにはやや不向き。そのため、使用する場所が決まったら、その場で組み立てて、定位置を変えずに使うと良いのではないかと思いました。
またシャープ製に限らず、DCモーター製の扇風機は、ACモーター製に比べると価格が高いです。「ハイポジション・リビングファン」は、大手ショッピングサイトなどで23,000~24,000円ほど。ACモーター製と比べると高価なアイテムに思えます。
一方で消費電力は少なく済み、省エネに優れています。一般的に、羽根の枚数が多いと消費電力も増えるのですが、「ハイポジション・リビングファン」の消費電力は風量最小時で2.7W、最大時でも20Wほどと経済的に使えます。
自然の風にあたっているような心地よい風を発生させて、長時間あたっていても手足が冷えすぎず、さらにプラズマクラスターで部屋の空気をきれいにでき、1度使ったら手放せなくなりました。安価ではないけれど、それでも「ほしい!」と思わせてくれた1台です。