家電レビュー
アクアのドラム式といえばエアウォッシュ! 脱臭・シワ伸ばしがやはり優秀だった【ドラム式4連続レビュー】
2023年7月11日 08:05
これまで東芝、日立、パナソニックの最新ドラム式洗濯乾燥機を連続でレビューしてきました。最終回となる今回は、アクアの「まっ直ぐドラム AQW-DX12N」をじっくり試してみます。洗濯・脱水容量12kg、乾燥容量6kgと、これまでレビューしてきたものと同等クラス。
そもそもAQUA(アクア)というメーカーの名前を知らない人もいるかもしれませんが、歴とした日本の老舗メーカーです。かつて三洋電機として日本の家電業界を牽引し、中国・Haier(ハイアール)の資本が入って社名は変わりましたが、中身は従来の高い技術を継承。そのうえで価格を抑えながら、他にはない機能を搭載した洗濯機を開発し続けています。
今回はそんなアクアのドラム式洗濯乾燥機「まっ直ぐドラム」の2代目モデルをレビューしたいと思います。実売価格は216,000円前後です。
ドラムが「まっ直ぐ」だと何がいいの?
ドラム式洗濯乾燥機というと、内部のドラムが斜めに設置されている、いわゆる“ななめドラム”が主流(ななめドラムはパナソニックの製品名です)。斜めにすると一部に水が溜まるため、少量の水で洗えるほか、洗濯物が入れやすいといったメリットがあるからです。
一方でドラムが斜めになると洗濯物が1カ所に偏りやすいため、洗いムラが起きたり、洗濯物が絡まる、縮む、といったデメリットもあります。そこでアクアは、ドラムをあえて「斜め」ではなく「水平=まっ直ぐ」に設置。ななめドラムのメリット・デメリットを逆転させることで、独自性を打ち出しました。これは、アクアが国内シェアナンバーワンを誇る、コインランドリー用洗濯機に水平ドラムを採用している実績に裏打ちされた技術です。
さらに「まっ直ぐドラム」はドラムを斜めにしないことで、デッドスペースが少なく、コンパクト化を実現しています。たとえば、パナソニックの「ななめドラム洗濯乾燥機 NA-LX129B」の本体サイズは、604×722×1,011mm(幅×奥行き×高さ)ですが、まっ直ぐドラムは、595×685×943mm(同)と圧倒的にコンパクト。今までスペースの都合でドラム式は置けなかった人も、これなら置けるかもしれません。
そういえば1つ注意点が。まっ直ぐドラムが搬入された際、業者さんから「かさ上げ台」が必要と言われたので、「近くの家電量販店で買ってきますか」と聞くと、「アクアのドラムは、専用の『吸振機能付き高さ調整脚』じゃないとダメ」とのことで、その日は取り付けができませんでした。
ただ、後日メーカーさんに聞いたところ、「専用のものでなくても大丈夫」とのこと。業者さんの勘違いだった可能性もありますが、設置の前に確認したほうがいいかもしれません。
さて、そんな特徴を持ったアクアのまっ直ぐドラム、まずは使い方からチェックしてみました。
パネル操作は使い始めにしっかりマスターを
初っ端、少々戸惑ったのが操作方法です。これまで使ってきたドラム式は、カラー液晶パネルをタッチすると次の選択画面が展開したり、スクロールでどんなモードがあるかを確認できたり、直感的な操作ができました。しかし、まっ直ぐドラムはパッと液晶パネルを見ただけでは、どこを押したらいいのかわかりません。
なので、最初は取扱説明書を片手に操作することに。まず「洗濯」「洗濯乾燥」「乾燥」を選ぶ場合は、右上の「洗乾切替」を押すと、順に選べます。さらに「洗剤量」「柔軟剤量」を押すと、それぞれの量を選べたり、「洗い」「すすぎ」を押すと、それぞれの時間や回数も変更できます。最初から何分で洗濯するのが適正か、見極めるのは難しいので、これは使いながら調整していくのがよさそうです。
ちなみにおすすめは、「Aiウォッシュ」モードを使用すること。このモードを使えば、水温や水の硬度、洗剤(液体または粉末)の種類、汚れの量、布質などをセンシングし、結果に応じて「標準」コースを自動で制御、つまり最適な運転方法を自動で選んでくれるというものです。
ただし、この「Aiウォッシュ」モードは通常は表示されておらず、「標準」コースをタッチすると出現します。最初から「標準」になっていると、わざわざもう一度「標準」を押す人は少ないと思いますので、こちらも使用前に知っておきたいコマンドです。
続いて、こちらも以前レビューした3機種と同様に「洗剤・柔軟剤自動投入」機能付きですので、洗剤と柔軟剤をタンクに入れておきます。投入口は、本体左上にある引き出しを引くと現れました。
洗浄力はバッチリ! ただし乾燥は工夫が必要
ではさっそく、洗濯物を洗濯乾燥してみます。乾燥まで行なう場合は、洗濯物の量は6kgまでなので、目安の位置まで投入します。実際に入れてみると、やはり斜めではないデメリットは感じます。洗濯物が落ちてくるので、しっかり押し込まないといけません(でも押し込みすぎてもいけません)。特に靴下のような小物が、ポロッと落ちてドアに挟まることがあるので、注意が必要ですね。
運転が始まると、槽内にUVランプが照射され、洗濯水の除菌を始めます。このUV除菌も、まっ直ぐドラムで特筆したい機能の一つ。特に後述する「エアウォッシュ」は、個人的に大活躍した機能でした。
ここからは、およそ2カ月間使用させていただいたうえで感じたことを記載していきます。
まず、優れていると感じたのが洗浄力。日常的な汚れはもちろん、泥汚れと汗が染みた息子の体育着は、一回ですっきり落ちました。わが家の犬がたまにバスマットに粗相してしまう(トイレと間違えるらしい)のですが、このニオイは標準モードでは取りきれないので、「お湯洗い」モードを使用。温度は、20℃/30℃/40℃/60℃から選べるので、40℃を選択したらニオイもスッキリ落とせました。ちなみに赤ちゃんの肌着など、除菌したい場合は60℃がおすすめだそうです。
洗濯物の絡まりが少ない、というのも、触れ込みどおり! 洗濯物が絡まると、衣類にプリーツをかけたような強いシワがつくことがありますが、そういったことは一度もなく、スムーズに取り出すことができました。
またシワについても、他メーカーに比べると少ないほうだと思います。もちろん洗濯物の量が多かったり、素材によってはシワがついてしまうので、そんなときは気になるものだけ後述のエアウォッシュを追加で試してみるといいかもしれません。
一方の乾き具合については、乾いたと思えることより、まだ湿っていると感じることが多く、ときには、乾燥だけ追加で行なわないと着られないほど湿っていることもありました。
毎回となると、流石に困るので、何か対策はないか調べてみたところ、なんと乾燥具合を調整する方法がありました。「乾燥」ボタンを4秒以上タッチし続けると、乾燥レベルを選べるのです(これも取説を読まないとわからない隠れコマンド?)。
標準が0で、ボタンを押すたびに「強め1」「強め2」「弱め-1」と選べるので、いろいろ試して、ちょうどいい加減を見つけるとよさそうです。ちなみに口コミを見ると、乾かないので「念入りモード」を使っている人もいるようですが、念入りモードは洗濯や脱水の時間も長くなります。
「エアウォッシュ」の脱臭・シワ取りが高頻度で活躍!
まっ直ぐドラムの独自機能で、「これは便利!」と感動したのが、「エアウォッシュ」でした。これは、超音波により発生させたマイクロミストを衣類に浸透させ、サポートヒーターで加熱した温風が衣類を包み込むもの。さらにUVライトで除菌も行なってくれます。
私が初めて、このエアウォッシュの効果を目の当たりにしたのは、初代モデルが登場した際の製品説明会の場でした。ペタンコに潰れてシワになった薄手のダウンジャケットを30分間エアウォッシュしたところ、シワがすっきりキレイになり、ふっくら感もよみがえったのです。
今は季節的にダウンジャケットを着る機会もないのですが、わが家では「洗うほどではないけれど、シワやニオイをスッキリさせたい」衣類で、頻繁にエアウォッシュ機能を使いました。
例えば、お気に入りのセットアップ。一度着ると着ジワがつきやすいのですが、衣類が傷むので、あまり洗濯したくありません。そんなときは、エアウォッシュに30分かけておけば、気にならない程度にキレイになります。
ほかにも、スーツやコート、制服(いずれも洗濯表示のチェックを)などのケアにも使え、洗濯できない衣類もトータル的にケアできるのは、かなり便利です。
乾燥フィルター自動おそうじで、お手入れ頻度は少なめ
ところで、ドラム式洗濯乾燥機について回る手間といえば、洗濯乾燥のたびに行なわなければいけないフィルターなどのお手入れですね。日立は、この乾燥フィルターをなくし、お手入れの手間を減らしたほどなので、やはり誰もが煩わしさを感じる作業でしょう。
その点、まっ直ぐドラムもお手入れの手間を減らす「乾燥フィルター自動おそうじ」機能を搭載しています。内蔵フィルターに溜まった糸くずやホコリは、自動で掃除してくれるので、定期的なお手入れは週1回、補助フィルターに溜まったホコリを取り除くだけでOK。
ちなみに排水フィルターは乾燥するたびに、溜まったゴミを取り除きます。こちらも週1回でよければ、なおよかったですね(笑)。
エアウォッシュなど独自機能が光る1台
まっ直ぐドラムは、他メーカーと方向性が大きく異なったため、当初は戸惑うこともありました。ただ毎日使い続けていくうちに、状況にあわせてどのようなモードや設定を使えばいいのか、という理解が進み、徐々に賢い使い方ができるようになったと感じます。
最初不満に感じていた、しっかり乾かない問題も解決したら、今度はまっ直ぐドラムだからこそ実現したシワの少なさや洗浄力、さらにUV除菌やエアウォッシュといった洗濯以外の衣類ケア機能の優位性が際立ってきます。それでいて、他メーカーより価格が控えめなのも、アクアならではの魅力。上記の特徴を理解したうえで、検討してみてはいかがでしょうか。