家電レビュー

バッグみたいな「ボディエアコン」で背中がめっちゃ涼しい!

背中に風が届いて涼しい「野電 ボディエアコン・ツインクール」

2021年夏は猛暑が予想されており、ウェザーニュースによれば7月~9月の気温は広い範囲で平年並みか平年よりやや高く、暑い期間が昨年よりも長くなると見込まれている。

毎年避けられない暑さを何とか乗り切るためのグッズとして注目したのが、今回使ったロゴス(LOGOS)のベルト式ファン「野電 ボディエアコン・ツインクール」。ウエストバッグのように腰に巻く形で装着し、ファンを回して外の空気を服の中へ送り込むことで涼めるというものだ。

ロゴス「野電 ボディエアコン・ツインクール」カラーは写真のオリーブの他にライトグレーとブラックもある

独特の装着スタイルもさることながら、興味を持ったポイントの一つは「保冷剤を入れるとさらに涼しくなる」こと。原始的ながら手軽にできそうなため、普通のファン付きウェアよりも涼めることに期待していた。

一般販売より前に、Makuakeで先行販売された際に気になって購入したところ、想像していた以上に快適に使えたので紹介したい。記事掲載時点で、ロゴス公式サイトでは完売中のようだが、Amazonでは16,000円~17,800円で販売されていた。

熱がりに厳しい季節。目立たないダブルファンで背中に涼風

外出を控えることが多いとはいえ、やはり夏の暑い日でも仕事や用事で外へ出なければならないときはある。そうした場合に特に気になるのは、エアコンの効いた建物から外へ出たときの温度差だ。暑がりな筆者は、外出してすぐに汗を拭く羽目になることが多く、時には出かける前の身支度だけで少し汗ばんでしまうことさえある。

「ボディエアコン」シリーズは昨年にも発売されており、ファンで服の中に風を送るという方法は同じ。従来はファンが1つだったのに対し、今回は2つに増えた。しかも、外からファンが見えていた従来モデルとは異なり、ファンが下向きなため、のぞき込まない限り周りからはファンが付いていることが気づかれなくなった。

2つファンが回る形状から「(仮面ライダーV3の)ダブルタイフーン!?」との声も上がっていたこの製品だが、ファン自体は外からは見えにくい角度に配置されており、一見すると普通のバッグのようだ。

2つのファンで服の中に風を送る。変身ベルトのような見た目でも話題に
着けているときは後ろからでもファンは見えず、普通のバッグを腰に着けているような見た目

仕組みはシンプルで、周りの空気を2つの吸気口からファンで吸い込み、送風口からシャツなどの中へ風を送り込む。電源はモバイルバッテリーで、本体には付属せず手持ちの物を使う。端子はUSB Type-Aで、バッテリーを収める専用ポケットが用意されている。

下側の空気を服の中(上)へ送り込む
バッテリーを入れるポケット付き
USBはType-Aで、ケーブルは直出し

着けたらすぐ涼しい。保冷剤で大きな効果

ボディエアコンのポケット部にモバイルバッテリーを入れてUSB接続した後、ベルト部を巻いて、その上からシャツなどを羽織ると準備はOK。シャツはパンツの中へ入れず外へ出す着方が基本だ。スイッチを長押しするとファンが回り始める。

風の強さは3種類で、弱だとボタンは青、中は緑、強は赤く光る。電源ボタンを押すとモードが順に変わる。

弱モード
中モード
強モード

送風口は上から見ると「・─・─・─・」のような横長と丸の穴が開いている形状。風が強く背中に当たるというよりは、背中に沿って下から上へ流れるような形だ。

穴の開いた部分が送風口

筆者は在宅時間が増えて運動不足が気になっていたこともあり、週末はできるだけ長めの散歩に出かけている。体を動かすのは気持ち良いものの、暑さはやはりこたえるため、ボディエアコンを着けることで暑さを紛らわせながら歩けるかどうか、試してみた。

外を歩いていると、当然ながら速く歩けば前からは風を感じるが、その分、信号待ちなどで止まったときにはドッと暑さが押し寄せてくる。これは夏なら仕方ないところだ。

ボディエアコンを着けると、正面ではなく背中に風を感じられるのが新鮮。手に持つハンディファンや、首に掛けるネックファンとの違いの一つは、風が正面から肌に当たるのではなく、背中に沿って下から上へ風が通るところだ。風を強くすると、服の中を抜けて首まわりにも涼しさが届いた。

もちろん、家や車のエアコンのようなはっきりした冷たさには劣るが、着けている間はまるで自転車に乗っているときのような涼しさを、背中に感じられた。

弱モード
中モード
強モード

手持ちの保冷剤を使うとさらに効果は抜群。本体の内部に保冷剤を収納できるポケットが2つあり、5cm四方くらいの保冷剤がちょうど収まる。今回はロゴス公式の「氷点下パック コンパクト(倍速凍結)」を使ってみた。2個入りで直販価格は1,199円。

ロゴスの保冷剤「氷点下パック コンパクト(倍速凍結)」クーラーバッグなどに使えるものだ

使う前は「保冷剤を入れても大きくは変わらないのでは」とあまり期待はしていなかったが、実際やってみると結構な違いがあった。扇風機とエアコンの違いのように、明らかに周囲より冷たい風が背中を通るのが分かる。

気化熱で涼しさを感じる冷風扇も家では使っているが、これに比べると、保冷剤を入れたボディエアコンの方が冷たく感じた。この製品を使うなら、間違いなく保冷剤は入れた方が良さそうだ。

保冷剤を入れるポケットが2つある。公式のものでなくてもサイズが合えば使えそうだ
「氷点下パック コンパクト(倍速凍結)」を入れた状態。少し膨らんでいるが持ち歩きに支障はなさそう

慣れてくると、すごく涼しいとまでは感じられなくなってくるものの、スイッチをオフにしてみると、直後に背中がモワッと暑くなるのが分かる。普段の生活で背中に風が当たることはあまりないため、より違いが感じられるのかもしれない。

なお、背中に風を通す以上、リュックを背負うときには適さないことには注意したい。また、ウエストバッグのように見えるが中に物を入れると空気が通りにくくなってしまうため、一般的なバッグとしての用途には適さない。ただ、スマートフォンが入る薄めのポケットは用意されているのは気の利いたポイントだ。

スマホが入るくらいのポケットもある

着る服によって涼しさが違う

手持ちの服をいくつか着て試したところ、風の通り方は、服の種類によっても少し違いがある。しっかり風が届くようにするには、サイズがゆったりしたシャツを着たほうがいい。ピッタリだと風の通りが悪く、腰のあたりで空気の流れが止まってしまった。

また、ポロシャツなど通気性が良すぎる生地だと、かえって風がシャツから抜けてしまい、上まで届かないこともあった。試した範囲では、スポーツウェアなどよりも、厚めの生地のシャツなどの方が、風が首あたりまで届きやすいようだ。

生地がしっかりしたゆとりのあるサイズの服がちょうどいい
手持ちのポロシャツでは、空気が途中で抜けたためか、強モードでも風が首までは届かずシャツはそれほど膨らまなかった

なお、シャツの丈が短いため送風口を覆いにくい場合や、長すぎて下の吸気口までかぶさってしまう場合のために、シャツの裾を留められるフックが用意されている。これを使うと、ちょうど良い長さでシャツをかぶせることができた。

シャツなどを留めるフックが付いている

静かな場所だと音は気になる

涼しさの面では文句なしだが、気になったのは動作中の音。小径のファンが2つ回るため、大きな羽根の扇風機などとは異なり、「ブーン」と高い音が常に鳴っている。基本はアウトドア向けの製品なので、会議室など静かな場所で使うのは避けた方がいいだろう。動作音は最大約53dB。家庭用エアコンの室外機が50dBといわれるので、使うシーンには気を付けたい。

外をしばらく歩いた後の駅のホームなど、急に立ち止まったときに感じる暑さは、ボディエアコンでかなり軽減できた。電車内など近くに人がいる場合は、音を気にして弱モードしか使わなかったが、エアコンが効いている場所ならオフにすればいい。

動作音をチェック(動作モードを弱→中→強→弱の順に変更)

対応するバッテリーは定格出力5V/2Aまたは2.1A。容量10,000mAhで2A出力のバッテリーを使った場合は、弱で約13時間、中で約7時間、強で約5時間使える。

普段からスマホ充電などに大きめのバッテリーを持ち歩いているため、これを流用することで、動作時間を気にせずに使えた。ただ、一度オフにするとバッテリーによっては給電自体も止まるため、再び使う場合はバッテリーのボタンも押し直さなければならない。その場合は、バッテリーのボタンをすぐ押し直せるように、ポケット収納時にボタンが外から見える向きで入れておくと良さそうだ。

本体の外装は雨が内部に入らない防水仕様。なお、断熱できるわけではないため、中に入れた保冷剤を冷たいままでは保てない。電池のもち時間だけでなく、長く使える保冷剤を用意することも、涼しさをキープするために重要なポイントといえる。

延長ベルトも付属しているため、本体のベルトでは長さが足りない人は追加して使えるようになっている。そのほか、持ち運び用のポーチも付いている。

延長ベルトを追加できる
持ち運べるポーチ付き。保冷剤を入れても収まるサイズ

厳しい暑さに、手放せない存在

外で涼めるアイテムといえば、手持ちで顔などに風を当てられるハンディファンのほか、首に掛けるネックファン、冷却プレートを備えたパーソナルクーラーのような製品も続々と登場している。

今回使ったボディエアコンは、顔などに風を集中して当てるものではないが、手の届きにくい背中を中心に涼しさを感じられるのが良いところだと実感できた。

アウトドアブランドのロゴス製品ということで、エアコンや扇風機が周りにない屋外の環境など、「多少は音が出てもすぐ涼しくなりたい」場合に使うのが最も適しているだろう。それだけでなく普段の生活でも、エアコンの効いた部屋から外へ出るときなど「このままだと汗をかきそう」というタイミングに着けておくと、不快になる前に対処できるため、幅広いシーンで役立ってくれそうだ。

中林 暁