家電製品レビュー

HUAWEI WATCH FITで、話題の「血中酸素レベル」を測ってみた

血中酸素レベルが測定できる「HUAWEI WATCH FIT」

「パルスオキシメータ」の品薄状態が続いている。同機器では脈拍数と経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定でき、気管支喘息や肺炎など呼吸器系の疾患には欠かせない装置だという。この酸素飽和度が、新型コロナウイルス感染症の重症化の目安になると注目されているのだ。

そんな中、既に発売されているアップルの「Apple Watch Series 6」や、ファーウェイの「HUAWEI WATCH GT 2」、「HUAWEI WATCH GT 2e」、「HUAWEI WATCH GT 2 Pro」、「HUAWEI WATCH FIT」が酸素飽和度、血中酸素レベル(SpO2)の測定が可能になった(ファーウェイはアップデート適用による)と発表された。

Apple Watchについては、既にImpress Watchでレビュー記事があるので、そちらを参考にしてほしい。ここでは、「HUAWEI WATCH FIT」を借りて、血中酸素レベルを測定してみた。

なお本機は医療機器ではなく、血中酸素レベルの測定結果は、あくまで参考となる数値であり、医療目的での利用は想定されていない。

メーカー名ファーウェイ
製品名HUAWEI WATCH FIT
実売価格12,800円
HUAWEI WATCH FIT

今回は「HUAWEI WATCH FIT」を使ってレビューした。

血中酸素レベルが測定できるようにするためには、専用アプリ「Huawei Health」のアップデートとともに、接続した「HUAWEI WATCH FIT」のファームウェアをアップデートする必要がある。

ファームウェアをアップデートする際、初めて使う筆者はとまどったので、手順を画像とともに説明しておく。

「HUAWEI WATCH FIT」を接続したら、アプリの「デバイス」をタップする。接続している「HUAWEI WATCH FIT」を選択すると画面が切り替わる。同画面を下にスクロールしていく
「ファームウェア更新」をタップ。新しいファームウェアのバージョンがAndroidの場合は「1.0.3.20」以降だと、「血中酸素レベルの定期的な自動測定」が可能になる

本機とアプリをアップデートしたら、計測方法は簡単だった。血中酸素レベルを任意のタイミングで、または自動で測定する方法を、それぞれ解説していく。

ケース背面の光学センサー
ケース右側面にボタンが配置されている
柔らかいラバー製のストラップが付属する

好きなタイミングで血中酸素レベルを計測する方法

定期的ではなく、好きなタイミングで血中酸素レベルを測定するのには、「HUAWEI WATCH FIT」の本体右側面にある電源/機能ボタンを押し、スリープ状態から起動する。その状態で同ボタンをもう一度押すと、機能のメニューが一覧表示される。それらの中から「血中酸素」を選択。

画面に「ウォッチを上に向けて、動かないでください」と表示され、3秒のカウントダウンが始まる。その後に測定が開始され、画面が切り替わると「血中酸素飽和度」が大きく表示される。測定時間は、約30〜40秒。なお、測定時に動かずにじっとしている必要がある。この時に手を動かすと計測されないので、注意が必要だ。

筆者の場合は、92%〜100%までの数値となった。

血中酸素レベルを測定したところ、筆者の場合は92%〜100%で推移。異常ないようだ

筆者の計測結果「92%〜100%」の意味については、本体画面に表示された数値の下にある「血中酸素>」をタップすると詳細が記されている(同様の内容は、アプリでも見られる)。

「1.血中酸素飽和度について……」とあり、続けて、90%よりも上の数値については、「標準的な状態」だと記されている。「ほとんどの人の血中酸素レベルは90%を超えています」とのこと。ただし90%を下回っていたとしても「休憩を取るようにしてください」と記されているように、しばらく様子をみて、それでも「標準状態に戻らない場合は、医師に相談してください」とある。

筆者も、92%という低めの数値が出たのは、ジョギングをして息を整えた直後だった。通常とは異なる激しい運動をした場合には、数値に影響が出るということのようだ。いちじるしく苦しいなどがなければ、1度の計測結果で、一喜一憂せずに、時間をおいて測り直すと良いだろう。

これらの計測結果は、スマートフォンのヘルスケアアプリ「HUAWEI WATCH FIT」で確認できる。AndroidアプリとiOSアプリの違いはほとんどないようだ。

アプリのトップ画面とも言える「ヘルスケア」画面の中に「血中酸素」というカテゴリーが追加されている。その「血中酸素」をタップすると、より詳細な履歴が見られる。

また画面下部にある「自分」というタブからも、「血中酸素」の同じ詳細画面につながっている。まず「自分」タブを選び、「マイデータ」を選択。「マイデータ」画面の「血中酸素」をタップすると、上述と同じ詳細な履歴画面が表示される。

画面下部の「自分」をタップし、「マイデータ」を選択
「血中酸素」をタップすると、測定履歴が棒グラフで表示される

血中酸素レベルを自動測定し、数値が下がった場合にアラートさせる方法

血中酸素レベルは、任意のタイミングで測定するほかに、一定の時間間隔で測定していく設定がある。自動で測定したうえで、血中酸素レベルがあらかじめ設定しておいた数値にまで下がってしまった場合に、アラートで知らせてくれるよう設定も可能だ。

設定は専用アプリ「Huawei Health」の操作で行なう。方法は下の写真の通り。

アプリ下部にある「デバイス」をタップ。利用している接続中のデバイス「HUAWEI WATCH FIT」を選択する。開いた画面(下の左側の画像)を下にスクロールし、「ヘルスケア」をタップする
デフォルトでは「血中酸素の自動測定」が「無効」になっているので、ここを選択する。画面が切り替わったら「血中酸素の自動測定」を「ON」にする(ボタンがオレンジ色に変わる)。さらに「低血中酸素のアラート」をタップする
血中酸素レベルが何%まで下がったらアラートするかを選択して「OK」をタップ。1つ前の画面に戻るので「血中酸素の自動測定」がONになり、「低血中酸素のアラート」が指定した数値になっているかを確認。あとはアプリを閉じても良い

筆者は自動測定をONにした翌日夕方に、突然、本体がブルッブルッブルッと3連続で震えた。なにかと思って画面を見ると、「血中酸素/現在89%/90%未満」と表示されている。その数日後の昼前にも、血中酸素が89%まで低下した。

いずれも、珍しく仕事に集中しているときだった。特段に、苦しいといったことはほとんどない。ただ、アラートがあった影響もあるだろうが、新鮮な空気を吸いたいと思った。ベランダに出て深呼吸し、改めて測り直すと90%台だった。筆者はアラートが出やすいように「90%」以下になったら知らせるよう設定していた。医師ではないのでなんとも言えないが、“筆者の場合は”、89%になったといっても、特に問題なく日常生活を過ごせている。

血中酸素が89%まで低下し、アラートが発生した時の画面。画面が表示されると同時に、本体が3回震える
専用アプリ「Huawei Health」のトップ画面「ヘルスケア」を見ると「血中酸素」という項目がある。自動測定された直近のレベル数値が大きく表示されている。ここをタップすると画面が切り替わり、これまでの推移の詳細が棒グラフで表示される。普段の血中酸素レベルがどれくらいなのかが分かる。特に問題はなさそうだ

手頃な価格なのに高い機能性

最後に、「HUAWEI WATCH FIT」自体の使い勝手について、少し触れておく。

総合的にはとても使いやすいスマートウォッチだ。ディスプレイの発色もよく、ほどよくコンパクトでありながら画面が小さすぎない。そのためジョギング時でも視認性は高く、サッと見ればパッと「心拍数/ペース/距離/時間」が把握できる。

また以前、同じファーウェイの画面の小さいバンド型の「HUAWEI Band 4 Pro」を使ったことがあるが、それよりも内蔵GPSの精度が高いように感じる。筐体の大きさと関連しているのかもしれない。

今回は時節柄、「血中酸素レベルの測定機能」に焦点を当ててレビューしたが、それ以外の部分でも満足度の高い製品だ。

また、血中酸素レベルの測定についても、ファーウェイやアップル以外のスマートウォッチにも、今後は続々と搭載されてくると思う。それに伴い、スマートウォッチが単にスマートフォンとの連携や、スマートフォンの代替として注目されるのではなく、バイタルセンシングに必須のものとして、より一般化していくだろう。

筆者も今回知ったが、血中酸素レベルを測定する医療機器「パルスオキシメータ」は、喘息の程度を見極めるのにも使われているという。実は筆者も喘息持ちで、薬を常用している。「HUAWEI WATCH FIT」のようなデバイスが進化していくことで、より安心して生活できるのではないかと期待している。

もちろん冒頭で記載したとおり、「本機は医療機器ではなく、血中酸素レベルの測定結果は、あくまで参考となる数値であり、医療目的での利用は想定されていない」。それでも平常時と、そうでない時との差が分かる意味は、大きいように思う。

河原塚 英信