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ダイソンの新型掃除機「V8 Slim」を分解! 吸引力が変わらない理由をエンジニアが語る

 ダイソンは、8月21日に発売した日本専用モデルのスティック掃除機「Dyson V8 Slimコードレスクリーナー(以下、V8 Slim)」の発表会を開催した。開発エンジニアが製品について説明したほか、掃除機本体を分解する実演や、吸引力の比較実験などが行なわれた。

 ラインナップは、ノズル類が5つ付属する「Dyson V8 Slim Fluffy+(以下、Fluffy+)」、2つ付属する「Dyson V8 Slim Fluffy(以下、Fluffy)」を用意。直販価格は順に、63,720円、52,920円(ともに税込)。

日本専用モデルのスティック掃除機「Dyson V8 Slimコードレスクリーナー」
分解する実演も行なわれた

 V8 Slimは、小型・軽量のクリーナーヘッドが特徴のコードレススティッククリーナー。2016年に発売された「Dyson V8」をベースに開発されており、毎分最大107,000回転を誇るデジタルモーター V8を採用し、パワフルな吸引力が最長40分続くという。

 新たに開発されたV8 Slimは、日本の住環境に合わせたモデルと位置づける。クリーナーヘッドを約40%小型・軽量化、パイプを約6cm短くした。スリム形状により取り回しが向上し、使いたいときにサッと使える手軽さにしたという。

「Dyson V8」をベースに開発し、クリーナーヘッドを約40%小型・軽量化、パイプを約6cm短くした。スリムで軽くなり、取り回しが良くなったという

ヘッドの小型化に伴い、ブラシバー内臓のモーターも新開発

 V8 Slimを開発した、ダイソン インテグレーション リード・アンヘル イシドロ ニエト氏は、製品について次のように語った。

 「日本向けに開発するにあたり、日本のさまざまな家庭を訪問し、生活スタイルや掃除の仕方などの情報を収集しました。日本の住宅は床の種類が多く、家具と家具のすき間があるといった特徴があります。さらに掃除スタイルは、サッと掃除機を手に取れ、いつでも気軽に使いたいというニーズがあることがわかりました。それらを踏まえ、吸引力と本体重量が最適なバランスになるよう開発し、取り回しが良くサッと使える掃除機を目指しました」

 本体重量も2.61kgから2.15kgに軽量化した。主なポイントとなったクリーナーヘッドの小型化には、既存のモーターが使えないという問題が生じたという。

 「ダイソンの掃除機はメインヘッドのブラシバー内部にもモーターが搭載されています。このモーターがあることでパワフルな吸引力を生み出せますが、ヘッドを小型化するとモーターが入らなくなりました。そこで新たにブラシバーに組み込むモーターを開発しましたが、何度も何度も改良を重ねて完成しました」(アンヘル イシドロ ニエト氏)

ダイソン インテグレーション リード・アンヘル イシドロ ニエト氏
クリーナーヘッドに組み込むモーターは新たに開発したという

 またヘッド内部の空気の流れも再設計されており、壁際のゴミもしっかり吸い取るという。一般的に壁際のゴミは、ヘッドを壁に押し付ける形で吸引することが多いが、ヘッド側面を壁に沿わせるようにしてもしっかりと吸引できるという。

 実際に壁際にゴミを吸引してみたが、ヘッドを押し付けなくてもキレイに吸引できていた。軽くヘッドをすべらせるだけでゴミが吸引され、快適に使うことができた。

 また印象的だったのは、パイプが短くなったことにより腕の負担が減ったこと。身長160cmの筆者は、これまでのダイソンのスティッククリーナーだとパイプが長く、腕に負荷が掛かっていたが、V8 Slimでは長いと感じることがなく、スムースに動かすことができた。

ヘッド側面を壁に沿わせるようにしても、壁際のゴミがしっかり取れた

 スティック使用時の本体サイズは、250×210×1,123mm(幅×奥行き×高さ)。付属品は、Fluffy+が収納用ブラケット、ミニモーターヘッド、コンビネーションノズル、ミニソフトブラシ、フトンツール、LED隙間ノズル。Fluffyが収納用ブラケット、コンビネーションノズル、隙間ノズル。

 LED隙間ノズルは新たに付属したもので、家具と家具の間など暗い箇所もLEDで照らして掃除しやすくするという。

Fluffy+にはLED隙間ノズルが新たに付属
ミニモーターヘッドはソファや布団の掃除に使える

掃除機をバラバラに分解!? 吸引力が変わらない理由をエンジニアが説明

 本体は小型・軽量になったが、吸引力は従来と変わらず0.3μmの微粒子も99.97%捕えるという。実際に、ダストカップに何も入っていない状態のV8 Slimと、ダストカップにゴミを満杯に詰めたV8 Slimで、吸引力に違いが生まれるか比較が行なわれた。

 実験では、水が入った筒にV8 Slimをセットし、運転スタート。水が吸い上がる様子を比較した。結果は、どちらも5秒くらいで水が一定のラインまで吸い上げられており、ダストカップにゴミが満杯に入っていても吸引力に違いは生まれなかった。

ダストカップに何も入っていない状態のV8 Slimで水を吸い上げる。約5秒で黄色いテープが付いたラインまで吸い上げられていた
ダストカップにゴミが満杯に入ったV8 Slimでも同じ結果になった

 このほか、V8 Slimの本体を分解する実演も行なわれた。ポストフィルターやプレフィルター、ダストカップだけでなく、内部のクリアビン(円筒部)まで外してバラバラにした。

 「この本体の機構が、吸引力が変わらない理由です。まずゴミはダストカップに入り、そこで500μmほどのゴミが捕集されます。そこで取り切れなかったゴミはクリアビン(2Tier Radial サイクロン)に集まり、2μmまでのゴミを捕えます。さらにそこを通過したゴミはプレフィルターへ、そこでもまだ残ったものはポストフィルターで捕集します。ポストフィルターは0.3μmのゴミもしっかり捕えるので、吸引力が変わらず、排気もキレイな状態を保てるのです」(アンヘル イシドロ ニエト氏)

V8 Slimの本体を分解
右から、ダストカップ、クリアビン、プレフィルター、ポストフィルター