e-bike試乗レビュー

e-bike購入で無理せず10kg以上減量。体型も体力も変わり、新しい楽しさまで手に入れた

筆者の愛車はミヤタのグラベルロードe-bike「ROADREX 6180」

2022年まで世界中で起きていたe-bikeの在庫不足も解消されつつあり、現在はずいぶん入手しやすくなってきた。でも、車体価格に関しては、製造にかかる経費の高騰から以前と比べて高くなったままだ。それだけにモノがあっても買いにくい状況ではあるのだけど、日用品や他の幅広い分野の製品同様に、今後も値上げされることも予想できる。それだけにe-bikeが欲しいと思っているのなら、在庫が復活しているいま決断したほうがいいと言えるだろう。

メリダの公式オンラインショップ。昨年まで在庫切れが続いていたROADREX i 6180も在庫あり(2023年3月上旬時点)となっている

さて、そういう筆者は2021年にミヤタのROADREX 6180を購入した。当時は新型コロナウイルス感染症の真っ只中だったが、在庫不足や価格面に影響はなかった。そのため、シマノSTEPS「E6180シリーズ」を積んだROADREX 6180を待たずに、そして328,000円で買うことができた。

ただ、購入してから半年も経たないうちにバッテリーがインチューブ式になった新型が発表されてショックを受けるというオマケはついたが、現在も気に入って乗っている。

ミヤタのROADREX 6180(販売終了)。購入以降、チョコチョコとパーツ交換をしている。ドライブユニットはシマノSTEPS「E6180シリーズ」で、バッテリーは外付けタイプ。インチューブ式が主流の現在では古さも感じるかもしれないが、他の装備を付けるとあまり気にならない
シマノSTEPS「E6180シリーズ」の最大出力は60Nm。未舗装路走行もこなすグラベルロードバイクでは頼りがいあるドライブユニット
ディスプレイはシマノ製E7000。現行のROADREX i 6180もここは変わっていない
バッテリーはシマノ製BT-8014のリチウムイオンバッテリー。カタログにある1充電走行距離とは常時アシストを効かせた状態での数値。ただ、アシストが切れる(もしくは少ししか使わない)状況も多いため、実際はもっと伸びる傾向。筆者の場合は、ほぼ平地しか走らないので充電は3カ月に1回程度。それも半分残った状態でのこと

今回はe-bike購入を考えている読者の方々に向けて、e-bike購入経験者として感じたことをお伝えしようと思う。とはいえ、多くの方にアンケートを取るなどしたわけでなく、あくまで筆者の感想なので、どこまで参考になるかわからないけれども、よければお付き合いください。

e-bikeを購入した理由

筆者が「e-bikeを買おう」と思った理由は運動不足の解消だ。購入時期のあたりは「緊急事態宣言」が発令された頃で、外出機会も激減し、身体を動かさない日が続いた。そのため体重は増え筋肉(そもそもたいしたことないが)も衰える感覚があった。

そんなときに取材で乗る機会を得たe-bikeに対して「トレーニングにいいな」と感じて購入することにしたのだ。

メリダの公式オンラインショップで購入した。「受け取り希望店」を提携店リストから選んで、そこで納車になるのだが、購入後のメンテナンスは必要だし、アドバイスも聞きたいところなので、実店舗と繋がりができるこのシステムはおおいにメリットがあるもの

でも、トレーニング目的であればアシストのないペダルバイクでいいのでは? と思うかもしれない。

たしかにそうとも言えるのだが、スポーツタイプの自転車はスポーツ用品である。そして、自転車は人力で走らせるものであり、速く力強く漕ぐための体力、筋力、正しい乗車姿勢を取ることが求められるので、それができる「身体」が必要。つまり、スポーツタイプの自転車は乗ること自体がスポーツなのだ。

そうした乗り物に運動不足のおじさんが乗るとどうなるかというと「思っていたよりキツイこと」からだんだん乗らなくなる

具体的にいえば、足の疲れや体力不足からの心拍上がりすぎは当然として、前傾姿勢を取ることでの手の疲れ、体全体の疲れ、首を起こし気味にすることでの首の筋肉の疲れ、そして堅いサドルにあたるお尻の痛み(これはとくに強烈)などがある。つまり、あちこちがキツイのだ。

自転車なんてフツーに乗れるよ、と思っていたが、スポーツタイプの自転車はスポーツ用品なので、街乗り自転車のように楽に乗るものではなかった。運動不足のおじさんには最初からキツいところがあった

そんな状況において、e-bikeは最低保証(?)として漕ぐことをアシストしてくれる。筆者も当初は有無も言わさず常にアシストモードを「HIGH」にしていたのだが、これは本当に助かった。へばったり痛みを感じているときでも、アシストがあったおかげで止まることなく走り続けることができたと思っている。

ちなみに、シマノSTEPS「E6180シリーズ」のアシストは、一般的な電動アシスト自転車のような常時高いトルクでのアシストではなく、ペダルの踏みこみ具合に応じて、脚力が少々強くなった感じの自然なアシストなので、助けてもらってはいるが「頼りすぎていない」と感じるところがとてもいいと思っている

自転車は速度が落ちすぎると不安定になる。足がつかないポジションのスポーツバイクでのふらつきは慣れないうちは怖いが、e-bikeであれば脚力的に厳しい区間も漕ぎきれるので「オッと」というシーンも減る。これも慣れないうちは大事
ECO/NORMAL/HIHGと3段階のモード切替ができるので、その機能をより使いやすくするためにブラケットを追加し、ハンドルにスイッチボックスを移動している

e-bikeを乗り続けてみると……

こうした状況をしばらく続けていくと、体力や筋力は自然と付いてくるので、距離を伸ばしたりアベレージを上げること(少し)こもできるようになった。

それに前傾姿勢を続けていることで体幹が鍛えられるから、上半身や首も楽になるし、お尻の痛みも感じなくなるようになる。このお尻の痛みについては、お尻の神経が痛みに慣れるのではなくて、乗車中の体重を手足の筋力や体幹で支えられるようになったことからお尻への荷重が減ったことが大きいと感じている。

こういう段階まで来るとe-bikeに乗ることが楽しくなる。時間にすると乗り始めて2~3カ月くらいだっただろうか。筆者の場合は、とにかく最初の時期は「乗るための基本的な身体作り」のためのガマンが必要だった。

そして体重も順調に減ってきて、もっとも減ったときで最大値より約13kgほど痩せた。なお、この間は食事制限をしていないし、2週間くらいe-bikeに乗らないときがあっても体型は変わらないので、明らかに太りにくい体になったと思う。

サドルは途中で交換。いくぶん楽になった気もしたが、それよりも手や足、体幹に多少力がついてお尻への負荷が減ったのがいちばん効果あった気がする。なお、長時間走って手や足が疲れてくると「サドルに座っている」のが感じられるし、そうなったときはお尻の痛みも出てくるので、手足、体幹で支える説はあっていると思う
サドルだけでなくシートポストをドロッパータイプに変更。ワイヤーをひくとシートポストが下がる機能があるパーツだ。本来はMTBのダウンヒルようのアイテムだが、街乗りでも乗車や降車のときに便利なもの
ドロッパーシートポストの操作レバーはハンドル左のこの位置に付けた。ブレーキレバーを握った状態で親指操作ができる。必要か? といわれるとそうでもないが、なんとなく付けたかったのだ
慣れてくるとポジションが合わない感じになってきたのでハンドル交換に加え、取り付け位置を下げると同時に5cmほど前に出した。ちなみに、普段ステムにはベルを付けているが、撮影時はステムの長さを写したかったので外している
休日のサイクリングロードはローディーさんやジョギング、散歩の人で混んでいるが、河原にあるグラベルは空いている。ここを走れるのがグラベルロード。未舗装の林道なんかももっと行ってみたい

e-bikeに乗って何がいちばん変わった?

e-bikeを買ったことで大きく変わったと感じているのが「体形と体力」だ。この結果は自分的に求めていたことだが、正直、ここまで変わったのはビックリ。期待以上の効果だが、これも「継続して乗る」ことができたからで、そのサポートになったのが冒頭でも書いたようアシストのおかげでもあるが、そもそもの話としては、e-bikeを買うと決めたことが大正解だった。

イマドキの相場より安いとはいえ、これまで高い自転車を買ったことがない筆者にとって30万円を超えるe-bikeを買うのはずいぶん勇気がいることだったけど、これは結果オーライ。

最初は「どこへサイクリングに行こうか?」と考えていたが、今となってはただe-bikeで走ることが楽しくて、仕事の合間に1時間くらい走っている。これがいい気分転換になるのだ。

つまり、e-bikeを買ったからといって「サイクリングに行かなきゃ」みたいな使命感に囚われる必要はない(もちろんサイクリングは楽しいので行くべき)。日常のなかで乗るだけで十分にe-bikeが楽しめるということだ。

こうしたことはe-bikeを買えば誰でも実現可能なのだけど「買わないと始まらない」ことでもある。

納期や価格の変動が気になって買うタイミングがいまいち掴めない人もいるとは思うけど、外での運動に適した春から初夏に乗れる「いまの時期での購入」をオススメしたい。

そして、夏までにe-bikeに慣れておけば、夏休みのサイクリングも楽しめるようになっているはずだ。

筆者の自宅からは川沿いのサイクリングロードが近いので、夜に走りに行くことが多い。距離は約20km、時間は1時間かからないくらい。このくらいの走り込みでも身体作りには十分
クルマにROADREX 6180を積んでのサイクリングにも行く。e-bikeは車重があるので輪行が難しいため、他の交通と組み合わせるならクルマ+e-bikeがオススメだ
純正タイヤからパナレーサーのグラベルキングに変更。センターの山が少ないタイプ。転がり抵抗が減ったのが体感できる。舗装路ではとくに向かい風など条件がキツいときにこの差は効くような気がする。乗り心地もそうだが、自分好みのカスタマイズが楽しい
購入以来、3回変えているのがペダル。いまはMKSの両面SPD対応タイプ。e-bikeに乗るときはSPDシューズを履くので両面SPD対応は便利
ひとりで撮影に出るのでキックスタンドを付けているが、スタンドの可動域を広げたり、スタンド長を切って短くするなどDIYして取り付け位置を中心に近づけている。ここだとスタンドを跳ね上げていても、出していてもあまり目立たないのだ
ライトもいくつか試した結果、CATEYE「G VOLT100」に落ち着いた。明るさやバッテリーの持ちが十分なだけでなく、レンズカットがよく、光軸をある程度あげても対向から来る人の顔に光が当たらないので「眩しい」という顔をされない。夜間走行が多いならマナー的にアリなライトだ
フロントフォークにダボ穴があるのでキャリアが付けられる。装着したのはブラックバーン製。元はグリーンっぽい色だったけどマットブラックのスプレーで塗装。フレームの一部、バーテープやタイヤが黒なので統一感が出た

ということで、2021年にROADREX 6180を購入した筆者の経験を書かせていただいた。もし、2021年のあのときに買わずにいたとしたら、その後の在庫不足や価格高騰などからひょっとするといまe-bikeに乗っていなかったかもしれないけど……現在の自分のことを考えると「それは大損」といえること

そんな気持ちから言わせていただくと「欲しい時が買い時」である。迷う時期も楽しいけど、買うともっと楽しい。そういうものだと思うで、ここで!!……どうでしょう。

深田昌之