e-bike試乗レビュー

e-bike購入後にまさかの新型発表。ミヤタ「ROADREX i 6180」をいち早く試乗してきた

2021年6月に発表、9月発売予定となっているミヤタのグラベルロードe-bike「ROADREX i 6180」。ミヤタブランド初となるインチューブタイプのバッテリーを採用。価格は363,000円

「えぇ~!!」と思わず声が出たのが、5月11日に掲載されたミヤタのe-bikeに関するニュース記事。そこにはミヤタのe-bike「CRUISE」と「ROADREX 6180」の情報が……。新カラー追加とか軽めのものではなく、インチューブバッテリーを初採用という大幅モデルチェンジに関することだった。

筆者は今年の2月にROADREX 6180を購入していただけに、この情報はかなりショック。まあ、ROADREX 6180もデビューから時間が経っていたのでモデルチェンジが近いことは予想していたけど、それでもいろいろな話などから「今年中はない」と踏んでいた。ところが購入後わずか3カ月で新型が発表されるとは……。

カラーは画像のブラック/メタリックグレーのほか、ブラック/ブルーグレーとなった。フレームサイズは450(適正身長165~180cm)で、重量は18.9kg。もうワンサイズは530(適正身長175~195cm)で、重量は19.1kg
最大の変更点はバッテリーがインチューブ式の採用で、名称に追加された「i」はインチューブの「i」のことだ。展開する2色ともカラーの切り替えは、フレームの前三角がブラックで共通。シートステートチェーンステーをグラデーション塗装を用いたメタリックグレー、ブルーグレーとしている

さて、そんなわけで近々旧型(になる)モデルのオーナーとしては新型が非常に気になっていた。とはいえ、事前情報は限られていたのでこの件に対してはもんもんと過ごしていたところ、伊豆にあるMERIDA X BASEで開催された新型ROADREX i 6180の発表会に参加のお誘いを受けた。

ということで、プロトタイプではあるが新型ROADREX i 6180(以下、新型)をいち早く試乗してきた。現行型のROADREX 6180(以下、現行型)オーナーとして「どこが変わったのか」「乗った感じはどうなのか?」をお伝えしよう。

静岡県伊豆の国市にある「MERIDA X BASE」にて開催された新型ROADREX i 6180、CRUISE i 6180のメディア向け発表会に行ってきた。右が新型CRUISE i 6180で左が新型ROADREX i 6180。CRUISE i 6180も乗りやすく、操作系の使いやすさも進化していたが、本稿ではROADREX i 6180についてのみ紹介する
リリースの画像は解像度が低めだったので細かいディテールはわかりにくかったが、実車を見ると思っていたよりいい感じ

まず、おさらい。ミヤタのROADREX 6180はオンロード、オフロード問わず、多彩なシーンに対応するグラベルロードe-bike。

ドライブユニットはシマノSTEPS「E6180シリーズ」を採用。シマノSTEPSシリーズではミドルレンジに位置するモデルだけど、上り坂でのトルク不足などは一切ないし電費もよい。また、アシストフィーリングも「いかにもモーター動いてます」みたいなモノでなく、ペダルの踏み込みに対してナチュラルで違和感はない。そんな感じで、バランスよい特性のドライブユニットというのが筆者の印象だ。

オフロード走行も視野に入れたジオメトリーを採用しつつ、シマノSTEPS「E6180シリーズ」搭載を前提に設計された専用アルミフレームで、バッテリーはシートチューブ部にシマノ製大容量リチウムイオンバッテリーのBT-E8014(36V/11.5Ah)を装着するようになっている。

筆者の現行型。とても気に入っているが、まさか購入後3カ月で新型発売の発表があるとは……。最初に聞いたときは絶句だった。現行型のバッテリーはシートチューブに沿うようカタチで装着する。サドルに座る人の体重やドライブユニットに対して同じ軸線上なので、理想的な位置とも思えるのだけど、バッテリーの存在感はある

このような現行型に対して新型だ。最大のトピックはなんと言ってもインチューブバッテリーを採用したことだろう。

インチューブバッテリーにするメリットは、バッテリーという重量物をできるだけ低い位置に搭載する低重心化が主題のようだが、ダウンチューブに大容量のバッテリーを収めると、フレームが太くなりすぎる傾向でもあった。これはルックスの面でも気になることであるし、フレーム設計の観点からも強度バランスが取りにくくなる課題もあった。

そこで新型では、サードパーティのDARFON社がリリースしているe-bike用小型バッテリーを採用した。そして、このバッテリーサイズに合わせてフレームをデザイン&設計することで、ダウンチューブ内蔵式の問題点を克服しているそうだ。

手前にあるのが、新型に採用されたDARFON製のバッテリー。このバッテリーに合わせて、できる限りサイズ増大を抑えたダウンチューブの設計を行なったという
バッテリーの着脱は上側から行なう。撮影車はプロトタイプなので、製品車と細部の作りは変わることもあるが、バッテリーの取り出し方法は同一
フレームに付くカバーを外すとバッテリーが見える。小型なDARFON製バッテリーに合わせたピッタリサイズというのがわかるだろう

バッテリー容量に余裕があるシマノ製から小型のDARFON製に変えたことによって、スペック上の最大航続距離が気になるところだが、そこは市場での乗られ方などをリサーチしたうえで問題ないレベルに収めているという。とくに新型は趣味や生活で乗るグラベルロードバイクだ。そうしたキャラクターであることを踏まえて、実際の使用状況に合わせ込んだモデルと考えていいだろう。1充電あたりの最大航続距離はエコモードで105km、ノーマルモードで85km、ハイモードで70kmだという。

シマノ製BT-E8014が418Whなのに対して、DARFON製バッテリーも同じく418Whだがエコモードであれば、約105kmの航続距離は確保できるという。重量はBT-E8014が2.55kgに対して2.6kgとなった。バッテリーをDARFONにすることで、ミヤタからシマノへ互換性の確認をしてある。サードパーティ製でも安心して使用できるものだ。写真はバッテリーと標準付属の充電器。充電時間は80%まで約3時間、フル充電までは約3.5時間とのこと
フレーム側へのジャックのアップ。シマノ製と比べるとピンが細かったりするので、丁寧に差し込むほうがよさそうだ
太くなりすぎるのを抑えたダウンチューブ
またがった状態でフレームを見下ろした感じ。ダウンチューブは多少太めだが不格好ではないと思った。ペダルとの間隔も十分なので、ペダリングの際に気になることもなさそうだ

次はフレーム全体に関して。インチューブバッテリーを採用したことで、ダウンチューブ長が現行型より長くなったようだが、それはヘッドチューブを短くすることで対応しているとの説明を聞いた。フレームを見ると、現行型オーナーの視点ではヘッドまわりの印象がコンパクトになったと感じたし、ロードバイクっぽくも見えるものであった。

また、シートチューブからバッテリーがなくなったことで2種類のフレームサイズのうち、小さいサイズを現行型より20mm短くすることができたので、フレーム自体がコンパクトになっていることも感じた。

筆者は身長約168cmくらいで現行型は470というサイズ(シートチューブ長が470mm)に乗っている。このサイズの代わりになるのが450(シートチューブ長450mm)で、試乗した新型もこのサイズだったので試しに跨がってもみると、股下に明らかに余裕がある。これなら小柄な人でも扱いやすいのではないだろうか。

車体重量は現行型より若干重くなっていて、現行型の470サイズが18.1kgに対して、新型の450サイズが18.9kg。現行の530サイズが18.3kgに対して新型が19.1kgとなっていたが,取り回しで「重い」と感じることはなかった。

新型と現行型のフレーム寸法の比較
フレームサイズは「450」と「530」の2種類。身長約168cmが跨がるとトップチューブと股下は画像にあるようなクリアランス。また、シートチューブ長が短くなった分、シートポストを伸ばすので見た目もカッコよくなった

肝心のドライブユニットは現行型と変わらずのシマノSTEPS「E6180シリーズ」、ハンドル周辺の操作系アイテムも変わっていない。ここは現行型オーナーとしてはホッとしたところ。もし、ドライブユニットまで変わっていたら「買い換え不可避」みたいな気持ちになったかもしれない。

バッテリーの能力は現行型が勝っているのだけど、正直、アシスト介入が少ない平坦路中心の走行であれば、毎日約20km走ったとしてもふた月くらいは充電が不要だろうから、アシストの介入時間が長いヒルクライムをガンガンやるのでなければ現行型ほどのバッテリー容量は必要ない気もする。

おそらく新型で採用したバッテリーも平坦路中心の走行ならばかなりの距離を充電なしで乗れると思うので、一般的な乗られ方においてバッテリーの小型化による不利益はないはずだ。

バッテリーやフレームのほかにも新型の変更点はほかにもあるが、あとは画像にて紹介していこう。

ドライブユニットはシマノSTEPS「E6180シリーズ」を採用。ここは現行型と変わらず
操作スイッチやディスプレイも現行型と変わらず
コンポーネンツはグラベルロードバイク向けのシマノ製「GRX」が採用されている
ブレーキレバーもGRX。現行型はシマノ製TIAGRAで、こちらはロードバイク向け。レバーの上を握って乗ることの多いグラベルロードでは、GRXのレバーのほうが握りやすく、ブレーキレバーの操作も軽い握力でできる印象だった
フロントは油圧式ディスクブレーキ。これもGRX
リヤも油圧式ディスクブレーキ。シフト段数は10段
現行型はシマノ製クランクだったが新型はミヤタ製に変更されていた。ペダルは標準付属となる。幅広でかなり踏みやすい
ロゴは控えめでブラック基調のフレームカラーと合わせてシブい印象。インチューブバッテリー採用でe-bikeらしさも控えめになっているので、最先端モデルをさりげなく乗りたい人にはぴったりの仕上げとなっている
サドルの銘柄も変更されていた。筆者の印象では現行型より座りやすいというか、お尻へ負担が少ない気がした
フロントフォークの塗装がマット系になっているが、これはプロトタイプゆえ。現行型同様、左右のフォークにはケージが付けられるダボ穴が付く
ダウンチューブにバッテリーが入ったので、ボトルケージ用のダボ穴はシートチューブになった。現行型ではトップチューブにもダボ穴があったが、新型ではなくなっていた
チェーンステーの形状が大きく変わっている。説明によるとこの「曲げ」によって路面からの衝撃の逃げになるようにとのこと。見た目もかっこいい
タイヤサイズは現行と同じく前後とも650B×45C
シートチューブに対して、シートステーの取り付け位置が下方になった。これは前方投影面積を減らすことと、パイプ長を短くすることの軽量化の意味があるとのこと。最近のロード系フレームはこのような形状が多い

新型のプレゼンテーション終了後は、約1時間の試乗。MERIDA X BASEのまわりは自転車の試乗に適したコースが豊富にあるが、以前、現行型の試乗でも走った狩野川沿いのルートを中心に走ってみた。

試乗車は新型の430サイズ。シート高を自分が乗っている現行型と同じ高さに合わせて漕ぎ出すと……。ん? ドライブユニットのアシストに関しては、現行型と同様のスムーズさで漕いでいて違和感はなかったが、明らかに「違う」と感じたのがハンドリング。いつも乗っている現行型に比べて、明らかに直進安定性がいい……いや、バランスが取りやすいのだ。

すぐに感じたのが直進安定性の良さというか、乗車中のバランスの取りやすさ。現行型ではハンドルを持つ位置によってバランスが取りにくくなることもあるが、新型はそれがなくポジションの自由度も高い気がした

河川敷のオフロードに降りても印象は変わらない。河川敷のオフロードは梅雨時期だったのでところどころにぬかるみがあり、それを避けて走るのだけど、新型は車体を無理に抑え込まずとも狙ったラインに車体が向く感じで走りやすく感じた。また、バランスが取りやすいので、起伏があるところも積極的に走ってみようかという気にもなり、余計に走り回ったくらいだ。

オフロード後は一般道も走ってみた。周辺の道路は舗装が古めで、とくに路肩は路面の荒れもそれなりだ。こういう道路は車体が振られやすい傾向だと思うが、新型ではけっこう安心して路肩を走れた。

こうした特性は何がポイントなのかを試乗後にミヤタのスタッフに質問してみたところ、いちばん貢献しているのはバッテリーの搭載位置を変えたことによる重量バランスと低重心化だという。たしかにプレゼンテーションでも低重心化に触れていたけど、バッテリーの位置がシートチューブからダウンチューブに移ったくらいで「そんなに変わるかな?」と思っており、とくに重要と捉えていなかったけど、ヒジョーに大事なポイントだったようだ。

バランスが取りやすいのでオフロードも走りやすくなっている。グラベルロードバイクとしてうれしい進化だと思う

でも、こう書くと現行型の重量バランスやハンドリングがよくないと感じるかもしれないが、そういうことではない。購入後の約3カ月で現行型を1,000kmほど乗っているが、ハンドリングに不安や不満はない。まあ、当初からクイックな特性だとは感じていたが、それはネガティブなものではない。でも、バランスが取りやすくて安心して乗れることは、公道を走るe-bikeにとって大きな進歩なので、ここは「新型がいい」と素直に認めるべきところ。ホント、いいと思う。

短い時間の試乗でもかなりの違いを感じた新型ROADREX i 6180。これはいいe-bikeだと思う

いやぁ、しかし、予想していたより好印象だったのはワクワクした反面、現行型オーナーとしてはガッカリ感も大きいのは正直なところ。……なので、ひとことだけ言わせてほしいのは「やってくれましたね、ミヤタさん(泣)」ですよ。

新型ROADREX i 6180の印象として、乗る前は「ドライブユニットが変わったわけでもないから乗り換えはしない」と思っていたけど、新型の走りのフィーリングはかなり好みのものだったので「欲しいかも」という気持ちも出た。すぐにとはいかないが、価格的にも他のグラベルロードe-bikeよりリーズナブルなので、時期が来たら乗り換え候補の1台になるのは間違いないだろう。

深田昌之