e-bike試乗レビュー
愛車のグラベルロードe-bikeをトランポして初の房総サイクリングへ! 海・山・素掘り隧道などに大満足
2023年6月27日 08:05
自転車で出かけるサイクリングは楽しいものである。そして乗るのがスポーツバイクであれば、より遠くへ、より険しいところへも行けるので、内容はさらに充実するはずだけど、現実は体力や筋力といった部分がリミッターになる。
それだけになかなか踏み込んでいけなかったスポーツバイクでのサイクリング趣味の世界だったが、そのカベを打ち破ったのがe-bike。アシストが体力、筋力の不足分をカバーしてくれるので「自転車は好きだけど……」と一歩踏み出せなかった人でも「スポーツバイクでのサイクリングを楽しむ」ことが可能になったのだ。
ということで、今回はその実例ともいえるe-bike遊びに行ってきた。名付けると「e-bikeで山あいサイクリング」という感じのもので、アシストを頼りながら山あいの景色や雰囲気を楽しんで走ることが目的だ。まあ、山あいを走るので上り区間は多いけどそこはe-bike。疲れることは疲れるけど、わりと行けてしまうものである。
出かけた先は千葉県・富津市周辺。このあたりは海沿いもいいのだが、千葉らしい低山が多くあるので適度な山上りができるし、山の奥へ行くと未舗装の林道も楽しめるような感じもする。また、山あいにはのどかな風景の集落もあるなど、自転車でのんびり巡るのは楽しそうなエリアなのだ。なお、今回は気ままに走る「ぶらり感」が欲しかったので、とりあえずの行き先だけ決めてあとはノープランとした。
東京からは東京湾アクアラインを通って館山自動車道へ。そして富津竹岡ICで降りると到着。東京湾アクアラインの東京側からは約1.5時間といったところだ。
ただ、千葉もこのあたりになるとかなりのどかな地域になるので、都会のようにあちこちにパーキングがあるというものではない。だから出かけるときは駐車場がどこにあるかを事前に調べることが重要だろう。なお、今回は予約ができる駐車場サービスを利用してそこにクルマを駐めた。駐車料金は1日500円だった。
まずは海岸線エリアから山側の脇道へ入ってみる
出発点はJR内房線の竹岡駅周辺だが、今回は脇道や山道を走ることだけを考えていたのでルートや目的地は決めていなかった。そこでとりあえず房総半島の先側、館山方面へ向けて脇道探しに走り出す。
海沿いの道をしばらく走ると、山に向けて脇道が何本かあったのでそれぞれ入ってみた。どの道も海岸線から少し入るだけで見える景色は一変。山あいらしい風景となり、道路幅も細くなり山道感が出る。また、路面も舗装、未舗装がおり混ざってグラベルロードバイク的に楽しい感じなのだが、残念なことにどれも途中で行き止まりとなってしまう。ちょっと上っては戻るという繰り返しだ。そこで今度は海沿いから道を探すのではなく、山あいのエリアである富津竹岡IC方面へと向かってみた。
海岸線エリアから山あいのエリアに移動する
館山自動車道 富津竹岡ICのあたりは、田畑や集落を山が囲うような光景となる。出かけたのは平日だったので主要(そうな)な道でも滅多にクルマが通らず、風景とあわせてとてもリラックスして走ることができたが、開発して整地した場所ではなく「軽く上り下り」を繰り返す地形だ。ゆえにアシストのないペダルバイクではかなりの運動になりそうなところ。
でも、e-bikeならそんな道も平気。それどころか走っている最中に見つけた脇道(たいていが上り坂)に躊躇せず入っていける。また、グラベルロードバイクのROADREX 6180なのでそこが舗装か未舗装かどうかも気にしないのだ。
富津竹岡ICの周辺はグラベルロードバイク的にも楽しい道が多かったが、せっかくならそれなりの距離の林道を走ってみたいと思っていたら、なんとIC出口正面に林道の看板を発見したのでさっそく入ってみた。
舗装の区間を少し走ると出てきたのが、交通量があまりなさそうな草が多く生えている道。道幅は軽自動車でいっぱいという感じだ。ただ、筆者的は「期待感あり」の道なので喜んで進む。
入ってしばらくは上り勾配の区間でもそれほどキツくない。路面は舗装だったり未舗装だったりだが、気になっていたのは草が茂った部分。山の中だけにヘビがいてもおかしくないというか「いるだろう」という感じ。ヘビは大きいと楽に1m以上の長さがあるので巻き込んだり絡みつかれたらたら大惨事だ。そのため路面をよく見て走った。
そんなことも気をつけながら走っていると勾配が急にきつくなり、ギアをいちばん下げての走行となる。e-bikeでもけっこうツラいだけでなく急勾配ゆえにフロントの荷重が抜け気味でふらつきやすくなった。
そんな感じでどうにか上っていたら「あれぇ」となる。山側から生えている木や草が道を覆っていたのだ。そこで下りて状況を確かめると、先のほうも同じような状況であることがわかった。
強引に抜けることもできるのかもしれないが、道は細いし勾配が急でふらつきやすい。そして山の反対側はストンと落ちた地形なのでちょっとミスれば転落するだろう。行ってみたい気持ちはあるが、無事に帰ってナンボのものなのでここは引き返すことにした。
とまあこんな感じで何本か「おもしろい道」は走れたけど、なんか消化不良のところもあるのでもうちょっと周辺を巡ってみることにした。なお、ここまでで、山道を含めてそれなりの距離を走っているが、まだ全然体力も脚力も残っているのはさすがe-bikeといったところだ。
林道あり、素掘り隧道ありの大満足エリアに到達
林道を出てからはさらに内陸側に向けて移動し、再び脇道探索を始める。山肌に沿うような道を選んで通っていくと、前方に山越えできそうな道を見つけた。当然上り坂だが、e-bikeなので迷わずそちらに向けて走っていくと、山越えの頂上付近で隧道が出てきた。海沿いにも隧道があったがそれとは雰囲気が違う。
そして隧道に進入。湿気は感じるが空気はヒンヤリで気持ちいい。ただ、なかは照明がないのでかなり暗い。フロントライトは電池節約のため暗めの点灯にしていたのだが、それでは路面が見えないほどだ。
それほど長さのない隧道だったのですぐに走り抜けたが、照明のない山の中の隧道を走るのはちょっとこわい感じがしつつ、どこかワクワクするものだった。
そこで思い出したのが富津周辺の林道には素掘りの隧道があるという情報。どうせならそこにも行ってみたくなったが、この日はノープランだったので素掘り隧道の場所は調べていなかった。まあ、スマホがあるので検索すればいいのだが、今日はそれも違う気がしたので「走っているうちにでてきたらいいな」という感じで、成り行きに任せることにした。
隧道は山の頂上付近にあったので、それを過ぎると長い下り坂になった。下っているのは気持ちいいが「帰りはこれを上るんだよな」ということがアタマに浮かぶ。でも「まあ、いいか」と思えるのがe-bikeだ。
山を越えて出た地域はさっきよりさらにのどかな感じ。T字路にあたったのでなんとなく山が近いほうへ行ってみた。そして細い脇道もあったのでそこに入ったりしていると二叉路が現れた。
その二叉は右へ行くとさらに山へ。左は集落が続いていたのでここは右へ行ってみる。軽い上りが続いた先にあったのは林道の入口。走行注意を促す看板が立てられていることから「ふだんから車両の通行があるな」と推測。そうだとすると、これまでのように「行き止まり」はなさそうなので期待して入っていった。
見つけた林道。路面は舗装区間もあるが大半が山道らしい未舗装。こういうところを走りたかったのだ。
前日に雨が降ったのでぬかるんでいたり水たまりもあったけど、今回の行程で出会うことを期待していた道なので、条件が悪いことを含めておおいに楽しんで走っていると急に上り勾配がきつくなる。
そこでギアを軽くして漕いでいくが、さっきまでのパターンでは勾配がきつくなった先は行き止まりとなっていた……。そんないやな感じもしつつ漕いでいくと、なんと! 素掘り隧道が目の前に現れたのだった。
「あぁ!!」と思わず声が出たくらいビックリ&うれしかった。手前でROADREX 6180を降りて隧道をマジマジ眺めると、岩をくり抜いて作った迫力とあわせて神秘的なキレイさも感じる。雨が降ったあとでまわりが濡れているもよりいい雰囲気を出しているようだ。
隧道はそれほど長くないがもちろん照明がない。ここも最初はライトを暗めの照射で入ったが、ホントに真っ暗でなにも見えず真っ直ぐ走れない状況。しかも路面は未舗装でデコボコしているし、雨か地下水で濡れていて結構滑るのだ。
そこでいったん停まって光量を切り替えたが、真っ暗の隧道内部で止まってみると外から覗いたのとはまた違った感覚。光だけでなく音もなくて静かで、空気もヒンヤリしていて独特の雰囲気だった。
なお、この林道はさらに先に行くと短い素掘り隧道が2つあるようだ。「ようだ」というのは、つまり先へ行ってないのだ。
というのもこの隧道にたどり着いたのは午後3時頃。さらに先に行くと戻ってくる頃は夕方の時間帯の山越えになるだろう。低山とはいえ山は暗くなるのも早いので、行きすぎるのはちょっとマズいと思って引き返していた。ただ、場所は覚えたのでここはまた訪れることにしたい。
ということで、山あいを彷徨った今回の行程も無事終了。思っていた以上に楽しく、走りたいと思っていた道も走ることができて大満足であった。そして「また行こう」という気になったどころか、バイクで巡るにはかなりいい地域だったので、しばらくは「房総半島専門でいいかも」という気持ちだ。e-bikeを持っている人で房総まで行けるところにお住まいであればぜひ行ってみて欲しい。きっとe-bikeを満喫できるはずだ。
なお、今回の走行距離は40kmちょっとで、走り始めからアシストレベルを「HIGH」にしていて強めのアシストもそれなりに使ったが、それでもバッテリー残量の目盛りは2つ減っただけ(目盛りは5段階)なので、ROADREX 6180であれば丸1日、こんなコースを走っても電欠の心配はまったくないだろう。