e-bike試乗レビュー

愛車のグラベルロードe-bikeをトランポして初の房総サイクリングへ! 海・山・素掘り隧道などに大満足

見つけた林道を入っていった先に現れた素掘り隧道。その筋では有名なところのようなので調べてから行けば絶対に着くが、下調べなしで偶然たどり着くと驚きも感動も大きい

自転車で出かけるサイクリングは楽しいものである。そして乗るのがスポーツバイクであれば、より遠くへ、より険しいところへも行けるので、内容はさらに充実するはずだけど、現実は体力や筋力といった部分がリミッターになる。

それだけになかなか踏み込んでいけなかったスポーツバイクでのサイクリング趣味の世界だったが、そのカベを打ち破ったのがe-bike。アシストが体力、筋力の不足分をカバーしてくれるので「自転車は好きだけど……」と一歩踏み出せなかった人でも「スポーツバイクでのサイクリングを楽しむ」ことが可能になったのだ

ということで、今回はその実例ともいえるe-bike遊びに行ってきた。名付けると「e-bikeで山あいサイクリング」という感じのもので、アシストを頼りながら山あいの景色や雰囲気を楽しんで走ることが目的だ。まあ、山あいを走るので上り区間は多いけどそこはe-bike。疲れることは疲れるけど、わりと行けてしまうものである。

出かけた先は千葉県・富津市周辺。このあたりは海沿いもいいのだが、千葉らしい低山が多くあるので適度な山上りができるし、山の奥へ行くと未舗装の林道も楽しめるような感じもする。また、山あいにはのどかな風景の集落もあるなど、自転車でのんびり巡るのは楽しそうなエリアなのだ。なお、今回は気ままに走る「ぶらり感」が欲しかったので、とりあえずの行き先だけ決めてあとはノープランとした。

東京からは東京湾アクアラインを通って館山自動車道へ。そして富津竹岡ICで降りると到着。東京湾アクアラインの東京側からは約1.5時間といったところだ。

ただ、千葉もこのあたりになるとかなりのどかな地域になるので、都会のようにあちこちにパーキングがあるというものではない。だから出かけるときは駐車場がどこにあるかを事前に調べることが重要だろう。なお、今回は予約ができる駐車場サービスを利用してそこにクルマを駐めた。駐車料金は1日500円だった。

重量のあるe-bikeは輪行は現実的ではないためクルマで運ぶのが妥当だ。そのため行く先での駐車場の確保が必須。地方は時間貸しがあまりないので事前に調べておくこと。ただ、JR東日本では「B.B.BASE」という自転車をバラさずに乗り込めるサイクルトレインを両国から千葉各地へ走らせているので、それを利用する手もある
愛車のe-bikeはミヤタROADREX 6180(販売終了モデル)。アルミフレーム、アルミフォークのグラベルロードバイク。フォークに付けているのはスペアチューブなど入れたバッグ
ドライブユニットはシマノSTEPS「E6180シリーズ」。定格出力は250W、最大トルクは60Nm。スポーツバイク用パーツのトップメーカーが手掛けるユニットだけに、アシスト特性はライダーの踏みこみを適切にサポート。アシストが入っていても違和感をあまり感じないものであり、それでいてトルクが欲しいときば頼りがいあるアシストをするという絶妙なものだ
ROADREX 6180のバッテリーはシマノ製「E8014」。約418Wh(36V/11.6Ah)の大容量。2年以上使っているが劣化を全然感じない。あるe-bikeメーカーの方と話をしたときも劣化が少なく持ちも良いという話題になったバッテリーだ

まずは海岸線エリアから山側の脇道へ入ってみる

出発点はJR内房線の竹岡駅周辺だが、今回は脇道や山道を走ることだけを考えていたのでルートや目的地は決めていなかった。そこでとりあえず房総半島の先側、館山方面へ向けて脇道探しに走り出す。

海沿いの道をしばらく走ると、山に向けて脇道が何本かあったのでそれぞれ入ってみた。どの道も海岸線から少し入るだけで見える景色は一変。山あいらしい風景となり、道路幅も細くなり山道感が出る。また、路面も舗装、未舗装がおり混ざってグラベルロードバイク的に楽しい感じなのだが、残念なことにどれも途中で行き止まりとなってしまう。ちょっと上っては戻るという繰り返しだ。そこで今度は海沿いから道を探すのではなく、山あいのエリアである富津竹岡IC方面へと向かってみた。

脇道を入るとこんな光景になる。写真を撮っていると通りがかりの農家の方が挨拶してくれたので挨拶を返し、しばしe-bikeの解説タイムとなった
舗装、未舗装と路面状況は変わるが、どちらにしても路面は荒れ気味。タイヤが細いロードバイクやクロスバイクで通るのは難しいだろう
急に勾配がきつくなる区間もあるので、e-bikeのメリットが生きる
海沿いの国道から内陸の山へ向かう脇道は何本か入ったが、どれも途中で行き止まり。でも、このような景色を走ることができたので満足
地理的に海岸線→JR内房線→山という並びなので、山の奥へ進むにはJRを越えられるかがひとつのポイント。先へは行ってないけど、ここはいわゆる勝手踏切のように見えた
房総半島なので海沿いにも行ってみた
クルマでは入っていけない脇道を通るのは楽しい
海沿いの脇道。こうしたブロック塀や側溝のフタは最近見かけないのでちょっと懐かしい感じ

海岸線エリアから山あいのエリアに移動する

館山自動車道 富津竹岡ICのあたりは、田畑や集落を山が囲うような光景となる。出かけたのは平日だったので主要(そうな)な道でも滅多にクルマが通らず、風景とあわせてとてもリラックスして走ることができたが、開発して整地した場所ではなく「軽く上り下り」を繰り返す地形だ。ゆえにアシストのないペダルバイクではかなりの運動になりそうなところ。

でも、e-bikeならそんな道も平気。それどころか走っている最中に見つけた脇道(たいていが上り坂)に躊躇せず入っていける。また、グラベルロードバイクのROADREX 6180なのでそこが舗装か未舗装かどうかも気にしないのだ。

富津竹岡ICに向かう途中、海沿いの国道127号線。サイクリストも多く通る道だが、あちこちにある隧道は内部が狭いので走るのが怖い区間。127号にある隧道はできるだけクルマと絡まないようなタイミングを見計らって通過したい
JR内房線の竹岡駅にも寄ってみた。駅舎は建て替えされていてキレイ。無人駅だが飲料水の自販機はあった。内房線は朝晩を除けば1時間に1本のダイヤ
海沿いから内陸へ入る道の途中。JRの鉄橋下で撮影していたら地元の農家の方が通過。なかなか取れない2ショットが撮れた
富津竹岡IC付近はついつい入ってしまう脇道だらけで楽しいエリアだった。e-bikeでフラフラと徘徊するにはとてもいい場所
山へ入る脇道も多いが、ここもどれも行き止まる。ただ、たまにもっと先に行けそうな雰囲気の場所もあったが草が茂っていて入れない。冬に来てみたい
山へ入れる脇道はたいていがコンクリート舗装だったが、勾配がかなりきつい区間もある。ペダルバイクでは上れてもいちいち疲労が溜まるため、e-bikeのような感じであちこち巡るのは大変だと思う。疲れにくい=活動できる時間が長くなる。これもe-bikeの利点

富津竹岡ICの周辺はグラベルロードバイク的にも楽しい道が多かったが、せっかくならそれなりの距離の林道を走ってみたいと思っていたら、なんとIC出口正面に林道の看板を発見したのでさっそく入ってみた。

舗装の区間を少し走ると出てきたのが、交通量があまりなさそうな草が多く生えている道。道幅は軽自動車でいっぱいという感じだ。ただ、筆者的は「期待感あり」の道なので喜んで進む。

入ってしばらくは上り勾配の区間でもそれほどキツくない。路面は舗装だったり未舗装だったりだが、気になっていたのは草が茂った部分。山の中だけにヘビがいてもおかしくないというか「いるだろう」という感じ。ヘビは大きいと楽に1m以上の長さがあるので巻き込んだり絡みつかれたらたら大惨事だ。そのため路面をよく見て走った。

富津竹岡IC出口の前に林道入口の看板があった。クルマで通ったときは気がつかなかった
入口付近の道路はこのような感じ。山の中だけにヘビなどに注意して走行

そんなことも気をつけながら走っていると勾配が急にきつくなり、ギアをいちばん下げての走行となる。e-bikeでもけっこうツラいだけでなく急勾配ゆえにフロントの荷重が抜け気味でふらつきやすくなった。

そんな感じでどうにか上っていたら「あれぇ」となる。山側から生えている木や草が道を覆っていたのだ。そこで下りて状況を確かめると、先のほうも同じような状況であることがわかった。

強引に抜けることもできるのかもしれないが、道は細いし勾配が急でふらつきやすい。そして山の反対側はストンと落ちた地形なのでちょっとミスれば転落するだろう。行ってみたい気持ちはあるが、無事に帰ってナンボのものなのでここは引き返すことにした。

とまあこんな感じで何本か「おもしろい道」は走れたけど、なんか消化不良のところもあるのでもうちょっと周辺を巡ってみることにした。なお、ここまでで、山道を含めてそれなりの距離を走っているが、まだ全然体力も脚力も残っているのはさすがe-bikeといったところだ。

この写真で急勾配さがわかるだろうか。この坂でもシマノSTEPS「E6180シリーズ」搭載のROADREX 6180は上れるのだ
先の道は木や草が茂って進めそうもない。山の逆側は落ちるとマズい感じの高さなのでここでUターン

林道あり、素掘り隧道ありの大満足エリアに到達

林道を出てからはさらに内陸側に向けて移動し、再び脇道探索を始める。山肌に沿うような道を選んで通っていくと、前方に山越えできそうな道を見つけた。当然上り坂だが、e-bikeなので迷わずそちらに向けて走っていくと、山越えの頂上付近で隧道が出てきた。海沿いにも隧道があったがそれとは雰囲気が違う。

そして隧道に進入。湿気は感じるが空気はヒンヤリで気持ちいい。ただ、なかは照明がないのでかなり暗い。フロントライトは電池節約のため暗めの点灯にしていたのだが、それでは路面が見えないほどだ。

それほど長さのない隧道だったのですぐに走り抜けたが、照明のない山の中の隧道を走るのはちょっとこわい感じがしつつ、どこかワクワクするものだった

そこで思い出したのが富津周辺の林道には素掘りの隧道があるという情報。どうせならそこにも行ってみたくなったが、この日はノープランだったので素掘り隧道の場所は調べていなかった。まあ、スマホがあるので検索すればいいのだが、今日はそれも違う気がしたので「走っているうちにでてきたらいいな」という感じで、成り行きに任せることにした。

裏道で見かけたお宅。かなり年代物の大きな門。門前の石積みの階段もすごくいい。映画に出てきそうな感じだ
裏道を走っていると前方にガードレールが見えた。ガードレールがあるくらいの道なので山越えしているはずだとそちらに向かった。それにしても上り坂を気にせず進路を決められるe-bikeはやっぱりすごいと思う
切り通しと隧道のコンボ。しかも壁面は苔むしていていい雰囲気

隧道は山の頂上付近にあったので、それを過ぎると長い下り坂になった。下っているのは気持ちいいが「帰りはこれを上るんだよな」ということがアタマに浮かぶ。でも「まあ、いいか」と思えるのがe-bikeだ

山を越えて出た地域はさっきよりさらにのどかな感じ。T字路にあたったのでなんとなく山が近いほうへ行ってみた。そして細い脇道もあったのでそこに入ったりしていると二叉路が現れた。

その二叉は右へ行くとさらに山へ。左は集落が続いていたのでここは右へ行ってみる。軽い上りが続いた先にあったのは林道の入口。走行注意を促す看板が立てられていることから「ふだんから車両の通行があるな」と推測。そうだとすると、これまでのように「行き止まり」はなさそうなので期待して入っていった。

途中で見かけた光景。放置車両は道中けっこう見かけたがこれはすごい。どうやってあそこに駐めたのか
二叉路を山側へ向かってみる。現場はどこもこんな感じで若干見慣れていたが、写真を見返すとここもいい雰囲気だ
山への入口。道幅はここからさらに細くなるが、こういう看板があるということは「道として現役」という気がしたので期待して入ってみた

見つけた林道。路面は舗装区間もあるが大半が山道らしい未舗装。こういうところを走りたかったのだ。

前日に雨が降ったのでぬかるんでいたり水たまりもあったけど、今回の行程で出会うことを期待していた道なので、条件が悪いことを含めておおいに楽しんで走っていると急に上り勾配がきつくなる。

そこでギアを軽くして漕いでいくが、さっきまでのパターンでは勾配がきつくなった先は行き止まりとなっていた……。そんないやな感じもしつつ漕いでいくと、なんと! 素掘り隧道が目の前に現れたのだった。

「あぁ!!」と思わず声が出たくらいビックリ&うれしかった。手前でROADREX 6180を降りて隧道をマジマジ眺めると、岩をくり抜いて作った迫力とあわせて神秘的なキレイさも感じる。雨が降ったあとでまわりが濡れているもよりいい雰囲気を出しているようだ。

隧道はそれほど長くないがもちろん照明がない。ここも最初はライトを暗めの照射で入ったが、ホントに真っ暗でなにも見えず真っ直ぐ走れない状況。しかも路面は未舗装でデコボコしているし、雨か地下水で濡れていて結構滑るのだ。

そこでいったん停まって光量を切り替えたが、真っ暗の隧道内部で止まってみると外から覗いたのとはまた違った感覚。光だけでなく音もなくて静かで、空気もヒンヤリしていて独特の雰囲気だった。

なお、この林道はさらに先に行くと短い素掘り隧道が2つあるようだ。「ようだ」というのは、つまり先へ行ってないのだ。

というのもこの隧道にたどり着いたのは午後3時頃。さらに先に行くと戻ってくる頃は夕方の時間帯の山越えになるだろう。低山とはいえ山は暗くなるのも早いので、行きすぎるのはちょっとマズいと思って引き返していた。ただ、場所は覚えたのでここはまた訪れることにしたい

林道内の路面。こんな感じの道を走りたかったのでテンション上がった
序盤は高低差はあまりなくて路面が滑ることだけ注意すれば、e-bikeなら楽に走れる。ただ、落石もあるようだし、山の反対側は崖なので走行には十分な注意が必要
そして現れた素掘り隧道。キツい坂のカーブを曲がったら見えた。あると思ってなかったのでかなりビックリしたしうれしかった。この林道は山を越えた集落同士を結ぶ道路として現役のようだ

ということで、山あいを彷徨った今回の行程も無事終了。思っていた以上に楽しく、走りたいと思っていた道も走ることができて大満足であった。そして「また行こう」という気になったどころか、バイクで巡るにはかなりいい地域だったので、しばらくは「房総半島専門でいいかも」という気持ちだ。e-bikeを持っている人で房総まで行けるところにお住まいであればぜひ行ってみて欲しい。きっとe-bikeを満喫できるはずだ。

なお、今回の走行距離は40kmちょっとで、走り始めからアシストレベルを「HIGH」にしていて強めのアシストもそれなりに使ったが、それでもバッテリー残量の目盛りは2つ減っただけ(目盛りは5段階)なので、ROADREX 6180であれば丸1日、こんなコースを走っても電欠の心配はまったくないだろう。

ここからは帰り道の模様などを。これからはハーフパンツで乗る季節だが、林道に入るなら虫刺され対策や転んだときのことを考えて長ズボンやスパッツを履くほうがいい
帰り道に史跡があることに気がついた。「岩見堂やぐら」という。行ってみようとROADREX 6180を駐めて、苔むしていて歴史を感じる石積みの階段(江戸時代くらいのものらしい)を上がったが、なんだかずいぶん上るようなので途中で退散。結構走ったあとにえんえんの階段はちょっとキツイ。ただ、階段自体が年代物なので、そこを上がれただけでも価値あるかも
富津、君津あたりは湧き水が豊富とのこと。隣の市である君津には5つもの日本酒の酒蔵があるくらいだ
ノープランサイクリングなので地図の用意はない。そして帰りは来た道を戻るのだけど、山あいは似たような風景が多く、通ったかどうかあやしくなることもある。そこで目印になるものを見つけておくのだけど、これもそう。道路に広げて干してあったニンニクというのどかな感じの目印。富津産のニンニクは粒が大きくて旨みもあるという
最初の隧道があった山を上り返していると「ブーン」という音が聞こえた。なにかな? と思って横を見るとミツバチの巣箱が置いてあり、無数のミツバチが飛んでいた。道路から巣箱群まではそこそこ距離があったが、これだけの数が飛んでいると羽音は結構聞こえるものだ
帰り道に竹岡漁港にも寄ってみた。漁師さんたちの仕事終わりのタイミングだったようで漁具の手入れをしているような光景も見られた
バックパックに飲み物や食べ物を入れていったので補給は困らなかったが、最後に冷えたものを飲みたくなった。が、途中にコンビニはおろかお店がない。そこで竹岡駅に再び立ち寄って自販機で飲み物を買う。列車待ちの高齢の女性がいたので会釈すると会話になった。この日は集落でも通り過ぎるときに挨拶をもらったり、会話をする機会が多かった。のんびりのサイクリングだから経験できたことだと思う
竹岡は「竹岡式ラーメン」という名物があって、こちらは元祖といわれる人気店。帰りがけによってみたらすでに売り切れで閉店していた。筆者は竹岡式ラーメンが好きなのでこれはがっかり……
この日の行動ログ。ちょこちょこと脇道に入っているがわかる。実は最初に行ったほうの脇道はスマートウォッチを設定するのを忘れていてログが取れていない。それにクルマに戻ってからログ停止を忘れたので余計なデータも混じってしまった。⑩のICから上はクルマ移動の軌跡だ。ちなみにこれだけ走ってもバッテリーのインジケーターは5目盛りあるうち、2目盛りしか減っていない
深田昌之