e-bike試乗レビュー

【ぷーこも“夫”もe-bike沼】キャノンデールのグラベルe-bikeで初めての山へ!!

今回の主役は夫!?

e-bikeという存在に出会って1年と数カ月。「なんじゃこりゃー!!」と、とてつもない衝撃と楽しさに震えて、それから世界がものすごく広がった。夫婦で同じ趣味を共有できたら、もっともっと楽しいよなぁ……と、この楽しい沼に手招きしつつ、夫が少しずつ沼に溺れていく様子を見ては「しめしめ」と思っていた。最近では自らe-bike情報を収集しては、「これ知ってる?」なぁんて聞いてくる(笑)。

そんな夫が「キャノンデールのグラベルロードに乗ってみたいんだよねぇ」と言い出した。「ぐ、ぐらべる!?」な私。ミニベロに出会った時と同じ反応だ。何も知らなさすぎて、夫を引き込むつもりがとっくに追い抜かれておりました。「gravel(グラベル)=砂利」を意味し、砂利道やダートなどの未舗装路を楽しめるジャンルらしい。通常のロードバイクより少し太めのタイヤで、舗装路も未舗装路も視野に入れた長距離走向けのロードバイクだそう。

ある日、e-bike Watch編集部から私に連絡があった。「旦那さんがいちばん乗りたがっていたモデルが少し借りられます。旦那さんのご予定分かりますか? 一緒に林道でも遊びに行こうかと思っていまして……」と。実は昨年末に参加した伊豆のe-bike試乗会でも同じことを話していたらしい。それを覚えていてわざわざ連絡をくれたのだ。しかも「夫だけ」に。もちろん夫は、憧れのe-bikeに大興奮して「行きまーす!!」と即答。

「り、りんどう!?」なんか悔しい……。「(どんな遊びかわからないけど)私も行ってもいいですか?」と聞くと、「そうなると思ってもう1台用意しておきましたよ」との回答で安心した(笑)。夫はグラベルロード、私には別のe-bikeを用意してくれたそうだ。

キャノンデールのグラベルロードe-bike「Topstone Neo Carbon Lefty 3(トップストーン ネオ カーボン レフティ3)」(画像は公式サイトより)。価格は642,400円

カッコいい!! Leftyとは、通常ホイールを挟んで左右にあるフロントフォークが、名称どおり左だけにあるのだ。力が左右に分散されず、急な段差などにもしっかり反応するグラベルロード向けの構造らしい。機能はきちんと理解できないけれど、見た目がめっちゃカッコいい。そして、前輪が浮いているような不思議な感じ。これが夫が憧れるキャノンデールのグラベルロードかぁ。タイヤは少し太めかもしれないけれど、想像以上にゴツゴツしておらず、シュッとしたスタイルだ。

私はコラテックのe-MTB「E-POWER X VERT CX」(画像は公式サイトより)を用意してもらった。価格は437,800円

初めてのマウンテンバイクタイプを前に、私も「すごーい!! ごっつい!! カッコいい!!」とテンションが上がる。e-MTBに乗れるワクワク感はあったものの、林道って木漏れ日の入る走りやすいサイクリングロードくらいの気持ちでいた。いつも夫や編集部任せの私。「なるほどマウンテンバイク!!」とすぐに思い知ることになるのであった(笑)。

夫婦で初めての林道を走る!!

まだ少しだけシトシトと雨が残る中、上総湊港海浜公園をスタート。梅雨時で天気予報もコロコロ変わるので、雨が上がることを期待して出発。

最初の8kmは舗装路を走って目的の林道入り口を目指す。舗装路を走るには少し重たいe-MTB。初体験だからよく分からないが、きっとそうだ。日常の運動不足も感じながら、結構息を切らしながらついて行く。でも、途中から気付いてしまったのだ。

くぅー。ちぎられるぅー!! 必死についていこうとする私

運動不足だけが原因ではなかった。夫の乗るグラベルロードe-bikeがものっすごく快適で調子が良く、私のために少し抑え気味に走っているんだろうけれど、ついついペダルを回してしまうということに。背中から溢れ出るウキウキ感が憎い(笑)。途中で「そんなに快適なの?」と聞くと、興奮気味に「これは凄いよ!! イイよ!!」と答える。「凄い」という言葉でしか表現できないのか……。まぁ、感動した時に人間の語彙力が下がることには同意だ。

林道入り口に到着した頃には、すっかり雨も上がった。気温的には暑すぎず寒すぎず、サイクリング日和。私だけ息切れして、軽くバテながら水を飲んで息を整えた。これからの距離に一抹の不安を抱きながら、いざ入山!! レッツゴー!!

さて、今から山に入って行くぞー!!(ワクワク)

最初から結構な傾斜の上りで「これがe-bikeの醍醐味じゃーん!!」などと心躍る。雨上がりの山は道も濡れているし、濡れた落ち葉もいっぱい。夫は「めっちゃ安定してる!! おもしろい!!」とグラベルロードe-bikeにぞっこんだ。山に入ると、ガラッと景色が変わるのもおもしろい。山に入るまでの舗装路はアシスト領域24km/hを超える速さで走るため、上りになって、e-MTBの私はむしろラクになった。アシスト万歳!! 大好きなさすがのTurboモード万歳である(笑)。

まだまだ序の口。舗装されている林道
のどかだけど上りが続く。e-bikeだとへっちゃら

そんなスイスイ林道も束の間。砂利道に入る。「林道ってこんな道なのか!!」と初めて知った。グラベルロードe-bikeの本領発揮である。夫は砂利だらけの凸凹道を避けることなく、むしろ喜んでゴリゴリ走って行く。「なんだこれー!!」とめっちゃくちゃ楽しそう。

雨上がりの林道はなかなかハードルが高そう……
グラベルロードなら砂利道でも余裕で快適

それはe-MTBの私も一緒だった。雨上がりで結構ぬかるんでいて、ハンドルを持っていかれそうになる。「うわっ!!」とびっくりして声を出す。悪路でもe-MTBはペダルを回すことで上れるから、「ブレーキかけて足をつく前にペダルを回す」と教えてもらったことを思い出して、実際にペダルを回すと倒れずに行ける。持ち直してくれるという表現かもしれない。

めっちゃくちゃ楽しくて、はしゃぎながら走る

でも、MTBのタイヤは太いから理解できるのだけれど、グラベルロードのタイヤはそこまで極太ではない。その中での安定感がとても不思議だ。ぐんぐん上って行くと、あふれる自然と全力で戯れている感じが楽しくて楽しくて、キャッキャッと子供のようにはしゃいでしまう。

下りは下りで、砂利とぬかるみで転げ落ちそうなところを攻略して行く感じ。乗馬のように軽くお尻を浮かせながら、腕と膝を使ってコントロールして走る。スリリングでものっすごく楽しい!! どんなアスレチック遊具なんかよりもおもしろい!! 初めての山は「うわー!! きゃー!! 楽しいー!!」とはしゃいでいると、あっという間に終わってしまった。

こんな山の中に石碑が。大正時代に開通した道だったようだ
あっという間に泥まみれの車体
もちろん私たちの体もリュックも泥まみれ

山を走った後は、海のご当地グルメを堪能

「またしばらく舗装路を走って次の林道へ行きまーす」ということで、次の山を目指して走る。途中で大好き道の駅を発見したので、少しコースを逸れて立ち寄ってみる。案内所にはたくさんの観光パンフレットが置いてあったけれど、サイクリングMAPも充実していた。自転車で走るのが楽しいエリアなんだろうけれど、サイクリング人気を感じて嬉しい。次に遊びに来た時の参考用にパンフレットを頂く。

すっかり雨は上がって青空が広がる。乾いた泥を払って、次の林道を目指して出発。
どこに行ってもサイクルスタンドがあって安心便利

すでにお腹が空いていたのと、次の山に入ると2時間以上食事できないそうで、早めのランチにすることに。とはいえ、まだご当地メニューを食べられそうなお店は開店前。せっかくだから美味しいランチを食べたーい!! と騒いでいたら、観光パンフレットを見てみると「さっき通り過ぎたところのお店はもう空いているよ」と、すぐに引き返して保田漁協直営の「食事処ばんや」へ向かった。

漁協組合直営のお店でランチすることに

まだ早い時間なのにお客さんが多くて、期待が高まる!! 「港町に来て山で遊んでるのおもしろいね」と夫と笑いながら、海も山もある鋸南町というエリアの魅力を感じる。漁港ならではのメニューも豊富で、悩みに悩んで、私は小エビとイカのかき揚げ丼、夫は海鮮丼を頂いた。ボリューム満点で美味しかった!! これでまたいくらでも走れちゃうぞー!!

アジのたたきで作ったさんが焼き。食べてみたかったご当地グルメ

エネルギーをチャージして次の山へ

お腹も満たされたところで、次の山を目指して走り出す。e-MTBで舗装路をアシスト領域ギリギリかオーバーの速度で走るのは、私にはやっぱり厳しい。ゼーゼーハーハーの私とは対照的に、夫のウキウキ走行は止まらない。重ためのギアのはずなのにスイーッスイーッと進んで行く。私は軽いギアでクルクルクルクルとペダルを回して、ハムスター気分で必死(笑)。「早く山に着きたい」なんて私が考えることが不思議でおもしろい。e-bikeじゃなければ絶対に考えないだろうし(笑)。

地味にずっと続く上り坂。夫のスピードについていくのが一番きつい
相変わらず快走。夫の疲れはゼロ

ようやく上り切ったら、今度は長い長い下り坂。「気持ちいいー!! 上り坂のご褒美だー!!」と気分良く下り切ると、「あれ? ちょっと止まって」と夫の様子がおかしい。スマホで地図を確認し始めると、「アハハ、かなり行き過ぎたみたい」とテヘペロしている(笑)。あの気持ち良かった長い坂をまた上るのかー!? と思いながら引き返す。たぶん往復5km以上の上りが追加されたけれど、笑い話にできるのがe-bikeだ。ふつうの自転車なら険悪な雰囲気になっていたに違いない(笑)。

無事に林道の入り口に到着すると、すっかり天気も回復し暑いくらい。山の中は木陰も多く、そこまで体感温度は高くないけれど、たっぷり汗をかいている。気温なのか湿気なのか分からなくなってくる。

砂利道がこんなに楽しいとは思わなかった

2つ目の山にして、e-MTBで林道を走るコツを掴んだ気がする。ほかのe-bikeも同じだけれど頑張ってペダルを回し続けるのではなく、上りで効率良くアシストを発揮してもらえるようになった。「ペダルを回す時に遊びを持たせて」から踏み込むと、再びグイッとアシストがかかる。私なりに独自に編み出した走り方が「5回ペダルを回して1回休んでグイッと漕ぐ」を繰り返すと、どんな坂でも超絶余裕で上って行ける。きっと正しい乗り方でははないのだろうけど(笑)、足を少し休められるしアシストを実感できる。

山をグイグイ上って行くよー!!
ぬかるみ後の舗装路は安心しちゃうけど注意が必要

砂利道楽しいー!! どこまでも上りたーい!! とグイグイ上って行く。ぬかるみがひどい時は腕の力でハンドルを制御しながら、林道を駆け抜けていく。ちょっと開けたところに出ると、そこには大自然の雄大な景色が広がっている。2つ目の山をたっぷり上っているのに、楽しさが勝って、まったく疲れを感じない。車体だけでなく、お互い全身泥まみれのひどい姿なのに「林道最高だね!!」と自然と笑顔になるのです。

空の青と木々の緑。最高の休日だ
山の上からは海も見える。なんとも素敵な場所だ
林道ライドは最高のアドベンチャー
泥まみれになっても山頂の気持ち良さは格別

再びスタート時点の駐車場に戻って休憩。私がバテることもなく結構良いペースで走れたようで、まだ14時で時間に余裕がある。楽しくて楽しくて、アドレナリンがバンバン出ている感じで、上り中心ですでに約50km走っているのに「いくつでも行けますよー!!」な気持ち(笑)。「私って意外と体力あるのかも?」と勘違いしそうなのもe-bikeのパワフルなアシスト機能のおかげ。夫は「さっきの山はさすがにアシストモードをSportにしちゃった」なんて言うから体力差も感じさせられたけれど。

一旦休憩。景色も最高!!

今回はどちらの車体もボッシュ製のドライブユニット「Performance Line CX」を搭載しているけれど、アシストモードは「Eco<Tour<Sport<Turbo」という強さになっている。私はほぼMAXのTurboモードを使っていて、夫はだいたいEcoかTour、上りがキツい時だけSportモードを使っていたらしい。

3つ目の最後の山へ。そういえばバッテリー残量は?

3つ目となる最後の山は傾斜も道の悪さも1番だった。「あわわわわっあはっはー」と、慌てた声と笑い超えが一緒になって止まらなくなる(笑)。一度止まってしまうと、漕ぎ出せなくなりそうなぬかるみの道が続くので、写真を撮ろうと考える余裕はなかった(笑)。

何度も転びそうになりながらグイグイと進んで行く。登頂した時は、達成感と気持ち良い景色、そしてそれなりの疲れで寝転びたい衝動に駆られた。「すっごい道だったね。このe-bikeすげー!! 楽しぃいいい!!」と夫も大興奮していた。「では、そろそろ帰りますか」と、山道を抜けて舗装路を気持ち良くダウンヒルしながら、「あぁ、終わってしまうのかぁ」と、少しだけ寂しい気持ちに。いや、もう1本は体力的にもバッテリー的にも無理だけど(笑)。

実は最後の山の途中でバッテリー残量が1目盛りになっていた。フル充電状態でスタートしたけれど、ほとんどTurboモードで走り続けていたので、いつ空っぽになるかビクビクしていた。ゴールした時には限りなくゼロに近かったのではないかと思う。危なかったなぁ!! いや、むしろあんなにTurboモードのフルアシストで80km走れちゃうのがすごいことなのかも!!

走りまくって完全に泥だらけに。そんな姿もカッコいい!!
ボッシュ製ドライブユニット「Performance Line CX」は泥だらけになりながら、たっぷりアシストしてくれました

まとめ

たっぷり走って大満足の1日を過ごせた。閉園時間間近でマザー牧場のソフトクリームを食べられなかったのは少し残念だったけれど、戻って来てコンビニのご褒美ソフトクリームがべらぼうに美味しく感じた。その隣で「ずっと乗ってみたかったけど、一度乗ってしまったら、やっぱりこれが欲しくなるー!!」と夫が未だに大興奮している。あまりの最高の走りにキャノンデールのTopstone Neo Carbon Lefty 3への想いがさらに募ったようだ。乗ってもいない私まで、ものすごく気になり始めた(笑)。

ご褒美のソフトクリームが染み渡る

私は標高差1,300mの走行距離80kmの中で「林道楽しいぃー!!」と、スリリングに凸凹進んでいく山道の楽しさに完全に虜となった。こんな楽しい遊びがあるのか!! 林道ライドはとにかく笑って走って楽しかった。まさに大人の泥んこ遊びだと思う。そして、ふつうの自転車では行けない世界に連れて行ってくれるe-bikeにあらためて感動。新たな楽しみにガッツリと出会ってしまい、また山の頂上で「楽しいー!!!」と大声で叫びたい気持ちなのであります。

よく走って、よく上り、よく下りました
徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。