そこが知りたい家電の新技術

日本未投入がもったいない! 進化を続ける韓国LGのIoT家電たち

 LGエレクトロニクスが手がけるホームクリーニング機「LG styler(スタイラー)」。スチームと振動機能を備え、洗濯しにくいジャケットやコートなどの衣類も、本体に掛けておくだけで簡単にシワ取りや脱臭をしてくれるという画期的な製品だ。

ホームクリーニング機「LG styler」Wi-Fi搭載モデル

 同社は先日、LG stylerのWi-Fi搭載モデルを日本投入することを発表した。Wi-Fi搭載、というと“外出先からスマートフォンで操作できる”、といった機能がまず思い浮かぶが、LG stylerはそれだけでは終わらない。本体に搭載されていないコースもアプリを通じてダウンロードでき、素材に合わせた細かいケアが可能になるのだ。常に機能をアップデートでき、さらなる付加価値を与える同製品は、IoTの可能性を感じさせてくれる。

 LG styler以外にも、同社が展開するIoT家電はさまざま。音声認識技術を備えたスマートスピーカーはもちろん、それらと連携する家電製品も既に多く販売している。LG stylerについて韓国で取材をした際に、同社のIoT製品や取り組みについても話を伺ったのでご紹介したい。

日本投入を発表したWi-Fi搭載モデル。ハーフミラー採用で姿見としても使える
スマホから操作できるほか、アプリからさまざまなコースをダウンロードできる
LGエレクトロニクスの韓国オフィスを訪ね、LG stylerやIoT家電の取り組みについて話を聞いた

アウトドアウェアとコラボ、NFCタグを読み取ってコースをダウンロード

 まず、LG stylerのWi-Fiモデルだが、韓国では既に発売されており、異業種コラボなどの展開も見せている。1973年に韓国で誕生した人気アウトドアブランド「BLACK YAK(ブラック ヤク)」とは、LG stylerと連携したスマートウェアを共同開発。

アウトドアブランド「BLACK YAK ヤンジェ店」。人気俳優、イ・スンギがブランドモデルを務める

 同店では、ゴアテックスやダウンなど、洗濯しにくい素材のアウトドアウェアにNFCタグを組み込み、LG stylerと連携できる衣類を販売。NFCタグをLG stylerアプリで読み取ると、その衣類に合った最適なコースが表示され、Wi-Fiを通じて本体にダウンロードされる。

 LG styler自体にはコートやニットなどに適したコースが始めから備えられているが、ダウンやゴアテックス向けのコースは搭載されていない。スマートフォンからダウンロードすることによって、その素材に合ったコースで運転がスタートし、最適な衣類ケアができるという。コース内容の違いは、スチーム温度や運転時間などで、繊細な素材の衣類も傷めずに、シワ取りや脱臭を可能としている。

店内にはLG stylerを設置。韓国で人気のアウトドアブランドで、登山服では国内1位の売上を誇っているという
NFCタグを備えたゴアテックス素材のアウトドアウェア
タグをスマートフォンで読み取る
その衣類に合ったコースが表示される
衣類を本体に入れて運転スタート

 ゴアテックス製の登山服などは韓国で普段着としても用いられており、今回の異業種コラボは、BLACK YAK側からの提案で実現したという。

 BLACK YAK 商品企画部 課長のチョ・カンニョン氏は、LG stylerとスマートウェアの連携について次のように語った。

 「ソウルは山に囲まれた地形で、繁華街の近くにも山があり、日常的に登山をする人が多くいます。また、漢江(ハンガン)という大きな川も中心地にあり、川沿いでランニングやサイクリングを楽しむ人も多いので、登山服やアウトドアウェアを普段着にする人もたくさんいます。その中でBLACK YAKは、アウトドアウェアながらも、日常的に着れるデザインを取り入れ、人気を得ています。しかし、ダウンやゴアテックスといった素材は洗濯しにくく、LG stylerに入れてもユーザーはどのコースを選べば良いか分かりません。そういった素材の衣類にも、専用コースを用意することで、適切なケアができるようになります」

BLACK YAK 商品企画部 課長のチョ・カンニョン氏
登山服などのアウトドアウェアも日常的に着れるデザインを採用している
女性用アウトドアウェアや子ども用も数多く取り揃えていた

 BLACK YAKで販売するゴアテックス製の衣類には、すべてLG styler用のNFCタグを搭載。このほか、寒さが厳しいソウルで着用する人が多いダウンにも備えられている。なお、BLACK YAK店内にもLG stylerが設置されており、全310店中150店舗に導入しているという。

 「アウトドアウェアにNFCタグを採用したのは、単に売上アップを図ったからではありません。重要なのは、衣類メーカーがスマート機能を始めるということです。新しい試みをアピールして、ブランドイメージをアップさせたいと考えています」(チョ・カンニョン氏)

白物家電はすべてIoT化、スマートスピーカーで通訳機能も

 LG styler以外にも、同社はさまざまな家電製品にスマートフォンとの連携機能を搭載。2018年以降に発売する白物家電は、ミドルクラス、ハイエンドクラス問わず、すべてIoT化を進めているという。「LG Smart ThinQ」というアプリを経由して、スマホ操作を可能とする。

 スマートスピーカー「Smart ThinQ Hub(スマートシンク ハブ)」も展開しており、同社の洗濯機や冷蔵庫、ロボット掃除機、エアコンなどが音声操作に対応。はじめに「ハイ、LG」と付けて話しかけると、家電の操作が可能になる。

 音声認識には、NAVERのAIプラットフォーム「Clova」を採用。通訳機能も備え、日・中・英・韓の4カ国語に対応する。Smart ThinQ Hubの価格は40万ウォン、日本円にして約4万円で販売されている。

スマートスピーカー「Smart ThinQ Hub」。40万ウォン(約4万円)で販売されている
スモークセンサーや一酸化炭素センサーなど、各種IoTアクセサリーをラインナップ
スマートスピーカーの音声操作でロボット掃除機の運転をスタートしてもらった。通訳機能も備える

最新家電がズラリ! 身長が低い人も使いやすいスティック掃除機に、美白できる高級美顔器など

 今回の韓国取材では、LGエレクトロニクスが運営する家電量販店「LGベストショップ」にも伺った。家電量販店なので既に販売されている製品が並んでおり、どれも特徴的な機能を持っている。その中で、印象的だったものをご紹介したい。

ソウル・カンナムにある家電量販店「LGベストショップ」
パイプの長さを身長に合わせて調節できるスティック掃除機

 コードレススティッククリーナー「LG コードゼロ A9」は、パイプの長さを変えられ、身長が低い女性も、身長が高い男性も、誰にでも使いやすくした点が特徴。現在、韓国国内では、ダイソンのコードレススティッククリーナーのシェアを追い抜くほど人気だという。

 充電スタンドも付属し、アタッチメントも収納可能。スティッククリーナーは、壁に釘を挿して取り付ける収納ホルダーが付属するモデルが多いが、壁に穴を開けたくないというユーザーの声は多く、充電スタンドを付属したとしている。

コードレススティッククリーナー「LG コードゼロ A9」
パイプの長さを変えられ、身長に合わせて調節できる

 ゴミ捨て時にも工夫が施されている。ダストカップ内のゴミを捨てる際、すき間ノズルをダストカップ内に引っ掛けられる機構を採用。これにより、絡まりやすいホコリや髪の毛がスムースに排出され、ホコリやハウスダストに触ることなくゴミ捨てできるという。バッテリーも着脱式で、充電時はスタンドに装着する。2つのバッテリーを連続して使えば、運転時間も倍にすることが可能。

 日本での販売は未定だが、担当者によれば検討中だという。なお、韓国での価格は99万ウォン、日本円で約10万円だ

バッテリーは着脱式で、スタンドで充電できる
歩いた分だけ本体も進む、センサー搭載のコードレスキャニスター掃除機

 キャニスター式の掃除機も、コードレスタイプを採用している。面白いのは、ハンドルにセンサーを備え、手元の動きによって本体の動きも変わること。ハンドル部と本体距離が一定を保たれるため、掃除中に本体がひっくり返ったり、体にぶつかったりしないという特徴を持っている。家具とも衝突しないため傷つける心配なく掃除ができるのだ。

 実際に動かしてみると、自分が歩いた分だけ本体も進むため、後ろをくっついてくるペットみたいで可愛い。家具や家電もしっかり検知しており、絶妙にぶつからない。取り回しがよく、ストレスなく掃除ができそうだ。

コードレスキャニスター掃除機。ぶつからない距離で、後ろをついてくる
家具にもぶつからない
ハンドルにセンサーを備え、手元の動きによって本体の動きも制御されている
ながらスキンケアができるマスク型美顔器

 マスクのような美顔器も目を引いた。顔に装着するとLEDが点灯し、美白効果を促すという。これまでにもマスク型の美顔器はあったが、本機の特徴は視界を遮らない点。目元がゴーグルのようになっており、スマホやテレビを見ながらスキンケアができるという。

マスクのような美顔器。LEDで美白効果を促す
目元がゴーグルのようになっていて、視界を遮らない

 ほかにも、ドラムを2つ搭載し、色物を分け洗いできる洗濯乾燥機「ツインウォッシュ」や、ノックするだけで庫内が見える冷蔵庫など、独特ながらも機能的な製品がズラリと並んでいた。

 白物家電事業において、LGエレクトロニクスが日本で展開するのはLG stylerのみ。今回見せてもらった製品はどれもユニークで、日本で販売されていないのがもったいなく感じるほどだった。今後はぜひ日本での活躍も期待したい。

上下にドラムを搭載した洗濯乾燥機「ツインウォッシュ」
上部はタオル、下部は靴下など“分け洗い”ができる
大型の冷凍冷蔵庫。容量800L越えも珍しくない
ドア右側はノックすると庫内が見える
小窓を備え、少量の食材を置いておける。ドアをすべて開ける必要なく、水や子供のおやつなど、ちょっとしたものを取り出したいときに便利としている

西村 夢音