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アレクサ連携も強化するLG「SmartThinQ」対応のスマート家電
2017年9月6日 07:00
LGエレクトロニクス(以下:LG)はスマート家電やIoTデバイスを、筆者が知る限り、今から3年ぐらい前からIFAで積極的に紹介してきたブランドだ。オープン性をコンセプトに掲げる独自のプラットフォーム「SmartThinQ(スマートシンク)」につながる家電には既に多くのラインナップがある。その中核に位置づけられるのが「SmartThinQ Hub」だ。
竹筒のような円筒のてっぺんを斜めに切ったようなデザインの「SmartThinQ Hub」は、筆者の記憶が正しければ一昨年ぐらいからIFAでお披露目されている製品だが、その使命のひとつにLGのスマート家電やSmartThinQのプラットフォームにつながるIoTデバイスを音声コントロールで動かすことがある。本体にはスピーカーが搭載されていて、音楽ストリーミングの再生にも対応している。つまり、LG独自のAIアシスタントを乗せた、今で言うところの“スマートスピーカー”なのだ。
韓国では既にLGのスマート家電とともに発売されている製品で、価格は日本円で4万円ほど。天面にカラー表示の液晶がついていて、音声操作に対する反応が視覚的に確かめられたり、時計や天気、ニュースなどを表示することもできる。
LGのスタッフによると、現在SmartThinQ Hubは韓国語による音声オペレーションにしか対応していない。だが、Amazon Alexaのエコシステムに組み込むことができるため、本機をEchoやEcho Dotなどアマゾンのスマートスピーカーにつないで英語で動かすこともできるようになったのだという。会場ではそのデモンストレーションも行なっていた。
同時に最新のスマート家電についてはAmazon Alexa対応も進めているようで、Echoから直接操作できる環境も広がりつつあるようだ。
一方ではさらにSmartThinQ Hubの発展形として、AIをより視覚的に表現するためのロボット型のアシスタントも開発を進めている。今年のIFAにも実機を展示していたが、現状のステータスは“開発中のコンセプトモデル”なので、ブースで実際のオペレーションを見せることまではしていなかった。今後Amazon AlexaやGoogle Homeを搭載するスマートスピーカーが本当にブレイクすれば、ロボットタイプのAIアシスタントはそれと少し異なる進化の方向性を模索しなければならないかもしれない。
LGのスマートホームは、その中心をSmartThinQ HubやAlexaを搭載するスマートスピーカーだけでなく、リビングのテレビ、キッチンの冷蔵庫などを中心に据えることもできる、柔軟なスタイルを提案できるところが総合家電メーカーならではの強み。
例えば最新の有機ELテレビは、独自のWebOSをベースにするプラットフォームの中にもうスマート家電のハブとして機能するアプリが組み込まれており、リモコンからの音声操作、あるいはAlexa搭載のスマートスピーカーにつないでアプリを起動させ、家庭内のスマート家電、IoTデバイスを声で動かしながら管理ができる。
キッチンのコントロールセンターに置かれるのはスマート冷蔵庫の上位機種「InstaView Door-in-Door(以下:InstaView)」シリーズだ。フレンチドアの片側が透過型のタッチ液晶ディスプレイになっていて、画面をノックすると起動。音声、またはアイコンをタップしてタブレット、あるいはスマホ感覚でホームネットワークにつながっている機器を操作できる。なお、スマートテレビにスマート冷蔵庫、SmartThinQ Hubも含めて、これらのスマート機能は商品を買ったユーザーであれば、LGが提供するクラウドサービスを無料で使えるようになるのが特徴だ。
OSにWindows 10を搭載するモデルは韓国で販売がスタートしている。AIボイスアシスタントはCortanaを使うか、あるいは韓国語に対応しているLG Voiceの両方が選択できる。冷蔵庫本体にスピーカーも内蔵されているので、単体でNetflixを視聴したり、音楽ストリーミングサービスをBGMとして流しながらキッチンでリラックスした時間を過ごせる。LGのWebOSを搭載するモデルもまもなく北米向け商品としてローンチされる予定だ。
LGでは、SmartThinQをスマート家電のためのオープンなプラットフォームとしていくために、他社製品とのアライアンスにも力を入れていくとしている。
昨年に米国でスマート・IoT家電の普及を目的として立ち上がった業界団体オープン・コネクティビティー・ファンデーション(OCF)の規格「OCF 1.3」に準拠したInstaViewシリーズは、LGが自社で開発するセンサー内蔵のIoTデバイスだけでなく、他社のOCF規格をサポートするサーモスタッドやセキュリティカメラ、煙探知機などを操作することもできる。
これにAmazon Alexaに対応するハード機器やサービスもつながってくれば、かなり広範に渡るコネクティビティが実現されることになるだろう。
ただ、これはLGの製品に限ったことではないが、それぞれ異なるプラットフォームにつながることのできるスマート家電やIoT機器の操作を統合的に管理できるユーザーインターフェースを完成させることは、スマートホームの普及にとって急務であることも見えてきた。
例えばある機能はスマートスピーカーから、別の機能はスマート冷蔵庫からでないと呼び出して動かすことができないといった仕立てではユーザー体験が損なわれてしまい、導入にも二の足を踏んでしまうだろう。スマート家電による体験の未来図を、焦らずユーザー目線で描けたプレーヤーがこれからの競争を勝ち抜いてリードしていくのではないだろうか。