暮らし

【不調の薬膳17】栄養は足りていても「冷えや肩凝り」血流を整える5食材

涼しい日が増えて過ごしやすくなった反面、これから気温が下がると冷えが気になる方がいるかもしれません。「冷えや凝り」が辛いのは、血流の滞りも一因なので、薬膳で改善していける食材をご紹介しますね。冷え性では「虚(きょ)証」傾向にあって痩せ気味の方が多く、原因は「血」や「気」が不足した「血虚(けっきょ)」「気虚(ききょ)」の場合が多いのです。一方で、栄養素の「血」が足りていても「血」が滞る「血瘀(けつお)」などでは、「冷えや凝り」が出ることがあるため、今回は体に「血」を巡らせる食材を中心にご紹介していきますね!

 

驚きの「シャケ(鮭)」パワー、「血瘀」改善には辛味も

「シャケ(鮭)」は血流を促す作用に優れるうえ、お子さんが喜ぶホイル焼き、お鍋、スープ、ムニエルと、調理のアレンジが豊富なので便利な食材です。「血瘀」を改善する「辛」味の「ネギ類」や「ニンニク」との相性が良いのも特徴ですよ。EPA、DHAといった不飽和脂肪酸を含むので、血の流れを良くして血栓や動脈硬化を防いだり、脳の機能を向上させる作用も。薬膳でのシャケは「気」を助けて滋養を補うので、体を温めて(「温性」)心身ともに元気になれますよ。また「血瘀」では、月経で血塊(けっかい・血のかたまり)が出る症状があるので、心あたりのある方は血流を改善していきましょう!

 

脂質や糖質をしっかり変換して体スッキリ「カリフラワー」

薬膳で「カリフワラー」は「気」を補いますが、さらに熱しても壊れにくい「ビタミンC」なども含むので、血液を浄化してくれます。「食物繊維」や「カリウム」は、便秘や水太りも改善していきますよ。腸内環境が悪化すると健康に良くないだけでなく、体内循環が滞って老化の原因にもなってしまうので、カリフワラーのパワーで体を楽にしていきましょう。また含まれる「ビタミンB1」が糖質の代謝を促し、「ビタミンB2」が脂質をエネルギーに変換するので、体バランスが調いやすい食材です。さらに、炭水化物の代わりに食べると糖質制限もできるため、ダイエット食としても人気がありますよ。味付けにお酢(穀物酢・米酢、「温性」)を加えれば血液がサラサラに、下茹でで使うとカリフワラーの白さを維持できて一石二鳥!カリフラワーの調理では温野菜や、茹でたカボチャと一緒にミキサーにかけスープするなど、油をあまり使わないことがポイントなんです。「血」を補いたいときは、同種の「ブロッコリー」を芯まで使ってみてくださいね!

 

血流を促す「レンコン」で気持ちも楽に!

「レンコン」は「五行」で考えると五臓の「心」に働きかける野菜で、血流を良くする作用があります。また薬膳では、精神的な活動は「心」が司る(つかさどる)と考えるので、気持ちに負荷がかかって体が締まった感じがしたり、胃腸の弱りがあるときにもおすすめします。レンコン料理というと、和風の味付けで煮物にすることが多いですが、すりおろしを使ったひき肉団子を煮ても美味で、とろみのある煮物や丼ものとの相性も良いですよ。苦手でなければ「黒キクラゲ」や「ミョウガ」と和えると血流を促し、ミョウガならスッキリした香りで気持ちが爽やかになりますのでお試しを!

 

イワシ、サバ…「青魚」で「血」を補い血流改善

青魚がもつ血中コレステロール値や中性脂肪を下げる作用は、血栓の予防にもなるので生活習慣病やガンを防ぐ食材としてよく取り上げられていますね。薬膳で「イワシ」や「サバ」などの青魚は、「平性」や「温性」が多いので体を冷やす心配はなく、「気」を補って体にエネルギーを巡らせるほか、肌ツヤも良くしてくれます。魚によって脂分が多い場合は、相性の良い「辛」味の「シソ」「ショウガ」「ネギ」「コショウ」「サンショウ」などと一緒に調理するとさっぱり仕上げられ、「血」を巡らせて体の凝りを和らげます。さらに「梅」や「漬け物(酢)」などの「酸」味を付け合わせにすると、血をきれいにしてくれますよ! 

 

スープに、お茶に!「棗(なつめ)」で必要な「血」を補う

緊張を和らげる食材(【不調の薬膳10】)でご紹介した「棗(なつめ)」は、「温性」食材なので体を温めるほか、造血作用もあります。アジア料理が好きな方は、韓国料理の参鶏湯(サムゲタン)に入っている2~3cmほどの赤い実を見たことがあるかと思いますが、それが棗です。小さめですが効果がたくさんあり、胃腸にやさしく消化を促すので、ほかの食材と一緒に食べるのにも適しますよ。食べやすいように甘く味付けた「蜜棗(みつなつめ)」がありますが、実は棗自体にも甘みがあり、スープやお茶へ入れると柔らかくなって食べやすくなり、手軽に摂ることができます。肉類を使ったスープなら「長ネギ」や「ショウガ」との相性が良く、お茶なら「シナモン」を加えると血の巡りが良くなります。

 

食べ物、ミント、ストレッチ……いろいろ試して体を楽に

体の「冷えや凝り」にはさまざまな原因がありますが、食べ物の組み合わせ(「五味調和」)で「血」の滞りを改善していくと体が楽になってきます。体が緊張して締まっても痛みや不快感を抱えるので、「気持ちがどんより~」な方は「フレッシュミント」などのハーブもおすすめ。

ミントなら、ベランダでプランター栽培もできますね。たびたびご紹介している「シソ」に始まり、香りの高い野菜や植物は、その香りが直接脳に届き、リラックス効果を生むとされます。ミントも同じで、葉そのものに直接お湯を注いでお茶にしてもいいですし、そのまま香りを楽しむこともできますね。さらに時間があったらストレッチやヨガなど簡単にできるエクササイズも交えて、血流を良くしながら体を楽にしていきましょう!

 

 

A's Pumpkin(薬膳マイスター)

日々健やかに過ごしたいと考える、おばちゃまライターです。
薬膳マイスター資格を取得、自然由来食材のエネルギーをよりよく活かすことで、ひとりでも多くの方が健やかに過ごせるお手伝いが出来ればと思っております。国際薬膳食育師3級。