藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム
増えゆく速乾繊維製品の静電気や悪臭を抑える「レノア本格消臭 フレッシュグリーンの香り」
2019年2月26日 06:00
主婦になり家事を主に担い始めて、今年で20年になる。この年月、長きにわたり、「洗濯」という家事作業における「柔軟剤」利用の意義が、私には正直よく分からなかった。
テレビCMなどで謳われる、あの「ふんわりタオル」の価値も、よく分からなかった。あまり大きな声でいうのはなぜか憚られるのだが、私は「ごわごわのタオル」を幼い頃から嗜好していたからだ。
ナイロンタオルもかくやという程かたく屹立したパイルの硬質が、顔面の皮膚を摩擦する刺激には、なぞの充実感がある。
あわせて洗濯には絶対に「粉石けん」だと思っていた、エコライフの高みを志した短からぬ期間において、私は「柔軟剤」というものはある種の社会毒のような認識すら抱いていたのだった。
そもそも、「柔軟剤」とは、いったい何なのか?
柔軟剤は「柔軟仕上げ剤」というのが正しい。洗濯物(衣類)の繊維に対し、文字通り「柔軟」性を与えるために使用されるものだ。
その主成分は、「陽イオン(カチオン)界面活性剤」と呼ばれるもので、洗濯物の濯ぎ水にこの柔軟剤を入れると、衣類の繊維にくっつく。
「界面活性剤」は、イメージとしてはマッチ棒のような形状の分子構造をしている。マッチの頭部分は「親水基」という水に馴染みやすい部分、軸の方は油に馴染みやすい「親油基」と呼ばれる部分だ。
柔軟剤であるところの「陽イオン界面活性剤」の「親水基」は、水に溶けたときプラスの電荷をもち、こちらが「繊維にくっつく」側となる。
すると「親油基」が繊維の外側(表面)にずらりと居並ぶことになり、そのことにより繊維のすべりは良く、しっとりやわらかく感じられるようになるというしくみになっている。
「陽イオン界面活性剤」の性質・効果としては、前述の柔軟性のほか、帯電・静電気防止効果がある。また柔軟性から派生して、衣類のしわや毛玉、毛羽立ちの予防にも役立つ。
加えて、「陽イオン界面活性剤」自体には、詳細なメカニズムはまだ解明されていないものの抗菌・殺菌効果があるのが明らかになっている。
ここから、洗濯物内での細菌繁殖がその原因の一つと言われる「部屋干し臭」対策としての抗菌効果の進展、香り付けといった方向の新商品開発ブームがあり、過剰な「柔軟剤」使用に伴う「香害」といった社会問題として取り上げられだしたのが2013年ごろのことだ。
五年ひと昔。最近では一時期ほどの「香り押し」な商品群は鳴りを潜めた。ただ、世の中のライフスタイルが多様化していく中で、「洗濯」という家事行動の多様化もともなわれ、「部屋干し(による洗濯物臭の発生の忌避)」といった切実なニーズと切り離しがたい「異臭対策」、またほどほどの「香り付け」への需要は、どうやら潰えていないどころかますます高まっている印象である。
かくいう背景の前、市場にあるさまざまな商品を使い比べるライフワークの中で、個人的に筆者が「悪臭を気にならなくなる程度に減らすかマスキングしつつ、それ自体の香りはさほど主張せず」と認識し、自らの家庭内でも使用が支持された商品が「レノア本格消臭 フレッシュグリーンの香り」なのである。残念ながら同じシリーズでも他の香りはリピートできなかった。香りに対しての好みというものは、なかなか繊細なものであると思う。
メーカー名 | P&Gジャパン |
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製品名 | レノア本格消臭 フレッシュグリーンの香り |
実売価格 | 778円 |
個人的にあの「ふんわりタオル」への希求はないものの、近年、機能性の高い化学繊維の下着類やスポーツウエアが身の回りに増えた。中高生の体操着たるTシャツも、今や速乾繊維製品が主だ。これらの洗濯洗浄にあたり、残念ながら「自然」を謳う洗剤類はあまり相性が良くないというのが生活実感にある。
洗剤での洗浄に加え濯ぎでもだめ押しの殺菌効果を及ぼし、むやみな静電気発生を抑えつつ汗や皮脂由来の悪臭を抑える効果をもつ「柔軟剤」の使用は、私にとって「社会毒」などではないが「必要悪」の一種だという認識はまだどこかに存在している。
絶対必要、多量に使用するものではないが、いまこのようなライフスタイルで、このような家族構成で、このような衣類のラインナップで暮らしている以上、「ここぞ」と「柔軟剤」の活躍する局面もまた避けがたくある……。
毎月この柔軟剤の詰め替えを買い次ぎながら、「これが生活というものなんだ」と独りごちている今日この頃なのである。