藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

丈夫でコストパフォーマンスが高い、不織布タイプのクッキングペーパー

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です

 「ていねいな暮らし」に、憧れていた時代があった。憧れるだけでなく、いくらか手を出してもいた。

 たとえば今くらいの時期には、梅仕事を行ない、好物のらっきょうも漬ける、とか。ベランダで育てたハーブで、毎朝ハーブティーを淹れる、とか。そのハーブティーを使って、自家製の化粧水を作る、とか。

 洗濯には無添加の石けんを必ず使い、洗濯機に依存せずなるべく洗濯板での手洗いを心がける、とか。赤ちゃんの衣類や布おむつは琺瑯のたらいに張った石けん水と酸素系漂白剤でまめに煮洗いする、とか。同じようにキッチンのふきんも、まめに煮洗いできれいにする、とか。……まめに、煮洗い……(遠い目)。

 そういう時代があった。はるか昔のことだ。その頃目の敵にしていた、というかいちいち使うことに深い罪悪感を伴っていたものに「ティッシュ」があったことは以前ここでも書いたが、私にとってはより罪深き紙があって、それが「キッチンペーパー」という代物だった。

 新聞紙とか、手頃な幅に切った「さらし」でいいじゃない。洗って何度でも使うべき、使い捨てなんてエコじゃない、と思っていた。まあ、そういう考え自体は別に間違いではないし、理もある。暮らしに対する美学もある。

 しかし私はその器ではなかった。

 時が経ち、仕事が増え、子どもが増え、行なうべき家事が増え、担わなければならない役割が加速度的に増えていき、私は「ていねいな暮らし」から脱落した。15歳を筆頭にした3人の子育てをしながら、仕事をしながら、地域の子ども会やら習い事の母の会やら小中高校のPTAやらに、かかずらわねばならない生活には、0歳を自宅で育てていた頃は想像もできなかった多量の負荷がかかってくる。

 だから正直に言う。もう、「ふきんなんか煮ているヒマはない」のだ。

 そんな私は今、DCMの「クッキングペーパー」を早朝から活用している。朝5時に起きて高校生の弁当を拵えるにあたり、弁当箱のパッキンをエタノールで拭うのに使い、レンジで蒸した冷凍ブロッコリーの余計な水気を絞るのに使い、揚げ物があればその油切りにも使い、さほどではない汚れであれば台拭きに再利用して、コンロ周りに散った油もそれを濯いだもので拭い取り、そののち捨てる。ちまちま乾かしながら1日使いつぐこともあるが、基本、捨てる。

「クッキングペーパー 40枚入り」
メーカー名DCM
製品名クッキングペーパー 40枚2個パック
価格(編集部調べ)213円

 この「クッキングペーパー」、素材は天然パルプだけど「紙」ではなく「不織布」であるため、水で濯いで数回再利用することができることには、微かに残る罪悪感を減らすことに役立っているが、ともあれ基本は「使い捨て」だ。

 40枚入り2パックで200円強というコストは、洗ったり乾かしたり衛生に気遣ったりという地味な「労働」の要不要と照らし、どう捉えられるだろう。私は、「アリ」だと強く思っている。

 いずれ、いつかまた「さらし」を切って、琺瑯のたらいでふきんを煮るような生活に戻るときが、私にも来るかもしれない。でもそれはいわゆる「老後の楽しみ」で充分だと、今は思っている。

紙ではなく不織布なので数回再利用できる

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして17年目。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は家事サービス、商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、中3、小5、小1の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。