e-bike日々徒然

四国の130km走破するMTBレース中止で無念 来年はe-MTBで楽しみながら完走したい!!

e-bike Watchでは、e-bikeで走れるレースにも積極的に体験していますが、実は11月に開催される予定だった「松野四万十バイクレース2024」にも初参戦の準備を進めていました。愛媛県松野町・宇和島市、高知県四万十市にまたがる林道を中心とした里山を走るバイクレース。そして、最高峰のアルティメットコースは距離130kmを超え、日本でもトップクラスの過酷なレースとも言われています。昨年からは「E-BIKE アルティメットクラス」「E-BIKE アドバンスドクラス」も設けられました。

残念ながらレース自体は前日にかけて降り続いた雨のため、倒木や土砂崩れなどの危険性が高まったため、中止となってしまいましたが、レースに向けて準備した車体や装備などを紹介します。

充電マネジメントが必要となるレース

以前に参戦した「ツール・ド・美ヶ原」ヒルクライムレースで知り合った読者の方からのお誘いが参戦のきっかけ。「松野四万十バイクレース2024」はソロでは走れず、2名以上のチーム体制での参戦が必須となるため、編集部・清水氏と筆者が参加し、合計3名のチームで走る予定でした。

以前から走りたいと思っていた四国の林道を走れるレース、それも普段は開放されていない国有林の中の林道を含む130kmを走るコースということで、かなりワクワクしていました。ただ、コースの長さもさることながらオフロード率は50%を超え、獲得標高は3,000m超というアップダウンを繰り返すコース。これまで走ってきたレースと比べても圧倒的に過酷です。e-bikeとはいえ、久しぶりに筋トレの日々が始まりました。

体力的にキツイのはもちろんですが、バッテリーの消費も激しいのは間違いないので、レース途中での充電は必須。電源が利用できるステーションも準備されているのですが、スペアバッテリーは禁止で充電器を持って走る必要があります。オフロードコースを走るのでパンク修理などのトラブルに対応できる準備もしておかなければなりません。これまで走ってきたレースは、基本的にドリンクを入れたボトルを準備する程度でしたが、今回は装備品やそれらを入れるバッグなども考える必要があります。

レースでは車体はベスビーのフルサスe-MTB「TRS1.3」とハードテイルe-MTB「TRX1.3」で走る予定でした。どちらも630Whの大容量バッテリーを搭載しているので、充電回数を少しでも減らせるのを期待してのセレクトです

また、もうひとつの問題はe-MTBをどうやって運ぶか? 飛行機では運べませんし、クルマで向かうにもかなり距離があります。そこで今回は裏技的な感じで、ベスビーの取り扱いがある宇和島のサイクルショップ「サイクルライフいぬがい 新田町店」まで車体を送ってもらうことにしました。

バイクパッキングスタイルで必要なものをたっぷり持って行く

普段は人が入らない林道を走るということは、かなりガレていることが予想されるので、パンクに備えて替えのチューブやポンプなどを用意する必要があります。エイドステーションが充実しているという情報は得ていたので、食事については心配なさそうですが、行動食は準備しておきます。途中で天候が崩れた場合も想定して、上下レインウェアも用意しました。

体への負担を極力減らしたいので、装備はバイクパッキングスタイルで車体に付けたバッグに入れることに。フルサスe-MTBにも装着できるのもメリットです
主なアイテムは写真のとおり。右側からレインウェアと行動食、電動ポンプと工具、そして充電器です
昨年「E-BIKE アドバンスドクラス」100kmをゴールした読者の方によると、エイドステーションが充実しているらしいので、行動食はジェルが中心。アミノサウルスの長距離向けの「アミノサウルスジェル」はアルギニン、シトルリン、BCAA、クエン酸、ミネラル、そしてカフェインをバランス良く配合
ポンプは体力を使わずに済むようにボッシュの電動ポンプ「EasyPump(イージーポンプ)」を選択。重量は430gで、空気圧を設定すればあとは自動で空気を入れてくれます。ジャージのバックポケットにも入れられるサイズ
equipt(イクイプト)というブランドの「サーディン」という携帯工具とチェーンカッター、KMCのミッシングリンク。パンクに備えてタイヤレバーとイージーパッチ、それに交換用のチューブを持って行きます
ベスビーの新しい充電器はコンパクトながら高速充電に対応しているのがメリット。630Whの大容量バッテリーに加えて、この充電器もきっと活躍してくれたはずです

普段、トレイルライドなどに出掛ける際はバックパックに必要なものを入れて行くことが多いのですが、130kmを走破するとなると体に掛かる負荷は侮れません。そこで必要なものは車体に装着したバッグに収納するスタイルで行くことにしました。使用するつもりだったアイテムは、防水性には定評のあるORTLIEB(オルトリーブ)などのバッグ。e-MTBに装着しても、運動性をあまり損なわないのも選択した理由です。

フロントにはオルトリーブ「ハンドルバーパックQR」をセレクト。IP64の防塵・防水性を持ち、容量は11Lで耐荷重は5kg
大開口で出し入れがしやすいロールクロージャー構造。防水性が高いので充電器はここに収納することにします
シートポストには同ブランド「シートパック」を。ベルクロで強く固定することができて、側面の補強材で走行中の動きも防いでくれます。容量は11Lと16.5L
シートポストに取り付けるため、ドロッパーシートポストの機能は使えなくなってしまうのがデメリットですが、レインウェアやチューブなどを入れるにはこれくらいの容量が必要

今回のレースでの使用は難しそうでしたが、街乗りやツーリングなどにはかなり役立ちそうだったのがSKS「トラベラースマート」というトップチューブ上に装着するバッグです。コンパクトな外観ですが、1.35Lの容量があり、上部にスマホも収納可能。そして、スマホを収納した部分は取り外すことができるので、休憩時などにスマホをわざわざ取り出す必要がありません。防水構造ながら、充電ケーブルを挿入することもできるので、外部給電機能があるe-bikeとの相性はかなり良さそうです。

トップチューブに取り付けできて、スマホの画面も見られるのでナビを使う場面でも便利そう。タッチパネルもしっかり使えます
この種のバッグとしては容量も十分で、行動食のほか携帯工具や、タイヤチューブも1本くらいなら入れておけそう
スマホを収納する部分はベルクロで取り外すことが可能。強固に装着できるのでMTBでも使えるのに、簡単に取り外せます
スマホを充電するケーブルをつなぐことができるので、充電しながら走行することも可能
ただ、今回乗る予定だったベスビーのe-MTBはトップチューブ上に電源ボタンがあるので、レースで使うのは難しそう。外部給電用のポートもトップチューブ上にあるので残念です

最後に、レースは中止になってしまいましたが、主催者から参加賞は届いたので、それだけ紹介しておきます。いろいろな地域のレースに参加してきましたが、個人的に一番うれしいのはご当地の名産品(特に食べ物)がもらえること。きっとレースのエイドステーションではご当地の美味しいおにぎりなどが食べられたのだろうと想像しました。来年もぜひ参加して走ってみたいです。

開催地である松野町の名前と形が入ったバッグに収納された状態で参加賞が届きました
入っていたのは松野町産の「まっさら米」と南高梅、それに消毒用のジェルでした。お米は新米で味も美味しかった

今回は残念ながら走ることができませんでしたが、来年はなんとしても走りたいところ。そのために体力作りは今のうちからしておこうと思います。

増谷茂樹

乗り物ライター 1975年生まれ。自転車・オートバイ・クルマなどタイヤが付いている乗り物なら何でも好きだが、自転車はどちらかというと土の上を走るのが好み。e-bikeという言葉が一般的になる前から電動アシスト自転車を取材してきたほか、電気自動車や電動オートバイについても追いかけている。