消費増税前の家電購入術

最新洗濯機、増税前にお得に買うチェックポイント!

 家族の人数や設置場所、乾燥機能の有無、ドラム式かタテ型かなど、ライフスタイルや予算によっても選び方が異なる洗濯機。ぴったりの1台を選ぶために最新モデルのトレンドや、購入する際のチェックポイントを紹介しよう。

ドラム式洗濯乾燥機とタテ型の違いって?

 最新モデルの比較検討の前に、おさらいしておきたいのがドラム式洗濯乾燥機とタテ型洗濯機との違い。タテ型洗濯機では、洗濯槽の底に設けられたパルセーター(回転羽根)をモーターの力で回し、たっぷりの水で攪拌しながら水流で洗うが、ドラム式洗濯機は少量の洗濯液の中でドラムを回転する力によってたたき洗いをする。一般的に、節水性が高いのがドラム式で、汚れ落ちに優れているのがタテ型と言われている。ドラム式は節水性が高い反面、一度落ちた汚れが洗濯中に再付着しやすいという弱点もあり、衣類が黒ずみやすいという点も覚えておきたい。

タテ型洗濯機の一例。日立「ビートウォッシュ」
ドラム式洗濯機の一例。東芝「ZABOON」

 また、乾燥時には、ドラム式の場合、大きなドラム内で衣類をかき混ぜて、効率よく乾かすことができるほか、たたき洗いによって寝てしまった繊維なども、かき混ぜながら乾燥させることによって、ふわりと置き上がってやわらかな仕上がりになり、シワもつきにくいという利点がある。つまり、乾燥機能まで使ってこそ、ドラム式のよさが生きるといえるだろう。

 乾燥方式については、タテ型ではヒーター式を採用。ドラム式ではヒートポンプ式やヒートリサイクル乾燥などの省エネ性に優れたものを採用しているものが多く、乾燥の温度帯が約60℃と低めなため、衣類を傷めずに仕上げることができるのもうれしいポイントだ。タテ型の乾燥機能は、多くの洗濯物を乾かすには時間がかかり、仕上がり感もよくないので、急ぎで乾かしたい衣類があるときや雨の日など、「もしもの時用」と心得ておいたほうがよい。

ドラム式は防水パンや搬入経路を忘れずにチェック

狭い脱衣所などに設置する場合は、洗濯機のドアがきちんと開くか、考慮する必要がある

 ドラム式洗濯機は、タテ型よりも本体サイズが大きいため、設置スペース(防水パン)や搬入経路のサイズや形状をしっかりとチェックしておくことを忘れずに。洗面所に置く場合、お風呂場のドアの開閉時に洗濯機のドアがきちんと開くかどうか、洗面所への入り口のドアの幅で洗濯機が搬入できるかなども確認しておきたい。ドラム洗のドアを右開きにするか、左開きにするかも、設置場所の形状で変わってくるのでシミュレーションをしておこう。

 そのほか、設置場所の蛇口の高さや排水口の位置についても念のため調べておくと安心だ。また、購入後は、乾燥フィルターや洗剤投入口などのお手入れを欠かさないことが、いつまでも気持ちよく使えるポイントなので押さえておきたい。

ドラム式のトレンドは洗濯槽の自動おそうじ、時短、お湯洗い

 さて、ドラム式とタテ型の違いや設置関連の注意事項をおさらいしたところで、ドラム式のトレンドを紹介したい。

 ここ数年、乾燥時に高速の風を吹き付けることによって、衣類のシワを伸ばしながら仕上げる機能など仕上がりの良さや、省エネ性の高さなど各社は“乾燥機能の充実”に注力してきた。だが、昨年モデルあたりから顕著なのが、黒カビの発生を防ぐ洗濯槽の自動おそうじ機能や、洗濯スピードの向上、少量の洗濯物をスピーディに洗濯&乾燥させる便利機能など。2013年モデルでは、汚れをしっかり落とすためのお湯洗いや、ドラム式の弱点だった黒ずみ対策機能を備えるものも登場している。

日立の「ヒートリサイクル 風アイロン ビッグドラム BD-V9600」では、「風アイロン」機能を搭載
ワイシャツの仕上がりにははっきりとした差が出るという
東芝の「ヒートポンプドラム ZABOON(ザブーン) TW-Z96X1」では、脱水時に洗濯槽と水槽を除菌する「自動おそうじ機能」を従来から搭載。さらに2013年モデルでは、汚れにくい洗濯槽を採用し、黒カビの発生を予防する
自動車で使われている親水性の高いガラス質コートを施し、水だけで汚れが落ちるという
パナソニックの「プチドラム」

 もう1つの流れとして、少人数&省スペース向けの小さなドラム式の登場もポイント。プチドラムやコンパクトドラムと言われている小型のドラム式は、60×60cmの防水パンにもぴたりと収まるマンションサイズ。これまで使っていたタテ型洗濯機の設置スペースとほとんど同じサイズなのが魅力だ。

 洗濯容量は6~7㎏、乾燥容量は3~3.5㎏だが、少人数世帯ならこれで十分。毛布などの洗濯物も洗える大きさだ。大型タイプよりもドラムの径が小さいので、たたき洗いの力は少し弱まるが、泥汚れなどのない“大人の洗濯物”なら問題ないはず。ワンルームなどに暮らしている一人暮らしやDINKS世帯では、外干しが難しいため、乾燥まで仕上げるコンパクトなドラム式を選べば満足度が高いに違いない。洗濯物を干したり取り込んだりという作業がつらくなってきた高齢者世帯にもおすすめだ。

乾燥機能をあまり使わないならタテ型で十分

パナソニックの縦型洗濯乾燥機「NA-FR80S7」

 タテ型洗濯乾燥機のメリットといえば、その洗浄力の高さが一番。泥だらけになった衣類を洗濯する機会が多い場合や、こまめに分け洗いをしたい場合、洗濯時間やすすぎの回数などを細かく設定して自分流の洗濯モードで洗いたいという“こだわり派”にもタテ型が向く。

パナソニックの「NA-FR90S7/FR80S7」は、泥汚れなど頑固な汚れに便利な「パワフルコース」を搭載する

 最新モデルでは、タテ型の弱点だった節水性が高まり、ドラム式同様に洗濯槽の自動清掃機能がついたものも登場している。先にも述べたように、タテ型の乾燥機能は補助的なものではあるが、あると便利ということで年々、タテ型洗濯乾燥機の人気が高まっているのも事実。乾燥機能付きのタイプのほうが、大容量かつ操作パネルなどが高機能化している面もあるので、予算的に可能ならこちらを選ぶほうが満足度が高いかもしれない。

 また、タテ型の高機能モデルでは、「おしゃれ着洗いコース」が充実しているものがあるので、どんな衣類が多いのかによっても洗濯機を選ぶ基準が変わるだろう。

日立の「ビートウォッシュ BW-D10SV」では、洗濯するたびに、洗濯槽や外層、底面裏などに付着しやすい菌や黒カビの胞子を洗い流す
東芝の「タテ型 ZABOON」、左から「AW-90SVM/AW-80SVM」。おしゃれ着を傷めずに洗濯乾燥する機能を搭載する

 ということで、タテ型洗濯機を選ぶ際にはヒーター乾燥機能があり・なしをチェックするのが1つ目のポイント。次に家族の人数や洗濯スタイルに合わせて洗濯容量を決めよう。

静音性と省エネ性に優れたインバータータイプ

東芝では、「DDインバーターモーター」を搭載した低騒音タイプの全自動洗濯機も発売した。画像は容量8kgの「AW-80DM」

 天日干し派や除湿乾燥機などを併用した部屋干し派なら、ヒーター乾燥機能なしの全自動洗濯機がおすすめ。価格は少し張るが、インバーターモーター搭載の静音性が高いタイプなら、洗濯時間を気にしないでいつでも洗濯できるので便利。省エネ性にも優れているで、ぜひこちらをすすめたい。

 また、部屋干しの際には、高速脱水と風の威力で水分を吹き飛ばす“風乾燥”機能を上手に使うと、干し時間を短縮できることも覚えておきたい。

神原サリー