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日立、ドラム式の弱点だったごわつき・黒ずみを抑えたドラム式洗濯乾燥機

独自機能で累計100万台を突破

 日立アプライアンスは、洗い上がりのごわつきや黒ずみを抑えたドラム式洗濯乾燥機「ヒートリサイクル 風アイロン ビッグドラム BD-V9600」を10月19日から、本体幅60cmの「ビッグドラム スリム BD-ST9600」を11月16日より発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は順に31万円前後、34万円前後。

10月から順次発売になるドラム式洗濯乾燥機「ビッグドラム」シリーズ
本体幅60cmの「ビッグドラム スリム BD-ST9600」。左から新色・マグノリア、パールホワイト
「ヒートリサイクル 風アイロン ビッグドラム BD-V9600」。左からパールホワイト、シャンパン

 洗濯容量10kg、乾燥容量6kgのドラム式洗濯乾燥機。直径の大きなドラムを搭載することで、大きな落差による洗浄力と、高速風によるシワの少ない乾燥仕上がりを実現したビッグドラムシリーズの最新モデルで、ドラムの裏側やフタの裏側まで洗う自動おそうじ機能などの特徴を備える。

 独自の機能がユーザーから評価され、2006年の発売以来、累計100万台を突破する人気製品。今回は直径の大きなドラムを採用したBD-V9600と、幅60cmのBD-ST9600をラインナップする。基本的な機能は一緒だが、幅60cmのBD-ST9600ではタッチパネルを新たに採用したほか、洗濯容量を9kgから10kgに増やしたなどの変更点が多いため、価格が高めに設定されている。

BD-V9600の操作パネル
ビッグドラム スリム BD-ST9600では、タッチパネルを搭載する
BD-V9600の扉を開けた状態
BD-V9600のカットモデル
直径の大きなドラムを採用、風アイロン、自動おそうじ機能など、独自の機能を搭載
2006年の発売以来、累計100万台を突破する

ドラム式の弱点を克服する新たな洗浄方式を採用

 新モデルでは、従来より「ドラム式の弱点」とされていた洗い上がりの不満点を克服するために、独自の「ナイアガラ洗浄」を新たに採用した点が特徴。日立によると、ドラム式洗濯乾燥機のユーザーの不満点として「タオル類の肌触りが悪い」「衣類の黒ずみや黄ばみが気になる」などの声が多かったという。これは、縦型洗濯乾燥機に比べ、使用水量が少ないこと、ドラムを回転させる時に生じるたたき洗いが原因だという。

 ナイアガラ洗浄では、これらの問題を解決するために、毎分60L、従来3倍の水を循環させる「ナイアガラ循環シャワー」を搭載したほか、「たたき洗い」ではなく「押し洗い」できるように、ドラムの制御を変更した。

日立の調査によると、ドラム式洗濯乾燥機ユーザーの多くが洗い上がりに不満を持っていたという
ドラム式洗濯乾燥機では、縦型洗濯乾燥機と異なり、少量の水で衣類をたたきつけるように洗うため、ごわつきや黒ずみが出やすかったという
ナイアガラ洗浄では、たっぷりの循環シャワーとドラムの制御によってドラム式の弱点を克服する

 同社によると、黒ずみは使用水量が多く、衣類が水に浸っている状態の時ほど付きにくいという。会場では、カーボンを溶かした水に布をくぐらせる実験を行なった。その結果、水面を何度もくぐらした布の方が、浸したままの布より多く汚れが付着していた。ナイアガラ洗浄では、シャワーの流量を多くすることで、衣類を水に浸した状態で洗浄でき、黒ずみが付きにくくなるという。

カーボンを溶かした黒い水に白い布をくぐらせる
一方の布は浸したままに、もう一方は何度も出し入れする
何度も出し入れした布の方が汚れが多く付着していた。これは、水面に多くの汚れが溜まりやすいからだという

 また、水量の多いシャワーとドラムの高速回転を組み合わせることで、衣類がドラムの中で落下せず、ドラムに押しつけられたまま回転し、「押し洗い」できるという。

 これらの改良により、従来機種に比べて洗い上がりの肌触りがよくなり、黒ずみもしにくくなったという。

従来機種の循環シャワー
新モデルのナイアガラ循環シャワーは、水量が3倍で勢いもある
タオルの肌触りも従来(左)に比べて、フワフワとした仕上がりになった(右)
汚れの付いたTシャツを10回洗った後の様子。従来機種で洗ったもの(左)に比べ、新モデルで洗ったTシャツ(右)は黒ずみがなく、白さが目立つ

 自動おそうじ機能も引き続き搭載する。ドラムの内槽や外槽、底面のほか、カバーの内側など、通常では掃除機できない場所まで、シャワーを用いて、自動で掃除する。掃除工程は、汚れが付きにくいように、洗剤カスなどが流れた後の、すすぎ工程の後に設けられている。

 また、汚れが付きにくいように、内側の凹凸をなくした「内面フラットホース」も引き続き採用する。

ドラムの内槽や外槽は何も手入れをしないと、このような汚れが付着する
自動おそうじ機能では、ドラムを高速回転し、シャワーで汚れを落とす
内側に凹凸がなく、汚れが付きにくい内面フラットホースも採用する

 乾燥機能では、時速300kmの風で衣類のシワを伸ばす「風アイロン」、乾燥後の衣類のシワを伸ばす「スチームアイロン機能」を搭載。スチームアイロン機能は、乾いている衣類に使うことで、衣類のシワやニオイを取り除くというもの。新機種では、運転時間が短縮されており、シャツ2枚の場合約10分、シャツ4枚の場合約25分になった。

 そのほか、洗浄モードでは汚れがひどい時や洗浄力をあげたい時に使う「センサーホット高洗浄」が進化した。洗剤が最も酵素パワーを発揮する30~40℃に暖めるために、温風を洗濯物にふきかけるモードで、従来はその都度設定する必要があったが、新モデルでは、センサーで水温を測定、13℃以下の場合自動でセンサーホット高洗浄モードが起動するようになった。なお、設定は解除することもできる。

時速300kmの風で衣類のシワを伸ばす「風アイロン」も搭載
ワイシャツの仕上がりには歴然とした差が出る
センサーホット高洗浄では、センサーで水温を検知し自動で設定されるようになった

幅が大きいか、奥行きがあるかで差別化

 ヒートリサイクル 風アイロン ビッグドラム BD-V9600の本体サイズは695×620×1,060mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約87kg。標準使用水量は72Lで、洗濯~乾燥時は約53L。消費電力量は洗濯時が69Wh、洗濯~乾燥時は約790Wh。本体カラーはシャンパン、パールホワイト。扉が右開きの機種はシャンパンのみに限られる。

 本体幅60cmの「ビッグドラム スリム BD-ST9600」のサイズは600×715×1,050mm(同)で、重量は約83kg。標準使用水量は72Lで、洗濯~乾燥時は約53L。消費電力量は洗濯時が69Wh、洗濯~乾燥時は約840Wh。本体カラーはマグノリアとパールホワイト。

 ダイレクトに操作できるタッチパネルを新たに搭載したほか、本体カラーにも新色のマグノリアを採用した。

 日立では、この2機種の差別化として、「幅が大きいか、奥行きがあるかで選んでもらう」と説明した。ビッグドラムスリムは、幅は600mmと一般的なドラム式洗濯乾燥機に比べてスリムだが、奥行きは715mmと大きい、一方ビッグドラムは幅695mmと大きいものの、奥行きは620mmとビッグドラムに比べて薄い。

 下位機種として、ビッグドラムスリムと同サイズでタッチパネル液晶が省略されている「BD-S8600L/R」と、ビッグドラムと同サイズで、スチームアイロン機能、液晶パネルが省略されている「BD-V5600L/R」を10月19日より発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は順に30万円前後、27万円前後。

阿部 夏子