ぷーこの家電日記

第601回

来年は変化のある年に。今年もお世話になりました

年末になって、やっと冬らしい冬が来たというか寒くなってきた。年の瀬らしい雰囲気にもちょっとワクワク。我が家は今年の正月は帰省もせず、家でダラダラ寝正月の予定。ここ数カ月、なんだかずっとバタバタしていて、まとまった時間がなかなか取れなかったので、正月休みが待ち遠しかった。

休みの間は、待ちに待ったミシンで遊ぶ時間にしたい。ミシンで何か作ったり、刺繍ミシンでいろいろ刺繍したり、創作意欲がめちゃくちゃ高まっているものの、結局食べて飲んで眠たくなったら寝て、寝正月らしい自堕落連休の最終日に「なんでぇ……? 何もしてないのに休みが終わる」なぁんてまた落ち込んでしまいそうな気がしてならない(笑)。

忙しい時って「あれもしたい。これもしたい」って時間ができたらやりたいことがたくさんあるのに、いざ時間に余裕ができると、なぜダラダラ過ごしてしまうのだろうか。きっと忙しい時の現実逃避現象なんだろうなぁ。でも、予定もない自由な休みというのは、どんな過ごし方をしたとしてもありがたい楽しみな時間なのである。

2025年は本当にあっという間の1年だった。それなりに充実して楽しい1年だった気もするし、かといって、「何かを成し遂げた!」みたいなこともない。若い頃はもっと向上心とか焦りとか、「こうなりたい!」「これをしなければ!」みたいな気持ちが強かったけれど、年々そういうものがなくなってきた気がする。

それは「いまさら何者にもなれない」という諦めとも近いようで、違う。1年間大病も大怪我もせず、楽しく過ごせる。ただそれだけの、若い頃には当たり前だと思っていたことが全然当たり前ではなく、非常にラッキーだということに年々気づいていくからなのかもしれない。

幸せのハードルが下がると、幸せに感じることが増える。人と比べて焦ったり、なりたい自分とのギャップに苦しんだり、そういうのは、成長という面ではある程度は大切な要素かもしれないけれど、私には走り続けるというのがどうにも苦手で無理らしい。走るのが趣味の人もいれば苦手な人がいるのと同じで、時間の過ごし方も人それぞれだ。

勤勉で余暇でも努力を欠かさない人もいるけれど、そうでなければならないという唯一の正解でもない。それぞれが自分のペースでいいし、何かをする判断基準は「必要か不要か」だけじゃなく、「楽しいか楽しくないか」でもいいし、「好きか嫌いか」でも全然いいのだ。私は私のペースと幸せ基準で、来年も「なんか、楽しかったなぁ」と思える1年が過ごせたらいいなと思っている。

ただ、そうやって特に何があるわけでもない日常に満足する中で、「これが加齢か!」と焦りを感じることが多々あるのだ。新しいことよりも、自分が知っている範囲で考えたり動いたりするほうが、もちろん楽で選びがちだ。同じものを食べ、同じ範囲で動き、同じ人と話し、という楽な日常は、不満はないけれど、どんどん凝り固まっていってしまう。常識も文化も生き物みたいなもので、変わっていくものなのに、凝り固まった日常で過ごしていたら、それも受け入れられなくなって取り残されてしまう。

同年代の夫と話していても、「頑固で偏屈なおじさんになってきたなぁ」と感じることがあるし、自分にもそういうところは多々あるだろう。でも、考えが凝り固まった高圧的な高齢の方はちょっと苦手だし、楽しそうにも見えない。ずっと楽しく過ごしていくためには、成長はなくとも「変化」というものが私には必要な要素なのである。

先日、シャンプーが切れたのでドラッグストアに寄って、いつものシャンプーの詰め替え用を買おうと思ったら売っていなかった。同じシャンプーをずいぶん長い間使っていたので、別のドラッグストアに行こうかとも思ったけど、ふと「別のシャンプーを買ってみるか」みたいな気持ちになって、数十種類置いてあるシャンプーを色々見てみるも、「分からない」でしかない。何をどう選べばいいか、全然さっぱり分からないのだ。

普段からいろいろ目にして興味を向けていたら、「お、これ○○成分が多い!」なぁんて選べるのだろう。判断要素を何も持ち合わせず、「じゃあ、ノリとインスピレーションで!」みたいな良い意味の適当さと勢いも失い、「失敗したくない」みたいな気持ちが強くなっている自分に「これが加齢か」とシャンプー1つでちょっとゾッとしたのである。

結局「分からないことは聞いちゃえ!」と、「思い切ってシャンプー変えたいと思っているんですけど、これ売れてるよとか、良いよってものありますか?」と店員の方にお尋ねすると、とても親切にいろいろ教えてくれた。久しぶりに変えたシャンプーの香りと質感に結構ワクワク心踊ったところで、私は来年の目標を決めたのだ。

私の2026年の目標。「今まで知らなかったものを50個使う」である。50個といったら大体週に1個。それは新商品を買うということではない。例えば、我が家では使うことがほぼない冷凍食品やレトルトの合わせ調味料、いろんな種類の缶詰などなど。それは特段こだわりがあって使っていないとかではなく、子供の頃からほぼ「ない」環境で育ってきたので、使うという発想がなかなか出てこないのだ。

そういう、いつもは通り過ぎていた目に留めないものをあえて探して使ってみる。そんな小さな変化や新しいことを取り入れることを、来年の目標にしようと思う。

目標なんて別に高尚なものでなくてもいいし、成長に結びつくものじゃないといけないなんてことはないはずだ。今後も「楽しい」をずっと感じていけるように、特別じゃない当たり前の日常の中に、小さな変化を取り入れていく1年にできたらなぁと思っているところであります。

それでは、みなさま良いお年をお迎えくださいませ。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。