長期レビュー
ハイアールアクアセールス「ドラム式洗濯乾燥機 AQW-DJ7000」
ハイアールアクアセールス「ドラム式洗濯乾燥機 AQW-DJ7000」 その1
~世界基準の“お湯洗い”を搭載したドラム式洗濯乾燥機の実力をチェック!
(2014/1/27 00:00)
ここ2~3年、海外取材の機会が増え、世界各国の白物家電の現状に触れることが多くなった。その中で、気になっていたのが、欧米や中国・韓国では洗濯の際にお湯を使うのがスタンダードだということ。水質や洗剤の違いによるものもあるのかもしれないが、汚れ落ちが良いという点には納得感がある。
そんな折、2013年11月にハイアールアクアセールス(以下、アクア)から“お湯洗い”を行なうドラム式洗濯乾燥機が発売され、「試してみたい!」という気持ちがむくむくとこみ上げてきた。
メーカー名 | ハイアールアクアセールス |
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製品名 | ドラム式洗濯乾燥機 AQW-DJ7000 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | yodobashi.com |
購入価格 | 258,000円 |
同社の洗濯乾燥機は旧三洋電機時代から受け継いでいる「オゾンによる除菌・消臭」など独自の機能を搭載しており、元々、魅力を感じていたのも事実だ。今回、家電Watch編集部から「試してみませんか」とのオファーをいただき、それならぜひにと快諾。年の瀬も押し迫った年末に「AQW-DJ7000」がわが家にやってきたのだった。ということで、3回にわたって使い心地や汚れ落ち、仕上がり具合、各種機能面について検証していく。
防水パンに収まったけれど、洗面所のドアが開かない!?
ドラム式洗濯乾燥機を導入する際の最初の難関は“設置”だ。これまで使用していたドラム洗を設置した際にも、玄関から廊下を通り抜けるまではよかったのだが、設置場所となる洗面所に入れようとする際に、本体サイズが大きくて非常に苦労し、防水パンの排水溝の位置の関係から、かさ上げが必要だったりと大変だった。
今回はスムーズに洗面所に移動できたので安心していたら、設置業者さんが「あれ、洗面所の入り口のドアが開かないかもしれませんよ」と。内径寸法が幅73cm×奥行き60cmの防水パンに本体はすっきり収まったのだが、よく見ると脚部こそコンパクトなものの、本体がぐんと前にせり出している。限界まで本体背面を奥に寄せたところ、1cmの余裕ができて何とか廊下から洗面所に入るドアが開けられることになってホッとした。ドアを廊下側に引いて開く仕様だったら問題なかったのだが、洗面所側に押して開く仕様だったため、「あわや!」ということになってしまったのだった。このあたり、ドラム洗を購入する際には、ぜひチェックすることをおすすめする。
洗濯板状の3つのバッフルが“洗濯の鍵”
お湯洗いやオゾンなど「AQW-DJ7000」は様々な特徴があるユニークなドラム式洗濯乾燥機だが、そもそもの洗濯の特徴はどんなところのあるのか。ドアを開けてみると、ドラム槽の中には波打った洗濯板状のバッフルが3つ付けられている。バッフルとは、衣類が1か所に片寄らず、乾燥の際にも衣類を広げてしっかりと風が通るようにどんなドラム洗にも付けられているものだが、AQW-DJ7000の場合、その幅がかなり広く、細かな5つの凹凸になっているのがわかる。
このバッフルが洗濯板で洗うような効果をもたらし、泥汚れにも強く、靴下の汚れもすっきりと落ちるという。残念ながら、わが家はすでに子どもが大きくなってしまい、汚れたユニフォームも靴下もないので汚れ落ちの威力については特に実感したわけではないが、そのほかの利点については確認できた。
1つは洗濯が終わって洗濯物を取り出す際に、衣類同士が絡んでおらず、スルスルと取り出せること。もう1つは、仕上がりが柔らかいということ。ドラム洗の場合、ドラムを回転させて衣類をたたき洗いするため、繊維が寝てしまい、天日干しをした場合、どうしてもごわついた仕上がりになってしまう。AQW-DJ7000では、バッフルが、洗濯物をほぐしたり、繊維を起こしたりする役割を担っているからなのか、特にタオルの仕上がりはかなり優秀。「やっぱり天気のいい日は外に干したい」という外干し派の方にもおすすめできるドラム洗といえるだろう。
洗濯時間が短く、洗濯物の追加投入もできる
先に洗濯板状のバッフルによる利点を紹介してしまったが、少し話を戻して、洗濯工程について説明しておきたい。AQW-DJ7000の操作パネルは、「洗濯」「洗濯→乾燥」「乾燥」「エアウォッシュ」などがカラフルなアイコンで表示されたボタンと、ジョグダイヤル、液晶表示で構成されている。ボタンで「洗濯」「乾燥」などを選んだら、ジョグダイヤルでコースを選ぶ仕様だ。ダイヤルは左右に回せるため、コース選択が簡単。“元に戻る”こともできるのが使いやすくていい。液晶画面にかなり大きな字で表示される点もわかりやすい。
洗濯を標準コースで行なう場合、洗濯物をドラム内に入れ、スタートボタンを押すだけでOK。ドラムが回転して布量などを検知すると、液晶画面に洗剤量が表示され、その後で残時間も「eco残時間 0:36」などと表示される。「eco」というのは、ecoモードが働いているお知らせ。
AQW-DJ7000にはecoモードが搭載されており、標準・すすぎ1回コースでは布量、布質、温度の3つのセンサーが働いて、給水量やモーターの回転、洗濯時間をコントロールする。標準コースで洗濯の場合、29分~39分は所要時間の目安になっているが、毎回洗濯していて思うのは、「洗濯が終わるのが早い!」ということ。先のバッフルによる洗浄方式でしっかり洗えることやecoモードが働いていることがその理由なのだろう。
もう1つ、いいなと思ったのは、洗濯が始まってからも洗濯物を追加投入できること。洗剤を入れて水が出始まってから「しまった! タオルを入れ忘れた」ということはよくあるが、ドラム洗の場合、運転がスタートしてドアロックされた後では洗濯物の追加ができないものも多い。AQW-DJ7000は自動停止ボタンを押せば、ドアロックが解除されて入れ忘れた洗濯物を入れられるのはとても便利。ただし、洗濯容量によっては、水位が高く明けられない場合もある。また、ドアの内側に水滴がついていたりするので、床が濡れる場合もあり、注意して行なうことが必要だ。
アクアの“すすぎ1回”は他とは違う!
アクアの洗濯機ならではの特徴として、「オゾンすすぎ」がある。これはすすぎ時にオゾン浄化した水を使い、皮脂汚れなどのしつこい汚れをすすぎの工程でも落とすというもの。黄ばみや黒ずみを防ぎ、エリや袖の汚れをつきにくくするほか、衣類に染み込んだニオイを取り除く“消臭”などの効果もある。洗濯終了後に洗濯物を取り出す際に、「すっきり洗えているな」という感覚があるのはとてもうれしい。
この「オゾンすすぎ」だが、標準コースだけで働く機能だと思っていたら、なんと「すすぎ1回」コースで洗濯した際にも行なわれる。実は、これまですすぎ1回で終わらせることにどうしても抵抗があり、専用の濃縮洗剤を使用した時でも必ずすすぎは2回行なって洗濯していた。
ところが取扱説明書を読んでみて、すすぎ1回でもオゾンすすぎが行なわれると知り、試しに「すすぎ1回」で洗濯してみたところ、以前「すすぎ1回」で洗濯した時と、何だか違うのだ。香りが残り過ぎておらず、とにかくすっきり感がある。これなら、より節水性が高く、洗濯時間も短縮される「すすぎ1回」を使ってみてもいいなと思った瞬間だった。オゾンすすぎ万歳!
ただし、「すすぎ1回コース」より5分程度洗濯時間が短くなることもある「おいそぎコース」で運転した場合は、「シャワーすすぎ+注水すすぎ」のすすぎ方法を採用しているため、オゾンすすぎは行なわれないので要注意。オゾンすすぎは、すすぎ運転中に途中の排水フィルターで糸くずなどを取り除き、オゾン浄化しながら洗濯槽に戻し、循環させて、オゾンの力ですすぎながら洗い上げるという方法のため、最終すすぎに“注水すすぎ”を使ったすすぎ工程の場合、行なわれないのだ。「おいそぎコース」は「すすぎ1回」よりもせいぜい5分程度短縮されるだけなので、基本的に使う必要なし。急ぐなら「すすぎ1回」というのが私の結論だ。
“洗剤ゼロコース”など充実した洗濯コースも魅力的
ほかにも「洗剤ゼロコース」など、他にはない洗濯コースが搭載されている。これは、オゾンの力を利用して洗剤を使わないので洗濯するというもので、水なしでドラムを回転させながらオゾンで汚れを分解してから給水、低水位で洗った後、排水後に熱風で衣類の温度を上げながらオゾンでさらに汚れを分解し、すすぎをするという工程を採用している。軽い汚れや赤ちゃんの肌着、一度使っただけのタオルなどにおすすめの洗濯方法だ。洗剤を使わずに洗うため、肌の弱い人にもいいのではないだろうか。
そのほか、綿素材の下着や普段着などを、最終脱水時(もしくは乾燥時)にオゾンの力で除菌する「除菌コース」、夜間の洗濯(乾燥)時に、音を抑えて運転を行なう「ナイト」コース、デリケートな衣類用の「ドライマーク」コース、「念入り」「つけおき」「ふとん・毛布」「自分流」などがある。洗濯物の種類や用途に応じて選べる豊富な洗濯コースが用意されているのもアクアの魅力といえるだろう。
1回35円~50円弱。ふっくら仕上がる乾燥機能と高い静音性
今回、検証してみたかったことの1つとして、「本当にヒーター乾燥はよくないのか」ということがあった。一般的にドラム式洗濯乾燥機では、ヒートポンプを使って衣類乾燥する機種と、AQW-DJ7000のようにヒーター乾燥をする機種の2種類がある。ヒートポンプを搭載した機種の方が、省エネ性能が高く、本体の価格も高めに設定されている。
一方、ヒーター乾燥は、高温で乾燥するため、洗濯物の傷みが激しかったり、仕上がり感が悪かったりということがよく取り沙汰される。また、消費電力についても気になるところだ。ただし、実際試したところ、このイメージは大きく覆った。
まずは仕上がり具合だが、タオル類はとにかく驚くほどふっくら嵩高に仕上がる。バッフルの形状により、乾燥機能を使わなくともやわらかな手触りにはなったが、乾燥までさせた場合のふっくら感は感動を覚えるほど。
綿100%素材のTシャツを乾かしてみても、縮みが気になるということはなく、シワもそんなに気にならなかった。わが家ではまとめ洗いをすることが少なく、1回あたりの乾燥量が多くないことも仕上がり感の良さにつながっていると思うが、タオル類は乾燥機能を使ったほうがよいし、それ以外も特に悪い点は見つからない。
消費電力についてはワットチェッカーをつけて毎回電気代を計測してみているが、乾燥容量5kg弱の場合で、乾燥にかかった消費電力量は1.73kWhで電気代にすると38円。もう少し容量が多くバスタオルなどが多かった場合でも50円を切る電気代だった。これをどうみるかだが、どんよりと曇った冬の寒い日に洗濯物を部屋干しもしくは外干ししても乾くのに時間がかかるし、手も冷たい。使うべきときにはどんどん使っていこうと思える電気代だというのが、私自身の本音だ。
それにこの計測結果は標準コースで乾燥させた場合だが、湿り気を残して乾燥させる「アイロンコース」や、化繊や熱に弱い衣類に向く「低温乾燥コース」などもあるので、これを使うことで仕上がり感も調節でき、消費電力もぐっと抑えられる。要は使い方次第ということではないだろうか。
そしてもう1つ、家族一同、声をそろえて「すごい!」と言ったのが静音性の高さ。洗いの際の運転音はもちろんのこと、脱水や乾燥の際の振動が少なく、本当に静かなのだ。今回、設置の際に以前使用していた防振パットや、かさ上げのためのゴムパットを使わずに、防水パンに直置きしているにも関わらず、この静かさ。使ってみないとわからないことが多いなと実感している毎日だ。
次回は、「AQW-DJ7000」の最大の特徴である「お湯洗い」と、風呂水を除菌して使う「アクアループダイレクト」について紹介するので、お楽しみに!