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玄米ってどうすればおいしく炊ける? 最新炊飯器で玄米炊き込みごはんも

玄米。もみがらだけを取り除き、糠層や胚芽といった栄養素がつまった部分を残したお米

皆さんは玄米を食べているだろうか。栄養素が豊富で健康に良いイメージが強い玄米だが、日常的に食べている人は少数派である。ある調査によると、週に3回以上食べているのは7%、週に1~2回食べている人は3.8%と、両方合わせて10%程に過ぎない。そして、これまで玄米を食べたことがない人は3割以上もいる(一般社団法人 高機能玄米協会「玄米白書2019」)。

一方、現在市販されている電気炊飯器のほとんどのモデルには「玄米」モードが搭載されている。玄米を炊くには、ガスや電気の圧力鍋を使う方法もあるが、もっとも身近で手軽な手段は日常使っている炊飯器なのだ。

そもそも玄米がなぜ健康に良いのか、電気炊飯器で美味しく玄米を炊く方法などについて、タイガー魔法瓶 ソリューショングループ 商品企画第1チームの辻本篤史さんに話を聞いた。さらに、最新モデルの「土鍋圧力IHジャー炊飯器 炊きたて 土鍋ご泡火炊き JRX-T100/JRX-T060」では、炊き込みモードでも玄米や麦、雑穀米が選べるようになっている。実際に、玄米の炊き込みごはんを作ってみたので、軽く食レポもお伝えしよう。

食物繊維は白米の約6倍! 栄養が豊富な玄米

「玄米は、ビタミンB1、B6、食物繊維、カリウムやマグネシウムといったミネラルが豊富です。これらは白米で取り除かれてしまう糠層(ぬかそう)や胚芽に多く存在しています。また玄米は糖分の吸収が白米に比べて穏やかで、食物繊維は白米の約6倍含まれており、お通じをよくする効果、ダイエットも期待できます」(辻本さん、以下すべて)

タイガー魔法瓶 ソリューショングループ 商品企画第1チームの辻本篤史さん

「もみがら」だけを取り除き、精米をしていない米を玄米と呼ぶが、玄米と白米の間には、「分づき米」がある。3分づき、5分づき、7分づきと、数字が大きくなるにつれて糠と胚芽の量が減り、白米に近づく。また、玄米を発芽させた「発芽玄米」も、健康を重視する人の間で人気だ。

「発芽するときに玄米の酵素が活性化し、玄米以上に栄養素が高まった状態になります。特に豊富なのが、神経伝達物質のGABA(ギャバ)で、ストレスの軽減、リラックスに役立つと言われています」

炊飯器で玄米をおいしく炊くには? ポイントは「吸水」

多くの炊飯器には、「玄米」モードが搭載されている。白米よりも玄米は硬いため、加熱時間を伸ばして炊飯する必要がある。白米が通常30分から1時間ほどの炊飯時間に対して、玄米モードでは75~90分ほどかかることが多い。加熱時間が長い分、入れる水の量は多く設定されている。玄米を炊く際のコツなどはあるのだろうか?

「洗米する際に、表面を傷付けるように強めに研ぐのがおすすめです。白米の場合は力を入れすぎてしまうとお米が割れたりベタつきの原因となってしまいますが、玄米では糠層に傷を付けることで吸水しやすくなり、炊き上がりがふっくらとするからです」

洗米する際に強くこすりつけることで、糠層に傷が付き吸水を高め、やわらかく炊ける
白米よりも長時間炊飯するため白米より多くの水を入れる(右側の水位線)。塩を入れる場合は、1合につきひとつまみ程度が目安

玄米を炊く際に塩を入れる人もいるが、これには浸透圧により吸水が促進され、やわらかく炊ける効果がある(塩の分量の目安は1合につきひとつまみ程度)。また塩には、玄米に含まれるカリウムの苦味を中和して美味しさを引き出す効果もある。

ちなみに玄米を炊くときは長めに吸水時間を取ることが常識となっているが、炊飯器の場合は炊く前に吸水の時間を考える必要はないという。

「炊飯器のプログラムには吸水工程が含まれているので、そのまま炊いて大丈夫です。ただし、吸水時間を取った方がやわらかくなります。30分程度であれば炊き上がりに影響しませんが、3時間以上つけておけば効果はあります。玄米独特の硬い食感が苦手な方は、しっかり吸水させてから炊いた方が食べやすくなるでしょう」

炊飯器で炊くときは給水時間を別途取る必要はないが、玄米の硬い食感が苦手な人は3時間以上つけておけば食べやすくなるとのこと

また玄米も銘柄によって味の違いがあるそうだ。

「玄米の硬さが苦手な方は、『ミルキークイーン』や『ゆめぴりか』のような、もっちり、やわらかく炊けるような品種を選んでもらうと食べやすいと思います」

お米屋さんなどで銘柄が選択できる場合の参考にしてみてはいかがだろうか。

高級炊飯器は玄米も美味しい? 炊き込みごはんでさらに食べやすく

ほとんどの炊飯器に「玄米」モードが搭載されているとはいえ、機種によって炊き上がりは異なる。

「より高温で炊飯できる圧力IHの機種の方が、しっかり皮が破れて中の白いごはんの部分が出てくるので、もっちりした食感になります」

これから玄米を食生活に取り入れようとする人は、圧力IHの炊飯器から入った方が続けやすい可能性があるだろう。とはいえ、白米でも炊き上がりの好みは個人差があり、玄米を食べ慣れている人の間では好みが分かれる部分ではある。

さらに同じ圧力IHの炊飯器でも、上位モデルほど高火力で鍋にも工夫がされているため、美味しく炊ける傾向があるという。

「例えば、『ご泡火炊き』に使われている土鍋は、遠赤外線効果があるため、玄米に対しても、甘味やもっちりした食感を引き出します。実際、玄米を炊かれているご購入者さんからは、美味しいという評価をいただいています」

その最上位モデル「炊きたて 土鍋ご泡火炊き JRX-T100/JRX-T060」には、炊き込みごはんのコースに玄米の設定が用意されているのも特徴だ。

玄米専用の炊き込みモードを搭載した土鍋圧力IHジャー炊飯器「炊きたて 土鍋ご泡火炊き JRX-T100/JRX-T060」

玄米を炊き込みごはんにするメリットは、食べやすさだ。調味料の味や香りが付いたり、油分が加わることで、玄米のクセを感じにくくなる。

「玄米や雑穀米といった健康米をより食べていただきたいという思いがあり、より食べやすく、毎日飽きなく食べていただけるような工夫のひとつとして搭載しました」

同社サイトに掲載されている炊き込みごはん系のレシピは下記の通り。

通常の玄米モードより、炊き込みモードでは炊飯時間が長めに設定されている。これは、調味料が入ると玄米が水を吸収しづらくなるためだ。

干しえびと塩昆布の玄米ごはんを炊いてみたところ、料亭で出てきそうな上品な味に仕上がっており、玄米のプチプチ感も楽しめた。

材料は玄米2カップ、干しえび15g、塩昆布10g、れんこん40g、ごぼう30g、にんじん30g、酒大さじ1と1/2、塩ゆで枝豆のむき身40g。枝豆以外の材料を内鍋に入れる
炊き込みモードから「玄米」を選択。通常の玄米モードよりも長く84分
炊き上がったら、枝豆を加えて混ぜ合わせる。上等な料亭で出てきそうな上品な味で、玄米のプチプチ感も楽しめる

白米の美味しさを追求して進化してきた炊飯器だが、JRX-T100/JRX-T060は玄米の食べやすさ、美味しさにも目を向けた炊飯器として注目に値する。玄米を食べている人からの評価が高まれば、より下位のモデルにも、玄米対応の機能が搭載されるようになるかもしれない。

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>