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ノンフライから揚げ、本当においしいの? 編集部が作って食べ比べました
2023年4月12日 08:05
から揚げといえば、カレーやハンバーグなどと並び日本の人気&定番料理の1つ。コンビニや飲食店、居酒屋でよく提供されるほか、最近はから揚げ専門店も多く、誰でも気軽に食べられる。
ただし、自宅で作るとなると話は別。油を大量に使うため調理後の片付けが面倒などの理由で、から揚げを含む揚げ物を自宅では作らない家庭も少なくないだろう。また、食材が油を吸収するため、カロリーが気になる人も多いと思う。
そこで今回は、油で揚げないから後片付けも簡単で、調理時間は10~15分ほど、しかもカロリーを(あまり)気にせずたくさん食べられる(はずの)、3機種のノンフライ機器でから揚げを思う存分、作ってみた。
使ったのは、シャープの「ヘルシオ グリエ AX-GR2」、レコルトの「エアーオーブントースター RFT-1」、そして山善の「エアフライヤー YAF-C120」。どれだけ、外側はカリッとして、中は柔らかくジューシーな食感で作れるのか? 気になる実力をレポートしていく。
なお、今回のノンフライから揚げの作り方は、まずは各機に付属するレシピに準拠して作ったあとに、しょうゆやしょうがなどにしっかり漬け込んだ鶏肉を使うレコルトのレシピで3機種での食べ比べを行なった。以下に記す参加者の感想は、編集部5名と営業部2名、ライターの安蔵靖志さんたちにも協力いただいた。
トースターながら過熱水蒸気でヘルシーから揚げが作れる「ヘルシオ グリエ AX-GR2」
「ヘルシオ グリエ AX-GR2」は、「ヘルシオエンジン(過熱水蒸気エンジン)」を搭載したトースター。容量約40mlの水タンクから、たっぷりの過熱水蒸気を発生させて、水分をたっぷり含んだ高温状態の過熱水蒸気で食材を包み込み、食材内部の水分を保ちながら焼いていく。「トースト」、「弱(生食パン)」、「中(クロワッサン、そうざいパン)」、「強(トレイ調理)」の4つの加熱モードを搭載する。
本体サイズは412×306×228mm(幅×奥行き×高さ)、庫内サイズは259×232×77mm(同)。重さは約5.7kg。電源はAC100V(50/60Hz)。定格消費電力は1,410W。タイマーは30秒〜15分。コーティングトレイ、メニューラベル、メニュー集が付属する。本体カラーはレッド系とホワイト系の2色。オープンプライスで、記事掲載時点での実売価格は18,000円前後。
「ヘルシオ グリエ AX-GR2」のから揚げレシピ
まずは同機の付属レシピにある「鶏のから揚げ」に忠実に作った。同レシピでは「鶏もも肉1枚(250g)を10等分に切る。から揚げ粉をまぶし、余分な粉を払って、皮を下にしてトレイに並べて焼く。」と至ってシンプルなレシピが記してある。なお「強(トレイ調理)」モードで、調理時間を10分に設定。から揚げ粉は、日清の「から揚げ粉」を使った。
作り方については、今回の3機種中で最も簡単なため、調理前には「これでから揚げが作れるの?」と不安の声もあったほどだった。
しっとりジューシー系のおいしさが際立つ
やはりノンフライのためか、外側は「カリッとした食感は完全には得られない印象」という評価が多かった。「カリカリ系」よりも「しっとり系」の食感が好みの人におすすめだ。
一方で、過熱水蒸気の効果か、内側の鶏肉のジューシーさはしっかりと味わえて、肉の旨味を最も感じられた。また、トレイの置き場所による焼きムラが最も少なく、どの位置で焼いたものもおいしかった。鶏肉とからあげ粉だけで、こんなにちゃんとした料理になるのは本当に便利だ。
から揚げ調理での汚れは少なく、トレイの汚れはすぐに落ちた
調理後に庫内を覗くと、から揚げ粉がトレイに散乱しているものの、しつこくこびりつくような汚れはなかった。調理するたびにトレイを洗ったが、スポンジでサッとこすればきれいになった。なお、食器洗い乾燥機は使用不可。
そのほか庫内のニオイも気にならない程度だったといえる。もし汚れが気になる場合には、ふきんで水拭きする。庫内と側面と上面は、ほぼフラットなので拭きやすい。
から揚げもトーストも作れる「エアーオーブントースター RFT-1」
レコルトの「エアーオーブントースター RFT-1」は、ノンフライ調理ができる「エアーオーブン機能」を備えた、2枚焼きのトースター。縦長の形状なため、置き場所が省スペースで済むのもポイントだ。
トーストだけでなく、揚げ物やオーブン料理が作れる。庫内上部にM型のヒーター、下部にはN型ヒーターを搭載し、最高230℃の熱風をファンで循環させ食材をカラッと焼き上げる。調理時は食材に含まれる油分を活用し、余分な脂は落ちるという。価格は17,600円。
本体サイズは約215×330×295mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約4.2kg。消費電力は1,300W。バスケット、トレイ、専用レシピブックが付属。本体カラーはレッド、クリームホワイト、グレー。
「エアーオーブントースター RFT-1」のから揚げレシピ
付属レシピの「ヘルシーから揚げ」に忠実に、作っていった。レシピ記載の通りに、あらかじめ3cm角程度に切った鶏もも肉240g(約2人分)に、塩を揉み込んだ。しょうゆや(すりおろし)しょうが、酒やごま油を入れた保存袋の中に鶏肉を入れて、冷蔵庫で3時間ほど漬け込んでおいた。
調理時には保存袋から鶏肉を取り出し、皮側を上にしてトレイに並べ、片栗粉を上から振りかけて、指先でなじませた。
表面のサクサク感と鶏肉のジューシーさのコントラストが絶妙
片栗粉が付いた上の方はサクサク感が感じられるが、反対側は鶏肉の食感がダイレクトに伝わってくる。下ごしらえをしっかりとしたこともあって、から揚げっぽさを最も感じられるしっかりした味に仕上がっていた。ごま油の香りで、普通のから揚げよりちょっと高級感もあったほどだ。
一方で、公式よりも少し切り身のサイズが大きかったせいか設定の時間だけでは「焼きムラがある」という指摘も。一部、内側の肉が生に見えた部分ものもあり、再度焼き直したところ、ちょうどよい仕上がりになった。
鶏肉の脂が溜まるため、調理後すぐに洗う必要がある
作った後は、鶏肉の脂などが、けっこうトレイに残っていた。それだけ脂が落ちてヘルシーになったわけだが、調理後に放置してしまうと、そのまま頑固な汚れになるだろう。調理後に鶏肉を食器に盛り付けたら、素早くトレイを洗った方が良い。トレイには細かく穴が開けられているため、スポンジでゴシゴシとこすると、スポンジの痛みが激しくなるかもしれない点は注意したい。
トースターではないノンフライ調理器「エアフライヤー YAF-C120」
山善の「エアフライヤー YAF-C120」は、熱風を循環させることで、油を使わず揚げ物調理が可能なノンフライヤー。油を使わないため、通常の揚げ物と比べてヘルシーで、サクサクとした食感に仕上がるという。またオーブン調理にも対応。グリル料理を始め、ドーナツやハニートーストなども作れて、冷凍食品の調理や揚げ物の温め直しもできる。直販価格は7,980円で、今回の中では最も安価だ。
本体サイズは約295×227×287mm(幅×奥行き×高さ)。重さは約3.1kg。容量は2.2L。消費電力は1,200W。電源コード長は0.9m。本体カラーはブラック。
「エアフライヤー YAF-C120」のから揚げレシピ
付属レシピでは、まず鶏モモ肉200gを1口大にカット。すりおろしショウガ(今回はチューブを使用)と麺つゆ、油を混ぜたものを、鶏肉と一緒に調理袋へ入れて、よく揉み込む。片栗粉と小麦粉を混ぜ合わせ、調理袋から取り出した鶏肉にまんべんなくまぶして「200℃/15分」で加熱する。
もっとも外がカリカリ食感と評価
15分の調理後に、本体バスケットを取り出してみると、見た目がもっともから揚げっぽくカリっと仕上がっていたのが「エアフライヤー YAF-C120」。ところどころ焦げている部分もあったが、外側の食感に関しては、試食したほとんどの人が「外側カリカリ」度を3機種中で最も高いと評価していた。
実際に口にすると、サクサクと音がするわけではないが、冷凍から揚げによくあるようなしっとりさとは対照的に、外側がカラッとした食感だった。とはいえ、歯が肉まで達すると、肉のジューシーさが加わって、程よいおいしさが感じられた。
ただしから揚げでいうところの“衣”のような食感が感じられるのは、やはり表側だけで「裏側はやわらかめだった」という厳しい評価もあった。カリっとした食感が好きな人は、一度焼いた後に裏返すといいだろう。
調理後の汚れは少ないが、バスケットを洗うのは少し手間
調理後のバスケット内を見ると、網プレートの上にはカスや脂が残っている。網プレートを取り出し、少し振るとほとんどのカスは落ちていった。あとはスポンジで網プレートを軽く洗えばきれいになった。バスケット本体は、やや大きいとはいえ、鍋を洗うのと同じような手間はあった。
から揚げの味を再現できるが、“衣”感の不足は否めない
3機種のノンフライから揚げを作った結果、それぞれ異なる特徴があることが分かった。外側(衣)については、山善>レコルト>シャープの順でサクサク感があった。また内側の肉に関しては単純には比較しづらいものの、過熱水蒸気を使うシャープが最も水分がああってジューシーさを感じられた。
3機種で公式のレシピに違いはあったものの、各機種で公式以外のレシピもいくつか試してみたところ、どのような作り方でも、全体の仕上がりとしてはほぼ同じような特性がでていた。
食べるまでは、通常のから揚げとは異なり、油が少ない分だけ味も物足りなく感じるのではないか、単なる焼き鳥になってしまうのではという不安もあったが、実際に食べてみると、いずれも「から揚げのような味」は間違いなく感じられた。また、十分に味わい深いものだったという評価も少なくなかった。
また、いずれも食材(今回の場合は鶏肉)を上手に焼き上げてくれた。特に高価ではないノンブランドの国産鶏モモ肉を選んだが、油ギトギトにならず、ノンフライ調理特有の食材本来の味を引き出した、食感と味が楽しめた。
ただし、本物の油で揚げた、分厚くサクサク食感の衣を期待すると物足りないかもしれない。それを分かったうえで食すと「から揚げとは別モノかもしれないが、新しい料理としてはアリだな」と満足できるはずだ。
どの機種でも気を付けたいポイントは、からあげ粉や片栗粉などの粉を肉の表面にまんべんなくつけること。粉が付いていない場所が多いと、焼き鳥のような表面になるためだ。一度多めにつけてから、はたき落とすという方法でもいい。
現在は様々なメーカーが、ノンフライ調理器を製造販売している。同時に、様々なノンフライのから揚げレシピも、ネット上に公開されている。自身が買った調理器に付属するレシピに従うだけでなく、そうした他機種向けのレシピなどを試して、好みの味を探求するのも良いだろう。
ちなみに、参考として衣をつけた後、市販のオイルスプレーを数回プッシュしてオリーブオイルを表面にかけてみる方法も試した。すると、より普通のから揚げに近いジューシーさになった。油は使っているものの、揚げ油よりは脂質控えめでヘルシーといえるだろう。シンプルなレシピに飽きたら、こうしたアレンジをしてみるとより楽しめそうだ。
後片付けに関しては、こびりつきが少なく、ほとんどトレイだけを洗えば済むシャープが、最も手間が少なかったように思えた。レコルトは比較的こびりつきが多く、山善は鍋ほどの大きさのバスケットを毎回洗う必要があった。
最終的には、どのモデルもノンフライから揚げを作る上では遜色がなかった。あとは、様々な調理に対応するシャープ「ヘルシオ グリエ AX-GR2」やレコルト「エアーオーブントースター RFT-1」にするか、ノンフライ調理専用で安価な山善「エアフライヤー YAF-C120」を選ぶか、といったところだろう。