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泊まりや訪問介護など5サービスを提供する、パナソニックの介護センター「エイジフリー登戸」
(2015/2/27 12:45)
パナソニックで介護事業を担当する、エイジフリービジネスユニット傘下のパナソニック エイジフリーサービスは、神奈川県川崎市に、3月1日に開設する介護サービスセンター「エイジフリー登戸」を公開。同時に、パナソニック エコソリューションズ社エイジフリービジネスユニットの取り組みについて説明した。
今後、ショートステイ付き介護サービスセンターを、近畿圏、首都圏、中京圏を中心に全国に展開。2018年度末までに200拠点に拡大するほか、2018年度のエイジフリービジネスの売り上げ計画を、これまでの500億円から、1.5倍となる750億円を見込むという。
介護サービスセンターとは、泊まりや通い、訪問などにより、「ショートステイ(短期入所)」、「デイサービス(通所介護)」、「居宅介護支援」、「訪問介護」、「訪問入浴介護」の、5つの介護保険サービスをワンストップで提供する拠点。これまで別々の会社が運営していたサービスを一本化している。エイジフリー登戸は、同社初の複合施設になるとともに、パソナニックグループの製品を活用した拠点となっている点も特徴だ。
さらに、厚生労働省の提唱する「地域包括ケアシステム」を支える拠点のひとつとしても位置づけられている。同センターをモデル拠点として、今後は、地域との連携を図りながら、自宅での介護が必要な人に対して、サービスを随時拡充。全国展開をしていくことになるという。
ショートステイを核に在宅介護をサポート
「デイサービスや訪問サポートを提供するなかで、介護者が数日間不在のときに、24時間見てほしいという要望が出てきた。そうしたニーズに応えるもので、ショートステイの機能を核にして、在宅介護のニーズの拡大に対応する」(パナソニック エイジフリーサービス 代表取締役常務・北村 光氏)という。
ショートステイは、自宅で暮らしている要介護者が、数日から数週間の間、自宅を離れ介護センターに滞在。その間、24時間の介護を受けるサービスだ。まだ普及はしていないが、在宅介護をしている家族の関心やニーズが高く、注目されているサービスだとする。
デイサービスや居宅介護支援などのサービスを提供している通い慣れた施設や、スタッフによる介護サービスを受けられることで、ショートステイサービスを利用する際にも、心理的な負担が軽減され、認知症の要介護者へのサービスにも適しているという。
料金は実質負担額として、宿泊費用や食費などで約5,000円程度になる見込みだ。
エイジフリー登戸は、敷地面積が295坪、延床面積が297坪。木造2階建てとなっており、要支援1-2、要介護1-5の認定を受けた人が利用対象者となる。
数日間に渡り、介護センターで24時間介護サービスを受けることができるショートステイで定員20人。介護センターに送迎して、朝から夕方まで運動機能訓練や介護を提供するデイサービスでは定員30人分の施設を用意する。そのほか、訪問入浴や訪問介護、居宅介護支援のサービスを提供。31人のスタッフでスタートし、最大60人規模のスタッフで対応することになる。
「すでに数人の予約契約を受けている。今後は、登戸での実績をベースに全国に展開していくことになる。ひとつの施設で、ショートステイで月110人、デイサービスで月120人、訪問入浴で月35人、訪問介護で月45人、居宅介護支援で月40人の合計350人分の地域貢献ができると試算している」とした。
冷蔵庫から電動ケアベッドまで、施設内はパナソニック製品で統一
また、パナソニックの製品を数多く導入しているのも特徴だ。
「ガラスなどの一部製品以外は、すべてパナソニック製品といっていい」というほど、センター内はパナソニック製品で構成されている。
木造でも地震に強く、設計の自由度が高いパナホーム独自のテクノストラクチャー工法を採用することで、ワイドスパンでの空間を実現。木質感と耐久性を両立した内装建材のVERITIS(ベリティス)の採用により、壁面の木を超える美しさも特徴となる。
ショートステイ用の個室には、今年1月から発売した電動ケアベッド「コンフォーネ」を導入。倒れ込み軽減とひざ位置調整で、ギャッチ姿勢を楽にできるほか、音声リモコンで簡単に操作ができるといったメリットもあるという。また、電動ケアベッド「RS」では、ベッドと付属品との隙間を縮め、挟み込み事故のリスクを軽減することができる。
また、全自動お掃除トイレ「アラウーノ」や、洗面化粧台「アクアハート洗面」を導入。車いすでも使いやすい高さや奥行きを実現したという。
介護施設向け浴室では、バリアフリーの水廻りユニット「アクアハート」を導入。2室の個浴室を横並びで設置し、浴室間を簡単に行き来ができるため、介助動作の効率化を図れるという。
デイサービスフロアでは、リハビリナビゲーションシステム「デジタルミラー」を導入。自分の姿を、鏡やカメラで撮影した映像として映しながら、様々なトレーニングができる。ゲーム要素を取り入れた使い方ができるため、可動領域を広げるなどの効果も期待できるという。
離床アシストベッド「リショーネ」は、ベッドと車椅子を融合した新たな発想のベッドで、介助者1人だけでベッドから車椅子へのスムーズな移動が可能になるという。
さらに、セキュリティシステムでもパナソニックの製品を活用。玄関では、高齢者施設向け見守りシステムの顔認証システムにより、入退出の自動管理を可能にしているほか、要介護者が一人で外出することができない安全性の実現、車椅子の介助のために両手がふさがっている場合にもスタッフの顔だけで開錠できるといった使い方ができる。
「介護ケアベッドなどの介護機器、エアコンや空気清浄機などの家電に、パナソニックの製品や技術を導入。安心、安全な空間の提供が可能になる」とした。
培ってきた介護事業のノウハウを活用
パナソニック エイジフリーヒジネスユニットの和久定信ビジネスユニット長は、介護事業について次のように述べた。
「パナソニックは、1998年6月に、在宅介護の事業会社を設立。同年7月からは、大阪で有料老人ホームの第1号を開業した。2000年に介護医療保険制度がスタートする前から、介護に取り組んでいる企業である。パナソニックは、メーカーであるが、それとともに介護の会社でもあるともいえる。介護サービス事業者として、17年間に渡って培ってきたノウハウを活用し、高品質のケアサービスを提供することができる」。
現在、エイジフリービジネスユニットでは、訪問介護事業などを行なうパナソニックエイジフリー、介護商品を取り扱うパナソニックエイジフリーライフテック、介護製品の販売店展開のほか、年間2万9,000件の介護リフォーム事業などを行なうパナソニックエイジフリーショップス、サービス付き高齢者向け住宅事業を行うパナソニックコムハートの各社が傘下にある。
「介護ショップでは、全国を200エリアに分類し、そのうち161エリアを114店舗でカバーしている。また、訪問入浴や訪問介護などの在宅サービスは105拠点149事業所から展開。有料老人ホームは3拠点、サービス付き高齢者向け住宅は7拠点となる。介護ショップは主要な地域はほぼカバーできている。前回の東京オリンピックは、高度成長期の入口であったが、2020年の東京オリンピック時には、高齢者が急拡大する入口のタイミングになる。サービス付き高齢者向け住宅は、2018年度には150拠点を目指す。また、エイジフリー登戸をきっかけに、介護サービスセンターを2018年度末までに200拠点に拡大する」と述べた。
売り上げ計画を上方修正、介護事業はさらに飛躍する
一方、「介護保険費用は、2013年度には9兆4,000億円の規模であり、これはコンビ二エンスストア市場と同等規模。年平均成長率は8%増とさらに成長が見込まれており、コンビニエンストストアの成長率が3.5%増であることに比べても高い成長率となっている。また、2025年には21兆円の規模が見込まれており、これは外食産業全体と同じ規模になる。これだけの介護保険費用がかかることは大きな課題である。パナソニックは、その課題解決に向けて取り組んでいく。介護業界におけるナンバーワン企業を目指す」とした。
同社では、2018年度におけるエイジフリー事業の売り上げ計画を、当初の500億円から750億円に上方修正。65歳以上の高齢者人口が3割に達する2025年には2,000億円規模の売上高を目指す。
「上方修正のほとんどは、介護サービスセンターの拠点を200拠点へと増加させることによるもの。ここではパナソニック製品を活用するため、他の事業部門にもプラス影響がある。また、サービス付き高齢者向け住宅事業だけの1本足ではなく、介護サービスセンターが加わることで、2本足での事業展開ができるようになる。2025年度には、さらに上積みしていくことになる。2025年には要介護者の1割に貢献したい」としている。
なお、「エイジフリー」の名称は、いまから17年前にパナソニックが商標を登録している。