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ヤマハ、トリプルセンサーでスケートのように滑らかな走り心地の電動アシスト自転車
~2013年モデル試乗会
(2013/3/14 15:39)
ヤマハ発動機は、電動アシスト自転車「PAS」2013年モデルの試乗会を報道陣向けに開催した。
今回紹介されたのは、バッテリー容量8.7Ahの電動アシスト自転車「PAS CITY-L」、「PAS CITY-S」、「PAS ami」、「PAS ナチュラ デラックス」、「PAS ナチュラL」の5機種。いずれも、快適なアシスト走行を可能にするための新「トリプルセンサー」を採用した点が特徴となる。
従来は、走行をアシストするために、速度を感知する「スピードセンサー」とペダルを踏み込む力を感知する「トルクセンサー」の2つのセンサーを採用していたが、平坦な道や緩やかな登り坂ではセンサーが反応せず、アシスト機能がOFFになってしまうことがあった。2013年モデルでは、2つのセンサーに加えて、新たにペダルを回す速度を感知する「クランク回転センサー」を搭載。ペダルを回すわずかな力も感知できるようになり、低速域のアシスト力を改善した。これにより平坦な道や緩い坂をゆっくり走る時や、弱い力で漕ぐ際にも、スムーズにアシストできるという。
スピードアップや減速に滑らかに対応
実際に試乗してみると、トリプルアシストセンサーを搭載した新モデルは、いかにもアシストしているという違和感がなかった。漕ぎ始めは、普通の自転車のようにペダルを踏むだけだ。ただし、そのペダルを踏む力は、電動アシスト機能を搭載していない自転車に比べたら、少なくて済む。その後、平坦な道をゆっくり走ったり、緩い坂を下ってまた登ったりと、スピードの変化が多い場所を走ったのだが、アシストがとても自然で、軽い力で悠々と漕げる。
次に2012年モデルのPASに試乗。同じルートを走ったのだが、発進や加速時に、少しアシスト力に違和感があった。例えば、坂道を登り始める時、急にアシストがONになるので、グッと自転車が前に進むような感覚がある。その力に押されて、サドルの上で尻が軽く滑った。新モデルでは坂を上る前のゆったり走行している間もアシストが途切れないので、坂を上り始める時のアシストも滑らかに感じられるのだろう。乗り心地の違いは、よくわかる。
同社では、走り心地について「従来モデルが“ジョギング”であったのに対して、2013年モデルは“スケート”のように滑らかな走り心地」と表現する。
2013年モデルではハンドルの操作スイッチも改良。表示項目としてバッテリー残量と走行速度のほかに、選択しているモードごとの残りのアシスト可能距離を表示する機能を追加した。これにより走行時のバッテリー切れの不安を解消するという。
このほかナチュラLではサドルの高さを低く設計して、足が地面に着きやすくし、安心感を高めた。26型では適応身長が144cm以上となっているのに対し、24型は身長140cm以上の人に対応し、小柄な人も乗りやすいという。
欧州での販売を強化
今年はヤマハ発動機が電動アシスト自転車を発売してから20年目となる節目の年。電動アシスト自転車の市場は、堅調に推移しているという。
ヤマハ発動機の柳弘之社長は、今後の方針として「若者を対象とした市場の開拓と、欧州にPASの販売を拡大していく」と話す。電動アシスト自転車の年間市場規模は、現在国内で40万台、欧州では85万台と見込んでいる。今後欧州での販売を強化するため、台湾のジャイアント社、ドイツのヴィノラ社、デンマークのサイクルビジョン社と提携を結んだことも明らかにした。電動アシスト自転車用のバッテリーやモーター、操作スイッチなどのシステムキットを供給していくという。
同社ではこのほか、PASの20周年モデルを2013年夏をめどに発売予定としている。