ニュース

パワーを維持しつつ小型・軽量化した電動アシスト自転車用ドライブユニット

PAドライブユニットをフレームにはめたところ

 ヤマハ発動機は、電動アシスト自転車「PAS」の次世代ドライブユニット「PAドライブユニット」を発表した。制御センサーは従来機種と同じくトリプルセンサーシステムを採用。2014年12月から順次投入予定の2015年モデルから搭載する。また2015年後半より、本体重量が15kg未満の電動アシスト自転車を投入する予定という。

 「軽量・コンパクト・高性能」による走りの楽しさと地球に優しい環境性能を実現するコンセプト「GREEN CORE(グリーンコア)」に基づいて開発された。

PAドライブユニット 正面
背面
左側面
右側面

 モーターの力をチェーンに伝える「チェーン合力式」のユニットの中で、小型最軽量クラスを達成しつつも、現行のドライブユニットと同じパワーを発揮する。

 本体の重量を、現行のドライブユニットよりも約20%軽い3.4kgにした。また、現在はスチール製のフレームをアルミ製に変更することで、約1.5kg軽くした。これにより、ドライブユニットとフレームの合計で約2.4kgの軽量化を実現した。

実際に購入する際には、バッテリーの容量や価格を気にするが、使い始めると取り回しやすさに注目するユーザーが多くなるとしている
ドライブユニットとフレームを改良することで、PASに採用している8.7Ahのリチウムイオンバッテリー1個分の重量に相当する、約2.4kgの軽量化を実現

 そのほか、ドライブユニットに装備するモーターの再設計や、制御基板の小型化を行なうことでさらなる軽量化を達成している。

 同社では軽量化により、「走る・曲がる・止まる」という基本性能が向上するとしている。ユーザーの「もう少し軽くして、取り回しを良くして欲しい」というニーズに対応した。

 環境性能の面では、レアアースやアルミ、ドライブユニット内部の銅線の使用量を、現行製品よりも大幅に削減している。

軽量化はドライブユニットに装備するモーターを再設計することで、小型化はドライブユニット内のレイアウトを見直すことで達成した
モーターの設計では、磁石の利用率を最大化するために、磁石の磁力を拾うティースの幅、磁石の幅、磁石の厚み、ステーター/ローターの内外径のサイズを最適化した
ティースや磁石のサイズを最適化することで、磁石の使用量やステーターの外径・厚み、重量を削減。また、現行のドライブユニットよりも、12mm重心が低くなっている
制御基板とクランク回転センサ基板を1枚にして、制御基板面積を23%小型化
制御基板を小型化することで、配線の長さを40%削減、ドライブユニットの前後の長さを約5%、ペダルから出力軸の間の長さを約10%縮小している
最終的に、重量を20%、容積を16%、磁石量を35%、アルミ使用量を28%、内部配線長を40%、制御基板面積を23%削減し、軽量化した

2015年はPASのシェア32%以上、ドライブユニットのシェア55%を販売目標として設定

ヤマハ発動機株式会社 代表取締役社長の柳弘之氏

 ヤマハ発動機株式会社 代表取締役社長の柳弘之氏は、今回発表するドライブユニットについて「軽量・コンパクト・高性能でより楽しい走りを提供しつつ、高い環境性能でより地球に優しいという相反する機能を両立させました。この商品は12月から市場に投入し、2015年にはPASのシェアを32%以上、ドライブユニットの国内シェアを55%に高めます」と述べた。

新たなドライブユニットの投入は、ヤマハ発動機の成長戦略の中の「広がるモビリティの世界を創る」に含まれる
電動アシスト自転車とドライブユニットの2014年度の総出荷数は31万台で、内訳は国内が26万台、輸出が5万台となっている。来年はさらに拡大していくという
PAドライブユニットの開発により、2015年の販売目標として、ヤマハPASのシェアを32%以上、国内でのドライブユニットのシェアを55%に高めるという

中野 信二