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「ファミリーPAS」を標語に展開する2014年の「PAS」シリーズ

 ヤマハ発動機は、電動アシスト自転車「PAS」2014年モデルの発表会を開催した。

 今回発表されたのは、家族向けの「PAS Babby」、通勤・通学向けの「PAS CITY-L5/S5」、標準モデルの「PAS ナチュラL/S」の3モデル。2014年モデルは「さらに便利に」をテーマとし、全車種に「トリプルセンサーシステム」、「急速充電器」、「オートライト機能」を搭載する。

PAS Babby
PAS CITY-L5
PAS CITY-S5
PAS ナチュラL
PAS ナチュラS

 トリプルセンサーシステムでは、ペダルを踏み込む力(トルク)、走行速度(スピード)、ペダルの回転数(クランク回転)を検知してアシストする。同社によると、「ペダルを踏む力の弱い方」「ゆっくり漕ぐシーン」で力を発揮するという。

 急速充電器では、これまで約4.5時間かかっていた8.7Ahリチウムイオン電池の充電が約2.5時間でできる。急速充電器のメリットとして同社は、充電時間の短縮に加え、朝起きた時に充電し忘れていたり、ちょっと遠出したい場合に、30分の充電でも安心を得ることができるとしている。なお現在の同社のバッテリーラインナップは、互換性のある5.0Ah、8.7Ah、12.8Ahの3種類のリチウムイオンバッテリーを用意している。

 オートライト機能は、電源ONで自動的に作動するもので、3ファンクションメーターに搭載されている照度センサーが周囲の明るさを検知し、暗くなると自動的にライトが点灯する。なお一度ライトボタンを押すと、以降はライトの操作が手動になる。

トルクとスピードに、クランク回転を追加したトリプルセンサーシステム
急速充電器では充電時間を短縮
オートライト機能では、照度センサーにより暗くなると自動的にライトが点灯する

 そのほか、「PAS Babby」「PAS CITY-L5/S5」「PAS ナチュラL/S」のモデル別の特徴はすでに発表されているので、ここでは割愛する。

2014年はファミリーPASを標語に活動を展開

ヤマハ発動機 事業開発本部 SPV 事業部長 森本実氏

 2014年のヤマハ発動機は、老若男女、世代を問わず家族で使ってもらいたいという願いを込め、「ファミリーPAS」を標語として活動を展開していくという。

 具体的な販売計画は、国内での総需要の見込みは前年比107%増の46万7,000台とし、その中でPASは市場でのシェア31%、前年比110%増となる14万4,000台を目指すという。さらに新たなコンセプトとして、2013年の東京モーターショーで発表したコンセプトモデルで、従来のPASのユーザーから一番遠いカテゴリーであるスポーツモデル「YPJ-01」の需要を拡大したいとした。

 森本氏は、「パイオニアとしてヤマハがやらなければならないこと、2輪メーカーとしてやれることを追求し、電動アシスト自転車の市場を育てていきたいと思います。『いつも新しいことはヤマハから』という願いを込めて2014年度も活動していきます」と今後の展望を述べた。

「ファミリーPAS」を標語にヤマハのチャレンジを展開していく
2014年の販売計画
PASシリーズの新たなコンセプトとしてスポーツモデルに注力する

PAS CITY-L5に試乗してアシストのありがたみを痛感!

 今回の試乗コースは地下の駐車場に設置されていた。発着所からスタートし、上り坂→下り坂→平地と走行した。試乗した通勤・通学向けのPAS CITY-L5のアシストレベルは6段階中の3だ。

 記者は初めて電動アシスト自転車に乗ったが、漕ぎ始めから普通の自転車とは明らかに違う。漕ぎ始めたという実感が少なく自転車が前に進んでいく。

 上り坂には、一旦停車してギアを一番軽く漕げる「1」に、アシスト力を「強」に設定して走行したが、座ったまま平地を走らせるようにペダルを漕いでもスムーズに上ることができた。

 そのまま坂を下り、下りきったところで再び一旦停車しギアを一番重い「5」に変更。アシスト力は「強」のままで平地を走行した。普通の自転車ならギアを一番重くするとペダルも重くなるが、アシストが効いているのでペダルの重さをそれほど感じずスムーズに走行できた。

 ちなみに、係員の許可を得てアシストOFFで上り坂に挑戦した。ギアはもちろん「1」に設定したが、座って漕げたのは最初の4漕ぎくらい。それから先は、必死で立ち漕ぎしてやっとのことで坂を上りきれた。アシストのありがたみを痛感した試乗会だった。

試乗会の様子。普段、デスクに座っていることが多いと思われる報道関係者でも、座ったまま苦もなく坂道を上っていく姿が印象的だった

中野 信二