ニュース

高額家電を値引きしない新制度、日立がパナに続いて導入

日立グローバルライフソリューションズの宮野譲 取締役CMO

日立グローバルライフソリューションズは、「日立家電品正規取扱店」制度を10月4日から開始する。“日立のお店”など地域の家電店や、家電量販店、通販サイトなどを対象にしたもので、これらの店舗やサイトでは、対象となる家電が日立の指定した価格で販売され、基本的に販売店による値引きがされないようになる。

日立家電事業の国内販売における新たな取り組みとして実施。従来の売買契約とは別に、同社と販売店の間で結ぶ形となり、正規取扱店は専用のマークで判別できる。現時点で対象店舗は実店舗と通販サイトを合わせて約15,550店。

正規取扱店では、対象となる家電について日立が指定する価格で販売し、販売店による在庫処分などで急激に値下がりすることを防ぐ。

価格が指定される対象の家電は比較的高機能かつ高額なモデルで、ハイエンドな冷蔵庫やドラム式洗濯乾燥機などを想定。導入後、対象の家電は正規取扱店でのみ買えるようになる。全家電製品の10%程度が制度開始から1年以内で対象となる見込み。なお、販売中の既存製品が10月4日に値上げされることはないという。

在庫リスクは販売店ではなくメーカーが負う形となることから、独占禁止法には抵触しないとしている。なお、同様に店頭で値引きされない取り組みはパナソニックが既に先行して行なっており、日立がそれに続く形となる。

「日立家電品正規取扱店」制度の内容

日立家電品正規取扱店のマークがある店舗やサイトでは、購入後の設置や工事、アフターサービスなどのサポートも提供。正規取扱店を通じて購入することで、製品の廃棄やリサイクルまで適切なサポートが受けられる環境を用意する。制度の開始に合わせた販売店支援として、「日立の家電品」サイトに対象店舗の一覧を掲載する。

正規取扱店は専用のマークで分かる

ハイエンド品の値下がりは難しく。より長持ちする家電開発へ

消費者にとっては「在庫処分による値下がりを待つ」ことは難しくなる一方で、発売当初に購入しても、その後に大きく値下がりして手持ちの製品の価値が落ちたとは感じにくいようになる。なお、全く値引きがされないわけではなく、日立側の判断で価格が調整されることはある。

価格下落を防ぐことに合わせて、製品開発のスケジュールについても変更される。従来のように1年単位で新製品に切り替わるといった短いサイクルではなく、「最低でも2年。今後は4~5年と長期に供給できるモデルを開発できるよう努力する」(宮野譲 取締役CMO)としている。

現状では例えば30万円を超えるハイエンドな冷蔵庫やドラム洗濯機が、製品によっては4割ほど価格下落するという事例があり、そうした価格下落を防ぎながら、在庫などのコントロールも計画的に行なっていく。

よりライフサイクルの長い製品開発に取り組むという