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バルミューダ成功の鍵はTKO木本さん!? 新サーキュレーター発表会で寺尾社長が秘話を語る
2019年7月4日 17:38
バルミューダは7月3日、コードレスで使える脱臭フィルター搭載サーキュレーター「GreenFan C2(グリーンファン シーツー)」の発表会を開催した。代表取締役社長・寺尾 玄氏が登壇したほか、バルミューダが扇風機を開発した当初から縁があるという家電芸人のTKO・木本 武宏さんとのトークセッションも行なわれた。製品は現在予約受付中で、7月10日より出荷予定。直販価格は22,600円(税抜)。
GreenFan C2は、小型コードレス仕様を特徴としたサーキュレーター。片手で持ち運びやすく、手軽にさまざまな場所に移動でき、快適な風を届けるという。適用畳数は約20畳。
コードレスで使う際は、別売りバッテリー「Bttery&Dock(バッテリーアンドドック)」で充電してから使用する。お風呂上がりの脱衣所や、エアコンの風が届きにくいキッチン、部屋干しの衣類乾燥に使うなど様々なシーンで活躍する。
空気の吸込口には、活性炭脱臭フィルターを新たに搭載。フィルターを通った空気は脱臭され、心地よい風を届けるとしている。
羽根は特許技術の二重構造で、自然界の風を再現した大きく広がり包み込む風を送り出す。また独自のダクトファン構造により、強力に空気を吸い込み、部屋の空気をしっかり循環できるという。
やさしく静かな風を、どこにでも持っていける
会場には、バルミューダ 代表取締役社長・寺尾 玄氏が登壇。新製品について次のように語った。
「バルミューダが扇風機『GreenFan』を発売してからもう9年が経ちます。長らく風について考えてきた私たちが、改めて風の使い方を考えて開発したのが今回のサーキュレーター『GreenFan C2』です。とても強い風、そしてとてもやさしく静かな風、それと同時に、送風するだけでその場の気になるニオイもとれる、それをどこにでも持っていける、こんな新しい風の使い方はいかがでしょうか、という思いで開発しました」
バッテリーはリチウムイオンポリマー電池で、容量は4,500mAh。連続駆動時間は、風量1が22時間、2が9.5時間、3が3.5時間、ジェットモードが2時間。充電時間は8時間。充電回数は約500回。バッテリーの価格は9,800円(税抜)
風量「1」と「2」は扇風機利用に適しており、長時間当たっても肌を冷やしすぎない風だという。「3」と「ジェットモード」はサーキュレーター利用に適しており、部屋中の空気を動かす強力な風を送り出す。エアコンの冷暖房時にできる、天井と床の不快な温度差を短時間で解消し、素早く快適な室温にするという。
送風角度は、上向き110度、下向き10度に手動で調整可能。
ずっと浴びていたくなるようなやわらかい風を、あらゆる場所で体感
実際に風を体験してみたが、風量「1」と「2」はやわらかい風で、そよ風を浴びているような感覚。「3」と「ジェットモード」はパワフルさをしっかり感じられた。
本体は軽く、背面には手を引っ掛けられるようになっているため、移動も簡単。充電しておけば、コードの抜き差しをする手間なくどこにでも持ち運べる。お風呂上がりの脱衣所のスポット送風などのほか、昼はリビング、夜は寝室とエアコンの風を循環させるサーキュレーターとしても良さそう。コードがないだけで家中気軽に移動できるので、さまざまな場所で使いたくなると感じた。
本体サイズは320×230×340mm(幅×奥行き×高さ)。重さは約3kg。ACアダプター、脱臭フィルター、リモコンが付属する。脱臭フィルターは交換目安が約6カ月で、価格が2,000円(税抜)。
場所を選ばず使える、シンプルなデザインも特徴。各部屋のインテリアに調和するとともに、どの季節にも馴染むため1年を通して快適に使えるという。
寺尾社長は、「スターウォーズのR2-D2を意識しました。GreenFan C2のデザインで大事にしたのは“抜け感”です。送風部分と台座にはかなりの幅を取っており、台座のアール(丸み)も大きくしています。これらが抜け感につながっており、可愛さや愛嬌を出しました。R2-D2にもそういった愛嬌がありますよね。
完璧なものに“可愛い”とか“愛嬌がある”という言葉は使わないと思いますが、“抜け”は“可愛さ”に繋がります。バルミューダでは1つの製品を作るのに2,000以上のデザイン案があがります。今回もたくさんのデザイン案があり、当初はまったく異なる外観でした。クリエイターチームの黒板に貼ってあったR2-D2を見て、ピンときたのです。
もちろん抜け感はありますが、それ以外の部分はキレイに、シャープに仕上げています。他をピシッとすることで、抜け感が良い方向に際立ちます。愛嬌のあるデザインにすることで、家に置きたくなる、どこにでも持ち運びたくなるものになると考えました」
家電芸人・TKO木本さんとの出会い、GreenFanの絆
また会場には、TKOの木本 武宏さんが登壇。寺尾社長と木本さんの出会いは、バルミューダが扇風機「GreenFan」を発表した約10年前だという。
2009年当時、バルミューダの社員は3人。売上高4,500万円に対し決算は1,400万円の赤字で、3,000万円の借り入れがあった。このままでは倒産という窮地だったが、それだけは免れたいという思いから、寺尾社長が試行錯誤で完成させたのがDCモーター搭載の扇風機「GreenFan」。量産体制が整い、資金調達も成功したが、問題は販売だったという。
「GreenFanは完成しましたが、問題はどうやってこれを売るか、ということでした。年間の目標販売台数は6,000台、DCモーターを搭載した新しい扇風機といえども、価格は35,000円。無名の会社がいきなり家電量販店に営業しても相手にされません。
そのときに考えたのが、これはメディアで有名になるしかないということです。当時は家電芸人によるテレビの企画も増えており、家電芸人を頼ろうと思い、木本さんに突撃しました。ツテがないので、木本さんが所属する松竹芸能の事務所に行き、いわゆる入待ちです(笑)」(寺尾社長)
木本さんは、当時の印象を思い出深く話す。
「とても暑い日だったのを覚えています。松竹芸能の会議室もエアコンが全然効いていなく、寺尾社長が汗をかきながら、ダンボールから扇風機を出して紹介してくれました。そのときに浴びたGreenFanの風はもう衝撃的な涼しさだったんです。二重構造の羽根の話とか、風の仕組みとかを教えてくれたのですが、とにかく感動しました。
そのときのことで覚えているのが、寺尾社長は一度も“この製品をテレビで話してくれ”と言わなかったことです。あまりにも風が心地良かったので、僕の方からこれ紹介させていただいていいですかって言いました。それで、テレビでこのGreenFanをPRしたんですよ」
寺尾社長は、「もうそれが本当にありがたかったんです。テレビ放映後は、今まで見向きもしてくれなかった家電量販店から沢山の問い合わせがありました。もう会社の電話が鳴り止まなかったですね」と振り返る。
また、寺尾社長が木本さんに声を掛けた理由も説明。「家電芸人と呼ばれる人は多くいますが、中でも木本さんはデザイン性が高い製品が好みと聞いていました。GreenFanは他の扇風機よりもデザインが優れていると自信があったので、最初から木本さんにお願いしたいと思っていたのです」
木本さんは、「なぜ僕? と思いましたがそういう理由だったんですね。10年越しでわかりました(笑)。僕はあのとき、1人の男が情熱を注ぐときの温度を目の当たりにしたんです。だからGreenFanをテレビで紹介するときも、寺尾社長の思いが乗り移ったように話しました」と話す。
「まさに木本さんが売ったと言っても過言ではないです。GreenFanはそれ以降も好調で、今では家電量販店にDC扇風機コーナーができるまでになりました。量販店に新しいジャンルの売り場を作るというのは、本当に嬉しいことです。GreenFanの成功がなければ、今のバルミューダはありません。今後も続々と新しい製品を投入していきたいと思います」(寺尾社長)