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富士ゼネの新型「ノクリアX」、Bluetoothリモコンやデュアルブラスターのデモを展示

 富士通ゼネラルは、エアコン「nocria(ノクリア)」2019年モデルの実動品を展示した内覧会を開催した。Bluetoothリモコンを操作したり、デュアルブラスターや熱交換器の加熱除菌、スマートスピーカーAIを利用した操作デモなどが実施された。

デュアルブラスターのデモでは、温風が床にくまなく広がる様子が見られる

 Xシリーズは「ノクリア」の最上位モデルで、2019年モデルでは4年ぶりのフルモデルチェンジが行なわれている。据え置き型のBluetoothリモコン、ユーザーの温度設定などの使い方を学習して温度を調節するAI機能、丸みがあり圧迫感を軽減したラウンドフォルムの室内機などを新たに採用。

 発売は1月下旬より順次とし、暖房時の適用畳数6畳の「AS-X22J」~26畳「AS-X80J2」の計8機種で、価格はオープンプライス。店頭予想価格は28万円~41万円前後(税抜)。

「nocria(ノクリア)」Xシリーズ 2019年モデル

Bluetoothリモコンによる操作

 会場では、実動するエアコン本体が複数展示され、Bluetoothリモコンで、エアコン操作が行なえた。リモコンへ手をかざし、左右へ振るとオンオフ操作が可能となり、リモコンの上下左右を押して、各種操作を行なえる。

 試しに、デュアルブラスターのキモとなる「サイドファン」の設定メニューを見てみた。風量の選択のほか、風向を上下、左右で変更できることが分かる。

 このリモコンは温度・湿度センサーを内蔵し、室内機とは離れているため、より居住空間に近い位置の空気環境を計測できる。本体とはBluetoothで接続しており、計測データなど大容量の通信が可能だという。通信距離は約10m。

Bluetoothリモコンで、エアコンを操作できる
据え置き型のBluetoothリモコン
左右サイドファンを選択
サイドファンの風量を操作
サイドファンの上下風向を操作
サイドファンの左右風向を操作

体感温度予測と立ち上げ予測が特徴のAI

 ノクリアXシリーズのAI機能は、「エッジ&クラウドAI」を採用しており、室内機内蔵のセンサー等で計測した各種データをクラウドへ送信し、クラウド上では富士通のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」が学習と予測制御を行ない、エアコン1台毎に学習済みモデルを作成する仕組み。

 さらにインターネット上の天気情報もデータとして融合させた上で、実際の運転に反映するのだという。利用者データは、クラウド上に1年保存されるとし、それ以上前のデータについては、学習済みモデルのみが保存される仕組み。

 同社がAIの特徴として挙げているのは、「体感温度予測」と「立ち上げ予測」。体感温度予測機能では、利用者の好みの室温、湿度、リモコン操作履歴を元に、AIが好みの温熱環境を予測し、運転に反映させる。そのためユーザーは、リモコン操作なしで快適な温熱環境を体験できるという。

 利用者好みの温熱環境のベースを学習するのに要する期間は約1週間程度だそうだが、長期間使用するほど、より快適な温熱環境を提供できるとしている。

 立ち上げ予測機能では、従来の入タイマーが指定時刻の運転開始しかできなかったのに対し、指定時刻に快適な温熱環境を提供できるという。ユーザーのそれまでの利用履歴から、建物や部屋の断熱構造などの性能を分析し、気象データを併せて判断することで、運転開始時刻を算定し、指定時刻には快適な空間を実現するとしている。

エッジ&クラウドAIの仕組み

標準で、スマートフォンやスマートスピーカーと連携

 2019年モデルから、無線LANアダプターが標準で内蔵されたこともあり、スマートフォンやスマートスピーカー連携も、標準で行なえるようになった。対応するスマートスピーカーAIは、GoogleアシスタントとAmazon Alexa。展示では、ソニー・ブラビアに内蔵されるAndroid TVを利用して、ノクリアを操作。一緒に展示されたアイロボット・ルンバなどと、マクロ機能による一括操作も実施された。

ソニー・ブラビアに内蔵されるAndroid TVで、ノクリアを操作

熱交換器の加熱除菌は時間短縮

 熱交換器を約55℃に加熱することで、カビを除去できるとする「熱交換器加熱除菌」の実演も行なわれた。加熱した熱交換器をサーモグラフィーで見ると54.6℃と表示され、この約55℃の状態で10分ほど加熱して除菌を行なう。

 熱交換器加熱除菌では、55℃までの加熱に要する時間は約5~10分程度。短時間で温度を上げることで、熱交換器のフィンの間に溜まった水分が乾く前に高温にでき、湿熱により除菌できるという。

 フィンの間に溜まった水分は、水に浸したストローの端に残った水と同じで、表面張力により貼り付いている状態。この水分により、55℃でもカビなどの除菌が可能になるという。逆に、温度を上げるのに時間がかかってしまうと、先に水分が乾燥してしまうため、菌が休眠状態になってしまうのだそうだ。

 同社の実験によれば、エアコンに生えるカビのうち95%を占める、クロカワカビ(クラドスポリウム)にも除菌効果があったという。

加熱除菌中の熱交換器の温度を計測
ストローに残る水のように、運転後のエアコンはフィンの間に水が溜まっている
熱交換器加熱除菌が効果があったとするカビの一覧

室外機には、風向ガイドが後付け可能に

 室外機については、コンプレッサーや凍結防止ヒーターが見られるスケルトンモデルが展示されていたほか、2019年モデルから後付けが可能になった「風向ガイド OP-J02A」を取り付けたモデルも展示されていた。

コンプレッサーや凍結防止ヒーターが見られる、室外機のスケルトンモデル
「風向ガイド OP-J02A」を取り付けた室外機

エアコン清掃サービスの実演も

 同社では、サービスマンによるエアコン清掃を行なっている。一般的なエアコン清掃と同様の熱交換器の清掃に加え、室内機を分解し、部品を持ち帰って清掃した上で、後日組み立てるというサービスも実施しているという。熱交換器の清掃だけでは、その内側にあるセンターファンの汚れを隅々まで取り除くことは難しいが、サービスマンによる分解清掃であれば、隅々まで汚れを取り除ける。費用は約25,000円~。

サービスマンによるエアコン清掃
熱交換器清掃の実演
熱交換器清掃で出た汚水
熱交換器の清掃前(写真右)、清掃後(写真左)
センターファンの清掃前(写真右)と、分解清掃による清掃後(写真左)

天井埋め込みエアコンにもデュアルブラスター

 その他、2018年秋に中国で販売済みの「一方向天井埋め込みカセット形エアコンマルチフロータイプ」も展示されていた。左右にサイドファンを搭載し、ノクリアシリーズと同様に気流をコントロールできる。

 サイドファンと中央のファンは、それぞれ別々に気流をコントロール可能で、写真奥側のフィンの内側にフィルターを内蔵し、ここからから吸気しているという。

 3月にはヨーロッパで発売予定で、日本での発売時期は未定。価格は、およそ50~70万円程度を検討中だとした。

「一方向天井埋め込みカセット形エアコンマルチフロータイプ」
サイドファンと中央のファンは、それぞれ別々に気流をコントロール可能
向かって右側のファンのみを操作

水冷式「ウェアラブルエアコン」は東京オリンピックで

 また、2018年10月開催のCEATECでも展示されていた、水冷式の「ウェアラブルエアコン」も展示。首掛け式のクーラーで、首が当たる部分にペルチェ素子を内蔵。腰部分にファンと電池を内蔵するボックスを取り付けられ、首掛け部分とボックス間のチューブに水が循環する水冷式。

 製品化・量産化の目標は、2020年と変わっていないが、東京オリンピックでのスタッフ用途などを想定しているとした。なお2020年時点ではビジネス向けの販売のみを想定しており、コンシューマー向けの販売はそれ以降を検討しているという。

水冷式の「ウェアラブルエアコン」