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国内約40%の電動アシスト自転車を生産する、パナソニックの柏原工場に潜入!
2018年6月13日 15:11
パナソニック サイクルテックによれば、自転車全体の需要が下がっていく中、2017年の電動アシスト自転車の総需要は64万2,000台で、年率+8%の成長市場だという。その中で、同社のシェアは約40%となり、単独トップを維持している。
同社の電動アシスト自転車の製造は、新大阪駅から車で1時間ほどのところにある柏原工場が担っている。敷地の総面積は21,200m2で、甲子園球場のグラウンドの1.6倍に相当する。そのうち生産スペースの総床面積は10,460m2。
そんな柏原工場がメディア向けに公開された。
同社の特長は、開発から製造、販売までが国内で一貫されている点。製造には、フレーム製造や塗装、組み立て、駆動ユニットの生産までを含み、他メーカーにはない強みとしている。
工場内に入ると、まずは生地である540cmの長尺のパイプが並べられている。このパイプを各パーツに合わせて、機械で切断し曲げていく。
フレームの形にするため、溶接をしてパイプとパイプをつなげていく。一般的な自転車では、「ロウ付け」と「MAG」という2種類の方法で行なっていく。
まずロウ付け溶接では、パイプ同士をつなげるためにラグという部品をかぶせ、パイプ間とラグとパイプとの間などに融点の低いロウ剤を流し込んで内側から接合させる。ロウ付け溶接は見た目が美しく、よく目につく場所に使われるという。
一方で、場所によってはロボットが作業を行なうMAG溶接を使う。こちらは接合部に沿って点々と溶接していく。
同工場では、さらにチタンフレームに特化したTIG溶接も取り入れている。こちらは主に同社のオーダーシステム、POS(Panasonic Order System)で受注した高級スポーツ自転車で使われるという。
フレームの形に仕上がった本体は、湯洗槽や薬剤に浸けて洗浄し、塗装が乗りやすいように、下処理が行なわれる。その後、塗装エリアに運ばれ、3コート3ベイクの静電塗装が施される。
3コート3ベイクとは、ガンで塗料を塗布した後に焼き付けを行なう、という工程を3度繰り返すこと。下塗りではベースとなる塗料を塗り、中塗りでカタログ色を塗り、上塗りでコーティングして綺麗に仕上げる。
さらに、塗装の終わったフレームは、完成品組立ラインに運ばれていく。通常の自転車では、パーツ数は約70点。まずはフレームに同社のブランドマークなどを貼り、その後、フレームを組み立て、モーターを組み込んでいき、最終的な出荷状態まで組み上げていく。
組み立ての特長は、すべて自転車技士による全数検査を行なっている点だという。ブレーキなど調整が必要になる8箇所のほか、9箇所の検査を行なう。同社では500名の社員のうち、有資格者は約4割の190名。工場内だけでも120名のうち、30名が自転車技士の資格を取得している。
フレームを中心とした流れのほか、同工場にはモーターの生産ラインを備えている。部品を揃えるピッキングののち、耐湿性や耐水性を高めるため、基盤に樹脂を流し込んで固める、ポッティングを施す。その後、前述した組み立て工程に移して、自転車に組み込んでいく。