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シャープ、プラズマクラスターイオンに育毛効果があることを実証

 シャープは、同社のイオン技術「プラズマクラスター」が、頭皮環境を改善し、育毛効果があることを実証したと発表した。

 プラズマクラスターとは、自然界と同じ水素プラスイオンと、酸素マイナスイオンを人工的に作り出したもの。プラスとマイナスのイオンが水に包まれた状態で、安定して空気中を浮遊できるとする。

プラズマクラスター技術のイメージ図

 このプラズマクラスターイオンをドライヤーに搭載することで、ブラッシングでの静電気の抑制、髪のからまりや枝毛、切れ毛を抑えて手触り滑らかなツヤのある髪へと導くとしてきた。

 なお、実証試験に使われた機器は、臨床試験専用に開発したイオン濃度が約150万個、330万個/cm3のイオン発生機を搭載したもの。

 今回の実証試験は、この特別に用意された機器を使い、2種類に分けて行なわれた。1つは、プラズマクラスターイオンを照射することで頭皮環境が改善するか(頭皮のバリア機能向上)を試験。もう1つは、同じようにプラズマクラスターイオンの照射により、頭皮のバリア機能向上と皮脂抑制効果、フケかゆみの原因菌であるマラセチア菌をどれだけ抑制できたかを試験した。

今回行なわれた検証試験の概要と結果

 また同社によれば、効果が実証されたのは「育毛」であって「発毛」ではないという。プラズマクラスターイオンは、あくまでも髪の毛を作る細胞が、活動しやすい環境を作るのではないかと考えているとする。その結果として、髪の毛の伸びが早くなるなどの効果があると考えられる。

イオンの照射により頭皮環境が改善されることが実証された

 プラズマクラスターイオンを照射することで頭皮環境が改善するか(頭皮のバリア機能向上)の試験には、20〜70歳代の男女115名で行なったとする。

 頭部の左右2カ所を剃髪。一方には、1日に約20分間、濃度約150万個/cm3のプラズマクラスターイオンを照射し、もう一方には風を送るというもの。1カ月ごとに、剃髪部の毛髪本数を計測した。

試験条件
オレンジのエリアを剃髪した上で、右側にはイオンを照射、左側は自然放置した

 プラズマクラスターイオンを照射し続けたエリアと、自然放置したエリアを比べると、3カ月後には増毛本数が約2.5倍となったという。

試験参加者の毛髪本数の平均値の推移。プラズマクラスターイオンを照射し続けたエリアと、自然放置したエリアとを比較
60歳代の女性の結果
50歳代の女性の結果
30歳代の男性の結果

 また、頭皮の水分蒸散量、水分が頭皮にどれだけとどまっていたかの結果についても、プラズマクラスターイオンを照射したエリアでは、良好な結果だったとする。

プラズマクラスターイオンを照射したエリアでは、水分蒸散量が減っていることを確認。水分保持機能が向上していることが分かったとする

 こうした結果を受けて同社の西川和男氏は、「プラズマクラスター技術が、頭皮環境を改善する手助けをし、育毛を促す作用を持っていることが、考えられる」と語った。

髪のボリュームアップや、かゆみの抑制にも効果があると実証

 実証試験はもう1つ行なわれた。こちらは、プラズマクラスターイオンの照射により、頭皮のバリア機能向上と皮脂抑制効果、フケかゆみの原因菌であるマラセチア菌をどれだけ抑制できたかを試験したという。

 同試験は、40〜63歳の健常女性の59名が参加。イオン濃度が約330万個/cm3のドライヤーで、1日5分間、12週間(3カ月)実施した。

検証試験用に高濃度イオン発生器を搭載したドライヤーを用意

 評価項目は、頭皮水分蒸散量や頭皮油分量、頭皮マラセチア菌の数。さらに「髪のボリュームアップ」や「頭皮のかゆみが気になる」など、感覚的な項目についてはVAS(Visual Analog Scale)という方法で評価したという。

評価項目の一覧。カッコ内の英文は、測定に使用した機器名
VAS(Visual Analog Scale)での評価方法

 各評価の結果については、いずれもプラズマクラスターイオンが有意に働いていたことを示したとする。頭皮環境の改善効果については、まず頭皮水分蒸散量が抑えられていることが分かり、頭皮のバリア機能向上が示されたとする。また頭皮油分量についても抑制されていた。フケやかゆみの原因菌であるマラセチア菌の数についても、プラズマクラスターイオンの照射で約64%、抑制されていた。

 そのほかVASにより評価した、「髪のボリュームアップ」や「頭皮のかゆみが気になる」、「分け目が気になる」などの主観評価についても、被験者自身の主観評価が好転していることが分かったという。

頭皮水分蒸散量の比較
頭皮油分量の比較
頭皮マラセチア菌数の推移
「髪のボリュームアップ」についての主観評価
「頭皮のかゆみが気になる」についての主観評価
そのほかの質問に対する被験者の主観評価

 結果を受けて、試験を実施した総合医科学研究所の杉野友啓氏は「被験者の頭皮機能が改善され、髪のボリュームアップや頭皮のかゆみがきにならなくなるなどを、実感できる効果があることが分かりました」とコメントした。