ニュース

シャープ、プラズマクラスター技術がペット皮膚病原因菌の抑制に効果があることを実証

 シャープは、東京農工大学・岩崎 利郎名誉教授監修の下、プラズマクラスター技術が、犬や猫の皮膚病原因菌のうち、多くの抗生物質が効かない「多剤耐性菌」、人と動物の双方に感染する「人獣共通病原菌」などを、試験環境下において99%以上抑制することを実証したと発表した。今後は、実使用相当空間での検証を行なうとともに、ペットのいる室内空間での効果的な活用方法を検討していくという。

第1~6世代目のプラズマクラスター発生装置
第7~10世代目のプラズマクラスター発生装置
東京農工大学・岩崎 利郎名誉教授

プラズマクラスターの仕組み

 プラズマクラスターは、水素のプラスイオンと酸素のマイナスのイオンで空気を浄化する、シャープの独自技術。室内にプラズマクラスターを放出することで、ドアノブや壁についたニオイなど、空間全体を浄化できる点が特徴。プラズマクラスター放出による空気浄化は、すでに除菌・消臭効果、静電気除去効果、肌保湿効果が実証されている。

 また、ペット向けでは、2004年に浮遊ネココロナウイルスの感染力を99.7%抑制、2010年に浮遊イヌパルボウイルスの感染力を99.8%抑制、同年にマウスのアトピー性皮膚炎の重症度を有意に改善というの実証事例があるという。

プラズマクラスター放出による空気浄化は、すでに除菌・消臭効果、静電気除去効果、肌保湿効果が実証されている
ペット向けでは、浮遊ネココロナウイルス、浮遊イヌパルボウイルス、マウスのアトピー性皮膚炎の重症度に対する実証事例があるという

日本のペットの皮膚疾患

 日本ペットフード協会の調査によれば、国内の犬・猫の飼育頭数は1,845万頭で、これは国内の15歳未満の子どもの数1,571人を超えるという。さらに、同調査によれば、8割が室内飼いだとし、ペットの家族化が進んでいるとしている。

 岩崎名誉教授によれば、犬や猫の病気では皮膚病の割合が非常に多く、犬の場合、皮膚の疾患が1位、耳の疾患が2位なのだという。

 皮膚疾患の中で多いとされる「細菌性膿皮症」は、抗生物質が多用されることもあり耐性菌が発生し、ますます治りにくくなることがあるという。そこで「細菌性膿皮症」のほか、「外耳炎」や「皮膚糸状菌症」の原因菌について、試験を行なったという。

国内の犬・猫の飼育頭数は1,845万頭
犬の疾患では、皮膚の疾患が1位、耳の疾患が2位

試験方法と実証結果

 今回の実証試験で使用したプラズマクラスター発生装置は、全10世代のうち第8世代目にあたる「プラズマクラスター25000」相当。この発生装置を、直径22cm、高さ50cmの円筒容器内へ設置し、プラズマクラスターイオンの平均濃度は2,000,000個/cm3の環境下で試験が行なわれた。

 試験では第8世代のこの発生装置を、直径22cm、高さ50cmの円筒容器内へ設置して行なったため、プラズマクラスターイオンの平均濃度は2百万個/cm3となった。

 試験は、菌を寒天培地へ撒き、プラズマクラスターを24時間照射し、育成したコロニー数をカウントした。またカビ菌の胞子の生長については、培地に糸状菌を植え付けた後、3日間プラズマクラスターを照射し、胞子形成を確認した。

試験に利用した、直径22cm、高さ50cmの円筒容器
試験装置のフタ裏に、第8世代目の「プラズマクラスター25000」相当の発生装置を設置
試験は、菌を寒天培地へ撒き、プラズマクラスターを24時間、もしくは3日間照射して行なわれた

 細菌性膿皮症の原因菌である「スタフィロコッカス・シュードインターメディウス」の多耐性菌・非耐性菌、外耳炎の原因菌である「シュードモナス・エルジノーサ」、皮膚糸状菌症の原因菌のうち人獣共通で感染する「ミクロスポルム・カニス」、犬が感染する「ミクロスポルム・ジプセウム」のいずれに対しても、コロニー形成を99%以上抑制できた。また「ミクロスポルム・カニス」「ミクロスポルム・ジプセウム」の胞子形成に対しても抑制できたことを確認したという。

「スタフィロコッカス・シュードインターメディウス」の多耐性菌・非耐性菌を99%以上抑制
外耳炎の原因菌である「シュードモナス・エルジノーサ」も99%以上抑制
皮膚糸状菌症の原因菌のうち人獣共通で感染する「ミクロスポルム・カニス」、犬が感染する「ミクロスポルム・ジプセウム」もを99%以上抑制
「ミクロスポルム・カニス」「ミクロスポルム・ジプセウム」は、。胞子形成も抑制できたという

 試験空間での実証に伴い、今後は、実使用相当空間での検証を行なうとともに、ペットのいる室内空間での、プラズマクラスターの効果的な活用方法を検討していくという。

同社のプラズマクラスター効果検証は、小空間(試験空間)、実使用相当空間でそれぞれ効果検証した後、臨床試験を行なっているという
今後は、ペットのいる室内空間での効果的な活用方法を検討していくという