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パナソニック、大地震発生時に火災発生を防ぐ「感震ブレーカー」の必要性を訴求
2016年8月1日 17:41
パナソニック エコソリューションズ社は、住宅向けの防災・防犯商品セミナーを報道陣向けに開催。特に、震度5強以上の揺れを感じた時にブレーカーを落として部屋の中への通電をストップする「感震ブレーカー」の必要性を訴求した。
同社のマーケティング本部 商品営業統括部 藤原敬典氏はセミナー冒頭で、2011年3月の東日本大震災から2016年4月の熊本地震に至るまでに、震度5強以上の地震が、国内で57件発生していると説明。また、今年の6月に防災科学技術研究所が更新したハザードマップを引用。今後30年以内に震度5強以上の地震発生が予想されている地域が、全国に行き渡っているとした。
一方で、消防庁のデータによれば、地震による災害で多いのが、火災だという。例えば東日本大震災においては、その出火原因の約半数が、電気装置や電灯や電話等の配線など、電気関連製品による出火だったという。
こうした地震時の出火を防ぐために、普及が急がれるのが「感震ブレーカー」だとする。感震センサーは、住宅設備の要である、ブレーカーを収納した住宅分電盤に設置するもの。震度5強以上の揺れを感じると、主幹ブレーカーを切る。これにより部屋の中への通電をストップし、倒れた暖房機器や傷んだコードに再び電気が通ることで起こる二次災害「通電火災」を防ぐのだという。
現在、各メーカーから販売されている感震センサーは、大きく分けると3つのタイプに別けられる。1つは、分電盤に内蔵されたセンサーが揺れを検知し、ブレーカーを遮断する「分電盤タイプ」。2つめが、コンセントに内蔵されたセンサーが揺れを感知し、当該コンセントの電力供給を遮断する「コンセントタイプ」。3つめが、地震で揺れると、重りの落下やバネの作動でブレーカーの遮断を補助する「簡易タイプ」。
それぞれ、設置のしやすさや検知の確実性などで、メリットとデメリットがあるが、同社は「分電盤タイプ」の製品を販売している。
感震ブレーカー「BQX700」は、震度5強以上の揺れを検知してから、3分後に電気を遮断する。避難時にブレーカーを切り忘れても安心だとする。また、3分間は通電されているので、夜間でも照明を付けたままで避難できるようにするためだという。
なお感震ブレーカー「BQX700」は、地震検知から3分以内に停電した場合には、停電から復旧した際にも主幹ブレーカーを遮断する。これは過去の災害時に、復電時に、地震で倒れた暖房器具などに通電されたことで、火災が発生する二次災害が少なくなかったことによるという。
藤原氏によれば、感震ブレーカーの搭載率は1%未満。だが、2014年と2015年に、政府が立てた南海トラフ地震と首都直下地震に備えた減災基本計画では、火災対策として木造住宅密集地での感震ブレーカー設置率を、10年以内に25%に増やすとされたという。また、自治体も感震ブレーカーの設置に補助金を設定する動きもある。こうした政府や自治体の動きにより、感震ブレーカーの認知度も上がっていき、普及していくと予想されるという。