長期レビュー
パナソニック「3つ星 ビストロ」 その2
パナソニック「3つ星 ビストロ NE-R3300」 |
■仕上がりに感動! 鶏の照り焼き
3つ星 ビストロ NE-R3300で焼いた鶏の照り焼き |
そもそもの話であるが、みなさんは鶏の照り焼きっておうちで作りますか? 鶏の照り焼きは、あらかじめ下味を付けた鶏肉を焼くだけのシンプルな料理だが、フライパンで焼くと皮のパリパリ感がないし、オーブンで焼くと今度は水分が飛びすぎて、パリパリというよりもパサパサになってしまったりとなかなか難しい。ビストロではそのパリッとジューシーな焼き加減を、自動コースでパパっとやってのけてしまう。
下準備は、鶏のモモ肉に下味が付き易いように包丁で切れ目を入れて、皮目にはフォークで穴を開けておく。後は1:1のみりんと醤油に30分ほど付けておく。それだけ。30分経ったら、グリル皿にモモ肉を置いて自動コースで「鶏の照り焼き」を選択してスイッチをオン。それだけで約20分後にはジューシーな鳥の照り焼きが出来上がる。
用意したのは若とりのもも肉 | 肉の厚みを均等にするために肉が厚いところに包丁で切れ目を入れる | 皮目にはフォークで穴を開ける |
焼きあがりは写真を見てもらえば一目瞭然だが、とにかく見事! 表面の軽い焦げ目や、照り具合がなんとも食欲をそそる。油などは一切使っていないのに、グリル皿の隅には、鶏肉から出た脂がぎっしり溜まっている。これはフライパンや通常のオーブン調理では見られない光景だ。
味の方も絶品! フライパンやオーブンで調理するより断然! はっきり言って、これまで食べたどの鶏の照り焼きよりもおいしい。この一品でビストロの調理家電としての実力を再認識した次第だ。
下味を30分つけたらグリル皿に載せて焼くだけ | 焼きあがり。パリッとジューシーな仕上がり | グリル皿には油がぎっしり溜まっていた |
■照り焼きとサラダを一気に
鶏の照り焼きにハマりすぎて、すぐにもう一度作ろうとした時に発見したのが、グリル調理とレンジ調理が同時にできてしまうという「合わせ技セット」という機能。この機能を使えば、ポテトサラダと鶏の照り焼きを同時に調理できてしまうという。サラダの下準備で必要なのは、野菜のカットと庫内に入れる時に使うスープ作り。今回は顆粒のコンソメスープを使用した。
じゃがいもは小さくカットして水にさらしておく | じゃがいもの水を切ったら、にんじん、ブロッコリーと一緒に耐熱ボウルに入れる | 耐熱ガラスボウルに顆粒スープを溶かしたお湯を入れる |
これらの材料を用意したら耐熱のガラスボウルに入れる。ここで、ちょっと話が脱線してしまうが、ビストロを100%使いこなしたいなら耐熱ガラスボウル、クッキングペーパー、ジップロックは必需品だ。たとえば、今回の二品同時調理でも、耐熱ガラスボウルの上に普通のサランラップではなく、クッキングシートをかぶせるようにとある。また、ジップロックはこのあとに紹介する「凍ったままグリル」機能を活用するのにマストなアイテム。
これまで電子レンジを「使うため」にシートや容器を購入した経験はなかったが、ビストロでは緻密な計算の上で自動メニューの時間や加熱方法が設定されている。そのため、多少面倒であっても、指定された容器やシートを使うことをお勧めする。私が1カ月弱使った経験からいうと、耐熱ガラスボウル、クッキングペーパー、ジップロックなどの冷凍用保存袋があれば大抵のシーンには対応できる。
耐熱ガラスボウル、クッキングペーパー、ジップロックはビストロを使いこなすために必ず必要なアイテムだ |
話を元に戻そう。サラダの材料を入れた耐熱ガラスボウルにクッキングシートを載せたら、その上にグリル皿をセット。後は自動メニューを選択、スイッチを押せばOKだ。加熱時間は21分。鶏肉の下ごしらえからカウントすると、できあがりまでにかかる時間は約1時間くらい見ておいた方が良いだろう。ポテトサラダは、加熱後に味を調える必要がある。
耐熱ガラスボウルにクッキングシートを載せて、庫内に置く。上段には鶏の照り焼きをセット | 合わせ技セットを選択して加熱 | 加熱中の様子 |
出来上がり。サラダと鶏の照り焼きが一度にできてしまった |
できあがりはなかなか。この2品に、ご飯あるいはパンを添えるだけで立派な食事になる。サラダのニンジンやジャガイモにもちゃんと火が通っている。スープで味付けをしているからなのか、普段自分で作るポテトサラダよりも上品な仕上がりだ。ただ、ブロッコリーは少し柔らかすぎたようにも思う。ここらへんは好みの問題だが、私ならブロッコリーは別にして、ビストロの「茹で野菜」メニューで加熱し、後から追加する。
それにしても、本来グリル料理である鶏の照り焼きと、茹で野菜のポテトサラダを一緒に作れるなんて――事前の下ごしらえはもちろん必要だが、調理家電というより調理ロボットみたいだ。ここまでくると、食材を入れれば勝手に料理してくれるなんていう製品も夢じゃない気がする。
■凍ったままグリル機能で1週間分の食材を作り置き!!
次に、ビストロの2010年モデル最大にして、最新の機能「凍ったままグリル」を紹介しよう。凍ったままグリル機能は、食材に下味を付けた状態で冷凍、ビストロでそのまま食べられる状態にしてくれるというもの。解凍→調理を一気にやってくれるので、時間短縮にもなるし、下味を付けた状態で冷凍することで、保存状態を良くし、おいしく調理ができるという利点もあるという。
フルタイムで記者という仕事をしている私にとって、平日の仕事帰りにスーパーで買い物をして、それから料理するという気力はない。食材は週末にまとめ買いして、料理もできる限り作り置きするというのが定番だ。とはいえ、まとめ買いにも弱点はあった。たくさん買い込みすぎて、無駄にしてしまったり、カレーを大量に作ったはいいが、結局食べきれなかったということもある。
食べたい時に食べたい分だけ解凍・調理できる「凍ったままグリル」機能というのは、確かに便利で合理的な方法だ。ただ、その冷凍食品を作るまでの過程がめんどくさかったら本末転倒。というわけで、今回は凍ったままグリル対応の冷凍食品を一週間分まとめて作ってみた。
一週間分の冷凍食品を作るために食材をまとめ買い |
本体には凍ったままグリル専用のレシピブックが付属する。その中から一週間分のメニューとして選んだのは「手羽元の甘辛焼き」「焼き野菜」「肉巻き野菜」「塩サバ」「塩じゃけ」「ハンバーグ」「牛肉の春巻き」「ピーマンの肉詰め」「和風野菜焼き(レンコン)」の9つ。
基本的には夕食のメイン料理となるもの、プラス朝食用の焼き魚も二品選んだ。レシピにあった材料を元に買い物に行って、食材を一気にまとめ買い。塩や砂糖、醤油、ダシといった基本的な材料は自宅にあるものを使った。金額は約4,500円。普段のまとめ買と比べても、価格的にそれほど変わらなかった。
材料も買ったし、いざ一週間分の作り置きを開始! とその前に確認したいのが、凍ったままグリル用の冷凍保存の仕方。
たとえば、ごはんを冷凍する場合でもラップで一食つづ包んで冷凍する人、専用の冷凍容器を使う人と様々な方法があるが、保存の仕方によって加熱の火の通り具合や仕上がりが異なってしまうことがある。ビストロでは細かく制御された温度や時間で仕上げるため、自己流ではなく、決められた保存方法を守りたい。凍ったままグリルで推奨されているのが、ジップロックなどのジッパー付き冷凍用保存袋だ。ただ、ここに調理済みの食材をポンポンほおりこめばいいというわけではない。ポイントは2つ。
・食材同士がくっつかないように冷凍
・食材を平らな状態で冷凍
実際に塩鮭を冷凍した例を写真で紹介しよう。塩鮭の場合は冷凍前の下ごしらえはない。購入したらパックからジップロックに移して、そのまま平らに冷凍すればOKだ。簡単そうな作業にも思えるが、これが意外と手間がかかる。冷凍庫に、食材を平らな状態にするだけのスペースが必要だし。まとめていくつもレシピを作るとなると、さらに大変だ。
鮭同士がくっつかないようにジップロックの中に入れる | 平らな状態で冷凍する |
最近の冷蔵庫では、製氷室の隣に切り替え室という小型の冷凍室が付いている場合が多い。コツとしては、この切り替え室をうまく使うこと。メーカーや機種にもよるが、切り替え室は急速冷凍や解凍機能を持つものが多く、食材を急激に冷やすことができる蓄冷性の高いプレートが設けられている。このプレートをうまく使うと、食材を平らな状態で冷凍できるし、食材同士がくっつくのを防ぐこともできる。
切り替え室が付いていない場合は、アルミのトレーなどを使って、冷凍室で保存するのがおすすめだ。
1週間分の冷凍食品をまとめて作るような今回の場合、ジップロックも10枚以上は使った。事前に必ず準備しておこう。
さて、実際に1週間分の下ごしらえを終えるまでにかかった時間は、撮影しながらで4時間ほど。今回は一人で撮影と調理を全て担当、さらにレシピを見ながらであったため、かなり時間がかかってしまった。ただ、撮影なしでも2時間半以上はかかる。買い物を含めると、4時間弱はかかると考えた方がいいだろう。これを長いと思うか、短いと思うかは、個人差があるだろう。
私の考えからいくと、週末に一気に作り置きすることで、多少なりとも平日の時間を有効に使えるのならば、土日どちらかの半日くらいを料理に充てる価値は充分にあると思う。
ピーマンの肉詰めを冷凍保存したところ | ハンバーグを冷凍保存したところ | 手羽元の甘辛焼きを冷凍保存したところ |
こちらはレンコンに下味を付けた状態で冷凍したもの | ピーマンやさつまいも、しいたけなどに下味を付けたもの | 一週間分の作り置きで我家の冷凍庫はいっぱいになってしまった |
レシピの詳しい下ごしらえの方法や仕上がりは次回じっくり紹介するが、全体に共通していえるのは、「こんがり」な仕上がり。これまで冷凍食品というと、なんとなく水っぽいような、ふわふわした仕上がりというイメージがあったが、ビストロではグリルでしっかり仕上げるので、焼き目が付いた「こんがり」ジューシーな焼きあがりになっている。
例として塩鮭を下に写真で紹介しよう。中までしっかり火が通って、皮もパリパリで私好み。ビストロはただ「焼く」だけの単純調理であっても、フライパンやガスコンロとの違いをしっかり見せつけてくれる。
凍ったままの塩鮭 | 焼きあがり | 皮がパリパリなのに、中はジューシーな仕上がり |
次回は、作り置きした1週間分の自家製冷凍食品を実際に調理した様子をお届けする。下ごしらえの方法なども詳しくお届けするつもりなので、引き続きご愛読よろしくお願いします。
2010年10月13日 00:00
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)