【特別企画】
LED電球、どれを買う? 2010
パナソニック「EVERLEDS 小型電球タイプ6.0W」
●E17口金のLED電球は暗い……とはもう言わせない!
パナソニックのLED電球「EVERLEDS(エバーレッズ) 小型電球タイプ6.0W LDA6L-E17」 |
このLDA6L-E17の全光束は390lm。2009年10月に発売した、従来モデルの「LDA6L-E17-A1/D」が230lmなので、スペック上は約1.6倍明るくなったことになる。実際に点灯してみても、40W電球形蛍光灯はおろか、40Wミニクリプトン電球も追い抜いてしまうほど明るさが感じられた。さらにいえば、形状はミニクリプトン電球レベルまで小さくなっており、寿命は20,000時間から40,000時間に延長。密閉型器具への取り付けも以前と変わらずにOKとなっている。
細かいことをいえば、価格は3,527円(2010年6月時点)と、E17口金のLED電球が2,000円台で購入できるようになった今ではやや高めな価格設定と、従来モデルではOKだった調光器に非対応になった点は気になるところ。とはいえ、大幅に改良されたその明るさは、LED電球全体の中でも魅力的だ。
今回は、この「LDA6L-E17」を使い、レポートしていこう。
シリーズ名 | EVERLEDS(エバーレッズ) |
タイプ | 小型電球タイプ |
定格消費電力 | 6.0W |
品番 | LDA6L-E17 |
白熱電球と比較した 明るさ(ランプ単体) | 40W形の約79% |
白熱電球と比較した 明るさ(直下部) | 60W形以上 |
購入価格 (Amazon.co.jp 6/13時点) | 3,527円 |
光色 | 電球色相当 |
色温度 | 2,800K |
口金 | E17 |
全光束 | 390lm |
調光器対応 | - |
密閉器具対応 | ○ |
サイズ | 35×68mm(直径×高さ) |
重量 | 35g |
寿命 | 40,000時間 |
●サイズ比較
率直な感想は「小さい」。ミニクリプトン電球と同じ大きさに見えるほどだ。サイズは実測で68×35mm(高さ×直径)と、直径はミニクリプトン電球と同じ、背も1mm高い程度だ。電球らしい”くびれ”はないものの、従来モデルよりもガラスのカバー部が丸みを帯びており、電球のような形状にほんの少し近づいた感がある。ちなみに従来モデルのサイズは72×40mm。
重量も、従来は50gだったのが35gへと、さらに軽量化が図られた。電球形蛍光灯よりも軽いのには驚きだ(電球形蛍光灯は36g)。
全体的なデザインは、放熱部にヒートシンクのないスッキリとした仕上げで、“EVERLEDS”シリーズの外観を継承。内部のLEDは光源部から相変わらず透けて見えてしまうが、ガラス製のためカッチリとした高級感は感じられる。
高さは68mm(中央)で、60/40Wタイプのミニクリプトン電球(左)と比べても1mm高いだけ。電球形蛍光灯よりも19mm低い。重量は35gと、LED電球の中でも特に軽い | 直径は35mm(中央)。ミニクリプトン電球(左)と全く同じ。光源部分はLEDが透けてみえるが、ガラス製で高級感がある |
2009年に発売された従来モデル「LDA6L-E17-A1/D」(左)との比較。高さは4mm低くなり、ソケット付近もスマートになった | 直径は5mm小さくなった。もともとが小さい電球だったので、印象的なほど小さい |
●器具に取り付けたようす
シェードの深いタイプの器具への収まり方は、ミニクリプトン電球と変わらない。違いはLEDがどうしても透けてしまう事と、放熱部が若干見えてしまう程度。この程度なら特に気にならないレベルだろう。
【ミニクリプトン電球:40W】 電球の球体部が見える角度から撮影。60Wのものも見え方は全く同じなので割愛 | 【電球形蛍光灯】 らせん状の蛍光管が目立つが、器具内には収まっている |
【パナソニック:E17LED】 ミニクリプトン電球と変わらない収まり方だ。放熱部も目立たず違和感はない | 【パナソニック:E17LED(従来モデル)】 |
浅いシェードの器具とのバランスも良好だった。飛び出ているガラス製の光源部分は、パッと見ではLED電球に見えないほどしっくりきている。点灯してもシェードにある程度光が届くので、器具本来のイメージが大きく損なわれない。小型でデザインを大事にするような器具であっても相性が良さそうだ。
【ミニクリプトン電球:40W】 浅いシェードの器具でも撮影。器具とのバランスを見るため真横から撮影。器具のデザインと一体感がある | 【電球形蛍光灯】 蛍光管が完全に飛び出してしまい、フォルムが崩れてしまった |
【パナソニック:E17LED】 放熱部も隠れており、器具のデザインと一体感がある | 【パナソニック:E17LED(従来モデル)】 放熱部が器具よりも飛び出してしまった。それなりに収まってはいるのだが…… |
【ミニクリプトン電球:40W】 点灯するとシェードも輝く | 【電球形蛍光灯】 シェードには光はまわるものの、やはりバランスは良くない |
【パナソニック:E17LED】 点灯するとある程度シェードが輝く。ミニクリプトン電球ほどではないが、器具の特徴が大きく損なわれず、印象は良い | 【パナソニック:E17LED(従来モデル)】 点灯してもシェードにはほとんど光が届かず、器具の特徴が活かされない |
●光の広がりかた
光源部を中心にほぼ球形に近い拡散性を見せている。ソケット方向や側面への光の広がりには限りがあるが、他のLED電球同様、光がより遠くまで届いている。
【ミニクリプトン電球:60W】 ソケットぎりぎりまで明るい。電球を中心に床面に近いところから光が広がっている | 【ミニクリプトン電球:40W】 光の広がり方は60Wのものと同じ |
【電球形蛍光灯】 ソケット付近にもかなり光が届いている。しかし遠くまでは光が届かない印象だ | 【パナソニック:E17LED】 ほぼ球形に光が拡散している。ソケット付近と側面への光の回り込みはどうしても弱くなってしまうが、光の伸びは良く、遠くまで届いている |
●明るさ(55cm直下の照度)
明るさは「お見事!」としか言いようがない。570Lxという照度は、40Wタイプのミニクリプトン電球よりも100Lx以上も明るかったのだ。さすがに60Wタイプのミニクリプトン電球の785Lxという明るさには及ばないものの、明るさはLED電球全体の中でもトップクラス。E26口金で60WタイプのLED電球の中でも、40Wタイプのミニクリプトン電球の明るさを超えるものはごく少数だ。この明るさには本当に驚いてしまった。
【ミニクリプトン電球:60W 785Lx】 光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した | 【ミニクリプトン電球:40W 497Lx】 |
【電球形蛍光灯 328Lx】 | 【パナソニック:E17LED 570Lx】 40Wのミニクリプトン電球・蛍光灯と比較すると、数値でも見た目でも明るい。しかも、E26口金のLED電球60Wタイプと比較しても、トップクラスの明るさが得られた |
なんとも頼もしい明るさのLED電球だ。これまで試した経験上、「小型LED電球は暗め」というイメージが頭の中にあったが、それが一気に吹き飛んでしまった。この明るさが得られるなら、テーブル上の器具やインテリアライトなど、補助的な使い道だけでなく、卓上のペンダントやダウンライトなど、全体照明としての使い道も現実的になりそうだ。
ここからは実際の生活シーンに取り付けて、よりリアルな使い方から比較してゆく。なお、密閉型器具に対応しているので、浴室や密閉型のインテリアライトにも使用した。
●玄関
玄関での使用感はバッチリである。60Wタイプのミニクリプトン電球と比べても、写真を並べて比較しなければわからないほど、申し分のない明るさが感じられる。光色は異なるが心地よい暖かみもあり、人を迎え入れる場所の灯りとして、なんの問題もないだろう。
【ミニクリプトン電球:60W】 床面まで光が届き、十分な明るさがある | 【ミニクリプトン電球:40W】 玄関としては、もうすこし明るさが欲しいか |
【電球形蛍光灯】 40W形のミニクリプトン電球とほぼ同じ明るさが感じられる | 【パナソニック:E17LED】 40Wタイプのミニクリプトン電球・蛍光灯とよりも、気持ち良い明るさが得られた。60Wミニクリプトン電球と比較しても、明るさに遜色はない |
●浴室
密閉器具に対応しているので、浴室での使用が可能。しかし、期待したほどの明るさは得られず、あまりお勧めはできない。もともとLED電球は直下の明るさに強く、白熱電球のような均一に広がる光があまり望めない。そのため、密閉器具に閉じ込めてしまうと、本来の明るさが得にくいようだ。
もう1つ暗く感じる要因が、壁面に光が届きにくい点だ。我が家の浴室は、照明器具が壁面に設置されているため、ソケット付近が暗いLED電球では、全体的に暗い印象になってしまう。浴室の照明器具が天井付けならば、もう少し良い結果が得られたかもしれない。
【ミニクリプトン電球:60W】 浴室全体に光が行き渡り、快適な明るさがある | 【ミニクリプトン電球:40W】 少し物足りない明るさだが、十分に明るい |
【電球形蛍光灯】 蛍光灯は器具に閉じ込めると明るさがずいぶん落ちる印象だ。浴室の明るさとしては物足りない | 【パナソニック:E17LED】 蛍光灯よりは明るいのだが、光が壁にうまく映らず、本来持っている明るさが活かされない印象だ |
●トイレ
十分に明るく、清潔感が感じられ、とても気持ちがよい。逆に「ちょっと明るすぎるかも?」と感じるほどだった。たかだか数分しか過ごさない場所であってもとても快適に過ごす事ができるだろう。ここでも40Wタイプのミニクリプトン電球よりも明るい結果が得られた。
なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。
【ミニクリプトン電球:60W】 明るく気持ちよく過ごせる | 【ミニクリプトン電球:40W】 少し暗いが狭い空間なので、まだまだ十分に明るく感じる | 【パナソニック:E17LED】 40Wタイプのミニクリプトン電球よりも明るい。十分使用に値する |
●テーブルランプ
テーブルランプなど、手元に近い位置の照明器具にも問題なく利用できるだろう。撮影に利用した器具は、40Wタイプの小型電球までしか使えないのだが、それ以上の明るさが得られため、小さな文字もより見やすくなった。器具が顔の付近にあっても熱さを感じないのは快適だし、光色も良好。ただし、ベッドサイドの灯りとしては明るすぎるかもしれない。
前述したとおり、ここで使用した器具の適合電球は40Wタイプの小型電球まで。したがって、60Wタイプのミニクリプトン電球の写真は割愛する。
【ミニクリプトン電球:40W】 本までの距離は40cm程。十分に明るく細かな文字もしっかり読める明るさがある | 【電球形蛍光灯】 蛍光灯も明るさは十分。色味はミニクリプトン電球と比べ全体的に劣る | 【パナソニック:E17LED】 ミニクリプトン電球よりも明るくなるため、細かな文字が読みやすくなる。問題なく使えるが、寝室で使うとなると、暗さに慣れた目には明るすぎるかもしれない |
●リビングルーム(全体照明)
思いのほか明るい小型LED電球だったので、LDA6L-E17に限っては、リビングルームのペンダントにとりつけ、全体照明として使用してみた。結論から先に言ってしまうと、全体照明でも十分な明るさが得られることがわかった。
透過タイプの場合、シェードに多少ムラは感じるが、器具の持つ印象は損なわれない。上方向、側面への光は弱くても、下方への明るさは40Wタイプのミニクリプトン電球よりも確実に明るく快適である。棚付近にも、光がしっかり届いており、部屋全体の明るさのバランスが良かった。その上、暖かみのある光色はリビングルームによく映える。
非透過タイプも同様に、部屋全体の明るさのバランスが良かった。天井や壁は暗めになるが、テーブル面や棚には十分な明るさになる。他の補助照明ともあわせやすく、落ち着いた雰囲気のリビングルームが演出できるだろう。
一方、ミニクリプトン電球と電球形蛍光灯は、器具に近い天井面に光が集まってしまい、室内全体、テーブル面にはそれほど光が届かずバランスが悪い結果となった。
【ミニクリプトン電球:40W×2 非透過タイプのシェード】 天井は明るいのだが、机は暗い | 【電球形蛍光灯×2 非透過タイプのシェード】 ミニクリプトン電球のように、天井面へも光は広がるが、全体的に暗い印象だ | 【パナソニック:E17LED×2 非通過タイプのシェード】 部屋の光のバランスはミニクリプトン電球よりも良い印象。天井や壁は暗いが、その分机に光が届いている |
●リビングルーム(インテリア照明)
密閉形のインテリア照明では、直視できないほど眩しかった。明るさが裏目に出てしまったようだ。正直に言ってお勧めできない。
【ミニクリプトン電球:60W】 アクセント照明としては明るすぎる。視界に入ると眩しくて直視できない | 【ミニクリプトン電球:40W】 まだまだ明るすぎる。不快な眩しさを感じてしまう |
【電球形蛍光灯】 これも眩しすぎる | 【パナソニック:E17LED】 明るさが逆に仇となり、眩しく感じてしまう |
●食事の風景
色味が重要な食事のシーンでも良い結果が得られた。若干の色被りはあるが、ほとんど気にならない程度。光色の良い蛍光灯よりも色のバランスが自然で、食べ物はおいしそうに見え、食器やランチョンマットの微妙な色合いも識別できる。一灯だけでも十分に明るい食卓が演出できるだろう。
【ミニクリプトン電球:60/40W】 全体的においしそうに見える | 【電球形蛍光灯】 光色の良さに定評のあるNEC製だが、ミニクリプトン電球と並べると全体的に発色が悪く見えてしまう | 【パナソニック:E17LED】 演色性は良好。食べ物全体がおいしそう見え、皿の微妙な色合いもわかる。若干の色被りはあるが、ほとんど気にならないレベル。一灯で十分に明るい |
【パナソニック:E17LED(従来モデル)】 演色性に関しては、従来モデルの「LDA6L-E17-A1/D」の方が上。明るさは一灯では少々物足りないが、白熱電球に負けない演色性が得られている。それぞれの色味がくすまず、色の透明感が感じられ美しく見える |
●40W白熱電球との交換で、元が取れるのは【1年半後】
ミニクリプトン電球と交換した場合、元が取れるのは40Wだと1年半後、60Wだと1年後(1日8時間使用と仮定)という計算になった。他のLED電球ではもう少し早く元が取れるのだが、これはイニシャルコストが高いことが影響している。明るさを優先するならLDA6L-E17で間違いないが、安さを最優先するなら別の選択肢もアリだろう。なお、消費電力の実測値は5Wと、一般的な60WタイプのLED電球と変わらない。
一方、電球形蛍光灯と比較した場合、8年2カ月もかかってやっと元が取れるという試算になってしまった。元をとるのにこれだけ時間がかかる原因は、LDA6L-E17の価格が電球形蛍光灯の4.5倍以上という点、消費電力の差が2Wしか差がないという点に因る。現在、電球形蛍光灯で問題なく使用しているのであれば、今すぐに取替える必要はないだろう。
使用期間 | 消費電力 (実測) | 1カ月 | 3カ月 | 半年 (6カ月) | 9カ月 | 1年 | 1年半 | 2年 | 4年 | 8年 | 8年 2カ月 |
パナソニックE17LED | 5W | 3,551円 | 3,600円 | 3,673円 | 3,746円 | 3,819円 | 3,965円 | 4,111円 | 4,695円 | 5,863円 | 5,912円 |
白熱電球:60W | 54W | 539円 | 1,117円 | 1,984円 | 3,101円 | 3,968円 | 5,951円 | 7,685円 | 11,653円 | 30,740円 | 31,568円 |
白熱電球:40W | 35W | 436円 | 807円 | 1,363円 | 2,170円 | 2,727円 | 4,089円 | 5,203円 | 10,406円 | 20,812円 | 21,433円 |
電球形蛍光灯 | 7W | 817円 | 890円 | 999円 | 1,109円 | 1,218円 | 1,437円 | 1,656円 | 3,312円 | 5,844円 | 5,917円 |
【ミニクリプトン電球:60W 54W】 | 【ミニクリプトン電球:40W 35W】 |
【電球形蛍光灯 7W】 | 【パナソニック:E17LED 5W】 |
●“本家”よりも明るいLED電球。E17口金で明るさが欲しいすべてのシーンでお勧め
LDA6L-E17の良さは、やはりとにかく明るいところにある。これまでのLED電球というと、置き換える前の白熱電球よりも暗くなってしまうものが多かったが、本製品を使えば、そんな不満はすぐに解消されるはずである。
しかも、メリットはこれだけで終わらない。演色性も高く、しかも小型で軽量、密閉器具にも対応で、現在のE17口金タイプでは最長となる寿命40,000時間……ほぼ完璧なスペックを備えている。あえて弱点を指摘するとなると、横方向にはあまり光が広がらない点、部分照明として使うには明るすぎる点になるだろうか。また、価格が高めなところも弱点といえば弱点だが、一般的な製品よりも優れた性能を備えていることを考えれば、相応の価格と言えるだろう。
電球ソケットがE17口金で、明るさが欲しい場面には、断然コレをお勧めする。「LED電球は暗いからイヤ」「交換したけど、思ったより明るくない……」という人に、ぜひとも1度使ってみてほしいLED電球である。
・全体照明に使えるほど十分な明るさが得られる。明るさが欲しいすべてのシーンにお勧め
・演色性が良く、色味が重要な食卓にもOK
・雰囲気を演出するインテリア照明では、逆に明るすぎることも
・40Wタイプのミニクリプトン電球と交換した場合、1年半で元がとれる (1日8時間使用)
2010年6月22日 00:00