家電製品ミニレビュー

フィリップス「ソニッケアー フレックスケア HX6972/10」

~ブラシの交換時期がわかる新型ソニッケアー
by

 

ソニッケアー フレックスケア HX6972/10
 現在、1万円以上のいわゆる音波式電動歯ブラシの市場は、パナソニック、フィリップス、ブラウンの3強、という構図になっている。電動歯ブラシは、その性質上、店頭で使い心地を比べることができず、どうしてもメーカーに対するイメージや機能で選ぶしかなくなる。かくいう私も、3年前からパナソニックのドルツを使い続けていた。しかし、歯科医や周りの友人と電動歯ブラシの話になると、まず名前が挙がるのがフィリップスのソニッケアーシリーズだ。しかし、私はドルツ以外の電動歯ブラシを使用したことがほとんどない。そこで、どこが違うのか試してみることにした。

 選んだのは最上位機種、「ソニッケアー フレックスケア HX6972/10」(以下、フレックスケア)である。紫外線による殺菌ユニットがついているのが最大の特徴だ。ブラシに寿命識別機能が付いたこと、歯茎をケアするモードが付いたことが前機種からの主な変更点だが、まずは基本性能について、ドルツシリーズと比較しながら見ていこう。


メーカーフィリップス エレクトロニクス ジャパン
製品名ソニッケアー フレックスケア HX6972/10
購入価格20,855円
購入店舗Amazon.co.jp

大きく振動するブラシで歯間の汚れもスッキリ

 

左がミニブラシ、右が普通のサイズのブラシ
 フレックスケアには、5つの動作モードが用意されている。まず、一般的な歯磨きに使う、2分間に渡って動作する「クリーンモード」、2分間の歯磨き運転後、歯と歯茎の間を磨く動作が1分、加わった「ガムケアモード」、1分間の時間を短縮した「リフレッシュモード」、動作が弱めで敏感な歯や初心者に向く「センシティブモード」、歯茎をマッサージする「マッサージモード」の5種類だ。

 付属するブラシは2種類、大きめヘッドと小さめヘッドのものが1本ずつパッケージに入っている。いずれもブラシは中心が凹んだ弓なり状になっている。端の方が毛先が長くなっているのは、歯の裏側や歯間を磨きやすくするためだろう。

 まず、もっとも基本的な大きめブラシとクリーンモードの組み合わせで磨いてみよう。口の中にブラシを入れると、あっという間に歯磨き粉が泡だつ。ドルツより、振動が大きく、磨いている感は強い。だが振動が大きいと言っても、圧力が強いわけではなく、歯茎の弱い私でも、出血するようなことはなかった。感覚的な表現になるが、小さいブラシで細かく丁寧に磨きあげるドルツと、馬力で歯垢を落とし、毛先で細部の汚れを落とすフレックスケア、といってもいいかもしれない。振動が大きいので、電動歯ブラシの初心者がいきなりこのモードを使うと、不快な感じを受けるかもしれない。その場合は、センシティブモードで慣らす必要があるだろう。


クリーンモードを動作させたようす
 動作は前述のように2分間で、30秒ごと運転が一瞬止まり、タイマー代わりとなっている。左下、左上、右下、右上、といった感じで、均等に磨くために使用する。このあたりはドルツと変わらない。磨き上がりの印象はかなり良好。ブラシの大きさか、はたまた振動の大きさが効いているのか、ツルツルになった感じは今まで以上に強い。

 

パッケージには携帯用のケースも付属する携帯用の充電器
 今まで、ドルツを使っていたときは、磨いたあとにフロスをかけていたのだが、このフレックスケア、歯間にはめっぽう強い。おそらく、毛足の長いブラシと、振動による泡で、歯間の食べかすを押し出してくれる印象だ。フロスがいらなくなった、とまでは言わないが、基本性能はかなりのもの、といってもいいだろう。

日常使いできる「ガムケアモード」

 次は、この機種から新設された「ガムケアモード」を試してみよう。前述の通り、2分間、磨いたあとに1分間、歯と歯茎の間をケアする動作を付け加えた、いわば「丁寧」なモードである。

 試してみると、2分間経ったあとに移行するモードは、振動の強さが若干弱くなるようだ。歯茎を傷つけないようにとの配慮だろう。歯茎のみをケアする「マッサージモード」は、さらに弱い振動なので、このあたりの区別は付けているようだ。動作の違いは、動画を見比べてみて欲しい。


ガムケアモードを動作させたようす。歯茎のケア用に出力が切り替わる瞬間がわかる
 ガムケアモードのいいところは、通常の歯磨きとセットで歯茎のケアができる点だ。歯茎のケア専用のモード、というのはよくあるが、どうしても普段の歯磨きに、プラスアルファして行なわなければならないので面倒になる。その点、ガムケアモードは普通の歯磨きの流れでそのまま歯茎をケアできるので、おっくうにならない。急いでいるときは別に歯茎のケアに移ったところでやめてしまえばいい。

 使い分けるのが面倒で、今まで、ほとんどこうした派生モードは使ってこなかったが、これは常用できるモードだ。その点を評価したい。


センシティブモードを動作させたようす。出力が弱めマッサージモードを動作させたようす。間欠的なリズムを刻む

ブラシの色で交換時期がわかる

 

左が新品、右が3カ月使用したもの。右の方は、上から2番目の毛のブロックが白くなっていることがわかる
 電動歯ブラシの性能を保つために、重要な要素が替えブラシだ。適切なタイミングで交換していないと、毛先がバラつき、ブラッシング効果が落ちてしまう。新しいブラシがよいのは手磨きでも同じだが、電動歯ブラシの場合、手磨きに比べて振動回数が圧倒的に多いので、手磨きよりさらに、気を遣う必要のある要素だ。

 これまでの電動歯ブラシは交換の目安だけが示されていたが、このフレックスケアで採用されたブラシには、毛先の色でブラシの交換時期がわかる仕組みを取り入れている。実にシンプルな仕組みで、用は青く染まった毛が白くなったら交換、というだけの話だ。日付ベースだとどうしても前に交換した日を忘れがちだが、この仕組みだと、考えずにブラシを見ただけでわかるので、実にわかりやすい。実際、使ってみると2カ月を超えたあたりから徐々に色が落ち始め、3カ月目に入る頃にはほぼ、根本まで白くなった。もちろん、使用頻度にもよるだろうが、精度は高いようだ。

 なお、フレックスケア用の替えブラシは、大きいサイズ、ミニサイズともに1本1,480円、寿命が約3カ月。ドルツの替えブラシが1,280円で2本入り、同じく3カ月が目安とされているので、ランニングコストはフレックスケアの方が高い。私はそれに見合う差があると思っている。

紫外線殺菌でブラシを清潔に

 

紫外線殺菌機が充電台についている
 最後に、この最上位機種のウリでもある、紫外線除菌機能付きの充電台を紹介しよう。

 洗面所は、日当たりも風通しも悪いところにあることが多い。そこで気になるのが、ブラシの衛生面である。フレックスケア付属の替えブラシは、前述のように3カ月が寿命の目安となっているが、3カ月間、朝晩、水分を含んでそのあと放置され、衛生面が気になる人もいるだろう。そこで紫外線を当てて殺菌処理してくれるのがこの充電台だ。

 仕組みはビジネスホテルの浴場などにある殺菌ボックスと同じ仕組み。充電台横のフタを開けて、ブラシをセットし、スイッチを入れると10分間、紫外線をブラシに当てて殺菌する仕組みになっている。紫外線は目や皮膚に悪影響を及ぼすため、フタが空いている状態では紫外線ランプは点灯しない。操作もスイッチを押すだけであとは放置しておけばよいので、迷う要素はない。

 

2本までセットできるボタンを押すと開始。うっすら光が見える
 この殺菌機能だが、1日1回、夜、歯を磨き終わったあとにセットして使っている。菌の発生量などについては調べられないので、確かなことは言えないが、精神衛生上、非常に気持ちがよい。気のせいかもしれないが、ブラシに黄ばみや汚れが定着するスピードも遅く感じられた。

 私は冒頭にも述べた通り、ドルツからの乗り換え組みだが、はっきりとした製品作りの哲学の違いを感じた。ごく簡単にまとめると、普通の歯ブラシ感覚の延長で使えるドルツと、電動ゆえのメリットをとことん追求したソニッケアー、という印象だ。とにかくより効率よく磨きあげよう、という人にお勧めの製品と言えるだろう。





2010年3月25日 00:00