家電製品ミニレビュー

パナソニック「システムスムーサー ES-RT60」

~高級機・ラムダッシュとの違いはどこ?
by 正藤 慶一

パナソニック システムスムーサー ES-RT60
 パナソニックのシェーバーといえば、4枚刃でリニア駆動による高速振動が特徴の高級モデル「ラムダッシュ」シリーズが有名。2009年10月には、ウェット剃りにも対応した3枚刃の「ES-GA21」など、1万円以内で買えてしまう製品も増えた。読者の中でも愛用者は多いだろう。


 しかし、この3枚刃ラムダッシュの発売で気がかりなことがある。それは、同時に発売されたラムダッシュの下位モデル「システムスムーサー」シリーズとの違いだ。というのも、システムスムーサーとラムダッシュ「ES-GA21」の刃の枚数は同じく3枚で、しかも「ステンレス刃物鋼」や「30°鋭角ナノエッジ刃」など、これまでラムダッシュで搭載されていた機能も備えている。もちろん、水洗いも可能となっている。いったいどこが違うというのか。

 今回は、システムスムーサー「ES-RT60」を使って、ラムダッシュ「ES-GA21」との差を明確にしてみたい。

パナソニックからは、同じく3枚刃のラムダッシュ「ES-GA21」(左)も出ている刃は同じ3枚刃

メーカーパナソニック
製品名システムスムーサー ES-RT60
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格8,820円


ヘッドを横から見たところ。ラムダッッシュは外刃の中央が盛り上がっているが、これが「マルチフィットアーク刃」。アゴ下にも密着しやすいという
 システムスムーサーとラムダッシュとの違いを端的に言えば、ラムダッシュの方が「より剃れる構造になっている」という点だ。

 ES-RT60になくてES-GA21にある機能としては、「マルチフィットアーク刃」と「リニアモーター駆動」がある。前者は外刃の中央部に膨らみを持たせることで、剃り残しの多いアゴ下に密着して剃り残しを防ぐというもの。後者はリニアの力による高速ストロークで、素早くヒゲをカットするというものだ。

ラムダッシュとシステムスムーサーの運転音の比較。外刃を取った状態で、ラムダッシュ→システムスムーサーの順に運転している。運転音の高さがまったく異なる

 ヒゲのカット能力に関わる部分での、両社の機能の違いはこの2点だけ。それだけで違いは出るのだろうか。そこでES-RT60とES-GA21を1日おきに使い比べてみた。使用時間は約3分間、ウェット剃りではなくドライ剃りで行なった。

 結果は、明らかにES-GA21の方が良い。頬や鼻下などはあまり違いはなく、写真で見てもそこまでの違いはなさそうだが、手で触れてみると、アゴのラインやアゴ下などでは、ES-RT60はザラっとした感触がある。ES-RT60でも、さらに長く剃り続ければちゃんと剃れるのだが、ES-GA21では2分間でちゃんとこなしてくれる。これは、マルチフィットアーク刃とリニアモーター駆動のおかげだろう。正直に言うと、大した差は出ないだろうと思っていただけに、この結果には驚いてしまった。

ラムダッシュとシステムスムーサーの剃り比べ。写真では伝わりにくいかもしれないが、手で触ると、ラムダッシュの方がアゴ下の剃り残しがカットできている印象がある

 なお、両製品ともに剃り負けが発生することはなかった。3枚刃によって、1枚刃や2枚刃よりも肌に掛かる負担が抑えられているためだろう。


 カット能力だけを見るとシステムスムーサーは分が悪いが、もちろんメリットもある。まずは、付属品に乾燥充電器が備わっている点だ。

ES-RT60では、専用乾燥機が付属する
 Amazon.co.jpでの実売価格を見ると、ES-RT60の価格は8,820円。対するES-GA21は7,705円。システムスムーサーの方が高いという“逆転現象”のようにも見えるが、これは専用の乾燥充電器が付いているためだ。

 乾燥充電器とは、ウェットシェービングや水洗い後のヘッドを乾かせる機能を備えた充電台のこと。これはシェーバーを使ったことある人なら誰でも経験があると思うが、シェーバーは濡れたままで放っておくと、ヘッドに雑菌が繁殖し、ニオイを放つことがよくある。そのため、しっかりと乾かす必要があるのだが、この乾燥充電器を使えば、自動でヘッドを乾かしてくれるのだ(3時間)。

 ラムダッシュの上位モデルで搭載されているような“洗浄充電器”とは違い、ヘッドを自動で洗浄する機能はないが、シェーバーのスタンドとしても使えるので、意外と使える印象だ。ES-GA21にはスタンドがないため、使用後はそのあたりにポイッとすることもあったが、これを置いておけば、シェーバーの“定位置”を作ることができる。そういった意味では、きれい好きや整理整頓好きの人には向きそうだ。

充電時は写真のように立てる乾燥時はヘッドを逆にする。この状態では充電できない

 メリットのもう1つは、価格面だ。ES-RT60は乾燥充電台が付いているためES-GA21よりも高かったが、乾燥充電台を省いたES-RT30は6,924円、ES-RT20では、充電時間は8時間と長いものの、5,380円とさらに安い。ちなみにES-RT30とES-RT20は、カット面での能力はES-RT60とまったく同じとなっている。“乾燥充電器は別にいらないな”という人は、この2製品を選ぶのが良いだろう。

 なお、システムスムーサーシリーズでは、ES-GA21ではできなかった交流式(電源をコンセントに差し込みながら使用すること)も可能となっている。

【システムスムーサーとラムダッシュの価格比較】
シリーズ名システムスムーサーラムダッシュ
品番ES-RT60ES-RT30ES-RT20ES-GA21ES-LA94
実売価格
(Amazon.co.jp 3/26時点)
8,820円6,924円5,380円7,705円40,320円※
外刃の枚数3枚刃3枚刃4枚刃
乾燥充電器-洗浄充電器
充電時間1時間8時間1時間
※4月10日発売の最高級モデル

 というわけで、違いをまとめると『ラムダッシュの方がよく剃れる』、『付属品ではシステムスムーサー「ES-RT60」』、『価格面ではシステムスムーサー「ES-RT30/20」』ということになる。個人的には、カット能力の高さでラムダッシュをお勧めしたいが、清潔性や整理整頓に気を遣う人はES-RT60、引越しなど新生活で支出を控えたい場合はES-RT30/20をというのも、十分に選択肢としてありだろう。

 シェーバーは安い1枚刃しか使ったことがないという人は、手頃な価格のシステムスムーサーで3枚刃を体感してみてはいかがだろうか。



【システムスムーサーES-RT60とラムダッシュ ES-GA21の機能比較】
製品名システムスムーサー
ES-RT60
ラムダッシュ
ES-GA21
価格オープンプライスオープンプライス
実売価格
(Amazon.co.jp 3/26時点)
8,820円7,705円
ヘッドフロート
マルチフィットアーク刃-
リニアモーター駆動-
音波洗浄モード-
本体水洗い
充電時間1時間1時間
外刃ステンレス刃物鋼3枚刃ステンレス刃物鋼3枚刃
内刃30°鋭角ナノエッジ刃30°鋭角ナノエッジ刃
充電池ニッケル水素電池リチウムイオン電池
充電表示残量3段階
充電/完了表示ランプ
催促ランプ
充電/完了表示ランプ
消費電力充電時6W、交流使用時9W充電時6W
本体サイズ
(幅×奥行き×高さ)
60×42×152mm64×47×153mm
本体重量200g160g

ヘッドが左右に動くフローティングヘッドも採用水洗いやウェットシェービングも可能充電池の残量表示は3段階



2010年3月29日 00:00