家電製品ミニレビュー

ホープス「SOLALA(ソララ)」

~柔らかい光を楽しむソーラーLEDライト

同じソーラーLEDライトでも、異なる性格

ホープス「SOLALA(ソララ)」

 SOLALA(ソララ)は、太陽電池で発電した電気をニッケル水素電池に充電し、LEDを点灯する照明器具だ。いわゆる「ソーラーLEDライト」または「ソーラーLEDランタン」と呼ばれる分野の製品だ。

 先週、ご紹介した「Luci(ルーシー)」も、そうだが、最近この分野の商品が増えている。東日本大震災に伴なう計画停電や、その後の節電ブームの影響だろう。

 しかし、SOLALAとLuciの2つの製品だけを比べてみても、その性格はかなり異なる。

 Luciは、電気が整備されていない地域で、唯一の灯りとなることを目指しており、実用として灯りだ。それに対し、SOLALAはもっとファッショナブルでメンタルケアグッズ的な要素もある。実用としての灯りではなく、ムードを楽しむためのグッズに近い。

 楽しむための灯りというであるSOLALAを、もう少し詳しく紹介しよう。

メーカー名ホープス
製品名SOLALA(ソララ)
希望小売価格1,680円
購入場所Amazon.co.jp
販売価格1,680円

丸くて溶けこむデザイン

 SOLALAのパッケージは、白い紙箱にシールを貼ったシンプルなデザインだが、センスは悪く無いと思う。入っているのは、本体と取扱説明書だけだ。

 SOLALA本体は、丸い本体に半透明のドームが載った形で、柔らかいデザインだ。見た目は丸くて、どこにでも溶けこむデザインだ。

パッケージは白箱にシールが貼ってある
主な仕様
上半分はドーム型になっている
上から見ると円形
本体の直径は10cm
滑り止めゴムの構造

 太陽電池のパネルも、ドームの中に収納されており、外からは見えない。発電量のことを考えれば、パネルはむき出しの方が効率が良いのだが、防水性と外観の与える印象を優先しているのだろう。

 ニッケル水素電池は、本体に内蔵されており、カバーを外してもさわれない。ニッケル水素電池は交換可能になっているのだが、それを行なうためには、本体底部にある滑り止め用のゴムを外して、ネジを開ける必要がある。これは、あとで試してみよう。

ほんのりとした明るさ

 SOLALAは、6時間直射日光に当てると、6時間点灯する。大変、分かりやすい仕様だ。とりあえず、丸一日ベランダで直射日光に当てておいた。

 先に触れたようにIPX3(防雨型)準拠の防水性能を持っているので、雨に濡れることを気にせずに、外に出して置ける。

充電は直射日光で約6時間
底面に、電源スイッチがある
電源スイッチは防水カバーがかぶせてある

 電源スイッチは、本体の裏にあり、OFF/AUTO/ONの3段階になっている。AUTOは明暗センサーにより周囲が暗くなったときに点灯する。ONは常時点灯だ。灯りの明るさの調整はない。普段は、AUTOにしておけば良いだろう。

 なお、電源スイッチにもカバーが掛かっており、防水になっている。廉価な製品の割に、こういう細かいところに気配りがあるのは好感が持てる。

カバーを外した状態
3枚のソーラーパネルの中心にLEDがある
LEDにはキャップがかぶせてある
キャップを外した状態
3つのLEDが並んでいる

 LEDは3個あり、束ねたような形になっている。光の色は電球色だ。真っ暗な場所で点灯させると、オレンジ色の点が、半透明のドームの中心で光っている。反射した光で、ドーム全体もぼんやりと光る。

 1つ1つのLEDは、さほど明るいものではなく、3個束ねても常夜灯ぐらいの明るさだ。さらに、LEDの外側に半透明のキャプがかぶさっており、光をぼかしている。つまり外からみると、ドームとキャップで、二重に半透明のカバーがかかった状態になっている。

 これで分かるようにSOLALAは明るさを目指した製品ではない。デザイナーは、ランタンのように何かを照らす光を目指しているのではなく、ローソクのような、光自体を楽しむための器具を目指しているのだと思う。照らすための器具ではなく、光自体の存在を見つめるための器具と言っても良い。そのために、二重にLEDをカバーするような手間をかけて、LEDの見え方にこだわっているだろう。

日の当たる窓際はSOLALAに向いている
スイッチをAUTOにしておくと、暗くなると自動点灯する
光は側面から上方向へ向かう。明るさはあまりない

 SOLALAの実際の明るさもローソクぐらいだ。6畳の部屋に置くと、部屋の中に何があるかぐらいはわかる。洗面台やバスルームでも、明るくはないが、だいたいやりたいことはできる。食事の時に、テーブルの上におくと、どんな皿があるかはわかるが、料理の細かい部分はわからない。灯りが少ないキャンプでの食事に雰囲気は似ている。ちなみに、本を読むには明るさが足りない。

机の上に常夜灯として置く。パソコン作業で画面に集中するときに良い
テーブルで使う。ちょっとキャンプのような気分
洗面台で使う
浴室で使う
本を読むにはちょっと明るさが足りない
防水構造であり、ガーデン用のランプにも向いている

 丸一日、直射日光で充電した状態で、6時間以上は点灯した。ほぼ満充電だと思われるので、カタログ値通りの性能だ。なお、明るさは一定ではなく、電池の消耗に応じて変化する。

 一渡り使ってみたが、ムードランプとして良くできた製品だと思う。ソーラー充電で、乾電池がいらないということも含めて、手軽なギフトにもなる製品だ。

ニッケル水素電池が交換できる

 さて、SOLALAには、もう1つ特徴がある。それは、充電池の交換を許容していることだ。取扱説明書にも「充電池の交換方法」という項目が用意されている。

取扱説明書の表紙
横に開くように折りたたまれている
ニッケル水素電池の交換についての解説

 交換方法の解説を読むと、次のような作業手順になっている。

1)ドーム型の本体カバーを外す
2)本体裏の滑り止めゴムを外す
3)出てくるネジを外す
4)内部モジュールを取り出し、ニッケル水素電池を取り外す
5)新しいニッケル水素電池をセットする
6)逆の手順で組み立てる

 しかし、実際に作業してみると、滑り止めゴムがうまく外れない。素材が柔らかい上に接着剤で貼ってあるので、ちぎれてしまうのだ。結局、3つの滑り止めゴムが3つともちぎれてしまった。私は器用な方ではないが、それにしても、ちぎれやすいゴムだとは思う。

ちぎれてしまった滑り止めゴム。奥にネジが見える
結局、滑り止めゴムは3つものうまく外せなかった

 取扱説明書では、「滑り止めゴムを接着剤で接着し固定してください」とあるが、こういう状態なので、ちょっと無理がある。

 ちなみに、こういう外からネジが見えないようにゴムを貼る「隠しネジ」という方法は、ポータブルゲーム機のような分解されては困るような機器に使われる技術であり、電池交換を前提とする機器には向いていない。

 電池交換をさせるようにしたいという構想を考えた人と、機器を設計した人との間で、製品のコンセプトについての意見が合っていない気がする。意欲的な試みだけに、ちょっと惜しい。

内部モジュールを外す
内部モジュールの裏側
角度を変えて見る
ニッケル水素電池をエネループに交換した

 なお、ゴムがちぎれやすいことを除けば、電池交換自体は簡単な作業だ。この製品にセットされていたニッケル水素電池は単三形で1,000mAhのものだった。今回、手元にあったエネループに交換したので、満充電時の使用可能時間は少し伸びると期待される。手元のエネループは新品ではないが、充電器で満充電にした状態だったので10時間以上点灯し続けることができた。

 ちなみに、SOLALAで使用されているニッケル水素電池は単三形なので、電池ボックスにはアルカリ乾電池などもセットできてしまう。しかし、この基板では充電用に太陽電池から電気が送られてくるため、ニッケル水素電池以外の電池をセットしてはいけない。ここはもう少しハッキリと、取扱説明書に書いておいた方が良いと思う。

 ニッケル水素電池の充放電回数は数百回程度であり、SOLALAにセットされているものも約600回が寿命とされている。だから、ニッケル水素電池を交換できるようにするのはとても良いことだ。それによって、製品を長く使うことができる。

 ただ、現在の方法では、一般のユーザーには敷居が高すぎる。次のモデルでの改良に期待したい。やはり、本体カバーを外したら、内部モジュールも外せるようにするべきだろう。

心のための灯り

 SOLALAは、ムードランプとしてよくできた製品だ。AUTOモードで、暗くなったら自動点灯するようにしておけば、あまりメンテナンスを意識せずに、ほんのりとした灯りを楽しむことができる。瞑想やヒーリングまで行かなくても、心を休めるための灯りとして有効だ。

 気をつける点といえば、ソーラーパネルからの充電が足りなくなる可能性があることだ。点灯時間が短くなってきたら、直射日光の当たる場所に出してやれば良い。「ちょっと弱ってきたから、お日さまに当てて元気になってもらう」と思えば良いだろう。

 おすすめの使い方は、部屋の灯りを消し、SOLALAの灯りだけにしてみることだ。暗い場所の中に浮かぶ、弱い光が、心を休めてくれるだろう。

伊達 浩二