家電製品ミニレビュー

月額980円~でルンバ、ブラーバがやってくる! “ロボット掃除機のサブスク”を試した

ルンバなどを安価に借りられる「ロボットスマートプラン+」にトライ

お掃除ロボットの評判がかなりいい、とはわかっていても、数万円というまとまった金額を出して購入する決断はなかなかできないものだ。それに実際に自宅で試してみないと、本当にきっちりキレイに掃除してくれるのかもわからないし……。微妙な床の段差のせいでうまく掃除されず、結局役に立たなかった、なんてことになったらせっかくの投資が無駄になってしまう。

そんなふうにロボット掃除機を購入しようかどうか迷っていて、まずは自分の家で実用的に使えるのかどうかを知りたい、という人に最適なサービスがスタートしている。ロボット掃除機の元祖とも言えるiRobot(アイロボット)のルンバ・ブラーバシリーズを一時的に、あるいは継続的に定額費用でレンタルできる「ロボットスマートプラン+」だ。

わずか数千円、もしくは月額980円からという低コストでロボット掃除機の実力を試すことのできるこのサービスを、実際に申し込んで自宅で体験してみた。

2つのコースが選べるロボットスマートプラン+

最初にロボットスマートプラン+がどういうサービスなのか、簡単に紹介しておきたい。

ロボットスマートプラン+には、大きく分けて2つのコースがある。1つは「おためし2週間コース」で、安価な費用で2週間だけ借り、気に入ったら定額プランに移行する、またはキャッシュバック特典付きで購入できるというもの。もう1つは、一定の月額料金で使い続けられる「あんしん継続コース」だ。

ロボットスマートプラン+のWebサイト

「おためし2週間コース」では、機種ごとに決められた金額を一度支払うことで、2週間のあいだはほとんど自分のものとして利用できる。基本的な消耗品、たとえばルンバのクリーニングブラシやフィルター、ブラーバのモップなどはきちんと予備まで付属しているので、2週間程度なら毎日フル稼働させても問題ないし、思いっきりロボット掃除機のメリット(もしくはデメリット)を実感できるだろう。

2週間という期間には往復の配送にかかる時間は含まれず、配送料金もかからない。あらかじめ指定したレンタルスタート日(指定できるのは申込日の10日後以降になるようだ)に到着し、そこから2週間後の最終日までに試して、返却手続き(発送)を終えられればいい。レンタル最終日のギリギリの時間まで利用できるのがありがたいところだ。

もう1つの「あんしん継続コース」は、毎月一定額を支払ってレンタルできる、いわゆるサブスクリプションサービスとなっている。基本の契約期間は3年間(36カ月間)で、その間の修理費用は無償。もし3年もたたないうちに不要になってしまった場合でも、利用から6カ月経過後であれば追加費用なしで返品できる。

3年間利用した後は月額費用がゼロ円となり、その後は完全に自分の所有物として、そのまま使い続けることが可能だ。なので、3年ローンで購入できる、という見方もできるだろうか。初期の購入費用を抑えつつ、ある程度長く使って便利さを確かめたい人に向いていそうだ。

いずれのコースも対象機種はルンバとブラーバのシリーズほぼ全機種(2020年7月時点で、最上位機種の「ルンバ s9+」など一部機種は対象になっていないようだ)。料金としては最も安価なものがエントリーモデルの「ルンバ 643」で、「おためし2週間コース」の場合は1,800円、最上位機種「ルンバ i7+」は4,527円。「あんしん継続コース」では、「ルンバ 641」が月額980円、「ルンバ i7+」が月額3,800円。これだけ見ると「おためし2週間コース」の方が割高に見える。

ただし、「おためし2週間コース」で試した後、実際に製品を購入する場合には、最初のレンタルにかかった費用の分をそっくりキャッシュバックしてもらえる。「あんしん継続コース」に移行した場合にも、同じようにキャッシュバックされるとともに、初月の料金が無料になるという特典もあるので、本格的に導入するつもりでいる人にとっては全く損にならない仕組みといえる。

「おためし2週間コース」のルンバ対象機種。「あんしん継続コース」とはごく一部ラインナップが異なるようだ
ブラーバの3機種ももちろん対象となっている

申込み日の10日後からレンタル開始。巨大な箱に要注意

申込みはiRobotの公式Webサイトの専用申込みページから簡単に行なえる。今回、筆者は「おためし2週間コース」を試してみることにした。好きな機種を選んでレンタル期間を指定し、レンタル代金を支払うだけで手続き完了だ。

せっかくなので高機能なモデルで実力を測ってみたいと思い、選べるなかではハイエンドモデルとなるロボット掃除機の「ルンバ i7+」とぞうきん掛け(床拭き)してくれる「ブラーバ ジェット m6」の2台を借りてみることにした。費用はルンバ i7+が4,980円(税込)、ブラーバ ジェット m6が2,980円(同)となる。

ルンバとブラーバの2台を一度に借りてみることにした

ちなみに筆者の自宅は2階+ロフトの一戸建て。1階は寝室と、この外出自粛の状況を鑑みてオフィス代わりにしている仕事部屋などがある。2階部分は主に家族が1日を過ごすリビング・ダイニング・キッチンのあるフロアで、ロフトはハシゴで行き来するようになっている。

この3階層に分かれた自宅のすべてを、1台ずつのルンバ・ブラーバでカバーさせようとは元から考えていない。ロボット掃除機に階段やハシゴを上り下りする機能は当然ないし、いちいち人の手で各フロアに持ち運んで掃除させるのも手間がかかるからだ。

でもって、1階部分は障害物(家具、仕事道具など)も多いので、普段みんながよく過ごす、汚れやすい2階部分の掃除をロボットにお任せすることにした。3フロアのうち1フロアだけを自動化できたところで、本当にその便利さを実感できるのか。そこが今回ロボットスマートプラン+で確認したかったところでもある。

レンタルスタート日のまさにその当日、ルンバとブラーバが別々の箱で自宅に届いた。特にルンバの方は箱のサイズがかなり大きいが、返却する際に使用するので壊したり、捨てたりしてはいけない。大きな箱の保管スペースをきちんと確保しておかなければならないことを頭に入れておきたい。

本体の方はおそらく同じようにレンタルで他の人が使ったものを流用していると思われるが、ブラシやモップ(パッド)などの消耗品は新品+予備が用意されている。充電さえすればすぐに使える状態だ。

自宅に届いたルンバとブラーバ
ルンバには各種消耗品や、進入禁止エリアを設けるための「デュアルバーチャルウォール」が付属
ブラーバにはウェットモップとドライモップ、各2枚ずつが同梱

大きいけれど、ゴミに完全ノータッチでいられるルンバ i7+

今回、ルンバとブラーバの充電台の設置場所はリビングのテレビの両脇にした。とりあえず2週間限定なので目立つ場所でも仕方あるまい……と考えての選択だけれど、狭い我が家の間取り事情において、「ルンバ・ブラーバの充電ベースの周囲に50cmの余裕を設ける」という設置条件を満たす場所というと、ここしかなかった、というのもある。

リビングのテレビ両脇に2台それぞれの充電台を設置した

特にルンバ i7+の充電台は、ルンバ本体がかき集めたゴミをまとめる「クリーンべース」も兼ねており、大容量のゴミ収集用の紙パックを内蔵しているせいもあってわりと自己主張が激しい。テレビを見ていると常に視界に入ってくるのは落ち着かない感じもある。もしレンタル終了後、購入したり定額レンタルするとなれば、既存の家具レイアウトを変更するなど、設置場所についても考え直す必要があるだろう。

ルンバ i7+のクリーンべースは大容量の紙パックを内蔵することもあって、ボディ自体が大きめ

ただ、このクリーンベースは、ルンバが掃除を終えてベースに戻ってきたら、毎回ルンバ内のダスト容器からクリーンベースに内蔵した紙パックにゴミを吸い出してくれて、ゴミ捨ての手間を最小限にできるというメリットがある。実際、2週間のレンタル期間中にほぼ毎日のようにルンバを稼働させたものの、ルンバ本体のダスト容器には完全にノータッチでいられた。クリーンベースの紙パックにも少量のゴミしか溜まっていなかったので、このペースだと数カ月間はゴミに触れることなく掃除できそうだ。

もう一方のブラーバについては、コンパクトなのでリビングにあってもそれほど邪魔に感じないし、充電台の設置場所の自由度もある程度高いから、他のもっと目立たない場所にも置けそうだ。場合によっては時々他のフロアに持っていって掃除させてもいいかな、と思えるくらいのサイズ感ではある。

ブラーバの方はかなりコンパクト。設置の自由度は比較的高そうだ
裏返して、あらかじめモップを取り付けておく

ルンバ+ブラーバでキッチン・ダイニングのストレスが完全に解消

ところで、ルンバ i7+とブラーバ ジェット m6はどちらも本体のボタン操作だけでなく、専用スマートフォンアプリからの操作も可能になっている。アプリから宅内Wi-Fiに接続する設定を行なえば、掃除のスタート・ストップ、充電状態の確認、掃除のスケジュール設定などができるほか、室内の間取りを認識して部屋ごとの掃除が可能になる「スマートマップ」機能も利用できる。

専用アプリで2台をコントロール
スマートマップ機能の画面。数回ルンバ・ブラーバを稼働させることで部屋の間取りを覚え、部屋ごとの掃除の指定などが可能になる。手動で部屋の境界を設定することもできる

さらに、ルンバ i7+とブラーバ ジェット m6の組み合わせだと、2台を連携して稼働させる機能も使える。2台をアプリに登録している状態でブラーバ ジェット m6の床拭きをスタートする際、「まず掃除機を掛ける」という選択肢が現れるので、これをタップすることで最初にルンバ i7+が掃除し、それが完了した後にブラーバ ジェット m6が動き出すようになる。

ブラーバの床拭きをスタートする際に「まず掃除機を掛ける」を選ぶことで最初にルンバによる掃除が始まる

しかしながら、この2台の連携機能はアプリから手動でブラーバを操作したときのみ有効で、スケジュール設定では連携できない。あまり使い勝手がいいとは言えないこともあって、我が家で連携させたのは初日と2日目の2回限りだった。ブラーバの掃除時間がだいたい30分前後であることを把握できたので、以降は毎朝8時半にルンバをスタートさせ、続いて9時半にブラーバをスタートするスケジュール設定を個別に行なった。

結局メインで利用したのはスケジュール機能だった

とはいえこのルンバ i7+とブラーバ ジェット m6のタッグによる自動掃除&床拭きは、我が家にとってベストなソリューションだったことは間違いない。筆者宅の2階は、とくにダイニングとキッチンの掃除が面倒なことの1つだった。ダイニングはフローリングに子供たちの食べかすが常に散らかっているような状態で、キッチンも料理したときの細かな食材や水滴なんかがよく落ちている。こういった汚れは、掃除機だけでは取りきれないし、手で都度床拭きするのも大変で後回しになりがちだ。

自動で掃除を始めるルンバ
狭い場所にも入り込んできちんと掃除してくれる
もちろん階段に落ちたりすることもない

しかし、ここにルンバ i7+とブラーバ ジェット m6を投入したことで、稼働させていた2週間のあいだずっと、歩くとあんなに足裏にこびりついてきて微妙にストレスだった食べかすはほぼゼロに。不快な水滴が落ちていることもなくなった。もちろん自分の手で掃除機やぞうきん掛けなどは一切していない。厳密には完全にゴミがなくなるわけではなく、細かな紙片なんかが1つ2つ残っていたりもしたのだけれど、せいぜいその程度の取りこぼしだった。

ルンバの掃除が終わったあと、動き始めたブラーバ
前方から水を噴出して床拭き
ダイニングテーブルの下をきれいにしてくれるブラーバ
キッチンの床もしっかり拭いてくれる

そして、2階の1フロアだけでロボット掃除機を使うのはもったいないのではないか、という懸念についても、ある程度払拭できた。というのも、ルンバとブラーバを稼働していた2週間、階段や1階の床に散らかるゴミ・ホコリが明らかに減っており、手で掃除機をかける必要がなかったくらいなのだ。

おそらくこれまでは、家族が歩いたりすることで2階のゴミを階段や1階に知らず知らずのうちに運んでしまっていたと思われる。2階を常にきれいに保ったことで、自然とその他の部分も汚れにくくなったのだろう。たとえルンバ・ブラーバを1フロアだけで稼働させるのであっても、使い方や環境によっては思わぬ副次的効果が得られることがあるようだ。

1週間ほど毎日、床拭きした後のモップ(上)と新品(下)。ぱっと見はそれほど汚れていないように見える床だけれど、定期的に床拭きした方がいいんだろうなあ、というのがわかる

結論:ルンバとブラーバの2台体制は強力。特にブラーバがほしくなった!

そうはいっても、ルンバが自動でスタートしてしまう毎朝8時半までに、2階に転がっている手で拾える大きなゴミや、巻き込みそうな障害物はあらかた取り除いていたし、ダイニングの椅子をテーブルに上げるというちょっとした"労働"も必要になっていた。だから、「労力ゼロでゴミもゼロ」みたいな理想郷を実現できたわけではない。でも、ここまできっちりキレイにしてくれるなら、椅子をどかすくらいやってやるか、という気持ちにはなる。

ブラーバは、水拭きする場合、あらかじめタンクに水を入れておく必要もある。手間というほどではないけれど

総合的には、もし購入・定額レンタルするなら、ルンバの方は恒常的な設置場所を作りにくいことも考えると、ルンバ i7+ではなく、エントリークラスの安価なモデルでもいいかな、と感じた。とりあえず2階フロア全体をある程度くまなく掃除してくれて、普段は目立たない場所に置いておければいい。

ブラーバについては、自動で帰還して充電する充電台やスケジュール設定、スマートマップの機能などを考えると、ブラーバ ジェット m6をそのまま選びたいところ。小さく軽いので、持ち運んで他のフロアの掃除に使うのも面倒ではなさそうだ。ルンバとブラーバを自動で連携してくれる機能はそこまで必要性を感じなかったので、エントリーモデルのルンバを選んでも支障はないだろう。むしろ、コストを考えるとブラーバだけを購入するのもアリかもしれない。

と、こんな風に2週間という短期間とはいえ、我が家で本当にロボット掃除機が活躍できるのかはもちろんのこと、実際のところどういう機能が自分にとって必要・不要なのか、というところまで把握でき、購入・定額レンタルする前の参考にすることができた。1日1回ずつの掃除だとすべての機能を試すのは難しく、もしかするともっと我が家に合う使い方があったのかもしれないが、購入・定額レンタルするかどうかを判断するだけであれば2週間で十分だ。

2週間のレンタル期間の最終日、元のダンボール箱に梱包する。着払伝票に加えて箱に封をするテープも同梱されているので、追加で何かを用意する必要はない

大きな出費なくレンタルできるロボットスマートプラン+は、最初に機能・性能を見極めてエントリーモデルを借りてしまうのもいいけれど、できることなら機能の多い上位機種を選んで、2週間毎日使いながら自分の家に本当に必要な機能・性能が何かを絞り込んでいくことをおすすめしたい。そうすればロボット掃除機選びに失敗することはきっとなくなるはずだ。

日沼 諭史

モバイル、ガジェット、エンタープライズ系サービス、旅行、クルマ、バイク、オーディオ&ビジュアルなどなど、なんでも書くライターみたいなことをやっている人。