家電製品ミニレビュー

水フィルター掃除機、吸引力が全く落ちないのは本当だった!

 掃除機は、大きく紙パック式とサイクロン式との2方式に分かれている。吸い取ったゴミを、紙パックでとらえるのか、サイクロンで分離してとらえるのかの違いだ。

 今回使った掃除機は、いずれでもない。“水”でゴミをフィルタリングする方式を採用したコードレスクリーナー「VAGUA(バグア) AIM-SC100」だ。

VAGUA(バグア)「AIM-SC100」
メーカー名ツカモトエイム
製品名VAGUA(バグア)「AIM-SC100」
実勢価格32,400円(Amazon)

水でゴミを仕分けするから、ホコリが立たない

 クリーナーヘッドから吸い込んだゴミやホコリを含んだ空気は、搭載された水タンクの中に送られていく。ゴミやホコリは水の中にとどまり、キレイな空気だけが排出されるのだ。排出された空気は、さらに一般的な紙製のフィルターを通って外に戻っていく。

電源を入れると吸い取った空気が内蔵の水タンクへと送られ、ゴミとホコリを分離する
取り出した水タンク。吸い取った空気は水タンクへ送られ(赤矢印)、キレイな空気だけが排出される(青矢印)

 使う水は水道水でいい。掃除するとゴミが水中に溜まるので、掃除が終わったらタンク内の水を捨て、新たに水道水を入れる。

 一般的な掃除機、特にサイクロン式では、ゴミ捨て時にどうしてもホコリが舞う。ゴミやホコリが乾燥しているからだが、水の中にホコリを溜める水フィルター掃除機では、ホコリが舞うことはない……全くない。

 さらに、水を取り替えれば、新品のフィルターに交換したのと同然。キチンと水を取り替えさえすれば、吸引力も落ちないのだ。なお、水タンク内に溜まった水は、付属の漉し器で水とゴミを分離して、水はキッチンやトイレ、ゴミはゴミ箱に捨てられる。

超強力な吸引力で、ゴミもホコリも一掃!

 電源を入れて掃除し始めると、その吸引力の強さを感じる。特に畳の部屋で使うと、クリーナーヘッドが畳に軽く吸い付いているような手応えを感じる。きちんと調べたわけではないが、畳の中のゴミまで吸い取ってくれていそうなほどだ。

 試しに麦茶の葉を畳の上に撒いて、吸い取ってみた。掃除機の電源を入れると、茶葉が広範囲にワサワサとし始め、掃除すると確実に吸い取られていくのが分かる。和室は、畳と畳の間(畳縁)、畳と押入れの境目など、フローリングとは違ってゴミが溜まりやすい場所が多い。そんな場所にあるゴミも、ワンストロークで確実に吸い取ってくれる。

ワンストロークで確実に吸い取っていくのが分かる
ユーザー視点で撮った映像。クリーナーヘッドが近づくと広範囲に茶葉がワサワサしはじめる
掃除後は、畳の目や畳縁などにもゴミが一掃されている
ノズルを変えることなく、端っこのゴミを吸い取っている

 約1カ月使ってみたが、排出される空気がとても爽やかなのも嬉しいポイント。ホコリが混じっていると感じたことは一度もなかった。

 掃除後に水タンク内のゴミを見ると、当たり前だがしっかりと茶葉が水の中に取り込まれている。普段の掃除では、ホコリや髪の毛が主なゴミ。掃除後に裸足で部屋を歩き回っても、足の裏にゴミを感じることはない。細かいゴミをしっかりと吸い取ってくれているのが分かる。

麦茶で実験した後の水タンク内
通常の掃除をした後の水タンク内

水フィルター掃除機の使い勝手は?

 吸引力については、例えばダイソン製と比べても遜色がない。フルモードで約25分も使える点も嬉しい。

 それでは使い勝手はどうだろう?

 まずは、手を離しても自立してくれる点がポイント。掃除中に、少しイスを動かしたいという時にも、気軽に手を離せるので掃除がはかどる。一方で、水タンクが下部に位置しているため、タンスなどの下の隙間を掃除しようとすると、すぐにタンクがひっかかり、奥まで掃除できない。

手を離せば自立する
家具下の隙間掃除は苦手

 クリーナーヘッドの向きを変えるのに、少し力が必要。好みの問題かもしれないが、もう少し軽くクイックに向きが変えられればと思う。

ヘッドの方向を変えるのには少し力が必要

水タンクのメンテナンスは簡単

 水タンクの掃除は簡単。水タンクを取り出し、タンクのフタを外して、タンク内を水洗いすればいい。

 ゴミの入ったタンクの水を、そのまま流すのが気になる人は、付属の漉し器(ダストカップ)が便利。タンク内の水を漉し器に注ぎ込めば、ゴミと水が分離できる。水はそのまま流し(三角コーナー)に捨て、ゴミはゴミ箱に捨てられる。

 水フィルタータンクや、逆流防止弁などは全て水洗いが可能。水洗いできる上に、紙フィルターと違って、乾燥させる必要もない。洗ったら水をタンク内に入れて、掃除機本体に装着すれば、すぐに掃除し始められる。

水タンク
タンクの収納カバーを外す
タンクを取り出す
水タンク
水タンクのフタを外す
同梱する漉し器
ゴミが混じったタンク内の水を漉し器に注ぐ
ゴミだけが抽出できる

 実は筆者は一度、何度か掃除した後にもタンク内の水を交換せず、水を腐らせてしまった。本体には掃除中や充電し始める時に、光を照射してタンク内をUV除菌する機能も搭載している。だが、夏場だったこともあるだろうが、水が腐ってしまったのだ。そんなことが起こらないよう、掃除前後には必ずタンク内の水を交換しよう。異臭が部屋中に撒き散らされ、大変なことになる。

UV除菌機能がタンク内に搭載されている
掃除中または充電中のほか、専用ボタンを押せばUV光が照射される

 もう一点気をつけたいのが、タンク内の水を空にしたまま掃除してしまうこと。パイプなど内部のあちこちにゴミが貼り付いてしまうので、メンテナンスが大変になる。

 パワーブラシヘッドにはLEDが3灯搭載されていて、テーブルの下など陰になっている部分を掃除するのに助かる。

パワーブラシヘッド
パワーブラシヘッドの裏側
工具不要で簡単にブラシ部を取り外せる
サッとブラシを外せるので、メンテナンスも簡単

まとめ総論

 我が家の掃除をしていると、掃除機が吸い取るゴミは、砂よりも細かいホコリや、長い髪の毛が多い。これまで使ったサイクロン式の掃除機だと、ダストカップ内にホコリがカップ内側やフィルターにこびりつき、捨てる時にホコリを舞わさずに落とすのが困難だった。

 そうしたホコリや髪の毛を、水の中に閉じ込めて捨てられるというのは、とてもいいアイデア。ハウスダストに敏感な人や花粉症に悩む人なども、これなら安心して使えるはずだ。

 メリットを中心にレビューしたが、もちろんデメリットもある。サイクロン式は、ダストカップのメンテナンスをしなくても吸引力が落ちるだけ。だが、水フィルター式のタンクを放置すると、水が腐ってしまう。

 本体が約3.5kgと重いのも気になる。筆者宅のようにマンションであれば問題ないが、2階/3階建てなどであれば、階段の掃除はもちろん、本機を持っての昇り降りをするのも面倒だろう。

 水フィルターなので、クリーナーヘッドを水平よりも高くかかげて掃除できないのも把握しておきたい。

 ハンディユニットが内蔵されているので、階段掃除や高い場所の掃除には、そちらを使いたい。なお、ハンディユニット使用時には、一般的な紙製のフィルターでゴミを捉える。

本体に内蔵されたハンディユニットは簡単に着脱できる
階段や高い場所の掃除に便利
ハンディユニットは一般的なフィルターでゴミを捉える

 書いていくとデメリットも少なくないが、何よりも全工程でホコリが全く舞わず、吸引力に優れている点は、他のクリーナーでは得られないメリット。ホコリゼロを実現したいのなら、VAGUA「AIM-SC100」一択と言っていいだろう。

河原塚 英信