家電レビュー

ヒゲ剃っても青い問題解消!? フィリップス最上位シェーバーは深剃りでも肌にやさしい

フィリップスの最上位シェーバーをレビューします

電動シェーバーを使用していますが、ヒゲが濃いため、剃った後も青さが残ってしまいます。首やアゴ下、輪郭などの剃りにくい部分では、剃り残しも生じやすく悩みの種でした。

そこで試したのが、2025年6月11日に発売されたフィリップスの最新フラッグシップモデル「i9000 プレステージ ウルトラ XP9404/49」です。このモデルは従来品より深剃り性能が向上し、肌へのダメージも軽減されています。さらに、リアルタイムでシェービングを指導してくれるモードを搭載し、衛生面とメンテナンス性も改善。

ただし、価格はAmazonで94,600円と非常に高額です。一般的な電動シェーバーは10,000〜30,000円程度でも購入できることを考えると、本当に買い替える価値があるのでしょうか。今回はこの製品の剃り心地と使い勝手を検証してみました。

肌の下-0.08mm、最高レベルの深剃り

本体サイズは約62×67×181mm(幅×奥行×高さ)、重量は220g。使用可能時間は60分、充電時間は1時間。充電はUSBアダプタ(定格出力電圧DC5V/定格出力電流1A以上)で行ないます。なお後述するUV充電ケースには1.5A以上必要

まずは基本的な機能や仕様の説明から。

本機は電動シェーバー市場で群を抜いた深剃り性能が特徴です。電動シェーバーの深剃り性能は「0.05mm」などの形で目安が示され、この数値はヒゲを肌表面基準でどれだけ短くカットできるかを示しています。

本機はスーパーリフト&カットテクノロジーを採用しています。1枚目のリフト刃がヒゲを引き上げ、2枚目のカット刃が深剃りを行なう仕組みです。刃が10%薄型化されたことで、ヒゲを根元から引き上げる精度が向上し、-0.08mmという驚異的な深剃りを実現。これは肌の表面より下までカットできる性能を意味し、電動シェーバー市場において最深クラスの剃り性能を誇ります。

また、毎分165,000回カットする72枚の回転刃により、さまざまな方向に生えているヒゲも効率的に取り込みながら深剃りできます。

写真左から外刃、内刃

剃り残しにも配慮された設計になっています。「360°プレシジョンフレックスヘッド」は全方向に柔軟に可動するヘッド構造で、顔の凹凸やあご下・首筋にしっかり密着し、剃り残しを防ぎます。また、ヘッドが20%小型化されたことにより、顔の細かな部位にもムラなくフィット。さらに「ヒゲ密度感知システム」は毎秒500回ヒゲの密度を検知し、濃さに合わせて自動でパワーを調節するので効率的です。

同梱品は左から充電ケーブル、本体、クイッククリーンポッド、クイッククリーンポッドカートリッジ、UV充電ケース、充電スタンド、クリーニングブラシ、トリマー、鼻毛・耳毛トリマー

展開モデルは、今回試用したAmazon向けの「XP9404/49」のほか、公式ストアや家電量販店、楽天市場、Yahoo! ショッピング向けの「XP9405/49」と、付属品が異なる「XP9404/21」があります。

摩擦50%低減で肌にやさしい

さらに、肌へのダメージに配慮した機能を多数搭載しています。

「スキンプロテクションテクノロジーPro」はその代表的な肌保護機能です。ヘッド表面には超微細なマイクロビーズコーティング(1cm2あたり最大50万個)を施しており、刃と肌の接触をなめらかにすることで摩擦を従来比50%低減。また、低刺激のステンレス素材を刃に採用し、肌への刺激を抑えて肌荒れを防ぎます。オイル不要で替刃交換も2年に1回という手軽さも特徴です。

深剃りで、剃ったあとの青さも軽減された

ここからは、実際の使用感をお伝えします。まずは、深剃り性能を実感するため、他の0.05mmの深剃り性能製品を使用した後に本機であらためて剃ってみました。

するとじょりじょりと剃れる感覚があり、もう一段階深く剃れていることを実感。とくに顕著だったのが、剃りにくい箇所も深剃りできる点です。

筆者の場合、輪郭がシャープなため剃り残しが多かったのですが、ヘッドがなめらかに動き、3つの刃が輪郭の凹凸にぴったり密着。肌をそれほど引っ張らなくても、スムーズに剃れてすべすべな仕上がりに。

また、小型化された五角形のヘッドにより、鼻の下のような狭くて取り回しにくい部分にも先端が届きやすいです。通常は意識しないと剃り残しがちな口角(唇の横)もすっきり仕上がりました。

鼻の下などの狭いスペースも剃りやすい

それに捉えにくいクセ毛もしっかりカットできました。以前は首からちょろんと生えた長い毛が剃れず何度も往復し、最終的にはトリマーなどに頼っていましたが、そのような手間が不要に。のどぼとけ周辺は角度を変えるなど多少の工夫が必要な箇所もありますが、総合的には大変満足しています。

使いはじめはアゴ下にかゆみを覚えることもありましたが、使っていくうちに慣れていき、ヒリつき感も抑えられて、肌へのやさしさも実感できました。

従来は剃った後も青さが目立ちがちでしたが、本機では深剃りができるため、青ヒゲの目立ちも抑えられています。

Befor。約1日伸びた毛
After。剃ったあと

つい強く当ててしまうのを防ぐリアルタイム指導

本製品には「光のガイド」という機能も搭載されています。過圧防止センサーと動作検知センサーが肌への押し付け具合や動かし方を感知し、4色のライトリングで適切なシェービングができているかをわかりやすく表示。光のガイド表示は、圧力のみ、動作のみ、または両方を確認でき、必要に応じてオフにすることも可能です。さらに、アプリと連動させると、シェービング時の圧力や動きの適切さをメーター形式で確認することもできます。

「光のガイド」の画面でメニューボタンを押す。ボタンを押すとモードが切り替わり、長押しで設定変更
アプリの画面。メーターは「当てる強さ」「動き」の2種類。シェーバーに連動して、メーターの針が動き、適切なシェービングができているか知ることができる

光のガイドは適切な圧力の目安を示してくれるため、過剰な力を入れる衝動を抑えるのに役立ちました。肌にざらつきや剃り残しを感じると、つい強く押し当ててしまい、知らず知らずのうちに肌を傷めてしまいがち。しかし、「圧力が強い」という表示を見ると、顔へのダメージは避けたいという意識が働き、それ以上力を入れることをためらうようになりました。

「光のガイド」で圧力と動きの両方を確認する場合は、緑色「適切な圧力と動き」、オレンジ色「適切な圧力でない」、紫色「適切な動きでない」の3色でガイドされます

また、自分のシェービングのクセを理解できたのも収穫です。頬の部分は強く当てがちでしたが、意外にも鼻の下など手ごたえを感じやすい部分は、押し当てが弱いことに気づきました。「こんなに強く当ててもいいんだ!」という発見があり、肌へのダメージを恐れるあまり深剃りできなかった状況からも卒業できました。

なお、製品は円を描くように動かすことで最小限のストローク数で剃れる仕様になっており、正しい動かし方を認識できたのもよかった点です。

アプリと連動することで、日々のデータが自動で蓄積され、シェービングが適切かのフィードバックが得られる

正直、最初は光のガイドなんて使うのかな……と思っていましたが、よくよく思えば正しいシェービングを誰かに教わったことはありませんし、自己流で「コレは合ってる」と思い込んでいた方法を修正してくれることは、大きなメリットに感じました。

筆者の場合、鏡ではなくテレビを見ながらシェービングすることが多いため、光のガイドは常に視界に入るわけではありません。アゴ下では見えませんし、頬の周辺でも横目で確認できる程度。しかし、たまにチラ見するだけでもシェービングを修正するのに役に立ちました。一度鏡の前で使うだけでも、正しいシェービングへの理解が深まるので、最初だけ確認するか、時々確認する程度でも十分意味がありそうです。

握りやすいグリップ、お風呂で使える防水仕様

220gとやや重めですが、グリップ部分が細めで握りやすい印象で、使用中に腕が疲れることはありませんでした。回転式シェーバーの使用には不慣れだったので最初は剃るのに時間がかかりましたが、何度か使っていくうちに5~6分でシェービングを完了できるようになりました。

なお、本機には5種類のモードがあり、それぞれ回転速度などが異なります。

5種類のモードを搭載

通常:毎日のシェービングに適したモード
インテンス:濃いアゴヒゲなど、硬いヒゲに適した高出力モード
フォーム:シェービングフォームやウエットジェルを使用した際に最適なモード
センシティブ:肌にやさしい剃り心地のモード
カスタム:アプリを活用し、「刃の速度」「ライトリング圧力感度」を独自にカスタマイズしたシェービングができるモード

「センシティブ」モードは運転音がもっとも控えめで肌にやさしい反面、剃るスピードが遅く感じられます。筆者は基本的にヒゲを剃る時間を短縮したいことと、全体的にヒゲが濃いため「インテンス」モードを選んでおり、とくに使い分けはしていません。

インテンスモードを選択している画面

シェーバー本体は防水加工が施されているため浴室でも使用でき、「フォーム」モードに切り替えればジェルやフォームを使ったシェービングにも最適です。ただし、本体を水や液体の中に浸けると故障の原因になるので注意が必要。

お手入れは水で流すだけで簡単

毎日のお手入れは非常に簡単です。ワンタッチでシェーバーヘッドを開き、水(40℃前後のぬるま湯を推奨)で流すだけでOK。その後はシェーバーヘッドを閉じて水を切り、乾燥させるだけです。ヘッドが小型のため水滴があまり付着せず、乾燥も早い印象でした。

お手入れの際は電源をオフに
シェービングユニットボタンを押すとワンタッチでヘッドが開く

本機には、シェーバー本体の電力で駆動する洗浄機「クイッククリーンポッド」が付属しています。3カ所の高圧ジェット噴射と毎分1,600回転の高速洗浄でクリーニングでき、水洗いの10倍清潔とされており衛生面も安心です。

使い方は洗浄機にシェーバーをセットし、シェーバーの電源をONにして約1分待つだけ。電源不要で使えるため、洗面台に専用の置き場所を確保する必要がないのはうれしいポイントでした。

クイッククリーンポッドのカートリッジは毎日使った場合、月に1回交換することになります。最長3カ月使用可能
洗浄している様子

UV除菌で衛生的に使える

フィリップス初のUV充電ケースも付属しています。シェービングヘッドへのUV照射により、シェーバーは約10分で除菌されます。また、収納ケースとしても優秀で、縦置きができるので、定位置の置き場所を確保しやすいです。

リチウムイオン充電池を内蔵しており、シェーバー本体を充電できる(最長6週間使用分)
充電残量をパーセンテージと5段階のインジケーターでお知らせ
充電スタンドで充電している様子。スタンドなしで直接本体にコードを差して充電することも可能。充電スタンドは、1時間でシェーバーをフル充電完了。USB-ACアダプタの付属はなし
付属の鼻毛・耳毛トリマー。取り外しはヘッドを反時計回りに回すだけで簡単に取れます
付属の口ひげやもみあげをトリミングできるトリマー

使用状況にもよりますが、バッテリーとモーターは最長7年間使える長寿命設計になっています。標準の2年保証に加え、購入後90日以内にMyPhilipsに登録すると5年の延長保証が付き、合計7年間の保証となるため、長期使用を考えるとコストパフォーマンスに優れています。

今回使ってみて、高額なモデルは本当にすごいと実感しました。多彩なモードや光のガイドなど便利な機能が多数ありますが、やはり買い替えの価値を感じるのは、「圧倒的に深剃りで、肌にやさしい」という点。

ヒゲ剃りは毎日のことですし、ヒゲの青さは少なければ少ないほどよいと感じています。0.05mmと-0.08mmの違いは数字上では誤差に思えますが、実際に使うと体感できる違いは明確。剃り残しと格闘する時間も減りますし、高額モデルを買うことは時間効率の面でみても十分価値があると思いました。

福永 太郎

フリーランスの編集者・ライター。ライフスタイル系メディアの家電記事の担当を経て独立。現在は複数のWebメディアに寄稿。