家電製品レビュー

おしゃれなだけじゃない。熱帯夜でも快眠の「ノクリアSV」は寝室にピッタリのエアコンでした

富士通ゼネラルから4月に登場した「ノクリアSV」。選んでよかった理由はスタイリッシュなデザインだけじゃなかった!

各地で40℃近い気温を記録するなど、危険な暑さに見舞われた8月。夜も30℃に迫る熱帯夜が続いたが、この夏、わが家の寝室はとても快適だった。というのも15年間使用してきたエアコンを、富士通ゼネラルの最新エアコン「ノクリアSV」に入れ替えたからだ。

ノクリアSVといえば、従来のエアコンとは一線を画すデザインが特徴だ。筆者自身初めて実物を見たとき、「同じ白でも質感とデザインでここまで印象が変わるとは」と驚いたのだが、寝室用に選んだ理由はそれだけではない。設置しておよそ1カ月じっくり使ってみて「選んでよかった」と思えるポイントを紹介したい。わが家にやってきたのは、ノクリアSVシリーズ「AS-SV22K-W」で、畳数の目安は冷房が6~9畳、暖房が6~7畳。実売価格は14万円前後(編集部調べ/工事費別)だ。

15年もののエアコンにはさすがに様々な不具合が……

2005年に実家に購入してもらったエアコン。気づけばホコリにまみれ、プラスチックも変色している

SVシリーズに入れ替える前、わが家の6畳の寝室には、長年使っているエアコン(同じく富士通ゼネラル製)が設置してあった。嫁入り道具の代わりに実家から、冷蔵庫と洗濯機とともにそろえてもらったのだが、今年が結婚15周年なので、使用期間も15年になる計算だ。

さすがに15年ともなると、不具合を感じる点も多い。まず昔の製品なので消費電力が高く、電気代がかかるので夜中に使い続けることには抵抗があった。またフィルター自動掃除機能がついていないにも関わらず、フィルター掃除もサボりがち。そのためか温度コントロールがうまくいかず、設定温度を上げると暑くて目が覚め、下げると寒くて目が覚め、なかなか安眠できない。

これはいつ壊れてもおかしくないが、真夏の暑い日に壊れたら目も当てられない……。そう思ってこの夏、寝室のエアコンをSVシリーズに入れ替えることにしたのだ。

ノクリアSVシリーズには、以下の4つの特徴がある。

・横幅698mmのコンパクトサイズ
・インテリアになじむ質感と美しいフォルム
・快適な温度と湿度をキープする「さらさら冷房」機能
・熱交換器加熱除菌、IoT機能なども搭載

この横幅698mmというのは、業界最小だ。一般的なエアコンの横幅が780~800mmなのでダントツに小さい。わが家の寝室は6畳と広くなく、エアコンの存在感がひときわ大きく感じる。その点で、コンパクトであることは大きなポイントだった。

しかし筆者がSVシリーズがいい! と思った一番の理由は、やはりデザインだ。通常エアコンというとプラスチック製で四角いものが多いが、SVシリーズは、まるで布地を貼ったようなファブリック調の質感が施されている。さらにフォルムもスッキリして主張しすぎず、寝室のようなゆったり過ごしたい空間に絶対マッチする、と思ったのだ。

近くで見ると布地の織り目のようなデザインが施されている。プリントではなく、実際に成型しているため、本物のような立体感もある

今までとは全然違う! 家電というより家具のような存在感

そんなわけで関東地方の梅雨明けが発表された8月1日、SVシリーズがわが家にやってきた。この梅雨明けを境に気温が記録的猛暑日となる日も増え、つくづく間に合ってよかったと思う。

壁に設置されると、従来機との幅の違いは一目瞭然だった。もとのエアコンの据付板がついていた汚れ(ホコリ)を見れば、それ以上にコンパクトになったということがわかる。ちなみにこの汚れは拭き取ったらキレイになったので安心した。

実際に設置してみると、かなりコンパクトになったことが分かる。なおSVシリーズは下面全体が外れるため、接続工事しやすい構造になっているが、今回は本体右側に配管口があるため、もともと工事はラクなほうだったようだ

設置して改めて見ると、やはり今までと全然違う。特に、ファブリック調ならではのやわらかさ、上品さが感じられるのだ。前に比べると奥行きが少々長くなったが、ムダな凹凸のないデザインなのでスッキリ見える。

正面から見たところ。凹凸の少ないシームレスなデザインで、すっきり見える。下部の質感にもこだわっているのが分かる

とにかくデザインは気に入った! あとはエアコンとしての機能だ。SVシリーズはコンパクトとはいえ、ミドルクラスより上の機能を搭載しているため、どんな活躍をしてくれるのか楽しみだ。

「さらさら冷房」で寝苦しさを解消! わが家の睡眠時最適温度は28.5℃

前述のとおり、SVシリーズの特徴には「さらさら冷房」機能が搭載されている。実はこれが、SVシリーズを寝室で使いたい3つめの理由だ。よく言われることだが、人の体感温度は、温度だけでなく湿度にも左右される。日本は高温多湿のため夏はムシムシと不快に感じるが、同じ高温でも湿度が低いと、体感温度が下がって快適に過ごせるという。

通常、冷房運転を行なうと、温度と一緒に湿度も下がるのだが、エアコンは設定温度に達すると一時運転を止め、温度が上がったら再び冷やすという動作を行なっている。運転停止中は温度とともに湿度も上がってくるため、そこで蒸し暑さを感じて目覚めてしまうことも少なくない。

その点、「さらさら冷房」は、冷房運転中に室温が設定温度まで下がった後も、自動で再熱除湿運転に切り替えることで、快適な室温をキープしながら除湿も行なってくれる。多少室温が上がっても湿度を抑えてくれることで蒸し暑さを感じにくく、朝までぐっすり眠れる、というわけだ。

本体だけでなくリモコンもスタイリッシュ。「冷房」ボタンを2回押すと、「さらさら冷房」運転に切り替わる

そこで大切なのは、「温度を何度に設定すれば暑すぎず寒すぎず眠れるか」ということだ。エアコンを新調したら、まずは上手な付き合い方を模索していかなくてはいけない。SVシリーズは0.5℃刻みで温度設定ができるので、まずは「さらさら冷房」で27.5℃に設定してみた。

運転前、枕元にある温湿度計を確認したところ、運転前の温度は29.6℃、湿度は57%。この温湿度計は温度30℃、湿度60%を超えると「熱中症警戒」の文字が出るため、まさにギリギリの状態だ。それが運転後、15分で温度28.5℃、湿度46%に。さらに15分後には、温度27.8℃、湿度50%になっていた。設定温度にかなり近づき、湿度も安定しているように思える。

運転開始後30分で、温度は29.6℃→27.8℃、湿度は57%→50%に。温度も湿度も下がると、快適度が大きく変わる

しかし明け方、やはり寒くて目が覚めてしまったので、翌日は28℃に設定してみた。すると夜11時ごろ、温度29.2℃、湿度55%だったのが、夜中の1時には温度28℃、湿度43%に。やはり設定温度に近い温度をキープしてくれており、わが家の場合、設定温度とベッド周りの温度はほぼ一致しているといってよさそうだ。ただこの日も明け方、寒くて目が覚めてしまった。

そこで3度目の正直で、28.5℃に設定してみたところ、これがわが家の正解だった。というのも明け方、ふと目が覚めたとき、温度は少し高く感じたものの、蒸し蒸しした不快さを感じなかったのだ。「温度が多少高くても、湿度が低いと寝苦しくないんだな~……」と思いながら再び寝てしまったため、温湿度計は確認し損ねたのだが、やはり寝るときは通常の冷房運転より、「さらさら冷房」のほうが快適に眠れそうだ。


3つの清潔機能で、格段にキレイに保てること間違いなし!

コンパクトながら「フィルターおそうじ」機能はもちろん、内部もきれいにする「熱交換器加熱除菌」機能がついているのも、寝室にうれしいポイントだ。あおむけで寝ているときに、上から降りてくるエアコンの空気にホコリやらカビやら菌やらが含まれていると思うとぞっとするが、前モデルには当然どちらも搭載されていなかった。こまめにお手入れをしていればよかったが、正直ほとんどお手入れはしておらず、15年ものの室内機から吹き出す空気は得体が知れない(笑)。

実をいうと今年、エアコン内部の汚れは深刻にまずい、と思わされる出来事があった。数年ぶりにリビングのエアコンクリーニングをお願いしたのだが、洗浄時、予想をはるかに上回る真っ黒い水が流れ出てきたのだ。最初は「わ~、汚い♪」と爽快感を味わおうと楽しみに見ていたが、あまりの黒さにドン引き。絶叫を超えて絶句するしかなく、エアコンのお手入れをサボってはいけないと反省したのだった。

リビングのエアコンをクリーニングしてもらった時の様子

その点で、このSVシリーズにはフィルターおそうじ機能のほか、「内部クリーン」「熱交換器加熱除菌」機能も搭載されている。「熱交換器加熱除菌」機能は、冷房や除湿時に発生する結露水で熱交換器を洗浄し、55℃の高温に加熱してカビや菌を除去してくれるという、富士通ゼネラル独自のお手入れ方法だ。

わが家では、まず「フィルターおそうじ」機能をおよそ5日に1回稼働する設定にした。掃除時間は約7分。ホコリはダストボックスに溜まるため、定期的に取り除く必要があるが、1カ月ほどの使用ではほとんど溜まっていなかった。

エアコンのフタとなる吸込グリルを開けると、青いダストボックスが見える。外し方やお手入れ方法が書いてあるので、取扱説明書を探さなくていいのはありがたい
ダストボックスを開くと、ホコリが少しだけ溜まっていた
フィルター掃除は基本的に自動でやってもらえるが、気になるときは引き出して自分で掃除もできる

続いて「内部クリーン」も設定した。これは冷房・除湿運転停止するたびに、送風運転と短い暖房運転を90分間行ない、熱交換器、送風ファン、送風路を乾燥させ、カビや雑菌を発生しにくくするというもの。

ただし常に「内部クリーン」をしていたところで、カビや雑菌が発生しないとは限らない。そこで「熱交換器加熱除菌」を定期的(手動)で行ない、生えたカビや雑菌を除去する。この3つの機能で、フィルターも内部も以前より格段にキレイに保てること間違いなし! 心なしか睡眠中の空気がおいしく感じる。

多機能だから上手に使いこなしたくなる

ほかにも便利な機能はたくさん備えている。たとえば「お知らせボイス」は、リモコンの設定内容を声で知らせてくれるので、ちゃんと設定できたかどうか分かりやすい。また冷房を切ると「内部クリーン運転を開始します。お部屋の温度・湿度が上昇します」といわれるので、急いで部屋を出ようと思える。

リモコンのフタをスライドすると、さらに多くの機能ボタンが。メニューボタンを押して設定できるものも多い

さらに人がいなくなったら運転を控えめにする「不在ECO」や無線LANとつないで外出先から操作できるのも便利だ。またわが家では犬を飼っているが、「おまかせノクリア」運転にしておくと、運転停止中でもエアコンが部屋の状況や外気温を判断し、自動で運転してくれる。今は24時間冷房運転しているが、これからの時期、犬が1匹で留守番中に気温に大きな変化があったときも、ハラハラしないで済みそうだ。

ただし、ペットはリモコン操作は当然できないので、ペットだけで留守番が必要な際は注意が必要だ。

ベッドの上で寝ていることも多い、わが家の愛犬クウちゃん(チワプ―♀)。エアコンをつけずに留守番させていると、部屋の温度が気になることもあるが、「おまかせノクリア」があれば万一のときも安心。しかし、くれぐれもペットの体調管理はエアコン任せにしないように注意が必要だ

洗濯物を乾かす「ランドリー運転」というのもある。実際に使ってみたところ、部屋がしっかりと冷えており、室温は21℃まで下がっていた。冷房運転によって湿度が下がるので、早く乾燥するということだろう。試しに洗濯物を乾燥させてみたところ、3時間で9割がた乾いていたので、確かに自然乾燥より早そうだ。

衣類乾燥除湿機や浴室乾燥機がない場合、これを使うのもあり。サーキュレーターを併用し、風を送りながら乾燥させるとさらに効率が上がりそうだ

寝室がさらにお気に入りの空間に

SVシリーズを設置しておよそ1か月、この酷暑の中、ほとんど暑苦しさを感じることなく快眠できている。せっかくおしゃれなエアコンがついたのだから……とインテリアにこだわりたくなり、カーテンもベッドカバーに合わせてブルー系のカラーリングに掛け替えた。さらにお気に入りの空間に近づけたいと、壁紙の張替えも計画中だ。

これまでエアコンの室内機のデザインは、どれも似たようなものだったため、あえてそのデザインで選ぶ、という発想はなかったが、いざおしゃれな室内機を設置してみると、その存在感の大きさや、インテリアとの調和の大切さに改めて気づいた。となると次は、広いリビングに設置してあるエアコンが気になるところ……。こちらもすでに12年ものなので、次に買い替える前に、インテリアの側面からも選べるエアコンが増えてくれるとうれしい。

1日の3分の1を過ごすといわれる寝室で使うからこそ、エアコンはデザインにも快適性にもこだわりたい

協力:富士通ゼネラル

田中 真紀子